サンライズが提唱した「舞-HiMEプロジェクト」の第2弾である『舞-乙HiME(マイオトメ)』。TVシリーズ終了から10年、その魅力を振り返ってみる。
「ロボットアニメのサンライズ」が世に送った美少女アニメ。舞-HiMEプロジェクト第2弾のこの作品は、アニメ界を席巻した……のか?
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サンライズが提唱した「舞-HiMEプロジェクト」の第2弾である『舞-乙HiME(マイオトメ)』。TVシリーズ終了から10年、その魅力を振り返ってみる。
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そもそも『舞‐乙HiME』は、アニメ制作会社「サンライズ」が企画した「舞-HiMEプロジェクト」のTVシリーズ第2弾である。
第1弾の『舞-HiME』に続き、2005年10月~2006年3月の2クール、全26話が放送された。このプロジェクトでは登場人物は「スターシステム」をとっており、前作『舞-HiME』の登場人物が、それとは違う役割を持って出演している。たとえば『舞-HiME』では、主要人物の一人ではあったが「HiME(ひめ・作品における特異能力者)」ではなかった「珠洲城遥(すずしろ・はるか)」が、『舞‐乙HiME』では「乙HiME(おとめ)」の一人、珠洲の黄玉(すずのこうぎょく)・ハルカ・アーミテージとして活躍した。
作品としては「伝奇色」の濃かった前作のイメージを振り払い、SFオトメチックアクションとして完全に独立した作品になっていることが挙げられるだろう。その証左とはいえないかもしれないが、このあとのOVA作品の『舞-乙HiME Zwei(まいおとめ・つばい)』『舞‐乙HiME0~S.ifr~(まいおとめ・しふる)』は『舞‐乙HiME』の続編、もしくは外伝(前史)に位置することからもうかがい知れる。
先ほど、この作品は「スターシステム」を採用しており、前作の登場人物が「違う人物(名前はほぼ同じ)」として出演している、と書いたが、今作の主人公・アリカ・ユメミヤは(基本的には)この作品の主人公として新しくデザインされたキャラクターである。
前作『舞-HiME』の最終回、主要三人組の後ろを走り去っていく姿が見えるが、これはスタッフの遊び心というものであろう。作品を通してアリカの良き友であり、ライバルでもあった「ニナ」は、『舞-HiME』のオープニングを通して出演は(役名は春妹(ちゅん・めい))しているが、本編にはほとんどからんでこなかった。アリカはやはりこの手のアニメの主人公にふさわしく、前向きで明るく、破天荒な性格。運動能力は群を抜いて素晴らしいが、机上の勉強は苦手。時に落ち込むこともあるが、精神的にはタフネス。そしてどんなときもあきらめない、くじけない。「乙HiME」養成専門学校の「ガルドローベ」に途中入学しながらも、そのキャラクターと天性の能力で頭角を現していく。
「乙HiME」とは、限られた「宝玉(ジェル)」からその力を放出し、体内に埋め込んだ「ナノマシン」を戦闘服化して身にまとい(ローブと呼ぶ)戦う女性たちのこと。マスターと呼ばれる存在と契約し、その者のくちづけをピアス的に耳に埋め込んだ宝玉に受けることにより「マテリアライズ」する。その戦闘力は想像を絶し、少なくとも「マスターオトメ」と呼ばれる存在のものであれば、ひとつの国の軍隊をひとりで相手にできるといわれている、アリカもコーラルオトメ(乙HiMEの練習生のようなもの)時代、王宮に落下しかけた全長数百メートルはありそうな「飛行船(宇宙船? )」を一時的にとはいえ受け止めて見せた。このときに、徐々に力を失い、コーラルオトメのローブもはげ落ちて落下しそうになるアリカを助け、残る片手で飛行船を支えたばかりか、そのまま大気圏外へ投げ捨てたのが先の「ハルカ・アーミテージ」である。
前作『舞-HiME』の異能力者「HiME」たちも哀しい運命を抱えていたが、この作品の「乙HiME」たちにもそれぞれ宿命を持った者もいる。主人公のアリカと、前出の二ナとコーラルオトメ時代同室だった「エルスティン・ホー」もその一人である。彼女はガルデローベに通う一方、乙HiMEと敵対する組織「シュヴァルツ」に取り込まれており、心ならずもアリカやニナと敵対しなければならなかった。
基本「乙HiME」は「マスターの命令には絶対服従」のため、こころならずも他国に配置されている乙HiMEと敵対することも少なくはなかったようだ。乙HiMEになる資格があるのは読んで字のごとく「乙女」のみ。なので、戦闘シーンは少女たちの独壇場といってもよい。自分たちの遺志、各国の大義、そして時代の隆盛などに抗う「乙HiME」たちの戦いを、その目に焼き付けて欲しい。
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