ぷるぷる、べとべと、ふわふわ！愛すべきスライム漫画オススメ５選54 Pt.

人々から英雄と称えられていた大賢者が驚愕のジョブチェンジである。新たな人生ならぬ「新たなスライム生」と自ら称していたが、自身の魂をスライムに転写するという技自体が大概チートである。しかもスライムといってもただのスライムではない。無限に進化する、可能性に満ちたスライムなのである。スライムの大きな特徴の一つが、身体の形状を自在に変化させることができるところだ。スライム姿のマリンは、少し大きめな雫型。スタンダードなスライムと言えるだろう。敵に合わせて姿を変えることで、戦うことも、相手を自らの体内に取り込んで能力を奪うこともできるのだ。敵の持つ能力を自分のものにすることで、スライムのマリンはどんどん強くなっていく。自宅の研究資料を全部体内に取り込むことができたところからも、容量の制限はないのだろう。制限がないということは無限につながるのである。これから最強のスライムになっていくわけだが、姿かたちと鳴き声はかわいい。父を失った養女たちへの癒し効果も抜群だ。

昨今人気の異世界転生ものだが、中でもスライムの地位を飛躍的に向上させるきっかけとなったのが本作である。現代のサラリーマンが転生したのがスライムなのだが、当然ながら普通ではない。スライムは基本、増殖や分裂を繰り返すばかりで思考する生物ではない。30代サラリーマンの魂をまるっと持ち込んだことで、スライムは考える力を持つ個体となったのだ。さらにこのスライム、転生特典として様々な「ユニークスキル」を持っている。新スキル獲得時の会話がとても残念なのだが、能力は超一流。なにせ生まれながらに何でも教えてくれる大辞典が脳内にあるようなものである。かくして普通とはかけ離れたスライムが誕生したわけだが、最初の頃の姿は水ようかんのようにぷるんとしたフォルムだ。そこは普通のスライムと変わらないのだが、実は姿かたちを人間に擬態させることができる。そちらもかわいいが、無表情に見えて感情表現豊かなスライム姿が恋しくもなる。

ダルルは黒魔道士である。伝説の黒魔道士一族の末裔で、腕前も天才的なせいかプライドも高い。崖の上に魔法用品店を開くことになったのだが、店をひとりで切り盛りするのはなかなかに大変なことである。そこで雇われることになったのが派遣会社からやってきたスライムだ。スライムが働けるのかと疑問に思われるだろうが、こちらに派遣されたスライムの形状は、一般的なスライムと少々違う。頭部に特徴的な三角の突起があり全体的にまるっとした2頭身フォルムだが、手足がある。物を持ち運びできるから労働力としては問題ない。さらに弾力があって形状を変えることができるので、棚の隙間など狭いところの掃除などもお手の物だ。そして働き者でもある。魔道士的には見栄えはしないが、お店の従業員としては申し分ない。一生懸命でかわいいスライムだが、雇い主であるダルルはなかなか素直になれず、触ることにあれこれ理由を付ける。スライムは振り回され気味だが、不満を口にはしない。そのおおらかさも魅力である。

隣人が人間だとは限らない。翠恋や仏子を見ていると、隣人のそんな可能性に思い当たり心が躍る。というのも、この2人は普通の人間ではない。魔物の末裔なのである。現代世界と何ら変わりのない世界は、実は大昔に魔王と勇者の戦いがあったという世界。魔王が勝ち、世界には魔物が溢れ、魔物たちにとって平和な時代が訪れた。仏子たちは魔物の能力を持った末裔なのだが、来るべき勇者の復活の日におびえている。魔物なので瞬殺間違いなし、というわけだ。仏子はスライムの末裔である。水に触るとスライム化してしまうため、人前では触ることができない。スライム化した仏子は液体に近い形状になるのだが、目がつぶらでリボンがあるのが特徴である。女の子と一目でわかるところが大きな特徴だろう。水というアイテムが身近なせいか、正体を隠すストレスは相当なものだろう。だからこそ解放された仏子の姿は、爽快感に溢れている。とても気持ちよさそうなので、翠恋がしているように飛びついて抱きしめてみたい。

スライムといえばこの形という、一つの典型的なイメージを形成したのはRPG「ドラゴンクエスト」だ。一番弱いが一番有名な敵でもあるスライムだが、本作では堂々の主人公である。しかも、扱いは大変珍しい生き物という、本編とは全く違った設定であるところに興味をそそられる。まず、スライムたちはスラバッカ島というところに住んでいる。主人公のスラリンはスタンダードな形状だが、中にはクラゲのような姿のホイミスライムもおり、スライム族の島であることは間違いない。思いがけないきっかけで島の外に出てしまったスラリンだが、島の外ではスライムを血眼になって探しているという事態。スラリンに自身が珍獣である自覚はないが、読者にもその認識はない。しっぽ団との温度差をひしひしと感じる。スラリンは明確な攻撃手段を持っている。弾丸のように自身の身体を飛ばすのだが、これが意外に強い。島に帰れるのか不安に思えたが杞憂のようだ。スライムの大冒険を見守りたい。