誰もが知る呪いのキャラクター「貞子」と二人の姉妹のふれあいを描いたヒューマンストーリー。舞台は文明が滅びた終末の廃墟街。生き残った少女・アイは妹・ひーちゃんと共に、何者かが遺した「びでお」を見つけ再生する。画面から出てきたのは、顔が隠れるほどの長い黒髪を持つ呪いの怪物・貞子であった。貞子の出る呪いのビデオを見てしまったら最後、たとえ子供でも1週間後に呪い殺されてしまうという。しかし、貞子の姿を見た二人は意外な反応を見せる。
姉妹を驚かそうとする貞子であったが、アイたちは初めて見た「びでお」に感動し彼女が3Dだと勘違いする。「サダちゃん」と呼び、臆することなく話しかけてくるアイたちに貞子はタジタジだ。生き残った二人以外に人間がいないことに気づいた貞子は、自らの呪いがこれで終わってしまうことを悟る。そのことを知ってか知らずかアイは他に人間がいるか探そうと提案し、3人は1週間限定の人間探しの旅に出るのであった。旅先で出会う人たちをきっちり呪い殺す貞子であるが、殺される方もまた人生の幕を下ろすことを喜んで受け入れる。退廃した世界で一緒に寝たり遊んだりと心を通い合わせる3人に心温まる一方、意味深なラストにぞくりとさせられる作品だ。
荒野を駆け巡る「アウト・サイド・ギャング」たちの抗争を描いたサバイバルアクション。大地震をきっかけに各地で戦争が起こり、完全に荒野と化した世界。人間は水やガソリンを巡り略奪や殺人に明け暮れ、死に至る奇病「黒目」が蔓延していた。凶悪集団・ベベルズに祖父を殺されたルカは、復讐のため頭(かしら)の弟を殺害し追われる身となる。逃亡虚しく囚われてしまい、命の危機を迎えるルカの前に名うてのギャング集団「ジャンク・ランク・ファミリー」が現れる。
「J・R・F」ことジャンク・ランク・ファミリーは情に熱い男の集団だ。クールな切れ者のリーダー・シャチ、弓矢の使い手の副リーダー・シド、奇跡のデブと呼ばれる食料係・ケチャップ、陽気な少年・ターボ、お面を被った強面の二人組・ピピとポポの6人は、ファミリーのためならどんな戦いにも厭わず飛び込んでゆく。ベベルズに恨みを持っていた彼らは、驚異の戦闘力でベベルズの部隊を殲滅し、ルカを救い出す。当初は不信感を抱いていたルカだが、彼らの情に触れるうちに心を開き行動を共にしてゆく。本作は、アジトを持たず荒野を駆け回るJ・R・Fの生き様が痛快に描かれている。敵となるギャングたちも凶悪かつ個性的で、バトルシーンも迫力満点だ。
近未来の関東を舞台に、「便利屋」たちの戦いを描いたSFガンアクション。数百年前に文明は廃れ、白骨都市と化した関東大砂漠。昼間は摂氏50度を超え、夜は氷点下を割る過酷な死の街だ。主人公・砂ぼうずこと水野灌太(かんた)はその砂漠を根城に「便利屋」を生業にしている。受けた依頼は必ずやり遂げる砂ぼうずだが、この日も大盗賊・蛙組(かわずぐみ)の手下をボコボコにした帰り道、行き倒れの女性を介抱する。2004年にテレビアニメ化。
女性は、蛙組の親分に囚われていたがどさくさに紛れて逃亡してきたという。美人でボインと好みのタイプだったこともあり、砂ぼうずは彼女のために蛙組を殲滅することを決意。死闘を繰り広げたのち勝利する。しかし、女性の正体は同業の便利屋・朝霧純子で、自らの依頼を完遂するために彼を利用していたことが判明する。そんな純子に悪態をつきつつ、彼女が持ちかける危険な依頼を受けたり、騙されたりする砂ぼうずであった。砂ぼうずをはじめとした便利屋たちは、金のためならどんな依頼でも引き受けるならず者ばかりだ。荒廃した世界やガンアクションが緻密に描かれており、臨場感たっぷりである。美女に滅法弱く損ばかりしている砂ぼうずのキャラクターも愛らしい。
荒廃した日本を英雄として縦横無尽に駆け巡る少女の活躍を描いた戦記。20世紀末、大いなる禍(わざわい)が起こり日本の文明は衰退した。それから300年後、山陽地方にある白虎の村に双子の男女が誕生する。予言者曰く、兄・タタラは「人民を率い国を救う運命の子」だとのこと。タタラは村中から期待されて育ち、妹・更紗はちょっぴり不満を抱きながらも兄を慕い暮らしていた。しかし、そんな二人に過酷な運命の刃が牙をむく。1998年にテレビアニメ化。
ある日白虎の村に、国王の末子「赤の王」の軍隊が攻め入る。村の宝刀「白虎の刀」を持つことが謀反とみなされ、タタラと父は惨殺されてしまう。怯える村人を目にした更紗はその場で自らの髪を切り、タタラとして反旗を翻す。実はタタラは身代わりに過ぎず、更紗こそが本物の「運命の子」であったのだ。更紗は仲間を集め、革命を起こすべく戦いの渦に身を投じていき、その中で出会った青年・朱理(しゅり)と心を通わせる。しかし、彼の正体は宿敵・赤の王であった。本作は、平凡な少女であった更紗が、革命のリーダーとして壮大な世界の中で立ち回る姿が逞しく描かれている。激しく愛し合いながらも、敵同士であることが判明した朱理との関係がどう動いていくかにも注目だ。
特殊能力を持つ「鍵人」たちの戦いを描いた近未来バトルアクション。かつて人々が手に入れた魔法の鍵により生まれた人間兵器「鍵人」。その力は甚大であったため文明は崩壊し、世界は砂漠で覆われていた。そんな世界で強大な権力を持つガッビア帝国の女性少佐チルダ・ポートマンは、国を牛耳るデジャニラ・レオニダスの命により脱獄死刑囚の討伐のため砂海を行軍中、巨大な流砂に巻き込まれる。気を失って倒れている彼女を救ったのは、とある鍵人の青年だった。
チルダを助けたのは、ツバメと名乗る青年だった。ツバメは砂海に眠る鉄を掘り起こし金に換える「サルベージ」を生業としている。その風貌を見てチルダは彼が死刑囚であることに気づくが、仲間たちと気さくにふれあう姿に違和感をおぼえる。その後、彼らが乗るサルベージ船が巨大な砂ダコに襲われるが、ツバメは鍵人の能力「鍵武威(かむい)」を使い砂ダコを倒す。かねてよりデジャニラの悪政に不満を抱いていたチルダはツバメと共闘することを決意し、彼と共に帝国に乗り込むのであった。ツバメは鍵の力による刀を武器にしているが、他にも斧や短剣などの鍵武威を使いこなす個性的な鍵人たちが魅力的だ。難敵を撃破し、デジャニラとの最終決戦を迎えるラストまで見ごたえたっぷりである。