【漫画で学ぶ】説得の術！最強編44 Pt.

元特殊部隊の保険調査員・平賀＝キートン・太一が、様々な事件を解決する姿を描く。「身代金のルール」というエピソードでは、大企業の役員の誘拐事件に、キートンはキッドナップ・ネゴシエーター（誘拐交渉人）として参加。「犯人が身代金を取った後に人質を殺す場合もあるんだろ?」という問いに対し、「ルールはないようで存在する……犯人がプロならそれを知っているはずです。」「犯人は血も涙もない。でも信頼しなければならない。」と答える。誘拐人質事件では、依頼人との信頼関係はもちろん、犯人と信頼関係を築くことが何より大切なのである。

犯罪者の生け捕りを目的とした特殊部隊NPSの活躍を描いた作品。NPS隊員の一人、古橋誠二郎は人質交渉担当。ある日、その古橋の元妻と息子がバスジャック事件に巻き込まれる。犯人は父親の抑圧に耐えかねて、犯行を強行。憎い父との唯一の良い思い出である遊園地を爆破しに行くのが目的。一人で交渉に向かった古橋は、自分にも息子がいること、仕事ばかりで家にいない最悪の父親であったことを告げ、「せやけどな…息子のことは一日かって忘れたことはない…幸せになって欲しいと心から願っとる。お前の親御さんもそうや…ただ伝え方がヘタやっただけちゃうかな…」と話す。即時解決には至らなかったが、この言葉が怪我人や女子供の解放に繋がった。誰もが共感しえる感情を丁寧に説いたのが功を奏したといえよう。

表情の乏しさを理由に事務所をクビになった新人弁護士・祢宜りえ（ネギリエ）が、叔父の不動産会社で価格交渉人として活躍する姿を描くWEB漫画。不動産会社のホームページ制作の価格交渉をまかせられたリエは、制作会社との打ち合わせの結果、価格自体は「適正」だと判断。制作会社の閑散期である3か月後に改めて発注することと、テキストや写真を自社で用意することで価格を引き下げようとする。オープンを先延ばしすることに難色を示す叔父に、あせってもダメだと説得し、引き下げた価格分をSEO対策に回すべきだと熱弁。「費用対効果の高いホームページができるのか」との叔父の言葉に、リエは「当然です。適正価格を導き出し最高の結果を残す。それが今の私に課せられた使命ですから」と言い放つ。安ければ何でもよいというわけではない。価格と効果のバランスこそが大切なのだ。

青森から大志を抱いて上京する少年・風大左エ門が巻き起こす珍騒動を描くドタバタ・ギャグ。田舎で暮らし、東京行きを拒んでいた大左エ門を説得したのが、大柿矢五郎。大左エ門の亡き父の親友である。柔道家でもある矢五郎は、村で一番強いという大左エ門と勝負する。熊にも勝つ大左エ門だったが、矢五郎の柔道技には手も足も出なかった。大左エ門を投げ飛ばして矢五郎は言う。「きみより強い人はこの世ではわんさといるんだよ」「それをこの村でいちばんだなんてハナにかけているようでは井の中のカワズだ!」。矢五郎の言葉に大左エ門は自分の了見の狭さに気づき、東京行きを決心する。矢五郎が身を持って示した柔道技の凄さと、「井の中のカワズ」という言葉が、少年・大左エ門の心に響いたのである。