概要・あらすじ
オックスフォード大学で考古学を学んだエリートにして、元イギリスの特殊部隊SAS所属のサバイバル教官という過去を持つ日系人・平賀=キートン・太一。彼の職業は、保険会社の依頼により、事件現場を検証して報告書をまとめるオプ(保険調査員)。「報告書をまとめるだけ」と言いながら、元来持ち合わせた好奇心と洞察力により、担当する事件に深入りしていき、ときには解決まで導くことも珍しくない。
だが、彼の本当の夢は、大学時代に学んだ考古学に打ち込むことであった。そして、大学時代の恩師・ユーリー・スコットと再会したことで、その夢は更に大きく膨らんでいく。
登場人物・キャラクター
平賀=キートン・太一 (ひらが=きーとん・たいち)
イギリスを拠点とするフリーのオプ(保険調査員)。主にイギリスの大手保険会社・ロイズの依頼で仕事をすることが多い。元イギリス陸軍の特殊空挺部隊・SASのサバイバル教官でもあり、過酷な環境の中でも生き残る術をマスターしている。オックスフォード大学卒のエリートで、大学では考古学を専攻していた。 そこで日本人女性の数学者と出会い結婚し、一女・平賀百合子を授かったが、のちに離婚。SASに入隊したのも、妻への未練を断ち切るためだった。臨時の講師として大学で教壇に立つこともあり、オプの仕事を続ける傍ら、大学時代の恩師であるユーリー・スコット教授が提唱した、ドナウ文明起源説を立証させることを人生の目的としている。
平賀 太平 (ひらが たへい)
平賀=キートン・太一の父親で動物学者。イギリス人の妻・パトリシアとは30年前に離婚している。息子とは離れて日本でたくさんの動物達と共に暮らしており、田舎に別荘を持つ。落ち着いた雰囲気の好々爺といった感じだが、非常に元気で行動力があり女好き。それ故に女性にまつわるトラブルも多い。
平賀 百合子 (ひらが ゆりこ)
平賀=キートン・太一の娘で中学生。作中で高校生に成長する。キートンが別れた妻の面影を持つと語る美少女。別れた妻に未練のある父親や祖父のことを心配するしっかり者で、自立志向が高いゆえに学校では問題児扱いされることも少なくない。物語後半では名門オックスフォード大学受験を志す。
ダニエル・オコンネル
探偵事務所・KEATON&O'CONNELL ASSURANGE INVESTIGATING OFICEの経営者。気のいいおおらかな男だが、女性に対してはロマンチスト。1982年、相棒に逃げられて自ら調査に赴くことになり、その時に訪れた遺跡で平賀=キートン・太一と出会う。 調査に協力してもらったうえ、命の危機を救われたことでキートンをオプ(保険調査員)としてスカウトし、以後10年来の相棒となった。
チャーリー・チャップマン
警察官の間でも有名なイギリスの私立探偵で、平賀=キートン・太一とは子供の頃に度胸試しをして敗北している。数々の事件でキートンと遭遇。その存在を煙たがってはいるが、洞察力や推理力といったキートンの探偵としての実力は認めている。美人に弱く惚れっぽいところがあり、母親にはまったく頭が上がらない。
ユーリー・スコット
オックスフォード大学在籍中の平賀=キートン・太一の考古学の恩師。ドイツ空軍による空襲を受けた際にも、講義を続行した過去があり、その肝の太さから鉄の睾丸の異名を持つ。1930年代に当時としては異端となるヨーロッパ文明の礎となる古代ドナウ文明が存在したというドナウ文明起源説を強く提唱したために学界を追放された。 独自に研究を進め、50年が経過してようやく発掘許可が降りたところで死去。その志はキートンに受け継がれた。
アブドラ・アバス
新疆ウイグル自治区に住むトルコ系遊牧騎馬民族ウイグル族の長老の息子。1969年に勃発した中ソ国境紛争にて、騎馬隊だけで立ち向かい大戦果を上げたという武勇伝を持つ。タクラマカン砂漠で行われている遺跡発掘の鑑定人として現地を訪れた平賀=キートン・太一と出会った。 遺跡の調査隊が発掘された聖なる壁を破壊したことで父親がショック死し、その報いを受けさせることを決意。街道から離れたタクラマカン砂漠にキートンを含めた調査隊を放置した。
ジェームス・W・ウルフ
元イギリス陸軍の特殊空挺部隊・SAS所属。除隊後はヘリフォードでフェンシングの教官を務めており、最も尊敬されるべき人物につけられるプロフェッサーのあだ名で呼ばれていた。平賀=キートン・太一も彼の教え子のひとり。娘が麻薬に手を出し、自殺を選んだことから麻薬を憎むようになり、自ら麻薬売買に手を出すことでヨーロッパの麻薬の殆どを取り扱うコルシカ人マフィアをおびき寄せようとした。 計画がうまく行きかけたところで相棒が裏切ったためにその相棒を殺害。さらに足を洗おうとしている娼婦を助けたことで騒動が大きくなり、SASの依頼を受けてジェームス・W・ウルフを止めようとするキートンと再会する。
リチャード・ノーフォーク
七番目の王位継承権を持つ英国王室の人間で、平賀=キートン・太一の大学時代の親友。重度の糖尿病を患っており、毎日のインシュリンの投与が欠かせない。バグダッドに渡航していた際、イラク兵に急襲されて消息を絶ち、英国政府の依頼により、キートンが救出任務につくことになった。 逃走中にカルーンの鷲と呼ばれる英雄的な将校・ヤハル・ラジーの息子を殺害。その結果、執拗な追跡を受けることとなる。
アクラム・ナスル
リチャード・ノーフォーク救出任務についた平賀=キートン・太一を、バグダッドでサポートしたパキスタン系の英国人。地面についた足跡や足音を聞くだけで、それがどのような特徴を持つ人物なのかを判別できるトレーサーの能力を持つ。
ミハイル
西側の諜報員が最も恐れたとされる赤い風の異名を持つ、ソ連の特殊情報機関・KGBの元工作員。痕跡を残さないためにいっさいの武器を携帯せず、ネクタイや万年筆、時には木の枝など、その場にあるものを利用してターゲットを殺害する。事件に巻き込まれる形で標的となった人物のボディガードを引き受けた平賀=キートン・太一と対決し、いとも簡単に捕縛した。 ただ、無駄な殺しはしない主義なため、キートンを殺害しなかった。
ジェリー・バーナム
ロンドンに住む壮年の女性。探偵物の映画に詳しく、特にハンフリー・ボガードのファン。ある殺人事件の調査のため、殺害現場を訪れていた平賀=キートン・太一に興味を持ち、強引に事件を解明するように指示した。本人も名探偵きどりで事件現場を探索。根拠はないが鋭い指摘にキートンも舌を巻いたほどであった。 犯人と目をつけた人物に直接会いに行って心を揺さぶる言葉をかけるなど、大胆な行動も見せる。
中村 (なかむら)
とある仕事の平賀=キートン・太一の調査相手が雇った殺し屋。テリブリスという毒ガエルの毒を塗った爪楊枝で相手を殺害する。元々は世界各国を巡り、日本製の工作機械を売っていたサラリーマンだったが、ある国での取引を納品直前でキャンセルされ、逆上して取引相手を殺害。事件は謎の殺人事件として片付けられたものの、責任をとって辞職させられた。 キートンを殺害するため、ある遺跡発掘調査に参加。そこで平賀百合子と出会って仲良くなるが、能なし呼ばわりされるのを恐れ、あくまでも仕事を完遂しようとする。
ハドソン
ロンドンのホーンズロウ警察署に勤務する刑事で役職は警部。初登場時から平賀=キートン・太一とは顔見知りで、あるスポーツ用品会社の社長が殺害された事件を競うように調査していた。定年を迎え、家に居場所がないという理由でダニエル・オコンネルの事務所KEATON&O'CONNELL ASSURANGE INVESTIGATING OFICEを頻繁に訪れるようになり、保険調査員の仕事も行うようになる。 だが、刑事上がりということで暴力的な解決方法を好むため、事務所には苦情が殺到。
クレジット
- 脚本
-
勝鹿北星 , 長崎尚志