少女が本の中に吸い込まれて冒険を繰り広げる異世界ファンタジー。中学3年生の少女・夕城美朱(ゆうきみあか)は受験勉強の真っ只中。ある日、親友と共に図書館で受験勉強をしていた美朱は、そこで「四神天地書」という古い本を見つける。その本は「朱雀の七星を手に入れた一人の少女があらゆる力を得て望みをかなへる物語」であり、本を読み終えた者は本の主人公と同じ力を得て、望みが叶うという。美朱は本の中に吸い込まれ、物語の主人公になってしまう。1995年テレビアニメ化。
『ふしぎ遊戯』は古代中国の四神や二十八宿などを題材とした作品で、作中にはそれらに関係したワードや事柄が多く登場する。とりわけ、四神の1つである朱雀は本作において重要な存在であり、ここで取り上げるのも「朱雀召喚の呪文」だ。朱雀は本の中の世界に存在する国・紅南国の守護神。紅南国の「朱雀の巫女」になった美朱は、朱雀に3つの願いを叶えてもらうため「朱雀召喚の呪文」を唱える。記憶力の良い美朱は一度読んだだけで呪文を暗記していたが、普通は何度も読まないと覚えられないほど長いもの。本作のファンの多くは、威厳に満ちた「朱雀召喚の呪文」に心を惹かれ、呪文の全文を覚えてそらんじることができるよう努力していたという。作品を読んで、呪文の暗記に挑戦してみよう。
ライトノベルの金字塔とも言われる人気小説をコミカライズした、ヒロイック・ファンタジー漫画。リナ=インバースは自称、美少女天才魔道士。型破りな性格の彼女の趣味は“悪人に人権はない”をモットーに盗賊を打ちのめし、彼らが集めたお宝を頂戴することだ。いつものように盗賊をいじめていたリナは、危ないところを天才美形剣士・ガウリイ=ガブリエフに助けられる。彼との出会いが、リナの運命を大きく動かしていく。1995年に原作ライトノベルがアニメ化された。
魔道士であるリナを筆頭に、作中では多くのキャラクターが魔法を使って戦っている。魔法を発動させるには「混沌の言葉(カオス・ワーズ)」と呼ばれる呪文の詠唱が必要不可欠だ。『スレイヤーズ』のファンは、作中に登場する「混沌の言葉」によって紡がれる詠唱呪文のいくつかを暗記している。人気があるのはリナが技を繰り出す時に詠唱する呪文だが、その中でも特にメジャーなのが「竜破斬(ドラグ・スレイブ)」を放つ際に紡がれる呪文だ。「竜破斬」は赤眼の魔王の力を借りる呪文で、数ある呪文の中でも特に高い攻撃力を誇る技。『スレイヤーズ』ファンなら必ず詠唱できると言われるほど、知名度の高い呪文である。どんな呪文なのかは、ぜひ自分の目で確認してみてほしい。
少年と少女の人間になるための冒険を描いた伝奇ミステリーアクション漫画。男子高校生・藤井八雲(ふじいやくも)の前に現れた不思議な少女・パイ。彼女は八雲の父の遺言で、八雲に会うためチベットからやってきたという。パイの正体は三つ目の妖怪「三只眼吽迦羅(さんじやんうんから)」の唯一の生き残りで、望みは人間になることだ。彼女を助けたことがきっかけで不死身の「无(ウー)」になってしまった八雲は、パイと共に人間になるため、その方法を求めて冒険へと踏み出すことになる。
『3×3EYES』の世界には、獣魔術というものが存在する。その名の通り「獣魔」を召喚して戦闘に使う魔術である。獣魔術は「无」しか使えない術として編み出された秘術であり、「无」となった八雲はこの獣魔術を用いて戦っていく。獣魔術は、使用するのに必ずしも呪文が必要というわけではない。獣魔を使う際は、契約している獣魔の名前を呼べばいい。しかし獣魔の力となる契約者の生命力「精(ジン)」を増幅させるために詠唱文言を使用する場合もあり、その詠唱が長くなればなるほどカッコよさが増すと、ファンの間では評判だったといわれる。一番メジャーなのは、八雲が獣魔「土爪(トウチャオ)」を喚び出す際の詠唱文言。文言は短く簡単なものだが、戦う八雲の気迫が伝わってくるのでぜひ読んでみてほしい。
主人公が死神代行となって敵と戦うバトルファンタジー漫画。黒崎一護(いちご)は強い霊感を持った男子高校生。ある日、彼は現世にやってきた死神・朽木ルキアと出会い、虚(ホロウ)という悪霊の存在を知る。虚は一護の家族を襲撃。激怒した一護は立ち向かうが返り討ちに遭い、一護を助けようとしたルキアは重傷を負ってしまった。ルキアは虚を倒すため、一護に死神の力を譲渡することを決意。一護は死神代行として、虚との戦いに身を投じることになる。2004年にテレビアニメ化。
悪霊・虚と戦う死神は主に斬魄刀(ざんぱくとう)という刀を武器として使うが、それ以外に鬼道という霊術を用いて戦うこともある。鬼道は決まった言霊(ことだま)を詠唱し、術名を口にすることで発動。鬼道と一口に言っても種類があり、攻撃に用いる「破道」、防御や伝達、敵の束縛などに使う「縛道」が存在する。鬼道には一番から順番に数字が振られており、数字が大きくなればなるほど術は高度で強力だ。詠唱する言霊も、大きい数字の鬼道はより複雑になっている。面白いのは、死神によって鬼道の得手不得手があるということだ。鬼道を極めた死神は詠唱破棄といい、長い言霊を発さずに術を発動させることができる。さまざまな鬼道や、死神の鬼道スキルの違いを見比べてみるだけでもおもしろい作品だ。
幼い少年勇者と魔法使いの少女の冒険を描いたギャグファンタジー漫画。ジミナ村で暮らす少年・ニケは、勇者マニアの両親によって無理やり勇者として旅立たされることになった。ジミナ村には、旅立つ際に魔法オババのもとに寄らなくてはいけないというしきたりがある。しきたりに従ったニケはそこで「グルグル」という魔法を使う少女・ククリと出会った。ニケとククリ、2人の冒険が始まる。1994年に初めてテレビアニメ化。2017年にはリメイク版アニメが放送された。
ここで紹介する呪文は、「カッコいい」ものではない。だが、その独特な魅力は、本作を読めば納得するだろう。その魅力ある呪文を唱えるのは、レイドというキャラクターだ。レイドは、魔王ギリの軍勢に与する魔族の一人。顔は良いのだが極度のナルシストである、自称「魔界のプリンス」だ。そんな彼の主な戦い方は剣と魔法。数々の闇魔法を使うことができ、竜になったり攻撃したりできるのだが、魔法を発動するための呪文がとにかくダサい。レイドが呪文の詠唱を始めると、それを見ている人々は途端に奇妙なものを見る目になる。レイドの呪文詠唱は多くの読者に笑いを提供し、幼い子どもたちの間では大人気になった。本作を読んで、カッコよくない珍しい呪文詠唱の様子を楽しもう。