歴史物が傑出！史実を踏まえたリアルさが心動かす「碧也ぴんく」特集オススメ漫画５選304 Pt.

真犯人がいると思われる「唐人屋敷」には、遊女でなければ出入りが許されていなかった。潜入しようとするも叶わず、屋敷の入口で咎められていたかなは、とある青年に助けられ、町一番の遊女である金剛を紹介される。遊女になることを決意したかなは、金剛の身の回りの世話をしながら見習いとして修行することに。だが実は、金剛の正体は男性で、長崎奉行直属の隠密集団「闘牌（かるた）」の一員であることが判明する。金剛をはじめ闘牌の仲間たちに助けられながら、かなは贋札事件の真犯人に迫ってゆく。本作は、ミステリーでありながら、かなと金剛が深い絆で繋がってゆくラブストーリーとしても楽しめる。世界観に彩をそえる当時の長崎の風俗や文化が、史実に基づいて描かれているのも興味深い。

虎が階段を駆け降りると、そこは戦国時代の真っ只中であった。ひょんなことから紀州国の青年・無二（むに）と出会い、織田信長の小姓として潜入するよう命じられる。その晩、再び謎のウサギ男が現れ自分がタイムスリップしたことを知り愕然とするのであった。ウサギ男いわく、本能寺の変で信長が死なないように歴史を変えないと元の時代に戻れないとのこと。虎は現代に帰るべく小姓となることを決意し、無二から武術の手ほどきを受け入城を果たす。信長の寵愛を受け、世話役である森乱丸との恋に揺れながら、虎は戦国時代の生活を謳歌してゆく。激しい時代の波に呑まれながらも前向きに生きる虎が逞しい。歴史は変わるか、ウサギ男の正体は誰なのか、あっと驚くラストにも注目だ。

義経は、平家との戦で死んだ父の無念を晴らすべく、鬼の兵法を授かりに鬼一法眼の元を訪ねていた。法眼いわく、兵法は皆鶴の体内にあり「ただ一人の相手に、ただ一度のみ授けることができる」とのこと。意を決した義経は兵法を授かろうと法眼の術にかかるが失敗し、彼の身体は皆鶴に取り込まれてしまう。皆鶴は義経とうり二つであることから、義経として奥州に帰り元の身体に戻る方法を模索することに。皆鶴の強さに引かれた弁慶も家来として加わり、彼女は大いなる戦いの渦に巻き込まれてゆく。本作は、源氏と平家の戦いが史実とファンタジーを織り交ぜながら描かれているのが特徴だ。紆余曲折を経て二人は元に戻るが、待ち受ける更なる過酷な運命に最後まで目が離せない。

主人公・犬塚信乃戌孝（いぬづかしのもりたか）は、伏姫の珠と牡丹の痣を持つ「八犬士」の一人だ。父の遺した名刀「村雨丸」を主君に返す目的を果たすため、おば夫婦の家で厳しい下働きに耐えていた。そこの下男である額蔵（がくぞう）と心を通わせるが、額蔵もまた同じ痣を持つ八犬士・犬川荘助義任（いぬかわそうすけよしとう）であることが判明する。彼らは義兄弟となり、二人を中心に残りの犬士が次々と集結する。里見家のために彼らは団結し、次々と戦で勝利をあげてゆく。本作は、原作の壮大な世界観をほぼ忠実に再現しており、読みごたえたっぷりだ。八犬士は「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」をテーマにキャラクターが当てはめられており、それぞれの個性を楽しむのもいいだろう。

三成は蛍を連れて帰り、育ての親として礼儀作法などさまざまな教育を施す。まるで本物の姫のように大切に扱われて育てられるうちに、蛍は彼に対し淡い恋心を抱くようになった。そんなある日、蛍は彼に連れられて秀吉の元を訪れる。秀吉の側室・茶々に瓜二つであった蛍は、彼女の「影武者」となるために育てられていたことが判明。三成に思いを踏みにじられ愕然とするが、茶々と世継ぎである鶴松を疎ましく思う勢力からの攻撃から彼女たちを守ることを決意し、戦乱の世に身をやつしてゆく。陰謀が渦巻く城内を舞台に、忍びの影武者として暗躍する蛍が逞しく好感が持てる。三成との恋の行方にも注目したいが、掲載誌の休刊により長らく未完となっており、再開が待たれるところだ。