「異世界」カフェ（喫茶店）でまったりと！オススメ漫画５選60 Pt.

読書好きな月奈が、異世界へ行くのと引き換えに手に入れたのがブックカフェである。カウンターキッチンに、窓際に並んだ読書用の机と椅子。大きな本棚に、店の中央には暖炉がある。中世ヨーロッパ風の異世界の移動手段は主に馬で、外には馬を留めるための馬場まで完備されている。内装はシンプルだが、落ち着いて本を読める環境は整っている。カフェとして提供する軽食メニューの豊富さはもちろん、絶版本や話題作と、本の品揃えも手抜かりはない。まさしく至れり尽くせりだ。異世界らしさを感じられるのは、飲食をしても本を汚さない魔法がかけられている、という点だろう。何かの拍子に本を汚してしまわないかと気を遣わずに、安心して飲食しながら本を読めるなど、ながら読みがしたい人には羨ましい限りだ。読書好きなら近所じゃなくても通いたくなる、理想の詰まったカフェである。

列車に乗った先は、異世界へとつながっていた。黒金夫妻がたどり着いたのは、獣の特徴を持った亜人たちが当たり前に生活している異世界である。列車は電気で動いているわけではなく、蒸気機関車。文化レベルは現世で考えるところの150年ほど昔ぐらいというから、蒸気機関車も高級な乗り物だ。そんな機関車が走るローゼス＝ハーパー線の終着駅、ハーパータウン駅はレンガ造りのレトロな駅舎だ。中には乗客向けの喫茶店「ツバメ」がある。駅員として働く傍ら、タクミは喫茶店のマスターとして腕を振るっていた。ホールを預かるのは、姿の変わってしまった妻・柚こと、ニャーチと名乗る少女だ。食材は現地のものを使っているが、料理は現世風で異世界ならではのアレンジが加えられている。乗客向けなので朝早くから営業しているのだが、名古屋のモーニング文化が継承されているところが面白い。名古屋育ちであるタクミの並々ならぬこだわりが窺える。旅の始まりと終わりに、ちょっと一息つける憩いの場になりそうだ。

見た目は豪華なのに食べた気がしない、満足感が得られない、何か足りないというように、食事に対して不満を抱いた経験がある人なら、理沙の気持ちに共感できるのではないだろうか。理沙が転移させられてしまったフェリフォミアの料理は、一見するとレストランなどで見るような、普通の洋食である。見た目が豪華なだけに期待感が高まるのだが、実際に食べるとなんだかマズいというのはなかなか辛い。それが毎食ともなると、豊かな食を体験してきた者としては不満が爆発するのも道理である。理沙は精霊の助けを借り、現世にあるものに近い食材を集めて料理を作っていくのだが、レシピ自体は難しいものばかりではない。異世界人でなくても真似できるのは嬉しいところである。異世界などまず行けるものではないが、異郷に行っても対応できる食のノウハウを覚えておくとよいかも、という気にさせられる。

ユウがやってきた異世界は、獣人やエルフなどが当たり前に闊歩し、魔法も存在している異世界である。街には迷宮があり、魔法の息吹がかかった様々な食材が生成されていた。食材や料理の方法に大きな違いはないようだが、現世と大きく違うところは、コーヒーはまずい飲み物だという認識があるところだろう。異世界でのコーヒーの用途は眠気覚ましの薬で、飲んで楽しむものではないらしく、リナリアもコーヒーの味を酷評した。コーヒー嫌いの人は共感できるかもしれないが、コーヒーを嗜む人からすると、ため息を吐くユウに同情してしまう。コーヒー嫌いの異世界人だが、ミルクを投入することで、コーヒーを美味しく飲むことができるようになった。コーヒーは好きじゃないけれどカフェ・オレなら好んで飲むという人がいるが、異世界でも同じらしい。落ち着いた店構えに気さくな店主、うんと甘くしたカフェ・オレで、誰もが通いたくなる喫茶店である。

住む場所や生まれる時代を間違えたのでは、と自分の置かれた環境に違和感を抱く人もいるだろう。そういう人は、ちょっとした手違いがあって現世に生まれたのかもしれない。優奈は元々別の世界で生まれた。それまで優奈が生きてきた世界は、機械仕掛けの世界「アース」で、それより前に優奈が生まれたのは、魔法で構成された世界「エクリプセルナル」である。ヨーロッパの田舎のような、豊かな緑が広がるのどかな景色を見ると、こんな所で生まれた優奈が、地球での忙しない現代社会に馴染めなかったというのもわかる気がする。優奈がエクリプセルナルで初めて食べる料理がパンケーキなのだが、とても分厚い。そして二段重ねである。バターと蜂蜜らしきものがかかったシンプルなものだが、シンプルイズベスト。これ以上なく美味しそうに見えるのは、パンケーキの魔力だろうか。特別感もマシマシである。