放課後は、異世界喫茶でコーヒーを

放課後は、異世界喫茶でコーヒーを

風見鶏の小説『放課後は、異世界喫茶でコーヒーを』のコミカライズ作品。現代日本から異世界へと飛ばされて喫茶店の店主となったユウ・クロサワと、迷宮都市のはずれの喫茶店を訪れるさまざまな客との触れ合いを描いたファンタジー日常漫画。『コンプエース』2019年3月号から2019年11月号にかけて連載された作品。

正式名称
放課後は、異世界喫茶でコーヒーを
ふりがな
ほうかごはいせかいきっさでこーひーを
原作者
風見鶏
漫画
ジャンル
グルメ
 
ファンタジー
関連商品
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あらすじ

第1巻

現代からファンタジーな異世界へと飛ばされてきた男子高校生のユウ・クロサワは、さまざまなアイテムや食品が産出される『迷宮』を中心に栄える迷宮都市のはずれで喫茶店を営んでいた。いつものように営業準備を終え、店先の掃除をしていたユウは、通りすがったアーリアル魔術学院リナリア・リーフォントに話し掛けられる。この場所がどのような店なのかと尋ねるリナリアに、ユウはこの店がコーヒーという大流行している飲み物を提供する喫茶店であると教える。アーリアル魔術学院の外で自習のできる場所を探していたリナリアは渡りに船とばかりに、放課後にこの店を訪れることを告げると立ち去っていく。夕方、宣言どおりに店を訪れたリナリアだったが、閑古鳥の鳴く店の様子に、本当に開店しているのかと不安を覚える。ユウは怪訝な様子のリナリアを暖かく迎え入れると、さっそくコーヒーを提供するための準備を始める。ユウは、温められたサイフォンの中を浮き上がっていくお湯の動きに驚くリナリアに、その原理と仕組みを説明しながら丁寧にコーヒーを抽出していく。そのなんとも言えない香りに期待を膨らませながら、リナリアはカップに口をつけるが、開口一番、「すっごくまずい」と素直な感想を漏らすのだった。

関連作品

小説

本作『放課後は、異世界喫茶でコーヒーを』は、風見鶏の小説『放課後は、異世界喫茶でコーヒーを』を原作としている。こちらの作品は「カクヨム」に掲載されており、「第1回カクヨムweb小説コンテスト」特別賞を受賞したことをきっかけに、富士見ファンタジア文庫から書籍化された。全6巻。カクヨム掲載時のタイトルは『異世界に来たけど至って普通に喫茶店とかやってますが何か問題でも?』だったが、書籍化に伴って改題され、内容も大規模な再構成がなされている。なお、カクヨム掲載前には「Arcadia」などでも掲載されており、初掲載から書籍化まで実に8年もの月日がかかっている。

登場人物・キャラクター

ユウ・クロサワ

異世界で喫茶店を営む少年。ふつうの世界では祖父の喫茶店を手伝いながら過ごしていた学生だったが、ある日、なんの前触れもなくファンタジーな異世界へと飛ばされてしまう。紆余曲折を経てユウ・クロサワ自身を助けてくれた人物から、彼の持ち物であった店舗をゆずられ、喫茶店に改装して経営している。元いた世界に帰る方法がわからない状況で、日々を過ごすという誰にも打ち明けられない孤独を抱えており、同時にこの世界になじんでしまうと、元の世界に戻れなくなるのではないかという、恐怖も感じている。そのため、喫茶店の外へ必要最低限しか出ないという生活を送っていた。ひ弱で腕っ節に自信はないが、喫茶店を訪れる一癖も二癖もある客を相手に軽口の応酬を日頃から繰り広げるなど、図太い一面もある。その性格は街一帯を取り仕切っているコルレオーネ一家のボスであるコルレオーネにも気に入られるほどで、ほかにもゴル爺やノルトリをはじめ、ユウの人柄を慕う常連客は多い。ある日、自習場所を探していたアーリアル魔術学院の女子生徒であるリナリア・リーフォントと出会い、授業が終わった放課後に店を訪れる彼女との何げない日々が始まった。リナリアを慕うアイナレーラからは「小市民」と呼ばれることがある。

リナリア・リーフォント

アーリアル魔術学院に通う女子。「リナリア」という名前は、カンピウス雪原に咲く春の訪れと希望を司る花の名前に由来している。貴族の子女が多く通うアーリアル魔術学院で主席の成績をおさめる優秀な生徒だが、平民の出であるために目立ってしまい、学院に居づらくなっている。そのため、落ち着いて自習できる場所を探していた際にユウ・クロサワの営む喫茶店を見つけ、足しげく通うようになった。喫茶店の常連だが、ユウの薦めるコーヒーをまずいと一蹴するほどに苦手としている。一方で、ミルクと砂糖をふんだんに入れたカフェ・オ・レは気に入っており、愛飲している。コーヒーが苦手ながらも、ユウが焙煎したコーヒーの試飲に付き合っている。また、ユウが作った珍しい料理をはじめとしたおいしい食べ物に目がなく、食いしん坊な一面がある。ユウとは喫茶店の常連とマスターという関係である一方、軽口を叩き合えるほどに心を許し合った仲であり、その関係性はリナリアに心酔しているアイナレーラからうらやましがられている。

アイナレーラ

アーリアル魔術学院に通う女子。本名の略称である「アイナ」と呼ばれることが多い。リナリア・リーフォントのことを非常に慕っており、何かと付きまとっていた。そのため、リナリアが学院で落ち着けなくなった要因ともなっている。さる名門貴族の子女ながら、一般市民を不当に見下すことのない実直な性格で、喫茶店を経営するユウ・クロサワとも対等に接している。しかし、ユウに対してはリナリアを巡るライバルと考えており、自分のことを「貴族ちゃん」と呼んだユウに対して、彼のことを「小市民」と呼ぶこともある。リナリアが落ち込んだ際にユウの手助けをしたことをきっかけに、リナリアと正式に友人関係となった。トトというメイドを従えている。

コルレオーネ

小さな兎の姿をした男性。かわいらしい容姿に反して、低く渋い声音と口調をしている。ユウ・クロサワの喫茶店に通う常連の一人であり、食材の一部を提供するパトロン的な存在。一方でかわいらしい姿とは正反対に、街の裏町一帯を取り仕切るコルレオーネ一家のボスでもある。犯罪者を自主的に取り締まり、街の治安維持に一役買っているが、その存在感から表世界と裏世界を問わず、双方の住民たちに恐れられている。独特の美学を持ち、男であればいい料理といい酒といい女には目がないと考えている。特にコルレオーネはいい料理に目がなく、町中の食材や迷宮から発見された新しい食材を手に入れては、目をつけた料理人に作らせている美食家である。ユウの店にも珍しい料理を出す店と店主の噂を耳にして訪れたが、その後、ユウの人柄に惚れ込み、コルレオーネ一家の関係者であることを示す金印を渡すだけでなく、あれこれと助言や直接的な手助けをする庇護者のような立場となる。

ノルトリ

ユウ・クロサワの店に通う常連の獣人の少女。非常に面倒くさがり屋な性格をしている。リナリア・リーフォントたちと同じアーリアル魔術学院に通う生徒だが、彼女らと比べて一回りほど年齢は若い。よく授業をサボっては、昼間からユウの店でうたた寝をしている。一方で、サボり場である以上にユウに興味を持っており、慕っている様子がある。ユウはそのことに無頓着だが、リナリアをはじめとした周囲の人間からは薄々その感情を察せられている。ユウが以前作った、極西の国「ジク」の料理を気に入っており、アーリアル魔術学院の料理長の都合から弁当が必要となった際にユウにねだっていた。

ゴル爺 (ごるじい)

ユウ・クロサワの店に通う常連の老人。ひょうひょうとした性格で、店を訪れる女の子によくちょっかいをかけている困った人物。リナリア・リーフォントのことを気に入っており、ユウとリナリアの仲がぎくしゃくとした際には助け船を出した。上級階級であることを匂わせているが、その素性の多くは謎に包まれている。

シェモッタ

コルレオーネに付き従う人狼の男性。大柄な体型と狼の顔を持ち、きっちりとしたスーツに身を包んでいる。コルレオーネ一家のボスであるコルレオーネ自身に帯同してユウ・クロサワの店を訪れる。コルレオーネと違い、料理をはじめとした彼の美学に対して理解がなく、事あるごとにユウを威嚇してはコルレオーネに窘められていた。

トト

アイナレーラに仕えるメイドの女性。ふだんはアイナの周囲にいないが、彼女が手を叩くとすぐさま現れる技能を持っている。ユウ・クロサワのことを「様」付けで呼んでおり、彼がリナリア・リーフォントと疎遠になった際には、主人であるアイナの要望に応えてユウのサイズにぴったりの執事服を用意した。

集団・組織

コルレオーネ一家 (こるれおーねいっか)

ユウ・クロサワが喫茶店を営む街の、付近一帯の裏町を取り仕切っている大組織。街の治安を守り、犯罪者たちから恐れられる集団であるが、同時にふつうの住民からも怖がられている。ボスは兎の姿をしたコルレオーネが務めている。コルレオーネが美食家であるため、街の美食や珍しい食材を集めて回っていることでも知られており、聖エレミーヌの聖誕祭で食材が不足した時にも、コルレオーネ一家のところなら食材を手に入れられそうだと候補に挙げられた。

場所

アーリアル魔術学院

リナリア・リーフォントやアイナレーラ、ノルトリが通う学院。非常に大きな規模の学院で、生徒には貴族の子女が多数所属している。一般市民からの入学者であるリナリアは学院の主席だが、それ故に学院内で目立ってしまっており、落ち着かない日々を送っている。学院には厳しい規定があり、部外者が内部へ立ち入るのを厳しく取り締まっている。一方、制服の入手方法を極めて制限していることによって、それを身にまとっていることを一種の関係者証明としており、制服を着た学生であれば顔パスに近い状態で出入りができる。

止まり木

ユウ・クロサワの祖父が営んでいた喫茶店。名前のとおり、訪れる客が一時の休息を得られる心地よい店であった。ユウが幼い頃から手伝いをしていた店でもあり、ユウが開いている喫茶店のメニューやコーヒーの抽出法は、止まり木のものがベースとなっている。

その他キーワード

悪魔の実 (あくまのみ)

街に存在する迷宮で発見された新種の果実。デレスの実という果実に姿形が似ており、名前はそのデレスの実が持つ異名から「悪魔の実」と名づけられた。ユウ・クロサワの世界に存在する果実「トマト」によく似た外見と味をしている。

聖エレミーヌの聖誕祭 (せいえれみーぬのせいたんさい)

聖エレミーヌの生誕を祝う日。国中を挙げて祝い事が開かれる日であり、家族でパーティーなどを開くために大量の食材や料理が消費される。また、アーリアル魔術学院では舞踏祭が開かれるなど、催し物も各地で開かれる。リナリア・リーフォントの誕生日でもある。

クレジット

原作

風見鶏

キャラクター原案

u介

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