気ままに生きる「風来坊」漫画！オススメ５選0 Pt.

本作の主人公である田中広は高校を中退後、短期のバイトなどで小遣い稼ぎをしながらの実家暮し。紆余曲折の後に上京した田中は、トンネル工事会社の契約社員となり、現場を渡り歩く生活を送っていた。これといった目的もなく、刹那的な日常を過ごす田中は、言わば人生における風来坊。そんな田中ははるばる訪れたオーストラリアで、彼女の浮気現場に遭遇するというサプライズを体験。帰国後もそのショックを引きずり続ける。やがて田中は彼女から受けたトラウマを断ち切るため、仕事を辞めて旅に出ようと思い立つ。田中は取り敢えずの目的地を北海道と定めるも、基本的にはノープラン。そんな田中の旅路は、出だしから思いもよらない展開を見せることとなる。

主人公の大江錦太郎は、一見すると単なる気の良いお調子者。女好きで惚れっぽい性格の錦太郎は、スケベな妄想に気を取られ、とんでもないドジを繰り返す。ただし、文系最難関である東大法学部の全課程を卒業前に修了した頭脳は伊逹ではない。錦太郎は盛大な失敗をやらかす一方で、それを補って余りある成果を挙げる。ちなみに本作には、エピソード毎にマドンナ的なポジションの女性が登場する。彼女たちは当初、錦太郎を馬鹿にしているが、最後には彼に心を奪われていく。ヒット映画「男はつらいよ」シリーズのような、様式美に近いテイストが漂う風来坊漫画だ。

旅をしながら行く先々でギャンブルをすることを「旅打ち」という。「旅の恥はかき捨て」ではないが、見ず知らずの相手とのギャンブルならば、思い切った勝負が可能。最悪、インチキやイカサマがばれても、逃げ切ってしまえば問題なし。主人公である「むこうきずのチョンボ」は、そんな旅打ちのメリットをとことん利用するギャンブラーだ。正統派とは程遠い男だけに、チョンボの行うギャンブルはとんでもなく型破り。チョンボはイカサマはもちろん舌先三寸で相手を煙に巻き、その場の勢いで競技のルールさえ無視する。勝つためなら何でもありの傍若無人ぶりだ。自由すぎるチョンボは、ある意味究極の風来坊と言えるかも知れない。

主人公である獅子戸錠二は、テンガロンハットに革ジャケットというウエスタンスタイルがお気に入り。サングラスと無精髭が似合うワイルドな風貌の彼は、まさに風来坊という雰囲気が漂う人物である。食通の彼は、トラックドライバー仲間からは、「ハンター錠二」の異名で知られている。錠二はローカルな飯屋の情報に関しては右に出る者はいないと評判の男だ。街角のありふれた中華料理店での絶妙な料理の組み合わせ、名古屋名物とは異なる仙台の味噌カツ、パーキングエリアのパン屋で売られている牛タンパテバーガー等々、錠二はふらりと現れてさまざまな美味いものをスマートに伝えて去って行く。グルメ情報だけでなく、錠二の飾らない粋な振る舞いも物語の大きな魅力だ。

主人公である「時の行者」は時代の節目にふらりと現れ、奇跡的な力を見せて去って行く。彼は織田信長に武田信玄の死を正確に予言し、羽柴秀吉に天下人となるための助言を与え、関ヶ原の戦いの行方も言い当てる。いうなれば彼は、時空を超えた風来坊。信長や秀吉といった「時の行者」を知る権力者たちは、彼の力をありがたがる一方で、畏れもした。「時の行者」を独占できれば自分は安泰だが、敵方に付けば大きな脅威になると考えたのだ。そんな彼は、あるときは歓迎され、またあるときは命を狙われながら、さまざまな時代を旅していく。歴史漫画の大家であり、SF漫画の名作も数多い横山光輝ならではのユニークな切り口のSF時代劇漫画だ。