人里と山の狭間に立つ不思議なコンビニに集まる人と妖怪の交流譚コメディ。彩橋(あやはし)あかりは、この春から女子大生。祖父の家に下宿させてもらって通学するかわりに、亡くなった祖母が始めたコンビニエンスストア「あやはし」を手伝うことに。深夜勤務のアルバイト店員・環(たまき)と一緒に店頭に立つが、誰もお客がいない店内で不思議なことがおこりはじめる。田舎町の山中にあるにもかかわらず、24時間営業という不思議なコンビニには、人ならざる者たちがやってくるのだった。
コンビニが生活にすっかり浸透した昨今、田園風景広がる中にコンビニがあることも珍しくはない。しかし、あかりの祖父が経営するコンビニエンスストア「あやはし」はそんな中でも異彩を放つ存在。街道からそれた山中というあまり客が来なそうなロケーションに、寺院のような外観。とてもコンビニとは思えない。しかし、中に入ればいたって普通のコンビニなのだ。あかりがシフトを担当することになる深夜帯は、以前は祖母が店に立っていた時間帯。その祖母はしばらく前に亡くなり、可愛がっていた飼い猫・タマもその直前に姿を消していた。初めての深夜勤務の日、あかりは、アルバイト店員・環の意外な正体を知ることになる。コンビニあやはしのお客も店員も人間だけではなかったのだ。
老夫婦の経営するコンビニの清水でまきおこる悲喜こもごもの人間ドラマ×コメディ。コンビニの「清水」は、高齢のおしどり夫婦が支え合いながら切り盛りしている店。老夫婦のよろよろ具合に、時々利用客が不安になる以外は、どこにでもある普通のコンビニエンスストアだ。不倫カップルに、疲れて荒み気味のOL、リストラされた父親と、24時間営業のコンビニならではの様々なお客が訪れる。どんな客にも独特のペースを崩さない老夫婦の接客が、今日も店内にドラマと笑いを生む。
コンビニに訪れる客には老若男女様々な人がいるが、店員にも多種多様な人がいる。コンビニの清水の店員である老夫婦も、かなりのパンチがある名物店員だといえる。まず、レジ前に立っていても小柄すぎて見えない。会計をするには踏み台が必須な二人なのだ。お客が煙草をカートンで注文すると、高い棚にあるカートンを取るためにじいさんがばあさんをおんぶして取るのがデフォルトという、色々と心配になる働きぶり。年を重ねても頑張る老夫婦のおしどりぶりに、ほっこり癒される話かと思いきや、このコンビニの清水は一筋縄ではいかない。トイレを借りようとする客への塩対応や、客への容赦ないツッコミ、ミスを簡単に謝らないハートが強すぎる接客と、味わいどころ満載だ。
さとり世代の新人バイト・ニーチェ先生を中心に、アルバイトのコンビニ裏事情を描いたノンフィクションコメディ。就職浪人中の松駒(まつこま)は、コンビニエンスストア777(スリーセブン)で、アルバイト中。新人の学生バイト・仁井智慧(にい ともはる)と一緒のシフトに入るが、彼は大型すぎる新人だった。「お客様は神様だろうが!」と激怒する客に、「神は死んだ」と言い返す仁井。松駒は心中で仁井を「ニーチェ先生」と呼びつつ今後に不安を覚えるのだった。2016年に実写テレビドラマ化。
コンビニは、学生のアルバイト先の定番中の定番。ニーチェ先生こと仁井も、仏教学部に在籍する僧侶を目指す大学生。そのせいか、悟りを開いたような発言や態度で、客を驚かせたり、激怒させたりしている。ちなみに、「神は死んだ」は、ドイツの哲学者・ニーチェの残した言葉。不条理な人生に対し、神という存在に頼らずに運命を愛せる超人になれという意味がこめられているという。そんな意味を知ってか知らずか、接客業にあるまじき態度で迷惑な客に立ち向かうニーチェ先生の態度が笑いを誘う。実際にコンビニでバイトをしていた原作者・松駒の経験を基にした作品なので、コンビニあるあるネタも豊富。店員経験者も利用客も思わず笑ってしまうはずだ。
天使や悪魔がバイトするコンビニで繰り広げられる人外ラブコメ4コマ漫画。24時間営業のコンビニエンスストア「オウマート」でバイトを始めた天宮(あまみや)える。一緒のシフトに入った先輩店員は、なんと吸血鬼と人間のハーフである霧島夕夜(きりしま ゆうや)。コウモリに変身できたり、体を霧化できたりする驚きの存在。しかし、えるは半吸血鬼(ダンピール)である霧島を監視するために天界から送りこまれた天使だった。実は、オウマートには、他にも狼男やガイノイドといった人外店員が在籍していた。
伝説上の存在と思われていた天使や悪魔が、その正体を隠して店員として働いているというオウマート。店員名簿は個性豊かで、かなりハチャメチャだ。吸血鬼とのハーフである霧島は、天性のたらし体質。吸血対象を誘惑するための能力「魅了の魔眼」を使って、迷惑な客のクレーム処理をしたりする。ガイノイドの本能寺イドは、体は機械だし、ベテラン店員の賀楼嵐(がろう らん)は、ピザまんを見ると狼男に変身してしまう。サキュバスの月館操(つきだて みさお)に至っては老若男女問わず口説きに入る。そんな人外な存在に囲まれたえるも、天使なのにバイト代と廃棄処分の弁当欲しさにバイトをやめられない。天使と悪魔が同居する平和なコンビニのコメディだ。
モンスター客に奉仕の心と鬼神の力で立ち向かう新人バイト・朱羅々(しゅらら)のコンビニ接客対決コメディ。白塚佑司(しらつか ゆうじ)は、訳ありのモンスター客が訪れることで有名な魔店コンビニ・ネコマーケット威張鬼(いばらき)店でアルバイトする大学生。ある日、新人バイトとして美少女・朱羅々がやってくる。朱羅々の教育係を任される白塚だが、どんな無茶ぶりをする客にも笑顔で接する朱羅々には、驚きを隠せない。説法強盗、悪行坊主、風神雷神と困った客が今日もやってくる。
コンビニと一口にいっても、立地や時間帯で立ち寄る客は変わってくるもの。しかし、このネコマーケット威張鬼店ほど、困った客がやってくる店もないだろう。「お客様は神様だろうが!!」と難癖をつけて慰謝料をふんだくろうとするクレーマーの風神雷神兄弟、「寄進しろ」と拳銃で脅してレジの金を奪おうとする大仏姿の説法強盗。普通なら一日ももたない職場だが、可愛すぎるルックスの新人店員・朱羅々は常に奉仕の心でお客様第一。実は彼女は、鬼神・酒呑童子(しゅてんどうじ)の娘。父の負債を償うため、千年間も接客業を続けてきたのだ。接客に一生懸命すぎて、時には恐ろしい鬼神に変身してしまうことも。現代の神=お客様と古代の神=鬼の摩訶不思議な対決が、現代の接客の場・コンビニで展開する。