ホテル会社に勤務する恋愛オンチのOL・鈴木沙耶(さや)を中心に、彼女をとりまく人々の恋愛模様を描くオフィスラブコメディ。鈴木沙耶は、ホテル東洋の広報課1課に勤務するOL。中学時代に付き合った初恋の人を忘れられず、21歳の今も新しい恋に踏み出せないでいた。そんなある日、とても厳しい上司・柘植暁(つげすすむ)に突然告白されてしまう。いつも怒ってばかりの柘植から告白される理由がわからず、沙耶は戸惑ってしまう。2014年に実写映画化された。
イケメンの上司からの突然の告白から物語がスタートするドキドキの展開だ。上司の柘植はイケメンな上に本社勤務のエリートで、社内では超優良物件として女性社員から憧れの眼差しを受ける存在。そんな柘植にいつも怒られている沙耶は、自分とは水と油であわないだろうと思っていた。しかし、いつまでも中学時代の恋を引きずる自分を変えようと交際を決意する。ところが、21歳にして恋愛初心者の沙耶は、柘植の気持ちがわからず、同僚の谷上一葉(かずよ)や松沢里李香(りりか)に休憩時間に泣きつくこともしばしば。勤務の合間のランチや給湯室や更衣室での会話、転勤や転属といった会社員の日常が随所に描かれ、リアリティとスイートなラブストーリーが絶妙なバランスで味わえるオフィスラブ作品になっている。
ドSな先輩書店員に恋してしまった新米書店員の片思いの行方と成長を描くお仕事ラブコメディ。少女漫画好きが高じて書店に就職した主人公・大垣めばえ。憧れのコミック売り場の担当になれたものの、めばえの教育係は超優秀なドSで小悪魔な先輩・芹沢梓。めばえは、梓にいじられつつも、新米書店員として書店の仕事の面白さを学んでいくことに。梓の小悪魔ぶりに翻弄されながらも、めばえは梓に惹かれてしまう自分に気づく。
右も左もわからない新入社員にとって、仕事を教えてくれる先輩は、最も身近で重要な存在だ。主人公のめばえは、憧れの書店員になるべく夕日堂書店に就職した。希望に胸を高鳴らせて、配属された横浜店に初出勤するも、教育係となった先輩社員・梓は「新人は男が欲しい」「すぐ辞めちゃう子に頑張って教えるのって無駄じゃん」と手厳しく、めばえの梓への第一印象は最悪だった。しかし、梓の書店員としての仕事ぶりは、真面目で鮮やかで、コミック売り場の陳列もお手の物だ。しかも、冷たいことを言ったかと思えば、優しい言葉をかけてくるなど、女心を振り回す天然な小悪魔ぶりも半端ない。めばえは、仕事と先輩・梓への恋のどちらも懸命に追いかけることになる。
喫煙所での出会いから始まった女性上司と新入社員との恋を描くオフィスラブストーリー。間宮夏乃子(かのこ)は、彼氏いない歴28年の会社員。男性ばかりの職場で、一人になって一息つけるのは会社裏にある人けのない喫煙所だ。ある日、誰も来ないと思っていた喫煙所で、入社1年目の高尾久弥(ひさや)と顔を合わせ、二人は少しずつ話をするようになる。偶然から、煙草の先が触れ合うシガーキスを交わして以来、夏乃子は高尾のことを意識してしまうのだった。
オフィスで、仕事の合間や休憩時間をどう過ごすかは人それぞれだろう。コーヒーやお茶を飲みつつデスクで一息入れたり、休憩室で昼寝をしたり。男所帯で気の抜けない職場で働く夏乃子にとっては、喫煙所が唯一ほっと一息つける場所だった。そんなオフィスの中でもちょっと素になれる場で出会ったのが、新入社員の高尾。さりげなく夏乃子を気遣ってくれる高尾に、夏乃子は惹かれていく。しかし、夏乃子にとって高尾は年下な上に、部下。共に参加したプロジェクトの打ち上げで、高尾は「俺が欲しいのは煙草じゃなくて…あなたです」と迫るが、恋愛経験の乏しい夏乃子は尻込みしてしまう。どこかもどかしい大人の恋がオフィスでジワジワと燃え上がっていく。
隠れ腐女子なOLとゲームオタクの会社員、オタクな二人の恋と日常を描いたラブコメディ。桃瀬成海(ももせなるみ)はBLを愛する隠れ腐女子。会社ではオタクを隠して日常を送っている。しかし、幼馴染で腐れ縁の二藤宏嵩(にふじひろたか)のいる同じ会社に転職したことで、自分のオタクが暴露されないかと気が気でない。しかし、二藤は二藤でかなりのゲームオタク。二人は次第に意気投合して交際をスタートさせる。2018年にテレビアニメ化、2020年に実写映画化された。
会社で隠したいのは、恋愛関係だけではない。主人公の桃瀬は、社内にいた恋人にオタクがばれてふられ、転職してきたという過去がある。そのため、今の職場ではオタクであることは秘密。趣味を隠していたが、二藤と再会したことをきっかけに、先輩社員の小柳花子や樺倉太郎の知るところに。しかも蓋を開けてみれば、ジャンルや程度は違えど、みんなオタク。樺倉はメジャーどころをおさえるライトなオタク、花子はコスプレイヤーだった。多くのオタクが直面する、会社員生活とオタク活動の両立の悲喜こもごもや不器用な恋愛模様がコメディタッチで描かれる。オタクあるあるに笑いつつも、互いの仕事ぶりや趣味を認め合いながら付き合う姿は、自然と応援したくなるはずだ。
マシュマロ好きなおじさん会社員・日下(ひげ)さんとそんな日下さんが好きすぎるOLを描いたラブコメディ。日下幅広(はばひろ)は、マシュマロのようなお腹が見事な、恰幅のいい中年紳士の会社員。同じ会社に勤める若林伊織(わかばやしいおり)は、そんな日下さんが好きすぎて、マシュマロが大好物な日下さんにマシュマロを餌にちょっかいを出してばかり。しかし、紳士すぎる日下さんは、若林の気持ちにまったく気づかず、ひたすらマシュマロのために振り回されるのだった。2016年にテレビアニメ化された。
会社には、学校とは違って年齢の異なる様々な人がいる。若林が大好きな日下さんは、どこから見ても、おじさんな中年紳士だ。対する若林は年若いOL。ぐいぐいいく積極的なOLと、ピュアすぎるおじさん会社員による年の差オフィスラブがむずがゆく進展していくのだが、その愛の深め方が個性的。マシュマロに目がない日下さんは、マシュマロを出されると思わず食べてしまう。そんな習性を知り尽くした若林は、日下さんとの接近をはかろうとあの手この手を駆使。マシュマロを手にした若林に日下さんが翻弄されるのは、もはやオフィスでは日常茶飯事だ。日下さんのマシュマロのように柔らかなフォルムと穏やかなパーソナリティもあいまって、読者も日下さんに夢中になってしまうかもしれない。