男子フィギュアスケート選手と幼馴染の女性が織り成す恋愛模様を描いたラブコメディ。猪狩千登勢(いがりちとせ)は、雑誌社に勤める23歳の編集者。フィギュアスケート選手の雉子波心(きじなみこころ)とは同郷で幼馴染だ。しかし、クールな見た目に反してナイーブな性格の心はメンタル面が弱く、ジャンプを成功させるために千登勢の力を必要としていた。だが、心がスター選手であるが故に、千登勢が傍にいることによって様々な問題が生じてくるのだった。
本作に登場するフィギュアスケート選手は、見た目はクールでイケメンだが、喋ると訛りが出てしまう福島県出身の心。ヒロインである千登勢が唱える呪文がなければ4回転ジャンプを跳べないという秘密を抱えているヘタレ男子だ。その呪文は勿論本物ではなく、昔二人が好きだったアニメ「魔法の姫君レディ・ララ」を真似しているにすぎない。しかし、千登勢の呪文はおまじないのようなもの。子供の頃から心にとって千登勢は特別な存在だったが、千登勢は心に対して距離を置き、向き合おうとしてこなかった。しかし、展開が進むにつれて二人の距離は縮まっていく。氷上での心の演技は、千登勢のみならず読者にとっても美しく格好良い騎士のように見え、読者の目もくぎ付けになるだろう。
タイプの異なる天才フィギュアスケート選手二人が活躍するスポーツ漫画。沢村輝(てる)は幼馴染の紗江(さえ)の父が経営するスケートリンクでバイトをしている、フィギュアスケートを愛する高校生。今をときめくフィギュアスケート選手・和泉尚寿(いずみなおひさ)は憧れの存在でもあった。そんなある日、バイト先のスケートリンクに和泉本人と、コーチの東堂竹志がやってくる。このことをきっかけに輝と和泉と紗江の人生が交差し、互いに影響を与え合う存在となっていく。
フィギュアスケートには表現力と技術力、どちらも必要不可欠だ。本作に登場する選手は、表現力豊かな輝と高い技術力を武器とする和泉。輝はフィギュアスケート選手としての素質はあったが、家庭の事情でその夢を断念していた。一方、ライバルとなる和泉は元アイスダンス選手の母親を持つスター選手。どれだけ高得点を獲得しても感情を表に出さない「氷の王子」と呼ばれる存在だ。環境も性格も正反対で、普通に生活していれば交わることのない二人だったろう。しかし、夜に誰もいないスケートリンクを使って4回転ジャンプを試みようとした輝の姿を東堂が目撃。輝のスケーティングから和泉に足りない何かを感じた東堂は和泉と輝を引き合わせ、二人はペアプログラムを組むこととなる。
人前で何かすることが苦手だった内気な中学生の少女が、氷上で華麗に舞うクラスメイトの姿を見て、自らもフィギュアスケート選手への道を目指すようになる青春ラブストーリー。主人公のニカは、あがり症であることを気に病んでいた。そんなニカを変えるきっかけとなったのは、同じクラスの地味メンだけどフィギュア界では注目株の七緒(ななお)。ひょんなことから七緒がフィギュアスケート選手であることを知ったニカは、フィギュアスケートを通じて七緒との距離を縮めていく。
本作では、物語の前半と後半で主人公が変わり、二つの恋愛模様が展開されていく。前半の主人公は、フィギュアスケート初心者のニカ。持ち前のセンスを磨きながら周囲から注目されるほどの選手へと成長していくと同時に、彼女がフィギュアスケートを始めるきっかけとなった七緒への恋心についても描かれている。そして後半ではニカのライバルにあたる女子フィギュアスケート選手の貴和子(きわこ)が主人公。七緒に振られ落ち込んでいたが、幼馴染の南斗(みなと)に告白され、更には転校生の有貴(ゆうき)からキスをされて三角関係へと発展。外面的には強気な面しか見せていなかった貴和子のシャイな内面が描かれている。フィギュアスケートの魅力と恋愛要素が存分に詰め込まれ、様々な視点から楽しめる作品だ。
フィギュアスケートのコーチに一目惚れした女子高生がオリンピックを目指すラブストーリー。運命の人を探し続けている女子高生の小川絵里依(えりい)は、公園で女性と揉めている男性を見て直感がひらめき、興味を抱く。後をつけていくと、その男性・小林はフィギュアスケートのコーチをしており、揉めていた女性は彼女ではなく、教えている選手だった。小林の辛い過去を知り、絵里依は自分がオリンピックに小林を連れて行くことを決意する。
フィギュアスケート選手は氷上で頼れるのは己のみで、孤独な戦いとなるが、その陰では多くの人が選手を支えている。特に選手とコーチは、互いに強く信頼し合える関係性が望ましい。本作では、選手とコーチの間に生まれる感情が中心に描かれている。主人公の絵里依が一目惚れした小林はフィギュアスケートのコーチだったが、早くお金を稼いでコーチ業を卒業したい旨を絵里依に語る。しかし、小林には選手としてオリンピックを目指しながらも怪我により挫折していた過去があった。絵里依は実はジュニアチャンピオンにまで上りつめた実績のあるスケーター。絵里依は想い人である小林と自分自身のために、フィギュアスケートで世界を目指すようになる。
人並み以上に目立つことに固執してきた主人公の少年が、フィギュアスケートで生きる道を模索していくスポーツ漫画。主人公の北里吹雪(ふぶき)は家庭で3人の優秀な兄弟たちの存在感に押し潰され、喧嘩三昧の生活を送っている中学1年生。ある日フィギュアスケートと出合い、これこそ自分が求めていたものだと確信。元々運動神経が良かった吹雪は東京にあるフィギュアスケートの名門クラブ・白帝FSCの特待生を目指し、フィギュアスケート漬けの日々を送ることとなる。
フィギュアスケートで世界を目指すには、フィギュアスケートクラブに入ることが一般的だ。本作では未来のトップ選手を目指す者たちが集う白帝FSCを中心に物語が展開していく。名門中の名門で、特待生への道は厳しく、狭き門だ。主人公の吹雪は初心者だったが、地元の氷山FSCのコーチ・黒塚光に才能の片鱗を見出され、驚くべきスピードで上達。時に偉大なる師との出会いは人を大きく成長させるが、吹雪にとって元世界チャンピオンだったコーチのジョージ・マッケンジーとの出会いは、重要なことといえるだろう。また、白原六花(しらはらりっか)とペアを組むことになり、シングルのみならずペアの面白みも描かれ、吹雪が六花から想いを寄せられるという恋愛要素も本作の魅力のひとつとなっている。