大人気作品『ガンダムシリーズ』に登場する機体のプラモデル「ガンプラ」に魅入られた女性たちの日常を描く、趣味系コメディ漫画。主人公の神崎さやかは、30歳のOL。彼女は子どもの頃に見たアニメがきっかけで『ガンダムシリーズ』のファンとなり、特に物語に登場するモビルスーツにハマってしまったのだが、周囲の目を気にしてそれを公言することができずにいた。そんなある日、さやかはガンプラ作りが趣味であるもう1人の主人公・高宮宇宙(そら)と出会う。
さやかが幼い頃はまだ、好きなことにのめり込む「オタク文化」への理解が今ほど進んでおらず、女の子がガンプラ作りなんて恥ずかしい、と決めつけ否定する人間が多かった。そのため、自分の好きなものをずっと隠して生きてきたさやか。そんな彼女の前に現れたのが、16歳の女子高生・宇宙だった。宇宙の実家は模型店。それが影響したのか、宇宙自身もガンプラが大好きだ。宇宙との出会いをきっかけに、さやかは諦めていたガンプラ作りを始めることを決意。ガンプラ作りを通して、年の離れた宇宙との絆を深めていく。好きなことを始めるのに性別も年齢も関係ない。ガンプラ作りにのめり込んでいくさやかを見てガンプラに興味を持った人は、躊躇わずその手を伸ばしてほしい。
真面目OLがDIYを通して成長していく様子を描いた、爽快DIY漫画。ある日、職場から帰宅した33歳のOL・八重樫紀子は、からっぽになった部屋を見てどん引きした。3年間同棲した彼に捨てられ、その上彼が家財道具一式を持っていってしまったからだ。部屋に残されたのは、数少ない自分の持ち物のみ。食事をするためのテーブルどころか、椅子の1つすらない。紀子は何もない部屋を快適に過ごせる空間に変えるべく、以前からやりたいと思っていたDIYを始める。
上京したらDIYで自分好みの家具を作りたいと思っていた紀子。しかし、一緒に上京した彼はDIYが好きではなかったため、紀子はやりたいことを我慢していた。そんな彼が家具もろともいなくなり、がらんどうになった部屋を見て、紀子はあることに気がついた。今日からこの部屋は自分だけのもの。誰に気を遣うこともなく、好きなものを好きなように置けるという事実に。その日から、早速紀子のDIY生活が始まった。アクセサリーホルダーも、元カレ宛ての郵便物を放り込む箱も、キャスター付きの机だって、自分で作ることができる。もちろん出来上がった物を買うより手間暇はかかるが、だからこそ愛着も湧くというもの。紀子を通して、DIYのアイデアを楽しく学ぶことができる作品だ。
50歳のヒロインを中心とした恋や人間関係を描くヒューマンドラマ。主人公の伊沢ゆりあは50歳の女性。物書きの夫・吾良(ごろう)とその母と共に3人で暮らしながら、手芸教室の先生として活動している。代わり映えしないが穏やかな生活に、ゆりあは幸せを感じていた。そんな日常が、ある日突然崩れてしまうことになる。夫がホテルで倒れ救急車で運ばれたのだ。急いで病院に駆けつけたゆりあはそこで謎の美青年と出会い、彼が夫と恋愛関係にあるという衝撃的な事実を知る。
一命を取り留めたゆりあの夫・吾良。しかし彼は目を覚まさず、介護が必要な状態だと認定されてしまった。ゆりあは夫を自宅で介護することになるのだが、義母の面倒も見なくてはならないため大忙し。夫の恋人だという美青年・箭内稟久(やないりく)の問題も解決しておらず、その上吾良をパパと呼ぶ謎の子どもたちまで現れる始末。このように切羽詰まった状況に陥った時にこそ必要なのが、趣味だ。ゆりあが打ち込んでいた刺繡であれば、ちょっとした時間に針と糸を持ってチクチクと進めることができる。ゆりあほど追い詰められた状況になる人はそういないだろうが、どれだけ忙しくなっても自分の心を保てるように、いつでもどこでもできる裁縫を趣味にしておくのは良いかもしれない。
老舗茶屋の跡取り息子である主人公がコーヒーの魅力について語るコーヒー漫画。主人公の白樺茶輔(さすけ)はコーヒーが大好きな青年。しかし彼にはコーヒー好きだと大きな声で言えない事情があった。茶輔の実家は江戸時代から続く老舗茶店「白樺園」で、彼はその跡取り息子。そして茶輔の父であり「白樺園」の主である白樺徳一は、コーヒーが大嫌いだったのだ。頑なにコーヒーを認めようとしない父の態度に苦労しながらも、茶輔は自分のコーヒー店を開くという夢のために邁進する。
コーヒーに強い嫌悪感を示す父を持つため、コーヒー党であることを公言できない茶輔。彼にはカフェの1人娘である桜木香織という交際相手がいるのだが、自分の父と彼女の父の仲が悪いせいで、交際についても周囲に打ち明けられないでいる。主に父が原因でいくつもの問題を抱えている茶輔であったが、彼には自分のコーヒー店を開くという夢があった。夢を叶えるため、茶輔はコーヒーについて相当勉強しており、その知識はかなりのもの。コーヒーの美味しい淹れ方はもちろん、コーヒーの歴史やコーヒーを使った変わったレシピなど様々なうんちくを披露し、少しずつ自分の味方を増やしていく。淹れて飲むだけじゃない、様々なコーヒーの楽しみ方を学ぶことができる作品だ。
眠れない夜の過ごし方について描かれた、ツイッター発のコミックエッセイ。ストレスや睡眠サイクルのズレで眠れなくなり、不安な夜を過ごす人は少なくない。ただじっとしていても、不安は募っていくばかり。そこで作者が提案するのが、真夜中のお菓子作りだ。作者は眠れない夜には家にある材料を使い、お菓子作りをすることで気分を浮上させるのだという。パウンドケーキやプリン、ジャムなど様々なお菓子作りの様子と、そのレシピが丁寧に描かれた作品である。
何かを作り出すと達成感が生まれ、達成感は落ち込んだ気分を打ち消してくれる。お菓子作りは達成感を得られる上に、お腹を満たして幸福感も与えてくれる趣味だ。時間と手間がかかる凝ったお菓子を作る必要はない。余裕があれば凝ったお菓子も良いだろうが、無理に手を出して失敗したら、余計に気分が滅入ってしまう。その点、本作で紹介されているお菓子作りは易しいものが多く、作り方が絵と文章で丁寧に説明されているため、お菓子作り初心者でも安心してチャレンジすることができるだろう。漫画を読みながら、作者と一緒になってお菓子作りに没頭できるのが魅力的だ。自分の気持ちを盛り上げて立て直す趣味を探している人はぜひ、本作を手に取ってお菓子作りに挑戦してみてほしい。