想いを込めた「ラブレター」から始まる恋物語！オススメ漫画５選33 Pt.

オムニバス作品である本作には様々な形でラブレターが登場する。ラブレターは手書き文字でつづられていることが大きな魅力。そこには人柄や個性が表れるからだ。普段が粗野だからといって、手紙の中でもそうだとは限らない。「図書室のラブレター」の主人公・リリコは、返却本に挟まっていた自分宛のラブレターをきっかけに文通を始めるが、その相手はがさつでバカだと思っていた柄本だった。しかし、手紙の中での彼の印象はとても柔らかい。それは、手紙では嘘偽りの無い正直な自分の気持ちをつづることができるからなのだろう。他にもFAXでの文通、秘密の交換日記、クールキャラの彼女から送られた熱い恋文など、ラブレターをきっかけに生まれる様々な恋物語が楽しめる。

夏目が誤ってラブレターを渡した相手の冬月は身長が低く、見た目は子供っぽいが、性格はクールで真面目。交換日記も短文で済ましているように見えて実は何度も書き直した跡があり、努力が垣間見える。また、夏目のためにおでんを作ってお弁当として学校に持ってくるなど、健気な一面も。本当に好きな相手は別にいるのに、誤解をさせたまま交際を続けていることに、夏目は罪悪感を抱いている。しかし、交流を深めていくほどに様々な表情を見せる冬月に対し、夏目はもっと彼女の色んな顔が見てみたいと思うようになっていく。誤解から始まった二人の恋は、どのような未来が待っているのか。ほんわかとした二人の恋を最後まで見守りたくなることだろう。

教師がプライベートではどんな生活を送っているのか、深く知っている生徒は少ない。響は一通のラブレターをきっかけに接点ができた伊藤に対し、一人の男性として色んな側面があることに気付いていく。一方、伊藤は過去の恋愛経験によって女性不信に陥っており、響からピュアな好意を寄せられても拒絶してしまう。紆余曲折の末に響が伊藤に告白し、二人は付き合い始めるが、生徒と教師という立場上、普通の恋人同士のような生活は送れない。未成年と大人、生徒と教師という幾重もの鎖が二人を縛り、ジレンマにも悩まされる。更には伊藤が女性不信になったきっかけの元恋人まで現れ、二人の恋は前途多難。また、響の友人も絡めながら、様々な恋愛模様が展開されていく。

冒頭で見つかる束ねられたラブレターは、その後に、川口のミキに対する想いの深さが表れている。二人は小中高と同じ学校だったが絡んだことはなく、ミキは同窓会から互いに意識し始めたのだと思っていた。しかし、実は川口のミキに対する片想いは小学校の頃から始まっていたのだ。川口は毎年ラブレターをずっと書き続けていながらも、それを渡す勇気を持てずに高校を卒業してしまった。だが、同窓会をきっかけに、二人の距離は急速に縮まっていったのだ。2話目以降はどのようにして二人の交際が始まったのか、過去を遡りながら、二人の心情の変化が描かれている。途中で何度ハラハラさせられても、1話目で明るい未来が約束されており、安心して読み進めることができる作品だ。

晴がラブレターを渡すはずだった相手は、バレーボール部に所属している四月（しづき）。爽やかなスポーツマンタイプの男子で、席を間違えてラブレターを渡してしまった相手・清士郎とは、正反対といっていいほどにタイプが異なる。ラブレターを取り戻そうとする晴だったが、清士郎は小動物のように怯える晴のことを気に入り、舐めたりかじったりして自分のモノにしようとする。清士郎が晴に執着し、他の男子と仲良くしようものなら嫉妬心まで抱くのは、気まぐれではなく本気の恋だから。晴は隙あらば自分を襲おうとする清士郎に泣かされてばかりだが、次第に彼の良さにも気付き、心動かされるようになる。猛獣系男子と小動物系女子の微笑ましい恋愛の行方を見守りたくなることだろう。