どっちが陰気で魅力的!? 黒沼 爽子と宮本 小春233 Pt.

黒沼 爽子は15歳の高校1年生。陰気で周りからはおばけ扱いをされており、本当は美人だが陰気過ぎて誰からも気付かれなかった。あだ名はホラー映画「リング」でおなじみの「貞子」。性格は陰気に反比例し、前向きで一生懸命。誠実で素直。作者の椎名軽穂も「こんな孫がいたらいいな。」の理想の形らしい。そんな陰気な彼女だが、一人だけ彼女の魅力に気がついた人物がいた。風早 翔太。クラスの人気者で女の子にモテる、中心的人物だ。陰気女子は、隠された魅力を唯一目立つ人気者に発掘してもらわなければならない。隠された魅力に気がつけるということは、「周りを良く見て人に気を配れる優しい人」ということであり、見つけられた時点で人の内面の美しさに気付ける「人格的に王子様! 」ということになる。陰気者はよけいな悪い虫を寄せ付けず、自分らしく生きていながら素敵な王子様をみつけられる存在なのか!? 勉強ができて一生懸命で真面目。服装も清楚で髪も直毛ロング。陰気かもしれないが、可愛くてたまらない気持ちになるのである。まさに誰にとっても「孫」的存在になってしまうのだ。『君に届け』は現在全26巻で現在も別冊マーガレットにて連載中!!

宮本 小春（みやもと こはる）も15歳で高校1年生。178cmでかなり大きい女の子。男の子と話すのは苦手。素顔はものすごく可愛いが、陰気な性格の為に前髪で顔を見せないように隠しているため、誰にも気がつかれない。周りの生徒からはジブリ作品「風の谷のナウシカ」に出てくる「巨神兵」と言われている。友人も地味で「ちびまるこちゃん」のようなおかっぱ頭の「まるちゃん」とヲタク少女の「たまちゃん」と共に地味っ子グループに所属している。地味っ子グループの敵( ? )は明るい雰囲気で人気者のモテる男子で「ヘタに目が合ったりしたら日常に戻れなくなるほど危険」な存在だ。そんな存在の氷川（ひかわ）と小春は日直が一緒のため、話しかけられてしまい、小春は現実に戻れなくなり、思わず氷川へラブレターを書いてしまう。そんな迷走中の小春を、同じクラスの峰田（みねた）に見られてしまう。峰田は、身長が低いが頭が良く、なぜかモテる、モテメガネである。しかし、性格に難があり冷たい物言いをする。小春の迷走ぶりに峰田が関わり、結局氷川とはうまくいかないが、玉砕の仕方を峰田に褒められて元気が出た小春。この段階では、まだ小春の魅力は誰も気付いていない。その後、今度は小春が峰田の恋愛に関わることになったが、峰田も玉砕。失恋を経験した峰田に小春が励ました時、強い風が吹いて小春の前髪がめくりあがった……。楽しいトキメキが盛りだくさんの予感!! 『ハル×キヨ』は2016年5月で連載終了。全9巻で最終巻は2016年5月25日に発売された。オザキアキラのギャグとコミカル要素満載で、楽しく笑いながらさくさく読める作品だ。絵も綺麗で可愛い。

爽子も小春も共通しているのは、陰気 & 地味過ぎて自分も周りも魅力に気がついていない。それを唯一見つけてしまう男子。これは男子にとっては、「自分しか知らない秘密」もしくは「自分だけの宝物」を見つけたような気がして恋をしてしまうのかもしれない。主人公もその為、自信がなく従順な物腰になっているが、悪気無く相当相手をメロメロにしているのが読者には分かるので、ものすごくときめきを感じてしまうのが、面白いところである。また、魅力に気がつかないでいる男子もそれぞれ登場し、かなり上から目線でいたにも関わらず、魅力を知ったとたんにヒロインの扱いが変わってくるといった、「ほら! 見たことか!! 」と勝ち誇る気持ちにさせられるのも、とても清々しい。陰気、地味。実はそれが隠れた魅力なっているのだ。人は「隠された良いモノ」が大好きなのかもしれない。