一度読んだら癖になる！個性派鉄道漫画3選
57 Pt.

鉄道マニアに様々な趣味嗜好があるように、鉄道漫画にも様々なジャンルがある。旅行系、乗りつぶし系、鉄道娘系…などのメジャーどころから少し離れた、テーマやキャラ設定に意外性のある3つの鉄道漫画をどうぞ。

「鉄道×政治」というテーマの本作は、数ある鉄道マンガの中でも異色の存在。日本の運輸行政の課題をテーマとしつつ、地方鉄道の存廃と代替交通機関、整備新幹線と並行在来線の問題、路線延伸と地元商店街の関係など、個別の課題がリアルに描かれている点が魅力的だ。計画段階で整備が頓挫した路線などの歴史的話題、鉄路と道路の双方を走れるDMV（デュアル・モード・ビーグル）や環境に配慮した蓄電池車など先端技術に関する話題、地方鉄道の収益と観光路線としての蘇生…など、取り扱われる内容は広範囲に渡る。駅弁やグルメと観光…そして、時折挟まれる主人公の色恋話も彩りを添えている。鉄道マニア以外でも楽しめるバランスのとれた作品。

できれば乗りたくない、けれども時々乗るハメになってしまう最終電車。酔っ払いや疲れた乗客たちが独特の混沌を創り出し、他線からの接続待ちがあった場合には、乗客の苛立ちもMAXになってしまう…。でも「終電ちゃん」と一緒だったら、終電にも愛着が湧くかもしれない。終電帰りの常連客の名前を覚えてくれていたり、泥酔して寝過ごしそうな乗客に叱咤激励を飛ばしてくれたり…。
乗客と乗務員の間で、思いっきり板挟みになりながら、懸命に奮闘してくれる「終電ちゃん」の愛らしい姿を見ていると、本当にこの世界の終電にも「終電ちゃん」が居たらいいのに…とさえ思えてくる。そして罵倒して欲しい「お前たち、明日はもっと早い電車で帰るって約束しな！」と！

鉄道擬人化の新境地を切り拓いた!?といっても過言ではないであろう本作。鉄道居酒屋「つばめ」に集まる車両たちはバリエーション豊かで、通勤型から新幹線・ブルートレインまで多岐にわたる。客のみならず店員も車両という徹底ぶりで、「大将」は新橋駅前に展示されているのと同型のC11形蒸気機関車、若旦那は同じく新橋駅を通る地下鉄銀座線の旧車両（2000形）…と、細かい設定がマニア心をくすぐる。寿命半分・価格半分のコンセプトが斬新であった２０９系、通称「走ルンです」車両の自虐ネタや、東北新幹線の青森延伸に伴って存廃の動向が危ぶまれし新幹線200系車両の愚痴など、鉄道車両マニアならばクスっと笑ってしまう細かいネタが多数ちりばめられた、なんとも通快…いや痛快な作品だ。