人口が激減した世界とは!?オススメ漫画5選！620 Pt.

本作の舞台は、火星や金星、木星系にまで人類が進出した未来世界。物語の終盤まで人口の推移は明示されないが、大戦を経ていることもあり、最盛期から人口が激減したのは想像に難くない。本作の舞台のもう1つの特徴は、社会構造の二極化が進行し、極端な貧富の差が存在すること。特権階級の人々は空中都市ザレムに住み、ユートピアさながらの生活を送る。一方、地上に住む人々はスクラップに埋もれた廃墟で、明日をも知れぬ日々を送る。主人公・ガリィは、そんなスクラップの山から、サイバネティクス医師・イド・ダイスケに拾われたサイボーグの少女である。以前の記憶を一切失っていたガリィは、自らのアイデンティティを求め、犯罪者を狩るハンターとなる。死と隣り合わせの日々の中、ガリィは徐々に己の過去と、世界の秘密に迫っていく。

人口が激減した世界というと、戦争や疫病など原因は何れにしろ、悲惨な光景が描かれる作品がほとんどだ。ところが本作の世界は、穏やかなのである。温暖化の進行によって海水面が上昇、水没した土地も多く見られる。しかし、その景色はもの悲しいと言うよりは牧歌的。そこに暮らす人々も、滅びの運命を楽天的に受けとめ、日々をのんびりと過ごしている。物語の主人公・初瀬野アルファは、人間と区別がつかないほど精巧な女性型ロボットだ。食事ができるばかりか、人間と同じ感情を有しており、表情も豊か。お酒に弱く、お猪口一杯で酔っ払うなど、実に人間くさい要素を持っている。そんなアルファの視点から見る衰退期の世界は、祭の後のような暖かく平穏な空気に満ちている。

本作の舞台は、現代から数百年後の未来だ。大量破壊兵器を用いた戦争によって文明は崩壊して人口も激減。関東全域が砂漠化しており、昼の気温は摂氏50℃を超え、夜間には氷点下に達する過酷極まる環境となっている。辛うじて文化的な暮らしが出来るのは、旧文明の遺産を運用するオアシスくらい。それ以外の場所は弱肉強食の無法地帯だ。主人公「砂ぼうず」こと水野灌太は、そんな大関東砂漠で、金次第でどんな荒事でも引き受ける便利屋を営む少年である。「砂漠スーツ」で身を包んだ彼は、トリッキーな身のこなしと巧みな戦術で相手を翻弄。勝つために卑怯な手段も厭わない凄腕だ。ただし、美人には滅法弱く、色気に釣られて痛い目に遭うこともしばしば。本作は、そんな砂ぼうずが、さまざまな勢力の依頼を受けながら、強かに生き抜く様子を描いていく。

本作の舞台は未来の日本。20世紀末に大いなる災いが発生して環境が激変。人口も激減して、文明も戦国時代程度まで衰退している。300年前に戦乱を制した国王による支配体制が確立されており、現在の鬱金王は王朝の15代目に当たる。鬱金王は暴君であり、その圧政に民衆は不満を募らせていた。そんな中、国を救う運命を背負うことになるのが、主人公・更紗だ。本来なら人々を率いて国を救う星となるのは、彼女の双子の兄・タタラのはずだった。ところが「運命の子」だと預言されたタタラは、鬱金王の末子「赤の王」が率いる軍勢の襲撃を受け、わずか15歳で命を落とす。その日から更紗は、人々を救うため、兄・タタラに成りすます。本作で興味深いのは、更紗と「赤の王」の関係だ。2人は互いが敵同士だと知らずに偶然出逢い、恋愛感情を抱くようになる。やがて2人の恋は、国の行く末を大きく変えていく。

人口が激減という点において、本作の右に出るものはないだろう。なにしろ本作には主人公の女子高生「ご主人」以外、人間は絶滅しているのだ。ただし、「ご主人」と、ペットの柴犬「ハルさん」の旅路には、出逢いが一切ないというわけではない。野良犬や猿、イルカといった動物（ほとんどが人語を解する）に、宇宙人のような変わり種まで、様々な出逢いが待っている。特に宇宙人の夫婦は、なかなか味わい深い存在だ。彼らは田舎暮しに憧れて、わざわざ地球にやってきたという変わり者。外見はいわゆるグレイ型で、少々不気味な佇まいだが、人当たりは至って穏やか。彼らを筆頭とする個性豊かなキャラとの出逢いを交えつつ進む物語は、実にユーモラスである。