8月30日はヤミ金融ゼロの日！闇金漫画特集36 Pt.

「や（＝8）み（＝3）きん　ぜろ（＝0）」という語呂合わせから、毎年8月30日は「ヤミ金融ゼロの日」とされている。違法な賃貸業務を行う闇金融業者の実態について、この機会にじっくり学んでみてはいかが？

「カウカウファイナンス」の若き社長・丑嶋のもとに訪れる客は皆、返済能力に欠けるダメ人間ばかり。毎朝9時にやってくる「奴隷くん」と呼ばれるパチンコ依存症の者たちをはじめ、トラブルで金が必要になった未成年、株で失敗した主婦など、人生から転落してしまった人々の状況が生々しく描かれている。各エピソードの中心人物の視点で物語が描かれていくのが本作の特徴であり、泥沼にハマっていく人々の愚かさと悲惨さを追体験することができる。現実世界でも起こりうる事柄や時事ネタを盛り込み、リアルさを追求しているのも魅力だ。

消費者金融会社の新人・灰原が、失敗を繰り返しながら一人前の金融マンへと成長していく様を描いた本作。社長や先輩からノウハウを学び、債務者からは人生を学んでいく。灰原をはじめとする「帝国金融」の従業員たちはもちろんのこと、各エピソードの債務者も含め、登場人物は皆クセがあり、人間臭いのが魅力。特に、債務者の切羽詰まった心情描写は、ノンフィクションであるかのような生々しさがある。これらの人間ドラマが生まれた背景には、30種以上もの職を転々としてきた作者・青木雄二の波乱万丈な人生が強く影響している。人間の表裏や社会の闇を知り尽くした、青木雄二だからこそ描けた作品といえるだろう。

大阪・ミナミで闇金業者を営む萬田銀次郎は、「ミナミの鬼」と呼ばれるほどの超やり手。貸した金は例え10円でも、地獄の底まで追いかけて取り立てる。コテコテの大阪弁で相手を一喝し、手玉にとる萬田の勇姿は多くの読者を虜にしてきた。作中では、萬田の男気あふれるカッコ良さを前面に押し出しつつも、民法の解説を入れたり、時事ネタ・社会問題を取り上げており、経済漫画としての側面も色濃い。闇金漫画の先駆けとして長期に渡って描かれてきた作品だけに、最も知名度の高い闇金漫画の一つといえるだろう。

闇金屋「ゼニガタ」を営む頭脳担当の兄・銭形富男と、バイオレンス担当の弟・銭形静香の2人は、ハードボイルドなダークヒーロー的魅力を備えた存在。そんな銭形兄弟に金を借りにやってくるのは、返せるあてのない借金を抱えた崖っぷちの人間ばかり。キャバクラ嬢や雀ゴロ、新興宗教の教祖など多種多様な職種の者たちが金に狂い、取り返しのつかない事態へと陥っていく。金によって欲望と恐怖が剥き出しになった人間の性を、リアルに描いているところにも注目したい。