『ダンダダン』1話で、綾瀬との勝負で高倉が訪れた心霊スポットのトンネルに潜む妖怪が「ターボババア」だ。自身が潜むトンネルや日常に存在する地縛霊たちを束ね、高倉と綾瀬に襲いかかるなど非常に危険な存在として描かれている。その名のとおり驚異的なスピード力が一番の特徴だが、作中ではビジュアルもさることながら恐ろしい妖力を持っており、呪った者を媒介にしてさらに呪いを振りまくことも可能。追いつかれてしまった高倉はイチモツを奪われ、さらに呪われてしまう。おかげで彼は周囲にも呪いを振りまく危険な存在へと変貌してしまうが、突如目覚めた綾瀬の超能力によって、反対に呪いを利用して戦うことができるようになる。
同名の「ターボババア」にまつわる都市伝説は、兵庫県を中心にまことしやかに語り継がれているもの。都市伝説の「ターボババア」は、車で高速道路を走っていると時速100〜140キロものスピードで追走してくる老婆で、「ターボババア」以外に「ジェットババア」などと呼ばれているケースもある。かつて食料が乏しかった頃、口減らしとして年寄りを山奥に置き去りにしたという姥捨伝説がベースで、たまたま入山した若者が捨てられて生存していた老人に追いかけられたという話が発祥になっているという説もある。
1話で高倉が「ターボババア」に呪われた一方で、綾瀬は宇宙人「セルポ星人」に遭遇し、彼らに拉致されてしまう。作中では七三分けのおじさんのような風貌で登場したが、その後全身網模様の不思議な宇宙人の姿へと変身する。「セルポ星人」いわく、彼らの世界ではオスしか存在しないため、クローン技術を用いて仲間を増やしており、その結果「セルポ星人」は生物的な進化が遂げられず感情を失ってしまう。そこで、生物的進化を起こすために綾瀬を拉致するが、彼女の超能力を目覚めさせてしまった挙句、「ターボババア」に呪われた高倉がその場に現れたために計画は失敗に終わる。
この「セルポ星人」のモデルは「プロジェクト・セルポ」と呼ばれる、1960年代にアメリカが行ったと噂される他惑星への交換留学プロジェクトだ。UFOがアメリカに墜落したという当時の都市伝説「ロズウェル事件」をきっかけに、そこで生存が確認された宇宙人「セルポ星人」のサポートを受けた軍人12名が、レティクル座ゼータ連星系の惑星セルポに交換留学に出たというものである。惑星セルポへ出向いた12名のうち2名は死亡、2名は惑星セルポに残留し、残る8名が地球に帰還したが、惑星セルポの強力な紫外線の影響でその後全員が死亡したと伝えられている。
2話で登場する「フラッドウッズモンスター」は作中では「セルポ星人」の仲間として描かれており、高倉を狙って、共に行動していた綾瀬の家を襲撃してくる。こちらのモデルは同名の「フラッドウッズモンスター」という宇宙人で、日本では「3メートルの宇宙人」の別名でも広く知られている。名前の由来は、アメリカのフラッドウッズという町で目撃されたため。日本でも山梨県で目撃されたという噂がある。身長の高さ以外では、スペードのエースのような形状の頭と光る目を持っている点が特徴として挙げられる。現実の目撃情報ではスカートのような衣服を腰から下半身にかけて吊り下げていたとされるが、『ダンダダン』では巨大な相撲取りのような恰好で出現して圧倒的な怪力で高倉と綾瀬を追い詰め、最終的に「地面に手をついた方が負け」という相撲に似たルールで戦うことになる。
都市伝説の「フラッドウッズモンスター」は謎の霧を発し、それを浴びせられた人間はマスタードガスを吸ったときと同じような症状が出るといわれ、その他にも爪のような手を持ち、浮上するように移動するといった噂がある。なお、「フラッドウッズモンスター」発祥の地であるフラットウッズの町役場の側には、観光客を歓迎するために「フラットウッズモンスター」を模した椅子が設置されている。
13話で登場する「アクロバティックさらさら」は、赤いワンピースを身にまとう長い髪の巨大な女妖怪。高倉や綾瀬と同じ学校に通う白鳥愛羅(しらとりあいら)に憑りついており、愛羅が綾瀬たちに近づいたことで現世に姿を現す。さまざまな単語の頭に「お」を付ける奇妙な話し方をし、アクロバティックな動きと自在に動かせる長い髪を武器に大暴れする。
こちらのモデルは、2008年頃からネットのオカルト掲示板で噂になったほぼ同名の怪異「アクロバティックサラサラ」で、通称は「悪皿」。ネーミングの由来は、屋根や屋上など高い所で多く目撃され、非常に活発的な動きを見せることから「アクロバティック」、サラサラの長い髪で「サラサラ」と、特徴をほぼそのままくっつけた形のようだ。当初は福島県の市街地に出現すると噂されていたが、噂が広まるにつれて各地で目撃情報が相次いだ。赤い服、長くサラサラの髪、大きな口、裸足、眼球のない異様な長身の女性と、作中でも描かれるような特徴を持ち、目が合った人の自宅までついてきて連れ去ったり、危害を加えたりするといわれる。対処法はとにかく彼女と目を合わせず、その場からすぐに立ち去ることだとされる。