幽霊を信じるギャルと宇宙人を信じるオタク男子がタッグを組み、怪異と闘うオカルトバトル漫画。綾瀬桃は、霊媒師を祖母に持つギャルだ。憧れの俳優・高倉健似の彼氏にフラれて落ち込んでいたが、ひょんなきっかけで同姓同名のオカルトオタク・高倉健と知り合う。桃が宇宙人を信じていないと話したところ、真っ向から幽霊を否定する彼とひと悶着。互いに自身の主張の正当性を証明すべく、桃はUFOが出る廃病院へ、高倉は幽霊が出るトンネルへ向かうが、その行動が二人の運命を大きく変える。
半信半疑で廃病院へ向かう桃だったが、セルポ星人なる宇宙人に囚われてしまう。一方高倉もまた、トンネルでターボババアなる怪異に出会い「イチモツ」を奪われ呪われる。桃はUFO内でセルポ星人に襲われ絶体絶命のピンチを迎えるが、そこに現れたのは呪いの力で変身した高倉であった。彼は驚異的な力でセルポ星人を攻撃、桃もまた祖母譲りの超能力が覚醒し二人はUFOを脱出する。さらに、二人はターボババアにも闘いを挑み勝利するが、意識は高倉の身体に寄生することに。能力をコントロールできるようになった高倉は、桃と共にさまざまな怪異と闘ってゆく。ギャルとオタクという真反対の個性を持つ二人の異能力バトルは迫力満点だ。作画のクオリティも高く、今後の展開から目が離せない。
妖(あやかし)退治を生業とする少年と少女が、さまざまな闘いを経て成長してゆくバトルファンタジー。主人公・墨村良守(すみむらよしもり)は妖を退治する「間流(はざまりゅう)結果術」を使う結界師の家系に生まれ、正統後継者として祖父から猛特訓を受けている。良守の隣の家に住む幼なじみの雪村時音(ときね)もまた、間流の使い手である雪村家の後継者だが、墨村家とは犬猿の仲であった。幼い良守と時音は密かに友情を深めるが、修行中大事故に巻き込まれてしまう。2006年にテレビアニメ化。
両家が守るのは、400年も昔に仕えていた「烏森家」の魂が眠る「烏森の地」だ。そこに集まってくる妖たちを二人は退治していたが、ある晩妖に襲われた良守を時音が庇い、大怪我を負ってしまう。時が経ち、14歳となった良守は彼女を二度と傷つけまいと誓い、結界師の腕を磨いていた。時音もまた彼と共に妖退治に勤しんでいるが、二人の前に「黒芒楼」なる組織が烏森の地を狙い総攻撃を仕掛けてくる。黒芒楼との戦いや仲間の死、後継者ではない実兄の存在に葛藤をおぼえながら、吉守は結界師として成長してゆく。本作は烏森の地をめぐり、結界師だけでなく異能者の組織や妖の思惑が複雑に絡み合っており、読み応えたっぷりだ。良守と時音が放つ個性豊かな結界術の数々にも注目したい。
祖母の形見である「友人帳」をめぐる、少年と妖怪たちが織りなすあやかし奇譚。主人公・夏目貴志は幼い頃から妖怪を見ることができた。そのため周囲から疎まれ友人もできず、両親亡きあと親戚中をたらい回しにされてきた孤独な少年だ。ある日、いつものように貴志は妖怪に追われ逃げていたが、その最中小さな祠の結界を破ってしまう。そこから出てきたのはなんと「招き猫」の妖怪であった。2008年をはじめ複数回テレビアニメ化。スピンオフ作品として『ニャンコ先生が行く!』がある。
祠に封じ込められていたのは「斑(まだら)」と名乗る妖怪だった。斑は貴志の亡き祖母・夏目レイコのことを知っており、妖怪たちは彼女の遺品である「友人帳」なるものを狙っているという。実はレイコも妖が見えるため孤独な人生を送っており、その腹いせで妖怪を負かしその名を主従契約の証として奪い友人帳に記していたのだ。貴志は名前を失った妖怪たちに名前を返すことを決意し、死んだら友人帳を譲るという約束を斑と交わし彼を用心棒にする。貴志は妖怪たちと関わりを持つうちに、彼らとレイコの思い出に触れ友人帳を大切に扱うようになる。孤独な貴志が斑や友人帳を通じて、温かな心を取り戻してゆくさまが心地よい。また、「ニャンコ先生」こと斑の可愛らしいフォルムにも心癒やされる。
地獄の住人たちを束ねる閻魔大王の第一補佐官・鬼灯(ほおずき)とその仲間たちが織りなす、ブラック日常コメディ。いわゆる「あの世」といわれる天国と地獄。特に昨今の地獄は、戦後の大幅な人口増加に加え悪霊の凶暴化などさまざまな問題を抱えていた。そんな地獄の長でありながらポンコツ全開の閻魔大王を補佐するのが、第一補佐官である鬼灯だ。今日も鬼灯は地獄の見回りに明け暮れていたが、彼の前に天国から桃太郎が家来と共に現れる。2014年、2017年にテレビアニメ化。
桃太郎は天国から鬼と戦うための、「道場破り」のように地獄にやって来る。過去の栄光にすがり、すっかり怠惰となった彼を鬼灯は冷たく突き放す。鬼灯は犬・雉・猿のしょぼい攻撃を撃退し、桃太郎にビンタを食らわしあっさり勝利。桃太郎は改心し桃源郷に就職、犬たち家来は獣による地獄「不喜処」で雇われることとなった。その後も鬼灯は、手下の鬼の二人組・唐瓜(からうり)と茄子(なすび)を従えて地獄に起こる事件や難題をクリアしてゆく。本作で描写される地獄は、二百七十二部署もあるいわば日本の省庁のような組織である。どこか情けなく、全く威厳のない閻魔大王を「アホ」呼ばわりする鬼灯の冷徹な対応が面白い。随所に盛り込まれている俗っぽいギャグの応酬にも笑わせられること間違いなしだ。
半妖の少年と人間の少女がとある目的のため旅をする戦国冒険活劇。何でも願いを叶えるといわれる宝「四魂の玉」を巡り、人間と妖が奪い合いを続けていた戦国時代。半妖の少年・犬夜叉は、かつて愛した巫女・桔梗と玉がきっかけで仲違いし殺し合いに。桔梗は命を落とし玉と共に焼かれ、犬夜叉もまた彼女に封印される。それから500年が経った現代、神社の娘・日暮かごめの周りで奇妙な出来事が起こる。2000年、2009年にテレビアニメ化。
15歳の誕生日を迎えたかごめは、飼い猫を追って神社の古井戸のある地下に降りるが、妖怪に襲われ井戸の中に引きずり込まれ戦国時代にタイムスリップしてしまう。実は、かごめは桔梗の生まれ変わりであり、腹に四魂の玉を抱える身であった。彼女の体内から出た玉を妖怪に狙われ、かごめは悩んだ末に犬夜叉の封印を解くことを決意する。犬夜叉の力で妖怪を撃破するも、絶えず他の妖怪に襲われてしまう。激しい戦いの中で、四魂の玉は砕け四方八方へ散ってしまう。四魂のかけらを探すべく、二人は仲間を従えて長い闘いの旅に出る。戦国と現代を行き来しながら玉の真相に迫る二人のファンタジーに、作者お得意のギャグ要素が絡まり一気に読み進められる。少しずつ心を通わせてゆく二人のラブストーリーにも注目したい。