華麗に魔力を操る「エルフ」！オススメ漫画5選133 Pt.

本作に登場するエルフは、レニフィル（レニ）だ。レニは長く尖った耳に痩身で、美しい容姿を持つなど外見上はファンタジー世界の典型的なエルフの少女である。弓の扱いに長けているのもエルフらしい特徴だ。しかし、魔法に関する才能はからっきしダメで、エルフらしくない面も数多い。特に性格面では「森の賢者」というエルフのイメージからはかけ離れている。パートナーのカイルを承諾無しに囮として使う。魔法が不得手な欠点を補うため、ダークエルフの里から魔導書や魔法のアイテムを盗み出すなど、レニは強引で場当たり的な手段に打って出ることがままあるのだ。また、彼女は天然系だが毒舌家でもあり、しばしばカイルの心にグサリと突き刺さる皮肉を口にする。かなりのトラブルメーカーであるレニだが、楽天的な彼女には妙に憎めない愛嬌がある。レニは、型破りな魅力に溢れたエルフと言えるだろう。

今や人気のジャンルとして完全に定着した観のある異世界召喚モノだが、本作はそのはしりとも言うべき作品だ。本作には様々なタイプのエルフが登場する。褐色の肌を持つダークエルフ、人間との混血であるハーフエルフのような定番ともいえる亜種から、頭部に花が生えているマンドラゴラエルフ、下半身が魚の人魚エルフといった変わり種まで、その種類はまさに多種多彩だ。そんなエルフたちの中でも、ストーリーで中心的な役割を果たすのが、コモンエルフの長・セシリア・マリクレールだ。彼女こそが主人公たちを異世界に召喚した張本人。そして送元呪文の詠唱を失敗して、呪文を散らしてしまったのも彼女だ。失敗に責任を感じたセシリアは、不承不承ながらも送元呪文が肌に張り付いていないかどうか、主人公たちが女性エルフの身体を点検するために脱がすサポートをすることとなる。ところがセシリアは、正体を隠すため犬の姿に変身したのが徒となり、呪文回収が完了するまで元の姿に戻れなくなってしまう。彼女と主人公たちの関わりも、物語の大きな見所だ。

本作のエルフは、人里離れた深い森の中で暮らす、自然を愛する種族として描かれている。ところが、本作の舞台は、剣と魔法のファンタジー世界ではあるものの、一般的な中世風の世界とは趣が大きく異なる。城下町が日本の商店街風だったり、天空に浮かぶデパートが登場し、家電製品なども存在する。和洋折衷どころが文明レベルもあやふやな、何でもありの世界である。そんな独自性の高い世界ではあるが、エルフに関する設定は意外とぶれていない。そんなエルフの森に、王様が専用の別荘建設を計画。自然を土足で踏みにじろうとした王に対して、エルフの長・デッカードは過激な報復に打って出る。なんと、飼育していたドラゴンを麻薬で凶暴化させ、王の抹殺を企てたのだ。そんな中、ドラゴンの世話をしていたエルフの少女・リプリィは、騒動を治めるため勇者・ザックと協力。事件は意外な方向に進んでいくこととなる。

本作に登場するエルフは、主人公の1人であり、褐色の肌を持つダークエルフ・ジェンドだ。エルフというと弓使いのイメージが強いが、ジェンドは剣術に長けた戦士である。もっとも、ジェンドは記憶を失っており、自分の出自どころか名前さえも定かではない。「ジェンドの森」で木々や草花に護られるかのように、繭に包まれて眠っていたジェンドは、十六夜と偶然出逢ったことで目を覚ました。ジェンドという名前も、名無しでは不便と考えた十六夜が付けたものなのだ。この世界のダークエルフは、魔物を束ねる悪の権化・邪神竜ディアボロスによって根絶やしにされたという。その事実を知ったジェンドは、ディアボロスを倒すと心に決める。ちなみにジェンドの性格は直情的で凶暴。一般的なエルフ像とは大きく異なるが、それは記憶の無い事へ苛立ちや、同族のいない寂しさも影響している。そんなジェンドの心の隙間は、十六夜たち仲間との交流を通じて徐々に埋められていく。

本作に登場するエルフは、絵留札（えるふだ）と黒枝（くろえ）。タイプは違うが、両者ともエルフの概念を覆す変わり種だ。エルフといえば痩身なのが定番だが、絵留札はお腹ぽよぽよのむっちり体型。異世界からゲートを使って現代日本にやってきた彼女は、食事の旨さに大感激。特にお気に入りのフライドポテトを食べ過ぎた結果、エルフにあるまじき体型になってしまい、異世界に帰れなくなってしまったのだ。一方、黒枝は新しい魔術を求めて日本にやってきたダークエルフ。生活費をコンビニのバイトで稼いでいる彼女は、外見、口調共に一昔前のギャルそのもの。来客時の「しゃっせー（いらっしゃいませ）」というかけ声も板に付いている。見た目に反して、勤務態度は意外なほど真面目だ。そんな黒枝は、運動不足から来る下半身太りに悩んでいた。整体師である主人公・直江友厚は、彼女らの悩みを持ち前の知識と施術で解消していく。一風変った異世界交流ファンタジーだ。