レニフィルの冒険

レニフィルの冒険

TVゲーム「ウィザードリィ」のアンソロジーコミック『迷宮へようこそ!』に登場するレニフィルを主人公に据えたファンタジー作品。J・R・R・トールキンの『指輪物語』の影響を強く受けており、エルフの少女と人間の少年の冒険をコミカルに描く。「月刊少年ギャグ王」1994年5月号から1997年1月号にかけて掲載された作品。

正式名称
レニフィルの冒険
ふりがな
れにふぃるのぼうけん
作者
ジャンル
ファンタジー
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概要・あらすじ

国王に仕える兵士になるため、王都オルクロスを目指すカイルは、道中でエルフの住む森に迷い込んで捕らえられるが、この窮地をレニフィルというエルフの少女に救われる。森の外に出たいと願うレニフィルは、強引にカイルの旅に同行することになる。道中、ロバのパンダークエルフシルカを仲間に加え、王都にたどり着いた一行だったが、エルフの血を材料に不老不死の秘薬を作ろうとするアモンリフバー4世の企みに巻き込まれ、お尋ね者となってしまう。

この騒動は、完成した秘薬を飲んだが、怪物と化してしまったリフバー4世が、カイルに退治されて一応の決着を見せたが、血を抜かれたレニフィルが瀕死の状態となる。この事態に、シルカは西風の森で治療を受けさせることを提案、レニフィルは辛くも一命を取り留めた。

この後、一行はダークエルフの女の子・ポーリンを新たな仲間に迎えて冒険を続けるが、その陰で、リフバー4世の息子であるレクターが、再び秘薬を作ろうと陰謀を巡らせるのだった。

登場人物・キャラクター

レニフィル

すそ野の森に住むエルフの少女。里の見張り番として働いていた。外界との接触を断つ窮屈な里の生活に嫌気を覚え、旅の途中に里へ迷い込んだカイルを助ける代わりに、強引に旅に同行する。小柄ながら足が速く、弓の扱いに長けている反面、エルフなら誰でも使えるはずの魔法は苦手。思ったことをすぐ口にする性格で、私欲のために盗みを働いたり、目的のためにカイルを囮にしたりと、自己中心的な言動からトラブルを起こすこともしばしば。 旅を続けていくうちに、カイルとは両想いになる。

カイル

生まれ故郷であるアマト村で、父親とともに刀鍛冶を営んでいた少年。自分が鍛えた最高傑作の剣を持参し、近衛兵に取り立ててもらおうと、王都の「オルクロス」に向かって旅をしていた。ところが、すそ野の森に迷い込み、レニフィルと出会うことに。剣の腕は一流だが、女性の裸を見て卒倒してしまうウブな一面もある。正義感が強く、困っている人がいれば、例え相手が人間でなくとも手を差し伸べるお人好し。 この性格が災いして事件に巻き込まれることも多い。

シルカ

黒の森の図書委員を務めるダークエルフの女性。魔法を覚えるため里に侵入し、月のティアラと魔法について記した魔導の書を盗んだレニフィルを追うが、返り討ちに遭う。その際、あまりに魔法の扱いが酷いレニフィルに怒りを覚え、彼女に正しい魔法を叩き込むべく、旅に同行することになった。サバサバした姉御肌な性格で、レニフィルやカイルにも年上のように接する。

ポーリン

西風の森に住む、まだ幼いダークエルフの女の子。見習い巫女としてヨダという高名な僧侶のもとで修行するため、レニフィル一行に加わった。「人間は危険」と教えられていたため、最初はカイルと距離をとっていたが、しだいに慕うようになる。一方、レニフィルに対しては「恋のライバル」と見るようになった。ダークエルフには珍しく、回復の白魔法が得意。

ファーブニル

レニフィルの命令に従う、蛇の姿をした生物。普段は彼女の服の中にいる。自分の体を縄に変化させたり、矢のように固くすることができる。その正体は、4つ足で翼のある巨大なドラゴンであり、1年に一度だけ本来の姿に戻る。怪物となったリフバー4世との戦いでドラゴンに戻り、カイルとともに戦った。

パン

3歳の雌ロバ。とても目が小さい。レニフィルたちが旅の途中で立ち寄った村で、怪物退治したお礼に村長から譲り受け、主に荷物持ちを務めることになる。あくまで普通のロバだが、意外に賢い。時間こそかかったが、エルフがいなければ到達できない森の奥に、カイルを案内したこともある。

ジャド

賞金稼ぎとして生計を立てる男性。普段はターバンで頭部を覆って顔を隠している。カイルと互角以上の剣の腕前を誇り、西風の森にいるエルミラというダークエルフの女性を探している。その正体は、エルミラと人間のあいだに生まれたハーフエルフであり、本当の名前は「エラード」という。

エステルミ

すそ野の森に住むエルフを取りまとめる女王。統治者らしい威厳ある態度をとり、ハッキリとものを言う性格。カイルが里に迷い込んでしまった時は、彼を不憫に思いながらも、「里に入った人間を二度と外に出さない」というエルフの掟を厳格に守ろうとした。世界を滅ぼそうとするアクバルハの野望を感知し、それを阻止するため一計を案じている。

リュシ・ラ・ミリ (りゅしらみり)

2年前に西風の森の女王になったばかりのダークエルフの女性。掟に厳しかった先代の女王と違って人間にも寛容で、物腰も柔らかい。統治者でありながら外の世界には興味津々で、里を訪れたシルカから聞いた、外の世界の様子に胸を膨らませていた。

セドル

黒の森を統べるダークエルフの男性。里を滅ぼそうと、レクター率いる魔獣の軍隊が攻め込んで来た時には、自ら鎧姿で軍の指揮をとった。また、戦いに加勢したレニフィルの活躍を認めると、彼女が以前、黒の森で盗みを働いたことを不問にし、盗んだ月のティアラを、褒美として与える懐の深さを見せている。

エルミラ

シルカとウリふたつの外見をしたダークエルフ。ジャドの母親。その昔、彼女が住む西風の森の近くを狩り場にしていたファシムという若者と恋に落ち、駆け落ちしてエラードを産んだ。しかし9年後、居場所を突き止めた里のダークエルフたちによって夫を殺され、無理やり里に連れ戻されてしまった。

ヨギ

僧侶の中でも高い位にある「ドルイド」の小柄な老人。普段はエルフのユリウス、半人半馬の種族ケンタウロスであるウォンド、という2人の男性に警固されて暮らす。初対面のシルカとレニフィルのお尻をいきなり触るなど、隙あらばセクハラを働く「エロジジイ」。しかし、実力は本物で、世界でただ1人地中を自在に動く地竜(ワーム)を意のままに操ることができる。

アモン

国王であるリフバー4世お抱えの錬金術師。フード姿に眼鏡をかけた小男。不老不死の秘薬を作るためと称しては、彼から金をせびって飲んだくれていた。秘薬の材料であるエルフの血を手に入れるため、リフバー4世にレニフィルとシルカを生け捕りにするように進言し、念願の秘薬を完成させた。さらに、狡猾にもリフバー4世を騙して、秘薬の実験台にしてしまう。

リフバー4世 (りふばーよんせい)

カイルたちの住む国であるオルクロスの国王。髭をたくわえた大らかそうな風貌だが、激しい気性の持ち主。エルフを見つけたことを報告するためにやって来たアモンに対し、「酒代をせびりに来た」と勘違いして足蹴にしたり、作戦を遂行できなかった兵士を殴りつけるなどしている。アモンに騙され、完成したばかりで効果のほどが分からない不老不死の秘薬を飲み、巨大な怪物と化してしまった。

レクター

リフバー4世の息子。怪物となった父親が死んだ後に国王となった。不老不死という妄想に取りつかれていたリフバー4世を快く思っておらず、間接的とはいえ死の要因を作ったアモンを責めるどころか褒めたほど。最強の軍隊を生み出すために、リフバー4世を怪物に変えた秘薬を再び作ろうと画策。材料となるエルフの血を狙ってレニフィルたちを賞金首に仕立て上げただけでなく、ギルクらドワーフを使ってエルフの住処を探そうとする。

ギルク

レクターに雇われたドワーフの族長の男性。一族でも最高の戦士であるモルドという息子がいる。レクターの腹黒さや残忍な性格を知りつつも、敵対する黒の森のダークエルフを倒すことを条件に手を結び、秘薬の材料となるエルフの探索と生け捕りに協力した。魔獣の軍団を結成したレクターが自分との約束を反故にしたと感づくと、悪知恵を働かせ、ドワーフが所有する銀山を進呈して黒の森を攻撃するように仕向ける。

アクバルハ

世界を滅ぼそうと企てる大魔王。空から降ってきた鉱物「ザラスのかけら」で作られた武器を使う。カバル、ファルクラ、ルフを配下に従え、カイルの父親がザラスのかけらで鍛造したザラスの剣を奪って来るように命令する。配下の前には幻影の姿で現れるため、本当の姿は不明。

カバル

アクバルハ配下の将軍。カバの頭部をした男性。ザラスの剣を奪うためカイルたちを襲うが、引き連れた部下ともどもあっという間に返り討ちにされる。非常に口が軽く、カイルたちにアクバルハの目的やザラスの剣の秘密を詳細に語ってしまい、アクバルハに叱責された。

ファルクラ

エルフでありながらアクバルハに仕える女性。半人半猫のワーキャットたちを従えるが、高圧的に接したり暴力を加えたりと扱いは荒い。攻撃魔法に反応して結界を張るリュベロンの鎧を装備しており、敵の魔法に対して強い耐性を持つ。物理的な攻撃はその限りではなく、レニフィルの放った矢が直撃しかけた。

ルフ

アクバルハの配下だが、強い野心を持つ謎多き男性。兜を深く被り、マントを身にまとっている。カイルにも劣らない剣の腕を持つ。さらに計り知れないほどの強い魔力を持ち、レニフィルたちに気づかれることなく、一行を自分が作った箱庭の空間に閉じ込めた。

集団・組織

エルフ

長い耳を持つ森の精霊たち。魔法が使えるほかに、人の心を少しだけ読めたり、「エルフのささやき」というテレパシーのような方法で、離れた相手と会話できる、といった特殊な力を持つ。基本的に不老不死の存在だが、森が失われると一緒に滅びてしまう。さらに生命力そのものは高くなく、コップ一杯分ほどの出血が命取りになってしまうこともある。 エルフたちは、2000年ものあいだ外界との接触を断って、森の中に築いた里で生活している。人間が里に踏み込むようなことがあれば、捕まえて二度と里から出すことはない。また、一度里を離れたエルフが、再び里に戻ることも禁止されている。なお、肌の黒いダークエルフは、白い肌のエルフを「白いシー」(シーは「妖精」という意味)と呼ぶことがある。

ダークエルフ

黒い肌と髪が特徴的なエルフ。肌の白いエルフと違い、種族全体が好戦的な性格で、攻撃魔法が得意という独自の特徴がある。一方、木の葉のような尖った耳、人間との関わりを断った暮らしなど、エルフと重なる特徴や文化も多い。エルフと同様に、人の心を少しだけ読めたり、「エルフのささやき」というテレパシーのような方法で、離れた相手と会話できる、といった特殊な力を持つ。

ドワーフ

背が小さく、豊かな口髭をたくわえている種族。秘蔵の銀山をいくつも所有する。ダークエルフも含めたエルフとは犬猿の仲で、「エルフに対して鼻が利く」という特性がある。斧を扱う他、エルフとの戦いに慣れたドワーフは、エルフだけを苦しめる効果を持つ「カティンガの角笛」というアイテムを所有している。

場所

すそ野の森 (すそののもり)

エステルミが統治するエルフの里。すべてのエルフの住処に共通していることだが、森の奥に里を築いており、エルフの案内がなければたどり着くことはまず不可能となっている。里の見張り番をしていたレニフィルいわく、髪形や服装にもチェックが入るほど掟に厳しく、しがらみだらけで窮屈な場所だったという。

黒の森 (くろのもり)

セドルが治めるダークエルフの里。シルカの出身地。住人はみな鎧を身につけて戦いに備えている。ミスリルという鉱物が取れる鉱床の上に位置するため、昔から鉱床の所有権を主張するドワーフと黒の森のダークエルフたちは、土地の領有を巡って争っている。

西風の森 (にしかぜのもり)

王都である「オルクロス」の西方に位置するダークエルフの里。リュシ・ラ・ミリが統治する。黒の森の住人と違い、ほかのエルフにも寛容で、傷ついたレニフィルの治療を行っている。エルフの血を狙うレクターたちが里を襲った際、リュシ・ラ・ミリが里と外界を隔絶する魔法「霧の結界」を発動し、数百年間の封印状態となった。

その他キーワード

月のティアラ (つきのてぃあら)

ダークエルフとの争いに備えてエルフが制作したという魔法のヘアバンド。ダークエルフの魔法を吸収する力を持つ他、吸収した魔法を増幅させて放つことも可能。その昔、すそ野の森のエルフとの戦いに勝利した黒の森のダークエルフが、戦利品として奪っていたが、レニフィルが盗んで自分のものとした。

ザラスの剣 (ざらすのけん)

カイルの父親であるトムスが鍛造した剣。「ザラスのかけら」という空から降って来た鉱物を使っている。そのままでは切れ味の悪いナマクラの武器だが、魔法を吹き込むと絶大な力を発揮する。大魔王アクバルハとその一味が、世界を滅ぼす武器にするためこの剣を狙う。

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