バルバラと名付けられた夢の世界と、現実がリンクするSF少女漫画。他人の夢に入ることができる夢先案内人の渡会時夫。彼は依頼を受けて七年間眠り続ける少女・十条青羽の夢に入ることに。青羽の見ている夢の世界「バルバラ」は、現実世界でも幻の島として浮かび上がる。そして時夫の息子・北方キリヤが描いた空想の島と同じものだった。第27回日本SF大賞受賞。
少女漫画界の巨匠・萩尾望都のSF作品。物語の舞台は西暦2052年の日本。他人の夢に入ることができる夢先案内人たちは、犯罪者の心理捜査などに貢献していた。プロの夢先案内人である時夫は、とある研究所から七年間眠り続け、ポルターガイスト現象を起こす少女・青羽の調査を依頼される。青羽は九歳の頃両親が謎の死を遂げて以来、七年間眠り続けていた。青葉の夢の中に入った時夫は、その世界が「バルバラ」という名だと知る。そして夢の世界のはずの「バルバラ」が、2050年の現実世界でも幻の島として浮かび上がる現象が起きていた。さらに時夫の息子であるキリヤが、空想上で創った島も「バルバラ」であった。青羽の夢と現実が奇妙にリンクしていく中、時夫とキリヤは「バルバラ」の謎に迫る。
天変地異の起こった世界を舞台に描かれるSF少女漫画。人口増加を抑制されている世界。居住区「UNDER」で暮らす少女・ノヴァは両親の結婚により義理の兄となったサラエを愛していた。そんなノヴァはある日、サラエにそっくりな青年・ドギーを保護する。一方、移り気で勝手なサラエは他の女性とも関係を持っていた。さらに、街で起きている連続殺人事件の犯人だったのだ。
義兄のサラエを愛してしまったヒロインのノヴァ。気ままで勝手なサラエにノヴァは振り回される。サラエは小柄で周囲からは「義兄」ではなく「義弟」だと思われていた。ある夜、ノヴァはサラエが人を殺す場面を目撃する。サラエは街で起きている連続殺人犯の犯人だったのだ。。サラエが小柄なのは先天性の異常を治療する過程で起きたと言われていた。しかし、それはサラエの実父による人体実験の結果だった。さらにノヴァが出会ったサラエ似の青年ドギーは、サラエと同じ先天性の異常を持っていた。謎と陰謀が蠢く中、殺人犯としてサラエが送られた流刑地に向かったドギー。さらにサラエを救おうとノヴァも流刑地に向かう。やがてノヴァは国家の陰謀に関わるひとりの男の秘密に迫るのだった。
宇宙で暮らす人類たちを描いたSF少女漫画。人類は複数の国家が存在する巨大な宇宙船で暮らしていた。宇宙で暮らす人類の中から、ネオテニイ(幼形成熟)という、何百年も生きる遺伝子を持つ、長寿の人類が発現した。アラタ、ターラ、シーザー、ルイもネオテニイであった。そんな彼らが出会ったのは、生まれつき短命の病であるダフネー症の少女だった。
未来の宇宙。地球は人類が生存できる環境ではなく、人々は地球の赤道上の宇宙空間に浮かぶ居住施設「コクーン」で暮らしていた。人口過密なコクーン内部では、健全な社会生活を維持するために、あらゆるところに監視カメラが設置された。また共に生きていく人間とは契約が結ばれた。幼い時には第1パートナー、成長すると第2パートナーとの契約を結ぶ。第3パートナーとの契約は結婚を意味した。しかしこの結婚の契約も愛に基づくものではなく、種の保存を目的としたものに過ぎない。そしてパートナーがいない者には尊厳死「リストイン」される運命が待っていた。そのような社会で、長寿の新人類であるネオテニイは社会的評価の最も高い存在だった。ある日、ネオテニイであるアラタたちは歓楽街へ赴く。その時、ダフネー症の娼婦・祇園と出会った。祇園に恋したルイは彼女に結婚を申し込む。しかしその幸せは長くは続かなかった。ルイと祇園の悲劇を目の当たりにしたアラタは、ダフネー症の患者・ジジを引きとり、病の研究に取り組む。
宇宙を舞台にした、人と知能を持った動物たちの冒険を描いたSF少女漫画。星間運送会社スカイ・アイ社に所属する女性宇宙飛行士のキラ・ナルセに新たな任務が。それはモーゲンスターン博士が生み出した知能を持つ動物「ブレーメン」をクルーとした、大型輸送船「ブレーメンⅡ」の船長であった。第36回星雲賞コミック部門、第4回センス・オブ・ジェンダー賞特別賞受賞作。
本作は短編『アンドロイドはミスティー・ブルーの夢を見るか?』の続編に当たる。主人公のキラは19歳の若さながら、任務成功率99.999999999%、「イレブン・ナイン」の二つ名を持つ優秀な宇宙飛行士。前作でスカイ・アイ社の社長であるナッシュ・ユーイング・レギオンのお忍び旅行に同行したことから、キラはナッシュから深い信頼を得ている。そんな彼女はクルー全員が知能を持つ動物「ブレーメン」である「ブレーメンⅡ」の船長に任命される。ゴリラの副船長やカンガルーの船医など、個性豊かだが善良で優秀な者ばかり。しかし世間一般のブレーメンに対する偏見は強く労働環境は厳しい。キラやナッシュは航海を通じて知り合った人々と共に、ブレーメンたちを救おうと奮闘する。
近未来を舞台にしたクライム・サスペンスタッチのSF少女漫画。死者の脳をMRIによって見ることができるようになった世界。日本でもMRI捜査による事件解決が功績をあげていた。だが、そのMRI捜査は過酷であった。法医第九研究室、通称「第九」の室長・薪(まき)警視正とその仲間は、MRI捜査で凶悪事件に挑む。第15回文化庁メディア芸術祭優秀賞。2008年TVアニメ化、2016年実写映画化。
科学警察研究所の部門のひとつ、死者の見た光景をMRIによって解析し事件解決へと導く「第九」。第九の室長である薪は、とある猟奇殺人事件をMRI捜査した捜査官だ。2059年、28人もの少年を殺害、解体した犯人・貝沼の脳を見た五人の捜査官たちは、発狂の末に三人が死亡、一人が入院中。その事件に関わった捜査官の内、薪だけが現在も職務に就いている。そして翌2060年、九人の少年たちが次々と自殺する事件が起きた。死亡した少年の脳をスキャンすると、死んだはずの貝沼の姿が。薪は再び異常な思考を持つ脳と対峙する。さらに彼らは「第九」の存在自体を揺るがす事件に遭遇していく。続編となる新シリーズ『秘密 season 0』では、薪の壮絶な過去や「第九」創設までの物語が描かれている。