UNDER

UNDER

極ジャンプと称される天変地異が起こった異次元の世界で、壮絶な過去を持つサラエ・Dが犯した連続殺人。この事件を機に、彼の過去と深い関わりを持ち、影で国家を支配する男の秘密が暴かれていく。森脇真末味が初めて手掛けたSF作品で、「プチフラワー」1990年9月号から1992年3月号まで連載された。

正式名称
UNDER
ふりがな
あんだー
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

現代の地球よりも科学の進んだ異次元の国で、「UNDER」と呼ばれる居住区に住むノヴァは、血の繋がらない義兄のサラエ・Dと愛し合っていた。ある夜、サラエによく似た奇妙な青年と出会ったノヴァは、彼をドギーと名付けて世話するようになる。そんななか、ノヴァはサラエが人を殺す現場を目撃し、殺されそうになるところをドギーに助けられる。

裁判の結果、サラエは死刑が確定し流刑地に送られた。一方でドギーは飛行車を購入し、後を追うように流刑地へと向かう。代金を支払うためにドギーが売ったのは、中央政府の副大統領である圭・マキナニーの声紋入りプレートだった。それを知ったノヴァも、ドギーならサラエを助けられると信じて流刑地へと向かうのだった。

登場人物・キャラクター

ノヴァ

UNDERに暮らす15歳の少女。父親がサラエ・Dの母親と再婚したため、義理の兄妹となった。両親に隠れてサラエと関係を持っている。サラエを愛しており、彼が殺人を犯す場面を目撃したことで殺されそうになっても見捨てられず、流刑地に送られたサラエを追いかけていく。

サラエ・D

ノヴァの義理の兄。年齢のわりに体が小さく、弟のように見える。実は先天性の異常を治療する過程で成長が遅れてしまっており、実年齢は18歳。先天性異常は、父親のグロフ・Dの人体実験の結果とされている。ノヴァを誘って関係を持ったが、他に複数の女性とも肉体関係を持っていた。UNDERで連続している殺人事件の犯人として流刑された。

ドギー

サラエ・Dとそっくりで、まったく同じ先天性異常を持つが、治療を受けずそのまま成長したような姿をしている青年。ポケット・パークで倒れているところをノヴァに拾われた。言葉を話すことができず、牙を持ち、首輪をはめられている。圭・マキナニーの息子として育てられており、14ヵ月かかって生まれ、1年も経たないうちに3歳児並みに成長した。 その後も成長速度は一定せず、定期的に一種の冬眠状態になる。

圭・マキナニー (けいまきなにー)

中央政府の副大統領。見た目は30歳くらいだが、計算では100歳を超えている。何年かに一度昏睡して仮死状態に陥る。5歳の時にIQ160以上の子供を集めたAUSカンパニーの学校に入れられ、隔離されて生活していた。14歳の時に通常の学校に戻ったが、直後に両親がエアバスで事故死。その時に、自分が生まれる前にカンパニーに売られていたことを知る。 形見となった旧型のコンピューターに「ルシファー」と名付けて大事にしていたが、突然ルシファーが話し始め、自分と取引するなら願いをかなえてやると申し出る。ルシファーの要求した代償は、妻のアン・マキナニーと同室で36時間閉じこもり、子供が生まれたら引き渡すことだった。要求を飲んだ圭・マキナニーは予言の力を得て業績を上げ、中央政府に引き抜かれるに至った。 アンが遺したドギーを息子として育てていた。

アン・マキナニー (あんまきなにー)

圭・マキナニーの妻。父親も圭と同じ日本人だった。圭がAUSカンパニーに拘束されている身分なのを知りながら結婚した。朗らかな性格で圭を支えていたが、妊娠を機にふさぎ込みがちになる。ドギーを出産したことが原因で亡くなった。

ルシファー

エアバス事故で亡くなった圭・マキナニーの両親の形見のコンピューター。ある日突然意思を持って圭に語りかける。予言を与える代償として、圭の妻のアン・マキナニーと36時間過ごし、子供が生まれたら引き渡すことを要求した。その結果、ドギーが生まれた。

デビット・エリスン (でびっとえりすん)

圭・マキナニーが働いていた研究所の同僚。中央政府に引き抜かれて居住区を出て行くはずだったが、圭に先を越されて、引き抜きが立ち消えになった。幼い子供のような見た目と、人付き合いが苦手なため周囲からバカにされており、親しげに振る舞ってくれる圭に魅かれていた。アン・マキナニーが妊娠して以来、様子のおかしくなった圭を心配して自宅へ訪ねてきた。

グロフ・D

サラエ・Dの父親。中央政府のバイオ・ガーデン部門主任科学者だった。引き抜かれたばかりの圭・マキナニーと出会い、「君は最高のナンバー2になる」と予言した。サラエへの人体実験の疑いで逮捕される直前に焼身自殺をした。

キクゾー

「キクゾー商会」という何でも屋を切り盛りする青年。ドギーが持ち込んだ圭・マキナニーの声紋入りプレートを買い取った。ノヴァにドギーを探して欲しいと依頼され、ドギーが圭の息子であることを教える。さらにドギーを追って流刑地へ向かうノヴァに飛行車を提供した。

ダビデ・ダビデ・ブー (だびでだびでぶー)

囚人を莢に乗せて流刑地に送るために飛行場が直営しているラボで、莢を育てているバイオ技術者。ホモセクシャルで、莢に乗せられて流刑地へ送られる直前のサラエ・Dに出会い、お互いに一目惚れしたと思い込んでいる。サラエの手錠を外し、肉体関係を持つ。のちにレイプ罪で連行された。

場所

UNDER (あんだー)

極ジャンプが起きた後、宇宙に逃れていた人々が戻った、かつての南極大陸。地図上では底に位置していたことから、UNDERと呼ばれている居住区。以前の南極点にあたる場所に現在は中央政府が置かれている。居住区と中央政府のある地区とは分離され、行き来は制限されている。

その他キーワード

極ジャンプ (きょくじゃんぷ)

かつて起きたとされる大災害。氷が融けて海があふれ、地面が割れて原子炉が火を噴き、放射能が世界を汚染したとされ、その時にほとんどの人間が死んだと言われている。方位が北も南も狂ってしまった後、宇宙に逃げていたわずかな人々はかつての南極大陸に戻った。

(さや)

名前の通り、植物の莢のように中心に部屋を持つ半生物。中に入った囚人のDNAを記憶し、監視する。収容された囚人が部屋の中にいる限りは安定しているが、壁を破って外へ出ようとすると莢は石化して死に、中の囚人も押しつぶされて死ぬことになる。グロフ・Dが作ったとされる。

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