謎の組織によって身体を幼児化されてしまった主人公が、推理能力を活かして難事件を解決しながら、組織の行方を追っていくミステリー漫画。類稀なる推理力と洞察力を持つ高校生の工藤新一(くどうしんいち)は、高校生探偵として警察の捜査にも協力しその実力を知られていた。ある日、幼馴染の毛利蘭(もうりらん)と遊園地に遊びに行き、謎の組織の取引現場を目撃してしまう。組織の人間に見つかった新一は口封じに毒薬を飲まされ、その副作用として身体組織が退行し、小学1年生ほどの身体になってしまったのだった。アニメ化をはじめ、メディアミクス多数。
作中で登場するニット帽のキャラクターといえば、常に被っている黒いニット帽と、目の下のクマが特徴的な男が赤井秀一(あかいしゅういち)だ。「銀の弾丸(シルバー・ブレット)」の異名を持つ凄腕のFBI捜査官で、作中最大の敵である「黒の組織」からも警戒されている人物である。年齢不詳、クールで感情を表に出すことがなく、登場初期には目つきの悪い男の人と称されていた。常にニット帽を被っているのでもはやトレードマークになってしまっているが、何故ずっと被っているのか、作中では理由を明らかにされていない。帽子を被る理由を様々考えてみると謎が深まるのだが、赤井は変装も得意で、組織への潜入などもこなしている。そう考えると、ニット帽に視線が吸い寄せられ、赤井自身の顔への印象が薄れると考えられなくもない。凄腕捜査官だけに、おしゃれだから被っている以外の理由がありそうだと、推理してみたくなる。
宇宙旅行が行われる時代を舞台に、惑星キャンプに向かい宇宙で遭難した高校生たちが、遭難の原因を探りながら協力し成長していく姿を描くSFミステリー。西暦2063年、ケアード高校では大自然の中、生徒だけで5日間を過ごすという行事、惑星キャンプが行われていた。無作為に選出された8人とキャンプ課題により同行することになった10歳のフニシアは惑星マクパに降り立つ。しかし、到着後すぐに謎の球体に吸い込まれ、気が付くと宇宙空間に投げ出されていた。2019年7月にテレビアニメ化。
惑星キャンプのメンバーに選ばれたうちの1人、ウルガー・ツヴァイクは17歳。黒髪に長い前髪が特徴的だ。クールな一匹狼で、他者となれ合うことを嫌っているが、それにはウルガーの複雑な事情が関係している。ウルガーはブランド物のニット帽を被っているが、亡くなった兄との思い出の品であり、兄弟をつなぐ絆の役割を担っている。ウルガーは兄の死の真相を暴くこと、復讐することを目的としており、ニット帽はいわばその復讐心を忘れないようにするためのアイテムと言っても過言ではない。しかし、物語が進むにつれ、その意味合いが変わってくる。班の仲間や、目的を果たすために殺害するつもりだった相手とのかかわりの中で、ウルガーは人間として大きく成長していく。ウルガーの兄はフリージャーナリストで、ウルガーもジャーナリストを目指していた。改めて歩み始めた夢は、復讐心から志したものとは違って感じられるだろう。ニット帽が、亡き人の志も伝えてくれる。
孤児院で幸せな生活を送っていた少年少女たちが、自分たちを取り巻く真実を知り、過酷な運命に抗おうとする脱獄ダークファンタジー。孤児院「グレイス=フィールド ハウス」では38人の子供たちが生活していた。11歳のエマはノーマン、レイと共に最年長で、子供たちをまとめる立場にある。「外」への漠然とした不安はあるものの、幸せに生活していた。ある日、里親の元に行くことになった年下のコニーの忘れ物を届けに門の外へ出た時、エマたちは驚愕の事実を知る。2019年1月にテレビアニメ化。
主人公、エマたちの生活する孤児院の外には、人を食用とする「知性鬼」が住むという、驚愕の世界が広がっていた。エマたちの住むような孤児院は他にもあり、食用にするための子供たちが育てられていたのである。「グレイス=フィールド ハウス」以外にもそのような施設はあり、そのうちの一つ、グランド=ヴァレーと特殊な環境であるゴールディ・ポンド(GP)で生活しているのが、ジリアンである。猫目でいつも明るい笑顔の少女で、GPでは食料調達を担当。ニット帽を被っており、帽子や服についているワッペンは、GPにいるピエロから調達し、手作りしている。このピエロのワッペンと常に笑顔で陽気な性格ということもあってか、どこか底知れなさがあったジリアンだが、姉のような存在だった少女を、鬼に殺されている。GPが鬼たちの猟場という特殊な環境だからこそ、より一層鬼に対する憎悪の気持ちが強いのだろう。服装にもこだわりがあり、女の子らしいジリアンだからこそ、鬼気迫った時の表情の凄みが増すのだろう。
麻雀がより社会に浸透した現代で、旧友の活躍を見た奈良県の女子高校生が麻雀部をつくり、インターハイ出場を目指す姿を描く青春麻雀漫画。奈良県の山間の小学校に、都会から原村和(はらむらのどか)が転校してきた。高鴨穏乃(たかかもしずの)、新子憧(あたらしあこ)は麻雀を通じ和と仲良くなったが、中学進学とともに和が再び転校してからは音信不通になってしまう。ある日、テレビで和の麻雀での活躍を知った穏乃は、再び麻雀をすることを決意。阿知賀女子学院高等部に進学し、憧らとともに麻雀部復活を目指すことになる。原作は小林立。アニメなどメディアミクス多数。
本作は、女子高校生たちが麻雀に打ち込む青春漫画である。麻雀が社会に浸透しており、学校に麻雀部がある本作。全国大会なども開催されており、まさしく青春をかけて戦っている。団体戦は各5人が出場し、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将と順番に打っていくのだが、後半になるほど点差による自由が利かなくなるため、各チームのエースは先鋒で出てくる場合が多い。浅見花子は、埼玉県越谷女子高校の代表選手である。阿知賀女子学院高等部とは全国大会2回戦で当たるライバル校の生徒だ。白のニット帽には特徴的な×(バツ)印。自転車が好きでボーイッシュ、活動的な性格が、ニット帽からも読みとれる。大会では次鋒で登場し、苦戦しながらも次の選手につないだ。目立った活躍はしていないが、麻雀をしている高校生にも、いろいろなタイプがいるという例にもなるだろう。
転校してきたばかりの中学2年生の主人公が、同級生の女の子と物作りをしたことがきっかけで手芸部を創設し、様々なものを手作りしていくほのぼの青春ハンドメイド漫画。まだ肌寒い4月、桜の咲く始業式に転校してきた飯田佐保(さほ)。クラスメイトは面倒見がよく優しいが、どことなく馴染めないでいた。買い物に出た先で道に迷った佐保は、偶然クラスメイトの藤城波(ふじしろなみ)、吉崎麻衣子(よしざきまいこ)と遭遇する。麻衣子と波が佐保の部屋に上がったとき、穴の開いた襖をみつける。穴を塞ぐ方法を波が口にすると、佐保が穴を塞ぐと言い出し、突然作業が始まった。
手作りできるものは様々あるが、編み物は身に着けるものを手軽に作ることができる。マフラーや手袋、ニットの帽子もそのうちの一つだろう。襖の穴を塞ぐという作業から始まった3人の「手芸部」の活動では、もちろん編み物も活動内容に含まれる。3人は作中でおそろいの帽子を編んでおり、友情の証となっていた。本作には作品を作る詳細な過程は登場しない。3人が時折他の大人たちと作業をしながら、様々な話をしている、何気ない作業風景が中心だ。物を作るとき、どうしてもどうやって作るのか、工程や素材に目が行きがちだが、どういった環境で作られたものなのかというのも、重要なのではないかという気がしてくる。毛糸の帽子が残り続ける限り、3人は作りながらどんな話をしたのか、様々なことを思い出すことができるだろう。手作りのものには、人の想いと作っている間の時間が詰まっている。登場人物たちの会話に和みながら読み進めたい作品だ。