悪しき者から日本を守れ！公安警察オススメ漫画５選65 Pt.

本作は『名探偵コナン』の作者・青山剛昌が原案協力を担当している公式スピンオフともいえる作品。主人公の安室は私立探偵のかたわら、コナンファンにはお馴染みの毛利探偵事務所の階下にある喫茶店・ポアロでアルバイトをしている。安室としての日常を送る時は人当たりのいい普通の好青年そのもの。周囲は彼の他の顔を知るよしはないが、公安警察の警察官としての片鱗がのぞくこともある（ちなみにタイトルの「ゼロ」は本名の零からともいえるし、公安を「ゼロ」と呼ぶことからきているともとれるだろう）。日常生活で周囲におこる些細なトラブルを、鋭い洞察力や高い運動能力、人並み外れた運転技術やサバイバルテクニックを駆使して、人知れず鮮やかに解決してみせるのだ。

公安警察の捜査官である一狼が、上司から命じられたのは捜査対象から気づかれずに捜査を行う内偵調査だ。情報を得るため、自らの身分を偽って相手に近づくという特殊な任務。しかも、相手は指定暴力団大藤（だいとう）会直系の峰上（みねがみ）組若頭である獅郎。政治家相手に男娼まがいの行為をする獅郎の行動の裏に、何らかの思惑があるのかを探れというのだ。そんな一筋縄ではいかない相手の捜査担当者として一狼に白羽の矢が立ったのには理由が。なんと一狼が獅郎の好みのタイプらしいから。これも仕事だと割り切って獅郎へ接近をはかるが、ノンケだとばれてあえなく玉砕。しかしその後、獅郎が政治家の愛人を続けるのは姉の消息を探るためだったことを知る。一狼は上司をも欺きながら、獅郎と共に秘密裏に事件を追い始めるのだった。

本作の舞台は、情報技術が著しい発展を遂げ、脳とインターネットを直接つなぐ電脳化や、体の一部、あるいはすべてをサイボーグ化する義体化が当たり前になった世界だ。公安9課は、それまでの常識では考えられないような電脳犯罪やサイバーテロを取り扱う組織として発足した超法規的な権限をもつ捜査組織。士郎正宗の漫画作品『攻殻機動隊』の世界観、登場人物をもとに展開したオリジナルアニメのコミカライズである本書にも、草薙素子（くさなぎもとこ）、トグサ、バトーといった、攻殻機動隊こと公安9課のお馴染みの面々が登場。6年前の発生以降、解決の糸口がつかめない笑い男事件を追う。電脳空間を通じて展開する巧妙かつ複雑なからくりを、公安9課ならではの手法で暴いていく。

犯罪を未然に防ぐため、特定の組織や人物を監視するのも公安警察の役目のひとつといえる。本作が描くのは、いわゆる超能力のような力をもつ人々を「特異人種」として、国が「特異能力者名簿」に登録し、公安部特異人種課が監視する世界。常田は公安部特異人種課に転属したものの、自身は異能力をもたない非能力者。転属初日から、発火能力をもつ男がおこした事件に遭遇。予知や憑依といった能力を駆使して男を追う捜査手法に度肝を抜かれる。しかし、罪を犯し追われる特異人種も、彼らを捜査する公安部特異人種課の捜査官も、人とは異なる特異な能力をもつがゆえに疎外される苦しみを抱えていた。想像を超える異能者同士のバトルと、罪を犯してしまう特異人種たちのドラマが絡み合う。

原作である小説は1977年に発表された作品。本作は舞台を現代の日本に移しつつも設定は当時のままで、日本崩壊を目論む凶悪なテロリストと真正面から対決する骨太な作品となっている。主人公の伊能が所属する公安特科隊は、対テロリストを目的として発足した組織。伊能は、もとは陸幕二部別室に所属していたが、その圧倒的な能力の高さを見込んだ警視正・中郷広秋（なかごうひろあき）によって、公安特科隊に引き抜かれたのだ。そんなある日、ガソリンによる大規模な爆破テロが突如として日本を襲う。新宿、上野と犯行は続くが犯行声明はなく公安特科隊の捜査も行き詰まっていた。しかし、伊能は執念の捜査で、ウルトラ極左と呼ばれるテロ集団のリーダー・僧都保行（そうずやすゆき）に行きつく。