これは愛なのか!? 恋なのか!? 歳の差恋愛コミック119 Pt.

世代も価値観も違う2人が出会い、そして恋に落ちる。これは恋なのか、それとも勘違いなのかと自分の気持ちの変化にとまどったり、自分みたいな年上に惚れる訳がないと、どこか冷めた年上側の心情など主人公たちの心理描写に読者も一喜一憂するのが心地よい。どちらにより多く感情移入するかは読者側の世代や経験によるかもしれない。

無口な女子高生「あきら」が恋した相手は、アルバイト先であるファミレスの45歳の店長だった。バツイチ、冴えない風貌、後頭部の10円ハゲ、典型的「残念な中年男」だが、恋した彼女の目にはその全てが愛おしく映る。その表情がなんとも言えず美しい。一方、自分はもう年をとって汚れ切ったと考える「店長」は真っすぐな瞳で好意を伝えてくる「あきら」の真意が読めず戸惑うばかりだ。２人の気持ちのギャップにドキドキする作品だ。

病院で医療事務として働く「青木薫」26歳。自立を目指し、夜に念願だったネイルサロンの仕事を始めるがなかなか難しく行き詰まり中。そんな中、何かとちょっかいをだしてくる外科医の「矢飼」の手の古傷の秘密を共有してしまい、恋がはじまる。お互い心に闇をかかえながらお互いを慰め合う、恋愛に臆病になってしまった大人達の切ないラブロマンス。恋や仕事で悩みながらも前に進む様子や、女性の恐ろしい部分、読んでいて心の中の色々な部分が刺激されるような巧みな描写が素晴らしい。作画が繊細でとても美しいので目で癒されたい人にもおすすめだ。

父の上司が持って来たお見合いに、姉の代わりに出る事になってしまった女子高生の「野々村花」。お相手は大財閥の御曹司「才原高嶺」26歳。容姿端麗だが高慢で失礼な物言いをする彼に「花」はお見合い開始早々にキレてしまうが、何故か「高嶺」は彼女を気に入ってしまう。全てをお金で解決しようとする「高嶺」に対して「花」の冷めたツッコミが小気味よい。作者の言葉選びのセンスが光る年下庶民 vs 年上ド金持ちの格差恋愛爆笑コミックだ。

イタリア、ローマにある小さなリストランテ「カゼッタ・デッロルソ」。そこは従業員全員が老眼鏡の紳士という大人の癒し空間だ。そこへ訪れた主人公「ニコレッタ」。彼女は優しい物腰で初老のカメリエーレ長「クラウディオ」にドキドキ。この気持ちは恋? 両親の離婚により父親がいなかった故の憧れ? そんな様子を描く、「紳士萌え」というジャンルを注目させた名作。リストランテスタッフがどれもタイプの異なる紳士で、それぞれに魅力に溢れている。若者には醸し出せない色気と雰囲気を堪能していただきたい。