あらすじ
第1巻
野々村花の姉・野々村縁は、弁当を届けに父の勤務先である鷹羽商事株式会社の子会社を訪れた際、偶然にも鷹羽グループの会長・鷹羽蒼天から目をかけられ、孫で後継者候補の才原高嶺と見合いをする場を半ば強制的に設けられてしまう。しかし縁には恋人がいるため見合いを拒否し、妹の野々村花が、替え玉として高嶺と会う事になった。とりあえずその場をやり過ごし、高嶺から見合いを断られればいいと任務を遂行しようとしていた花だったが、初めて会った高嶺から挑発的な言葉をかけられる。腹を立てた花は高嶺に言い返し、見合いは険悪な雰囲気で終了してしまう。見合いに失敗した事で父がクビになるのではないかといった不安をよそに、高嶺は花を気に入り、毎日のようにデートに誘って来る。そして花は次第に高嶺の事が気になるようになるが、その後恋人と別れた縁が、これからは自分が高嶺と交際すると告げるのだった。自分はあくまで縁の代わりだと思っていた花は何も言えず、そのまま高嶺から身を引こうとする。(第1話。ほか、3話収録)
第2巻
野々村花と才原高嶺はなかなか素直になれず、喧嘩をしながらも恋人未満の関係を続けていた。そんな中、高嶺は鷹羽蒼天からゴルフのホールインワンを祝うパーティーに花を連れて来いと命じられる。蒼天は未だ高嶺が交際しているのは花の姉・野々村縁で、女子高校生の花と付き合っているとは知らないため、何とかごまかそうと花は縁と高嶺の力を借り、メイクやドレスで実年齢よりも上に見せようとする。そして花は、絶対にやり切ると気合いを入れてパーティーに臨む。もともと視力の悪い蒼天には縁だと欺く事に成功したが、ほかの出席者の中には花の見た目が若すぎる事を怪しむ者が現れる。そんな中の一人の女性が、大人なら知っているであろうメイクやブランドの話題を積極的に花にふり、いつの間にか花の周りには人だかりができてしまう。周囲の目もあって花は逃げ出せず、絶体絶命のピンチに陥る。(第5話、第6話。ほか、4話収録)
第3巻
放課後、野々村花を毎日のように派手な車で迎えに来る才原高嶺の存在は、いつしか生徒だけでなく教師のあいだでも噂されるようになっていた。これまで特にその事について注意をされる事もなかった花だったが、成績が下がった事で教師から注意を受け、派手な男と遊んでいるからではないかと指摘される。その場で花は野々村縁の友達だとウソをついたものの、周囲からは男と遊んでいると思われている事実にショックを受ける。そこで花は、しばらく高嶺と距離を置いて勉強に集中しようとするが、高嶺は自分が勉強を教えると言い出す。英語こそ完璧な高嶺だが、ほかの教科は心もとなく、結局花は自力で勉強する事になる。しかし、忙しい仕事の合い間をぬって駆けつけて来る高嶺に、花はどうしてこんなにも必死になってくれるのだろうかと疑問を抱く。(第12話。ほか、4話収録)
第4巻
才原高嶺は自分のサポート役としてついた霧ヶ崎瑛二の働きぶりに関心し、いつもはしない仕事の話を野々村花にしていた。花はそんな高嶺を嬉しく感じていたが、一方の高嶺は、自分の仕事の話をしたのだから花のプライベートもさらけ出すべきだと迫り、今度行われる花の文化祭に乗り込むと宣言する。一方、鷹羽専務から依頼を受けて高嶺の身辺調査をしていた霧ヶ崎は、高嶺が女子高校生の花と交際している事実を知ってしまう。本来ならばすぐに鷹羽専務に報告すべき案件ではあるものの、高嶺から信頼されている自覚のある霧ヶ崎は裏切れず、直接花と交渉を開始する。霧ヶ崎は高嶺が女子高校生と付き合っているとわかれば仕事や立場に支障が出るため、誰にも知られていないうちに別れるべきだと花に告げる。高嶺の邪魔になりたくない花は、大いに葛藤する。しかしニコラ・ルチアーノからの助言と、最近元気のない花を心配した高嶺からの大量の栄養ドリンクの差し入れを見た花は、自分のしたいようにすると心に決める。花は霧ヶ崎に対して高嶺とは絶対に別れないと告げる。(第18話、第19話、第20話。ほか、3話収録)
第5巻
毎年、クリスマスは家族や友達と過ごしていた野々村花だったが、今年はそれぞれに予定があるうえに才原高嶺も仕事のため、このままでは一人になってしまうと寂しく感じていた。高嶺は小川水希と藤原光子から、花が一人になってしまうと聞き、クリスマス当日は何とかして花と会う事を約束する。幸せな気持ちになっていた花の前に突然猪熊りのが現われ、花の目の前で高嶺と親密そうな様子を見せつける。クリスマスは無理でも23日はいっしょに過ごしてほしいと主張するりのに対し、高嶺も仕方がないと受け入れた事で、花は苛立ちを覚える。そして23日、高嶺はりのを連れて岡本颯馬の実家が経営するお好み焼き屋へ行き、花やその周辺の友達も交えてクリスマスパーティーを開催する。これはデートではないと怒るりのだったが、高嶺の楽しそうな姿を見て、花が特別な存在である事が羨ましいと本心を打ち明ける。その瞬間、ニコラ・ルチアーノがこぼした熱いお茶でりのの服が濡れ、本当は男である事が明るみに出る。(第24話~第27話。ほか、2話収録)
第6巻
才原高嶺は、財産を鷹羽蒼天にすべて没収され、さらに子会社へと左遷される事になった。実力があれば這い上がれるだろうと突き放す蒼天に対し、高嶺は何もできず、失意のまま用意されたボロアパートへと向かう。本来であれば野々村花の自宅に行く予定だったが、移動手段も金もない高嶺は「行けない」という旨だけを告げ、そこから花と連絡を取らない日々が続く。音信不通の高嶺を心配していた花に対し、ニコラ・ルチアーノからも高嶺と連絡が取れないと連絡が入り、花は変装して鷹羽商事株式会社に潜入。そこで霧ヶ崎瑛二から財産を没収された事情と現住所を聞いた花は、急いで高嶺のもとへと向かおうとするが、花に落ちぶれた姿を見せたくないと、高嶺は激しく拒絶する。困っている時に自分を頼ってくれない事にショックを受けた花だったが、岡本颯馬からの励ましを受け、再び高嶺の住むアパートへと向かう。(第31話~第33話。ほか、3話収録)
第7巻
才原高嶺は野々村花が毎日自宅で食事を作ってくれる事や、左遷先の子会社にわざわざ異動して来た霧ヶ崎瑛二の存在により、少しずつ前向きな気持ちを取り戻しつつあった。そんな中、花は高嶺を銭湯へと誘う。初めての銭湯に最初はとまどっていた高嶺だったが、入浴した途端すぐに気に入ってしまう。これまで見た事のない高嶺の嬉しそうな表情を見て花の心はときめき、本当に高嶺を好きになった事を実感する。しかし花は、自分の気持ちを自覚した事で、何となく高嶺といっしょにいる事を気まずく思っていた。そんな事を知らない高嶺は花を自宅アパートへと招き、鷹羽蒼天に財産を没収されてから磨いた料理の腕を披露する。さらに別の日、花は高嶺から合い鍵をプレゼントされ、大いに動揺する。(第34話~第36話。ほか、3話収録)
第8巻
バレンタイン当日、テスト勉強のために手作りではないが、野々村花はチョコレートを持って才原高嶺のアパートを訪れていた。花は照れくささからなかなか切り出せず、いかに義理チョコのような雰囲気で渡せるかを考えていた。そんな中、突然猪熊りのがアパートを訪問。高嶺のために徹夜して作ったというさまざまなバリエーションのチョコレートを前に、花はますます自分のものを渡せなくなってしまう。しかし、りのは去り際に花に早くチョコレートを渡すようせかし、花は気乗りしないまま高嶺にチョコレートを手渡す。(第40話。ほか、5話収録)
第9巻
花の父は、会社からタダで豪邸に住めと突然命じられ、疑いもなく引っ越しを決意する。野々村花をはじめ家族で引っ越しを終えると、なぜか才原高嶺も同じ家に引っ越して来る。実は高嶺のお見合い相手が花である事を知らない鷹羽蒼天が、本来の相手だった野々村縁との関係を育んでほしいと思っての事だった。こうして野々村家と高嶺は1階と2階に別れて同居を開始するが、高嶺は花の家族を巻き込む蒼天が許せずにつねに機嫌が悪く、花に対して近日中に家を出て行くと告げる。のちに、花は試練ばかりを与える蒼天に腹を立て、直訴するために鷹羽商事株式会社へ向かうのだった。(第46話~第48話。ほか、3話収録)
第10巻
週末、野々村花は小川水希、藤原光子と共にアイドルグループ「微風(そよかぜ)」のコンサートに行く事になるが、チケットの手配の関係で才原高嶺も同席する事になる。まったくノリに合っていない高嶺だったが、周囲が騒々しいために花の耳元で囁くように話す高嶺に対し、花は思わず胸をときめかせてしまう。その後は光子の伝手で微風の楽屋へと誘われ、花や水希、光子はメンバーを前に大はしゃぎする。花は高嶺を放置してしまったために怒っているのではないかと心配するが、高嶺は花の好きなものがわかって有意義な一日だったと、嬉しそうな表情を浮かべる。(第56話。ほか、5話収録)
登場人物・キャラクター
野々村 花 (ののむら はな)
高校1年生、16歳の女子高生。血液型はO型。陸上部に所属している。野々村縁の妹。明るく、賑やかな性格だが、気が強く、10歳年上である才原高嶺にも遠慮なく切り返す。才原高嶺との出会いは、姉である野々村縁が高嶺との見合いをすっぽかしたため、代わりに出席したからだが、この席でも、金目当てではないかといった高嶺に、つけていたカツラを投げ、啖呵を切って退席したほどである。 体は小さめなため、姉の服はサイズが合わない。縁の意見が優先されがちなため、希望を聞いてえもらえると嬉しい。学校では、クラスメイトの小川水希、藤原光子と仲が良く、友人として気兼ねなくなんでも話せる仲。
才原 高嶺 (さいばら たかね)
26歳の会社員の男性。鷹羽グループの御曹司で、帝大卒業後、鷹羽商事株式会社に入社、アメリカの有名大学でMBAを取得し、現在は経営企画部で部長待遇で勤務しているエリート中のエリート。血液型はA型。本来は横暴で高飛車で傲慢な性格だが、仕事中は猫を被っており、スマートな対応ができるため、周囲の評価も高く、世界規模のプロジェクトを牽引するなど、入社四年目ながら部内のエースとして働いている。 人混みが苦手で、トマトが嫌い。不本意なことをすると気分が悪くなる。時間と規則には素直に従う。野々村花と出会うまで12回のお見合いを重ねているが、どれも不成立に終わっている。
野々村 縁 (ののむら ゆかり)
23歳の女性。TSURUMIYAデパートに受付嬢として勤務している。才原高嶺の祖父である鷹羽蒼天に気に入られ、高嶺との見合いを持ちかけられたのだが、恋人とのデートを優先し、出かけてしまったため、妹である野々村花が見合いに出席することになったが、恋人とは別れてしまい、高嶺にも興味を持ち始めている。 噂になるほどの美人で、コミュニケーション能力も高く、良くも悪くも人を自分のペースに巻き込む。
鷹羽 蒼天 (たかば そうてん)
鷹羽グループの会長をつとめる男性。白髪に長い口ひげとあごひげが特徴。高嶺の祖父。父親に弁当を届けに来た野々村縁を一目で気に入り、才原高嶺との見合いを申し出る。ゴルフを嗜むが、ホールインワンを出したこともある。
岡本 颯馬 (おかもと そうま)
野々村花と同じ高校に通う男子高校生。サッカー部に所属しており、1年生でレギュラーをつとめるほどの実力を持つ。花とは小学校からの幼馴染で、気のおけない関係。実家はお好み焼き屋を営んでおり、花も常連となっている。面倒見が良く、きょうだいの面倒や店の手伝いなどもきちんとこなす。 学業はいまひとつ振るわない様子。
小川 水希 (おがわ みずき)
野々村花と同じ高校に通う高校1年生の女子高生。ショートカットでそばかすがあり、ボーイッシュな雰囲気。花とは同じクラスで、藤原光子とともに友達としてよくつるんでいる。性格は陽気でミーハーだが、友達思い。才原高嶺からは藤原光子とあわせ、まとめて友人ABと呼ばれる。
藤原 光子 (ふじわら ひかるこ)
野々村花と同じ高校に通う高校1年生の女子高生。花の友達で、メガネをかけ、おさげ髪で真面目で野暮ったい雰囲気だが、メガネを外すと美人で、ノリが良く、遊ぶのも好き。常に冷静で、物知りなので鷹羽グループの情報を花に教えることもある。高嶺からは小川水希とあわせ、まとめて友人ABと呼ばれる。
ニコラ・ルチアーノ (にこらるちあーの)
ラグジュアリーコングロマリット、ルチアーノグループの御曹司。美形の男子。高嶺の友人。ロレッタ・ルチアーノ銀座店のオープニングセレモニーにあわせ来日。奔放な性格で、女性に優しく、ハリウッド女優やスーパーモデルとの浮名を流している。過去、高嶺の彼女を横取りしたことがある。初対面から花のことを高嶺の見合い相手と知っていたことから、花に訝しがられる。
高嶺の先輩 (たかねのせんぱい)
才原高嶺とともに鷹羽商事株式会社で働いている男性。先輩と呼ばれているのは、才原高嶺と同じ帝大出身で、大学の先輩にあたるからだが、童顔のため高嶺より年上には見えない。人が良く、高嶺のことも高く評価しており、野々村花に伝えた。
花の先輩 (はなのせんぱい)
野々村花の陸上部の先輩。2年生。ボブ風の髪型の女子とポニーテール風の髪型をした女子の2名がいる。どちらも恋話が大好きで、花から高嶺の話を引き出そうとしている。本人たちに恋人はいない。
鴨川 千晶 (かもがわ ちあき)
才原高嶺の見合い相手。小さな財閥の娘で、グループ会社には名園で有名な鴨庵本店などがある。恋愛と結婚は別に考えるタイプで、高嶺にも仮面夫婦になることを提案する。
花の父 (はなのちち)
野々村花、および野々村縁の父。鷹羽商事株式会社に勤務している。本来縁と才原高嶺がするはずだったお見合いの席に花を連れて行き、高嶺と花が出会うきっかけをつくった。縁に甘いところがある。
霧ヶ崎 瑛二 (きりがさき えいじ)
鷹羽商事株式会社に勤務する若い男性。勤続2年目。以前は秘書課に所属していたが、その仕事ぶりが認められ、会長の鷹羽蒼天の特別人事によって才原高嶺のサポート役として配属された。高嶺からも有望な人材だと認められているが、実は高嶺の弱みを握りたい鷹羽専務から依頼を受け、秘密裏に高嶺の身辺調査をしていた。しかし、高嶺の人柄や女子高校生の恋人、野々村花の素直さに惹かれ、最終的には高嶺の右腕として働くようになる。クールな見た目と性格で、感情をいっさい表に出す事はない。仕事はそっなくこなすが、人とコミュニケーションを取る事は苦手。
猪熊 りの (いのくま りの)
京都の医科大学に通う6年生。見た目は女性そのものだが、実は男性。才原高嶺の後輩で、高校時代は男装をした不良だった。昔から心は女性だったが誰にも言えず、男として生きていくからには強くなろうと、日夜喧嘩ばかりしていた。しかし、思わず女性らしい部分が出てしまい、不良仲間からは気持ちが悪いと言われて傷つく。一人誰もいない屋上で女性として生きたい願望をつぶやいていたところ、偶然高嶺に聞かれてしまった事から、高嶺と親しくなった。自分らしく生きるべきだと助言してくれた高嶺に対し、恋心を抱いている。まっすぐでウソのつけない性格の持ち主で、短気なところが唯一の欠点。最初は野々村花にライバル心を抱いていたが、高嶺と花がいっしょにいる様子を見て、二人の交際を時おり邪魔しながらも温かく見守っている。
鷹羽専務 (たかばせんむ)
鷹羽商事株式会社で専務を務めている男性。鷹羽蒼天、才原高嶺とは親戚にあたる。高嶺が何かと蒼天に気に入られている事を一方的にひがんでおり、いずれ高嶺が後継者になるであろう事から、何とか弱みを握ってやろうと霧ヶ崎瑛二を使い、身辺調査をしていた。最終的に霧ヶ崎が高嶺側についた事で、計画は失敗している。自分の野心やプライドのためなら、どんな手でも使う卑劣な性格の持ち主。
集団・組織
鷹羽商事株式会社 (たかねしょうじかぶしきがいしゃ)
才原高嶺や花の父が勤務する会社。世界規模のプロジェクトを展開する大企業である。
場所
鷹羽グループ
グループ会社には鷹羽商事株式会社のほか、鷹羽自動車、鷹羽ロイヤルホテルなどがある。会長は、才原高嶺の祖父である鷹羽蒼天。