やさぐれ支配人と高校を卒業したての少女が繰り広げる映画館再建奮闘物語。物語の舞台は、東京の歌舞伎町にある成人向け映画館「新宿キネトスコープ」。昔は一般映画を上映する名画座だったが、今ではピンク映画専門の映画館となっていた。そんな落ちぶれた映画館に、セーラー服を着た少女が前支配人の遺言状を持って現れる。
舞台は高度成長期の1972年。日本の歓楽街の象徴である歌舞伎町に、ピンク映画専門の映画館「新宿キネトスコープ」はあった。そこはかつて名画座として映画ファンを楽しませていたが、時代の流れには逆らえず、ピンク映画専門に方針転換することでかろうじて生き延びていた。その映画館の支配人が、本作の主人公である待夜理一だ。かつて脚本家を目指すも挫折した理一は、意に沿わぬ作品を上映し、ヤクザからみかじめ料をせびられる映画館の経営にうんざりしていた。そんなある日、セーラー服を着た女子高校生の朝生蛍が、前支配人の遺言状を持って現れる。新宿キネトスコープが名画座だった時代に足繁く通っていた蛍は、「理一の支えになり映画館を護ってほしい」と前支配人から願いを託されていた。こうして映画館を立て直すべく、ふたりは動き出す。
古い映画館を舞台に、人と人を繋いでいくほのぼのコメディ。主人公の神林亘は、中学生時代に黄金の脚を持つと讃えられる陸上のスター選手だったが、膝の故障で陸上を続けられなくなってしまう。夢を失い、街を彷徨っていた亘が、とある古い建物にたどり着くことで物語は幕を開ける。
中学時代に陸上で数々の賞を受賞した亘だが、彼の膝は生まれつき外れやすく、一度外れると今後も繰り返すと医者に言われていた。依然と同じように走れるのかはわからないと宣言された亘は、大好きだった陸上を諦める。高校に進学し、周りの生徒たちが部活動に励む姿を眺めながら、自らの居場所がない亘。そんな時、見知らぬ長髪男性に誘われて、古びた建物へと足を踏み入れる。その建物が本作の舞台になる「キネマ天象儀」だ。長髪男性の正体は、キネマ天象儀の支配人である朝日奈周平だった。周平に散々振り回された結果、キネマ天象儀を満員御礼にするという目標に協力することになった亘。そして、亘は映画を通じて、自分の居場所を少しずつ見つけていく。
記憶喪失の映画好きと口の悪い映写技師が織り成すヒューマンドラマ。何の変哲もない平凡な町にある、古びた映画館の「シネマかすみ座」。数年前、映写技師のトーワは映画館の前で行き倒れていた青年「もぎり」を拾う。記憶喪失だというもぎりは、自分自身の記憶がないくせに映画に関しては尋常ではない知識を持っていた。
遊園地が一つある以外は、何の変哲もない小さな町、霞町。そこには、とても流行っているとは言えない映画館「シネマかすみ座」があった。かすみ座の映写技師トーワは、数年前に映画館の前で行き倒れていた青年を拾う。青年は記憶をなくしていたため、仕方なく「もぎり」と名付け、映画館で面倒をみることに。かすみ座は流行らないまでも、地元の人々に愛されている映画館。町の銭湯が廃業を考えていると聞けば、銭湯の前の空きスペースを活用して野外上映会を企画したり、町の子どもたちが通う学校のグループ研究に協力したりしている。町の人々が集う名画座をめぐり、もぎりとトーワたちの優しい物語が綴られる。
大学生の主人公が、バイト先の店長と映画を観に行くうちに、いつの間にか恋心が芽生えるシネマラブストーリー。大学生の藤田奈緒は、とあるレンタルビデオ店でアルバイトを始める。バイト先の店長を務める奥田一平は、映画の知識が豊富で接客もスムーズ。映画のことを何も知らない奈緒がオススメ映画をたずねたことをきっかけにして、毎週水曜日に一緒に映画を観にいく間柄になる。
大学生になって初めてひとり暮らしをする奈緒は、アルバイトも初めての経験だった。彼女のバイト先はレンタルビデオ店のため、当然ながらお客さんからの質問も映画に関わることばかり。映画についての知識がほとんどない奈緒は、映画の知識が豊富な店長の奥田に映画のあれこれを教わることになる。毎週水曜日に一緒に映画を観にいくふたりは、友人でも恋人でもない関係。しかし、そんな時間を重ねて行くうちに、奈緒は奥田に対して恋心を抱き始める。奥田を介して各所で映画の醍醐味を紹介しつつ、奈緒と奥田のラブストーリーが紡がれる。