人間模様が交錯する「歌舞伎町」が舞台！オススメ漫画５選27 Pt.

東京に出てくれば簡単に人生の扉が開く。遼介はそう信じていた。しかし現実はそう甘いものではなく、明確な目標もなしに東京へとやってきた遼介は路頭に迷うことになる。そんな遼介の前に現れたのが、世界的デザイナーである麗美だった。麗美はずぶ濡れの遼介を自身が生活するホテルの一室に招き入れ暖を取らせる。遼介は短い交流でありながら急速に麗美に惹かれ、部屋を出る際もう一度会えるかどうか麗美に訊ねた。麗美は遼介が東京で根を張る気があるのならいつかは会えるだろうと告げる。その時から、遼介の目標は「自分の力で麗美に会える男になること」になった。遼介は麗美がホストと親しかったことから自身もホストになることを決意。ライバルたちとの戦いを通して成長していく。

涼子は幼い自分を置いて歌舞伎町に消えていく母の背中を、大人になった今でもはっきりと覚えている。その日以来、涼子にとって歌舞伎町は母が自分を捨てる原因となった忌むべき町となっていた。そのため、母を知っているらしい男に歌舞伎町に誘われても乗る気はさらさらなかったのだ。しかし、父が母の帰る場所としてクリーニング屋を何とか残そうとしていたことを思い出し、複雑な気持ちはあれど父の遺志を継いで店を残すため、涼子は歌舞伎町でひと稼ぎすることを決意する。涼子は早速、歌舞伎町にある店に向かうことになったのだが、そのキャバクラはたくさんの女の見栄や嫉妬、陰謀が渦巻く腐った城だった。女同士の熾烈な争いを涼子がどうくぐり抜けていくのか、最初から最後まで目が離せない。

神室町は歌舞伎町をモデルとした町。ここで喧嘩三昧の日々を送ってきたのが龍也だ。龍也には両親がおらず、唯一の家族である姉とも距離を置きずっと一人で生きてきた。信じてきたのは暴力のみ。そんな彼が殺人をきっかけに関わることになったのが、徹底的なまでに暴力が物を言う世界、ドラゴンヒートだ。ドラゴンヒートは九鬼組が運営している闇の格闘場で、神室町のどこかに存在していると言われていた。そこでは桁外れの強さを持つ者たちがルール無用の殺し合いを行い、入場を許されし限られた客たちが賭け事に興じていた。龍也はドラゴンヒートでいくつもの戦いに挑み、人と関わることによって真の「力」の意味や、他者との繋がりの必要性を見出していく。手に汗握る男たちの熱いドラマを堪能しよう。

新宿キネトスコープは、つい数年前まで成人映画館ではなく普通の名画座だった。映画産業の不況による閉館を避けるため、やむなく成人映画館になってしまったのだ。そして理一の前に突如現れた制服姿の少女・朝生蛍（あそうほたる）は、まだ映画館が名画座だった頃に親子でここに通い詰めていた、先代支配人の友人の娘だった。当時、蛍は友人がおらず、映画と先代支配人との交流が心の支えだった。その恩返しをするため、彼女は先代支配人の「理一の支えになり映画館を護ってほしい」という願いを聞き入れ、高校卒業後すぐに歌舞伎町へとやってきたのだ。強い意志を持った蛍との出会いが、全てを諦めやさぐれた理一の心をどう動かすのか、そして2人がどのようにして映画館を護るのかに注目したい。

喧嘩の腕は一級品。頭も切れ、目的のためなら非情な手段も躊躇わず使っていくアウトローな男、それが唐沢だ。かつてアメリカのロサンゼルスでロシアンマフィアを壊滅させたというこのとんでもない男は、新たな活動の場に混沌の町・歌舞伎町を選んだ。唐沢は時に暴力、時に頭脳を使って、歌舞伎町を根城にしている様々な組織を引っ掻き回していく。相手が国家権力であろうが他国のマフィアであろうが、唐沢はブレない。取る手段こそ穏やかでないものの、決して揺らがない彼の姿に多くの登場人物たちが心を動かされ、読者は恐怖と僅かな羨望を抱くだろう。唐沢が仲間たちとともに数々の組織を出し抜いていく様子は、ある種の爽快感すら感じさせる。