チアリーディングを描いた漫画20 Pt.

スポーツ競技の応援から始まったチアリーディング。現在ではチアリーディングそのものが、競技として成立している。可憐な衣装で演技を行うチアリーダーたちは、スポーツの花形の1つ。チアリーディングを題材とした漫画を紹介しよう。

主人公・鳩谷こはねは、人助けや人が喜ぶことをするのが大好きな女子高校生だ。そんな彼女にとって、頑張っている人の力になるチアリーディングは、まさにうってつけのスポーツ。鳩谷こはねは、入学した神ノ木高校でチアリーディング部を設立するため、部員集めに精を出す。そんな鳩谷こはねの前に、チアリーディングの魅力に目覚めるきっかけとなった人物・有馬ひづめが現れる。喜び勇んで有馬ひづめをチア部に勧誘する鳩谷こはねだが、彼女はつれない態度をとる。有馬ひづめは、極度の高所恐怖症だったのだ。立体的な組み技や人を空高く放り投げる技が付き物のチアリーディングにおいては、致命的な弱点である。鳩谷こはねが前途多難な状況に立ち向かい、ひたむきに頑張る姿に注目したい。

主人公・須王友美は、英徳大学アメフト部のマネージャー兼チアガール。日々、チアリーディングの練習に励んでいる。子どもの頃からアメフトが大好きな須王友美は、できることなら男としてフィールドに立ち、肉弾相打つ激しいプレーをしてみたいと思っていた。チアリーディングをしているのも、いつの日か、義兄・獅子丸が逞しいアメフト選手として日本に戻ってきたときに、彼を応援したいがため。そんな須王友美がディスコで一目惚れした相手は、アメリカへ留学したまま音信不通となっていた義兄・獅子丸だった。チアガールとしてアメフト選手となった彼を応援する日を夢見ていた須王友美は、動揺を隠せない。この出来事を機に、須王友美の周辺は一気に慌ただしくなっていく。

競技としてのチアリーディングは、見かけの華やかさとは裏腹に、かなりハードなスポーツだ。スタンツという組み技では、支える側には筋力、上に立つ側には優れたバランス感覚が要求される。宙返りのようなアクロバティックな技も多い。本作で扱うのは本格的な競技とは一線を画した、チアリーディングを元に考案された「はりきりチアーズ」と呼ばれるエクササイズである。「はりきりチアーズ」の受講生は、年齢や体型が理由で一般的なスポーツジムのプログラムには馴染めなかった人が多い。そのため、「はりきりチアーズ」は他プログラムの受講生からの風当たりが強い。山田桃子は、そんな風当たりに挫けることなく、精一杯の明るさで受講生を導いていく。

チアリーディングチームにおいて、男性の存在は重要である。チアリーディングには人を持ち上げたり飛ばしたりする技が多く、筋力に優れた男性がチームにいると、難易度の高い技を成功させやすくなるのだ。本作の主人公・春野凛太郎は、そんな男子チアリーダーの1人。高校入学後、意気揚々とチアリーディング部を訪れた春野凛太郎だが、彼を待っていたのは予想外の展開だった。3年生の厳しい姿勢に耐えかねた下級生の退部が相次ぎ、残ったのは部長・沢渡沙穂ただ1人。チアリーディング部は、廃部の危機に瀕していた。しかし、春野凛太郎はそんな状況にもめげず、沢渡沙穂を励ましつつ、新入部員を獲得するために奮闘していく。

主人公・坂東晴希たちが結成するチアリ―ディングチームは、男子のみで構成された珍しいものだ。坂東晴希がチアリーディングを始めるきっかけとなったのは、親友・橋本一馬の誘いだった。尊敬する姉・晴子からたびたび言われてきた「ハルの応援にはパワーがある」という言葉も後押しとなり、坂東晴希はチアリーディングに本気で取り組むことを決意する。2人だけでチアリーディングを始めた坂東晴希と橋本一馬のもとに、個性的なメンバーが続々と集結。男子のみのチアリーディングチーム「BREAKERS」が結成されることとなる。本作は、原作者・朝井リョウの母校に存在する男子チアリーディングチームが着想の元となった、正統派の熱血青春スポーツ漫画だ。