王様の仕立て屋~サルト・フィニート~

王様の仕立て屋~サルト・フィニート~

大河原遁の『王様の仕立て屋』シリーズ第1作。ナポリに住むオーダーメイド専門の仕立て屋、織部悠の活躍を描く。紳士服のコーディネートや、時計などの周辺アイテム、歴史などの蘊蓄も絡めて紹介していく。

正式名称
王様の仕立て屋~サルト・フィニート~
ふりがな
おうさまのしたてや さるとふぃにーと
作者
ジャンル
服飾・ファッション
関連商品
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概要・あらすじ

イタリア・ナポリの泥棒市に住む織部悠。「ミケランジェロ」と呼ばれた伝説の仕立て屋「マリオ・サントリヨ」の唯一の弟子である彼の元には今日も奇妙な依頼がやってくる。他では出来ない超特急の仕立てを武器に仕事をこなす織部。その腕に業界の各方面から注目が集まり、英国やフランスなど海外にも招かれ、その腕を振るうのだった。

登場人物・キャラクター

織部 悠 (おりべ ゆう)

「ミケランジェロ」と称賛されたナポリの伝説の仕立て屋、マリオ・サントリヨが唯一認めた弟子。性格は偏屈だが、その腕はもはや神の域。ナポリの泥棒市で師匠の借金を引き継ぎ、返済を続けている。特に店を持たず、ジラソーレ等の特急仕事を高額で受けていたが、ペッツオーリの日本進出に伴い青山店にアドバイザーとして着任。 他にもロンドンやパリ、アメリカ、スイスなどを巡っている。後にペリーニ伯爵の支援でナポリにサルトリア・オリベを開く。実家は東京の下町で自転車屋を経営。口調は江戸弁。

マルコ・ジュリアーニ

ナポリ市内で靴磨き職人をしている少年。長年の靴磨きで培った皮を見る目と知識は本物。靴の牛革が生前何を食べていたかも当てられる。現在は靴職人ペピーノ親方の下で見習いをしつつ、織部悠の部屋に居候している。織部曰く「小動物」料理好き。

セルジュ・リヴァル

パリの名門ブランド、リヴァルの総帥の二男。自身はモデルだった。厳しい父の工房で修業させられそうになり、織部悠の所へ修業にやってきた。しかし、織部によってナポリの技術を徹底的に仕込まれたため、フランスの技術を身につけることが難しくなり、アラン・リヴァルの工房へ入ることはできなくなった。 最終的にはブランドのデザイナーとして独立することを視野に入れて特訓中。エレナ・フォルミキーニに惚れている。

ラウラ・フォンターナ

アンドレア・フォンターナの娘で、ジャコモ・ペッツオーリが次代の職人を育成する目的で設立した服飾教室で仕立ての英才教育を叩き込まれた天才少女。髪型はツインテール。事あるごとに織部悠をライバル視し、度々勝負を挑んでいる。一時はジラソーレ社に押し掛け、ユーリア・ペルッツィの元に居候してたが辞職して、マリオ親方の兄弟子、カサルヌォボのビアッジォ親方に弟子入り。 親方から散々メイド服を着せられ、名物ウェイトレスになる。後にジラソーレ社第二開発課に所属。織部と共に世界を巡ることになった。

ユーリア・ペルッツィ

ジラソーレ社の社長。一流ブランド・ペッツオーリの総帥の娘。仕事で多忙な父が母の最期に現れなかったことから、父娘の確執が生まれる。 ジャコモ・ペッツオーリへの対抗意識は強く、時に判断を誤ることも。仕事中はクールだが酔うとだらしなく、度々マリエッタ・カルドゥッチの世話になっている。 胸はGカップ。

マリエッタ・カルドゥッチ

ジラソーレ社の社長第一秘書。当初は副社長だったが、ナポリ進出の際に第一秘書となる。創業時に管理能力を認められ、ユーリア・ペルッツィの右腕として事業に引っ張りこまれた。常にユーリアをフォローし、暴走するとプロレス技をかけたりする。文学少女で、幅広いジャンルの本を読んでいる。 ジラソーレ創立メンバーの一人。

アンナ・ミノッティ

ジラソーレ社の総務課に所属。童顔のため初対面のラウラ・フォンターナに中学生に間違えられるほど。会社の危機に、自分の首を賭けて織部悠に協力を依頼するなど、ここ一番の行動力と意志の強さはある。ジラソーレ創立メンバーの一人。

コンスタンツェ・ゼルビーニ

ジラソーレ社の社員。ジェノバ海運王のお嬢様で、ジラソーレ社の筆頭株主だったが、後に兄に抜かれ二位の株主に。何気にセレブな生活をしているが、ジラソーレの経営に注力し結婚を考えないので、父親から花嫁修業として箱根の旅館で強制的に仲居をさせられた。ジラソーレ創立メンバーの一人。

ソフィア・ドルチーノ

ジラソーレ社ナポリ支店店所属。ショートカットの長身。スタイルがいいため、エレナ・フォルミキーニやサンドラ・デストーニと共にモデルをすることもある。元はフィレンツェで教会のシスターをしていた。ジラソーレ創立メンバーの一人。

モニカ・マルピーギ

ジラソーレ社ナポリ支店所属。スリや窃盗の前科持ち。更生施設で服飾の資格を取ってフィレンツェの大学でユーリア・ペルッツィたちと出会う。身のこなしが軽く、手先も起用で、手品のアシスタントに起用されたこともある。ジラソーレ創立メンバーの一人。

サンドラ・デストーニ

ジラソーレ社の副社長で、フィレンツェ支店店長を兼任。元はチーフデザイナー。フィレンツェ出身。黒人とトスカーナ人のハーフ。ユーリアユーリア・ペルッツィには内緒でペッツオーリとジラソーレの提携を進め、結果的に内紛を起こしてしまう。その際に織部悠をスカウトしようとベアトリーチェ・パスコリを日本に送り込む。 ジラソーレ創立メンバーの一人。

ベアトリーチェ・パスコリ

ジラソーレ社フィレンツェ支店でサンドラ・デストーニの補佐をしている。東京まで織部悠をスカウトしにやってきた。元経済学部でジラソーレの金庫番。ヴェネツィア出身。性格は腹黒で策士。非合法スレスレの方法で織部に仕事を強要する。ジラソーレ創立メンバーの一人。

エレナ・フォルミキーニ

ジラソーレ社パリ支店長。大学は首席で卒業、スポーツはテニス、乗馬、ゴルフ、ダンスをこなし、上流階級のマナーやにも精通、ピアノも料理も玄人はだし。男より出しゃばる事はせず一途に尽くすタイプ。非の打ちどころが無いため、並の男が付き合うと劣等感を抱き結局破局するらしい。織部悠 に告白するが振られる。 ジラソーレ創立メンバーの一人。

ヴィレッダ・インパラート

ペピーノ親方の元へ弟子入りした、元修復職人。マルコ・ジュリアーニの妹弟子にあたる。美術品やアンティーク、歴史などにも造詣が深く海外へ行くたびにマルコと共に名所旧跡、古美術や伝統工芸などを積極的に見て回る。 織部悠曰く、「物知りねーちゃん」。後にジラソーレ社第二開発課所属となる。

イザベッラ・ベリーニ

ベリーニ伯爵の愛娘。実家の影響で幅広い人脈を持つ。カルロ・スパランツァーニと交際中だが、多忙なカルロとはすれ違いも多く時にはケンカもするが、彼の活躍を暖かく見守っている。訪日した際に秋葉原のオタク文化の洗礼を受け、ショックを受けるが次第にそちらの趣味も持つようになる。 ジラソーレ社第二開発課所属。

ジャコモ・ペッツオーリ

ミラノ貴族ペッツオーリ家の流れを組む億万長者にして超一流デザイナー。ユーリア・ペルッツィの父。生前のマリオ・サントリヨに一時期弟子入りしており、織部悠は兄弟子に当たる。マリオ親方の死後も、借金を引き継いだ織部の保証人になり、仕事を斡旋するなど関係は続いている。 妻の死に立ち会えなかったことからユーリアに怨まれているのは知っているが娘には変わらぬ愛情を注ぎ、ジラソーレ社と競合する分野への進出を控えるなど間接的な協力をしている。

アンドレア・フォンターナ

ペッツオーリ社のスーツ部統括だったが、後に日本支店の支店長となる。ラウラ・フォンターナの父。かつては貴族の元で服を仕立ててきた一族。ジャコモ・ペッツオーリとユーリア・ペルッツィが不仲で、事実上後継者がいないのをいいことに、才能のあるラウラ・フォンターナを送り込み牛耳ろうという野望を持つが、悲しい程に小物。

ピアッジオ親方 (ぴあっじおおやかた)

マリオ・サントリヨ親方の兄弟子。礼服をフルオーダーで作れる稀有な職人。現在はカサルヌオボに引退し、息子の経営するパスタ問屋の副業食堂にいるが、織部悠の下職などを受けるなど現役。ラウラ・フォンターナにメイド服はじめきわどいコスチュームを着せた張本人。

ペピーノ親方 (ぺぴーのおやかた)

ナポリの靴職人。靴マニアにも知られた有名職人。マルコ・サントリヨとヴィレッダ・インパラートの師匠で、靴に限らず革の見立ても一流。

ニコラ・ロンギ

トスカーナ貴族スパランツァーニ家に仕える執事。没落したカルロ・スパランツァーニに最後までつき従う3代続いた執事の家系。登場する際には「ひかえおろう庶民!!」というのがお約束。

カルロ・スパランツァーニ

トスカーナ貴族、スパランツァーニ男爵家の第十五代当主。イザベッラ・ベリーニとは大学乗馬クラブのOB会で出会い、交際を始める。先代で没落していたが、ベリーニ伯爵の紹介で貿易会社の通訳として採用され、世界各地を回る忙しい生活を送っている。

ベリーニ伯爵 (べりーにはくしゃく)

イザベッラ・ベリーニの父親。ナポリ貴族で地元でも有名な実業家。イタリア文化の保護、育成にも尽力する洒落者でもあり、多方面へパトロンとして顔が効くが、審美眼は厳しい。公明正大なところから、数々の勝負の判定員として登場する。

ボンピエリ

辛口で有名な服飾評論家で、世界中のブランドに影響力を持つ。ミラノ貴族の末裔。

チャールズ・エバンス

ロンドンの石油王。女癖が悪く、過去に3回離婚している。一度はラウラ・フォンターナに惚れ、彼女のブランドの出資者として口説こうとするが、ファッションのセンスを見抜かれ失敗。その後もエレナ・フォルミキーニを巡ってシモーネ・アゴスティと張り合うなど、女性絡みで度々登場するプレイボーイ。

アラン・リヴァル

セルジュ・リヴァル、エリック・リヴァルの父。パリのモードブランド・リヴァルの総帥。フランスに生まれ、画家を志してパリに出るも失敗。その後服飾デザインで成功し、一大ブランドを築き上げる。数々の挫折も経験しているため、ライバルや同業者への敵対心は凄まじく苛烈を極める。 自らの叩き上げでやってきたため周囲へも厳しく当たり、例え息子であっても容赦はしない。そのため、実力を認められないセルジュがリヴァルを離れ、ギルレーズ・ハウスの裁断師となる。

シモーネ・アゴスティ

ジェノバ造船業アゴスティグループの次期総帥候補。プライドが高く、何事も金で解決しようとする無粋者。父親からもあまりの放蕩息子っぷりに手を焼いており、海軍や空軍などに送り込まれている。通称「白鳥さん」。

マダム・ロスタン

パリ屈指の高級紳士服ブランド・ロスタンの創設者。フランスファッション界の最長老。元々はシチリアの針子から身を起こし、フランスに嫁いだ。

クラリッサ・レオーネ

ジラソーレ社ロンドン支店長。実家が街のテーラーだったので、幼い頃から裁縫道具に囲まれて育つ。ジラソーレ創立メンバーの中では、唯一プロの現場を知っている職人。実はメガネっ娘で、普段は見せないようにしていた。

ジューリア・ヴィスコンティ

ジラソーレ社海外営業担当。ロンドン支社所属。ポニーテールと八重歯が目印。常にハイテンションで周囲を巻き込み行動する。ジラソーレ創立メンバーの一人。

エリック・リヴァル

フランス出身。リヴァル総帥アラン・リヴァルの息子でセルジュ・リヴァルの兄。父の下では実力を認められないことからハリー・ベーコンによるギルレーズ・ハウス分裂騒動に乗り、ギルレーズ・ハウス新店の裁断師となる。

フェデリカ・テッサリーニ

ジラソーレ社ニューヨーク支店長。イタリア生まれのアメリカ育ち。姉御肌で豪快な性格。ベアトリーチェ・パスコリと同じゼミの出身。ジラソーレ創立メンバーの一人。

ロドリーゴ

ナポリ旧市街に住むパンツ専門の職人。40近いがアイドルを目指している。フェデリカ・テッサリーニの依頼で織部悠やラウラ・フォンターナたちと共に渡米し、ゴールドバーグ監督の映画の主演にキャスティングされる。通称「船長」。

エミリア・フォンターナ

ラウラ・フォンターナの母。ミラノのファッション雑誌の敏腕記者。バカンス中のジャコモ・ペッツオーリの後を追って日本へ向かうなど、ファッション界の動向を追ってほとんど家には戻っていない。

マリオ・サントリヨ

織部悠の師匠に当たる職人。かつてナポリ中の“極めし職人(サルト・フィニート)”から一目置かれた仕立て屋。「ミケランジェロ」と呼ばれる程の凄腕。18歳で弟子入りした織部をサンタ・マリア・デッレ・アニメ教会で骸骨磨きの修業をさせた。腕はいいが金勘定が大雑把で、仕事の代金を踏み倒されたり、気が乗らず途中で投げ出すことも。 高級生地を扱っていたこともあって、カモッラなどからの借金は膨大な金額になるが、クモ膜下出血で入院。親方の借金を引き継ぎ、さらにカモッラから手術代と入院費を借りたことにより織部の借金は約1億円となる。

集団・組織

ジラソーレ社 (じらそーれしゃ)

『王様の仕立て屋 サルト・フィニート』に登場する企業。近年急成長をした若者向けカジュアル服ブランド。元々はフィレンツェの女子大生サークルが、バザーで自作の服を売ったことから始まった。世界各都市に支店を持つ。当初ナポリに店を構え、高級生地を買い占めたことから織部悠と因縁を結ぶ。ジラソーレとはイタリア語で「ひまわり」の意味。

クレジット

監修

片瀬 平太

続編

王様の仕立て屋~サルトリア・ナポレターナ~ (おうさまのしたてや さるとりあ なぽれたーな)

大河原遁の『王様の仕立て屋』シリーズ第2作。伝説の仕立て職人の弟子織部悠がイタリア、ナポリに開いた仕立屋サルトリア・オリベの仕事を通して、客の抱える悩みを解決するヒューマンドラマ。ストーリーは短編と長... 関連ページ:王様の仕立て屋~サルトリア・ナポレターナ~

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