あらすじ
第1巻
中小企業の営業を務める会社員の佐藤祐介は、会社ではそれなりに体裁を保っているが、休日はもっぱら自宅でゲームが趣味のリアルオタク。服には無頓着で、部屋着も外出着もない状態で過ごしていた。そんなある日、祐介は小学校時代の同級生、小田達と、同窓会の打ち合わせと称して食事に行く事になった。パーカーにジーンズと、いつもと何ら変わらない服装で向かった祐介は、おしゃれな服に身を包んだ、大人の格好の友人達と再会する。(#01)
祐介は、久々に再会した友人達が、年相応にきちんとした服に身を包んでいた事にショックを受け、自分の服装に疑問を持ち始めた。しかし、ファッションの基本もわからず、お金もない事で祐介はすっかりしょげてしまう。そんな兄の様子を見かねた妹の佐藤環は、自分がファッションを教えてあげると提案。まずその第1段階をクリアするため、いっしょに服を買いに行こうと声を掛ける。ファッションに対してネガティブになりすぎている祐介は、「服を買いに行く服がない」の決まり文句でこれを断固拒否。そんな祐介でも、気負わないショップがあると環が連れて行ったのは、「ユニクロ」だった。(#02)
小田達との食事から帰宅した祐介は、満面の笑みでご機嫌な様子。何があったのか環が尋ねると、先日「ユニクロ」で購入したばかりの黒の「スキニーフィット テーパードジーンズ」を履いて行ったところ、友人達から褒められたというのだ。すっかり気をよくした祐介は、まったく同じものを再度購入して帰宅。シャワーを浴びたあとも部屋で同じジーンズを履き始めてしまう。また、テレビを見てカラフルな服にも興味を持つなど、服を着る楽しさを知り、すっかり暴走気味の祐介の様子に、少々心配になった環は、服の方向性を再度確認。まずは大人の男性として、モノトーンを大切にする事から始めようと改めて提案する。(#03)
祐介が仕事帰りにコンビニエンスストアに寄った時の事。見覚えのある「ユニクロ」の「スキニーフィット テーパードジーンズ」を履いている男性客を見つけた祐介は、彼が自分と同じものを履いていながら、自分よりもかっこよく着こなしている事に疑問を持った。帰宅して環に相談すると、その理由が足元にある事が判明。週末に二人で靴屋を訪れ、黒い靴下と「コンバース」の真っ黒スニーカーを購入する。(#04)
月に一度の給料日を迎えた祐介は、環とケンカ中だった事もあり、一人で服を買いにやって来た。新しい服であふれる売り場にテンションが上がったものの、店員とのやりとりが非常に苦手な祐介は、声を掛けられて逃げ出してしまう。しかし、環からの助言を思い出した祐介は、店員からアドバイスをもらうべく、好みのショップに入って再チャレンジ。その後、大量の服を購入し帰宅した祐介は、一人でも何も問題がなかったと、自信満々に買ってきた服を環に見せる。しかし、そこには合わせるのが難しそうな個性的すぎるアイテムばかりがあった。店員からのセールストークに惑わされ、コーディネイトを考えて本当に自分がほしいと思ったものを購入する事ができなかった祐介は、環からの言葉にすっかり落ち込んでしまう。(#05)
先日の大失敗の買い物の中で、1点だけ大成功の品だと環から褒められた黒の「イージージャケット」。これを同窓会に着て行く事に決めた祐介は、インナーに何を着るべきか悩み始めた。環の助言に従って、カットソーを探す事になった祐介だったが、家にあるものは古びた形の悪いものばかり。改めて購入する事に決めたのは、無地で白い、シルエットの綺麗な細身のカットソー。インターネットで探した結果、環が選んだのは「ヘインズ」の「ジャパンフィット クルーネックTシャツ」だった。(#06)
同窓会を翌日に控え、着て行く服の最終チェックに余念がない祐介は、リビングの床に服を置き、状態を確認していた。帰宅した環は、そんな兄の様子を見て、明日持って行く鞄について話を始める。必要な物はポケットに入れて、手ぶらで行く予定にしていた祐介だったが、物をポケットに入れすぎるとせっかくシルエットの綺麗な服を選んでも、形が崩れて台無しになってしまう。そのうえ、祐介が持っているバッグでは大きすぎて、服に影響が出てしまう。これを避けるためにと環が用意したのは、自分が持っている女性物のバッグだった。(#07)
とうとう同窓会の日を迎えた祐介は、予定通りの服に身を包み、会場へと向かった。そこでは、同級生をはじめ、先生までも祐介の装いに肯定的な意見があふれた。嬉しくなった祐介だったが、自分の服が「ユニクロ」である事を明かすと、同級生の一人から、「ユニクロ」の服を否定されてしまう。落ち込む祐介だったが、出かける前に環が言った言葉と、小田からの理解ある言葉に救われ、自分のファッションに自信を取り戻す事になる。(#08)
第2巻
佐藤祐介は、同窓会で再会した樋口リカに苦手意識を持っていた。中学生の頃、ファッションについて全力でダメ出しされた事があったからだ。大人になっても相変わらず思った事をそのまま口にするリカの姿に、昔と変わっていない事を確認すると、祐介は改めて腰が引けてしまう。そんなある日、買い物に出た先で、祐介は偶然にもリカに遭遇する。そこでファッションに対する思いを口にしたリカに、祐介が自分もそうなりたいと感心していると、祐介の服好きを見抜いたリカが、これから買い物に付き合ってほしいと誘い、いっしょにショッピングへと繰り出す事になる。(#09、#10)
最近すっかり肌寒くなってきた事を受け、秋物のアウターを購入する事にした祐介は、妹の佐藤環に付き合ってもらい、買い物に行く事にした。目当てのアウターは「MA-1」。細身のシルエットが気に入り、価格帯も問題ない「アーバンリサーチ」の物を購入。着て帰る事にした祐介だったが、ショーウインドウに写った自分の姿を見て、違和感を感じる。それは、胴長短足の日本人たる宿命、タイトな服を着ると頭の大きさが強調されてしまう事だった。(#11)
田舎にいる母親が体調を崩した事で、環が助っ人として両親のもとへ向かう事になった。そのあいだ、一人で生活する事になった祐介は、何の問題もないと高を括り、翌日仕事が休みなのをいい事に、好きなものを好きなだけ食べて朝までゲーム三昧の、だらけた時間を過ごす。すべての家事を担っていた環がいない事で、汚れ放題になっている事に気づいた祐介は、自分にも洗濯くらいできると適当に服を放り込み、洗濯機を回す。しかし回り終わった洗濯機から出てきたのは、ヨレヨレになった服だった。困った祐介は環に連絡を取り、洗濯に関して改めて教えを乞う。(#12)
冬を迎え、本格的な寒さが身に染みるようになった。スーツ用のコートをダメにしてしまった祐介は、新たにコートを購入する事を考えていたものの、どんなコートを買っていいのか決まらない。環が不在中で相談する事もできないため、買い渋っていた。そんな折、偶然連絡をくれたリカと食事をしに行く事になり、アウターの事を口にすると、リカが相談に乗ってくれる事になった。ある程度方向性を決めたうえで、翌日いっしょにショッピングに出かける事にした二人は、ステンカラーコートとチェスターコートで悩み、ショップ店員の新宿の洋服屋の店員からの助言を受けて、チェスターコートを購入する事に決めた。しかし、残念ながらサイズの合うものが売り切れ。祐介は日を改めてオンライン通販で購入する事にし、購入の手助けをしてもらうためにリカを自宅に招く。(#13、#14)
田舎の両親のもとに行っていた環がしばらくぶりに自宅に戻ると、なんだか家の様子がおかしい事に気づく。あったはずのゲーム機はすべてなくなっていて、大量の段ボールの束があるのだ。帰宅した祐介は、金欠でゲーム機を売った事を告白する。しかし、金欠で昼食も食べていない状態なのに、宅配便で洋服が届く状況に、違和感を感じた環が祐介の部屋を確認すると、そこには新品の服が大量に置かれ、しかもブランド物の服ばかり。驚いた環が話を聞くと、祐介は同窓会で再会した友人のリカの影響だった事を明かす。環は、祐介が夢中になりすぎるあまり、自分が見えなくなっている事を指摘し、改めて自分をコントロールするように促した。そんな中、祐介のもとにリカからショッピングのお誘いメールが来た事を知った環は、誘いに応じるか悩む兄に、自分もいっしょに行くと告げる。二人の待ち合わせに同行した環は、リカの存在が兄をおかしくしたとして、リカを警戒。彼女がどこかのショップ店員で、兄を顧客としてカモにし、引き込もうとしていると勘違いし、祐介を解放してほしいと話し始める。(#15、#16)
第3巻
ある日、佐藤祐介が書店で再会したのは、高校時代の友人、高田だった。高田は、急におしゃれになった祐介の姿を見て、自分にも祐介が着ているような服について教えてほしいと話し、「ユニクロ」の「スキニーフィットテーパードジーンズ」を勧めてもらった。しかし後日、祐介は教えたアイテムが体形に合わず、履く事ができないと、キレた高田から連絡をもらう。祐介は改めて体系の悩みに対応できるアイテムについて、妹の佐藤環から助言を受け、高田といっしょに「ジーンズメイト」へと向かう。(#17)
ファッションの世界に華やかな色があふれ、季節は春を迎えようとしていた。祐介は、浮足立つ環から華やかな色の服を勧められ、すっかり混乱を来してしまう。今まで大人ファッションの基本として叩き込まれてきた「モノトーン」の理念が崩されてしまったからだ。大混乱の祐介を見て、環が提案してきたのが「差し色」。持っているモノトーンの服に、春らしいペールカラーのアイテムを合わせる事で、春らしさを意識したコーディネイトを試みる。(#18)
季節は春本番を迎えた。先日、春物として購入したシャツと靴下だけで春を乗り切るのは難しいと考えた祐介だったが、何か買おうにも先立つ物がない状態。お金さえあればと嘆く兄に、環はお金だけが問題ではないと諭し、自分の持っている服を把握するためにも衣替えをしようと提案する。祐介は、おしゃれを知る前の変な服を含め、持っている物で何とかしようと服の整理を始めた。環はそんな祐介に、改めて基本の話を持ち掛け、「ハイゲージカーディガン」を使った春の基本スタイルを提案する。(#19)
ある日環は、駅で見かけた女性が着ていたミリタリージャケットが気になった。話を聞きかじってなんとかゲットしたワードを祐介に頼んで検索し、たどり着いたのは、御徒町にあるミリタリーショップ「中田商店」だった。さっそくお店に足を運んだ環と祐介は、そこで、以前祐介がコートを購入する際に世話になった新宿の洋服屋の店員と偶然遭遇。ミリタリーファッション初心者の祐介は、ミリタリーアイテムについてレクチャーを受ける。(#20)
先日購入したミリタリージャケットに合わせるボトムを探っていた祐介は、手持ちのズボンを片っ端から履いてみては、ジャケットに合うかどうか確かめていた。そんな中で、意外にも礼服用のスラックスがジャケットと合う事が判明。環の提案で礼服の代わりになる普段着用のスラックスを購入しに行く事になった。最初に訪れたのは「グリーンレーベルリラクシング」。そこで試着した「9分丈パンツ」のよさを実感した祐介に、環がもう一つ提案してきたのは、「ユニクロ」のレディースのスラックスだった。(#21)
ある日、祐介はおかしなテンションで帰宅した。それは、ボーナスが出た事で喜びを全身で表していたからだ。せっかくまとまったお金が入ったからと、服も少しいいアイテムを買ってみようかという気になった祐介は、環と相談したうえで革靴を購入する事に決めた。私服用で手ごろな価格の革靴を探しに下北沢へやって来た祐介は、環から「パドローネ」のダンスシューズを勧められる。(#22)
祐介と環、樋口リカの三人は、ハイブランドのショップを見て回る定例見学会のため、表参道にやって来た。夏のファッションには特に手首のアクセサリーが重要になる事を聞かされた祐介だったが、ショップを見て回ってもアクセサリーを身につける勇気がない。そんな祐介にリカが勧めたのは、腕時計だった。リカに連れられて機械式腕時計の店にやって来た祐介と環は、到底買えない価格帯に驚きを隠せず、すっかり尻込みしてしまう。(#23)
雨の日、祐介と環は暑いシーズンのコーディネイトについて話し合っていた。おしゃれに見えるプリントTシャツを選ぶ基準や、Tシャツに合わせるパンツやサンダルなど、実際に着てみてトータルで合わせてみた祐介だったが、環から物足りなさを指摘される。そこで環が提案したのは「ハット」だった。帽子は似合わないからと断固拒否する祐介に、環は帽子をおしゃれにかぶるコツをレクチャーし、アクセサリーを身につけない分、手ごろな帽子を一つ購入するように勧める。(#24)
第4巻
ある日突然、佐藤祐介と佐藤環の家を訪れたのは、いとこの圭だった。彼は、おしゃれな服を購入したいと、アルバイトでお金を貯めて新潟から上京したのだ。母親からの差し金で、しばらくのあいだ圭を家に泊め、祐介と環は服についてのアドバイスをする事になった。まずはファッション雑誌でチェックして来たという、圭お目当てのブランドのショップへ足を運ぶ事にした三人だったが、実際に見ても今一つピンと来ない様子の圭。それを見た環は、改めてどんな時に着る服がほしいのかを確認する。着回しのきく服がほしいという事で、とりあえず「ユニクロ」に足を運ぶ事になる。(#25、#26)
祐介は、会社でクールビズの指示が出たため、そのコーディネイトについて環と圭と三人で考え始めた。クールビズとは言っても、会社ごとに違うルールがあるため、それを守って、考える事が重要。商社の営業を務める祐介の場合は、下はスラックスのまま、ノーネクタイとノージャケットという決まりのもとで、選ぶ必要があった。そこで買い物に繰り出した三人が目を止めたのは「ポロシャツ」。環はクールビズでポロシャツを選ぶ際の注意点について話す。(#27)
週末、用事でいっしょに外出できない祐介の代わりにと、環が声を掛けたのは、樋口リカだった。環と圭とリカは、三人で服を見にショッピングに出かけたが、これまでファストファッションメインで選んできた圭の様子を見て、リカが、自分で選んだ好きなアイテムを一つ身につける事を提案。そのためには、他人とかぶらないブランド物がいいのではとショップ巡りを始める。あまりに高級な価格帯に、尻込みしてしまった圭だったが、リカはこれも勉強とばかりに高級店を練り歩く。その後、ようやく手ごろで汎用性の高いアイテムを見始めた矢先、圭は「ダニエルウェリントン」の腕時計に出会う。(#28)
まだ暑さが続く夏休みのある日、圭は道行く人が大きなショッパーバッグを持っている事に気づいた。環はそれを冬用のコートではないかと予想。思いがけない言葉に驚く圭と祐介だったが、環の「実は今が買い時」という言葉に、アウターを探しに行ってみる事にした。環がお勧めしたのは、夏以外の3シーズンで着回しが利くというダウンベスト。圭達は、手ごろなダウンを探すために、いくつかのショップを見て回る事にした。(#29)
買い物から帰宅して、知人のSNSをチェックしていた圭を見た祐介は、それが圭の片思いの相手だと知る。しかし、コンプレックスの塊の圭は、イケメンでもない、おしゃれでもない事を気にしていた。さりげないおしゃれができる彼女には、自分など到底釣り合わないと、すっかり落ち込んでしまった圭を見かねた環は、彼の気持ちを汲んだうえで、顔の印象を変えるアイテムとして、眼鏡を買いに出かける。(#30)
環は、圭の片思いの相手について、これでもかと細かい情報を聞き始めた。それは、興味本位ではなく、圭の服を選ぶうえで、目的が変わる重要な事だったからだ。ベーシックなおしゃれを目指しつつ、女子ウケを狙う要素を入れる事にした環は、ドレスとカジュアルのバランスを取るために、上半身にドレス要素を持ってくる事を提案。目当てのアイテムを購入するために、「ユニクロ」に足を運ぶ。(#31)
圭が上京して1か月が経過し、とうとう新潟へ帰る事になった。バスで帰る圭を見送りに来た祐介と環は、空き時間に購入したストールを圭にプレゼントし、服を楽しんで着る事を伝えた。新潟に帰り、買い込んだ服を着て大学に向かった圭は、そこで片思いの相手に遭遇。彼女は圭の変化にいち早く気づき、声を掛けてくれた事に圭は喜びを隠せない。(#32)
第5巻
ある日、佐藤祐介のもとに大学時代の友人、坂田から結婚のお知らせが届く。2次会への招待状には、ドレスコードの指定があり、その内容は「スマートカジュアル」。初めての事に困惑した祐介は、樋口リカと、妹の佐藤環に相談し、とりあえず手持ちのビジネススーツにTシャツを合わせる事で対応してみる事にした。しかし実際に着てみると、何だか拭えない違和感がある事に気づく。祐介と環は、改めてスーツを見に買い物へと出かけた。その先で、偶然にも新宿の洋服屋の店員に遭遇。事と次第を説明すると、それならばビジネススーツではなく、上下合わせて着る「セットアップ」の方がいいとアドバイスを受け、彼のお勧めの店に向かう。(#33、#34)
祐介は環との買い物の帰り、偶然友人の大林と遭遇した。話題はもちろん共通の友人、坂田の結婚の事。2次会に着て行く服について話が及んだ時、身長が低い事にコンプレックスを抱いている大林は、いつも丈が余り、似合う服がないと愚痴をこぼし始める。そんな大林の気持ちがわかると祐介が同調してみせると、今度はお前に何がわかるとキレ始めた。そんな大林をなだめつつ、場所を移した祐介達は、ネガティブになっている大林に、ファッションに大切なコーディネイトの事を話し、いっしょにショッピングへと向かう事にした。(#35)
すっかり外が春めいた頃、気づけば外を歩く人は季節の変化を鋭く察知し、春服を着ている人が大半となっていた。そして季節だけでなく、トレンドにも大きな変化が起きつつあった。それは、「ビッグシルエット」。「ビッグシルエット=カジュアル」と思い込んでいた祐介の勘違いに気づいた環は、それを訂正しようとするが、なかなかうまく伝わらない。祐介は、環の話から、自分が教わってきた「ドレスとカジュアルのバランス」にプラスして、「ハイブリッド」が存在する事を新たに知る。(#36)
祐介は、最近流行のビッグシルエットの服は、自分よりもっと若い年齢層の人が着る印象を持っており、それを自分が着る事に関して、どうしても受け入れがたい思いを持っていた。それに対して環は、柔軟な考え方で、何でも率先して楽しもうとしていたが、実は最近おやつの食べ過ぎで太ってしまった事を告白する。そんな二人がやって来たのは、定番の「ユニクロ」。ビッグシルエットの服に抵抗のある祐介にも、太ってしまった環の体形隠しにも、使いやすいアイテムが揃うユニクロで、さまざまなタイプの服に出会う。(#37)
週末、大林と買い物中だった祐介は、共通の友人である吉田と井上に合流する事になった。吉田は太っている事で、井上は痩せすぎている事で、普段着選びに苦労している事を知り、祐介は、こっそり環の力を借り、二人の服選びの力になってあげる事にした。まったく真逆の悩みを持つ二人だが、服選びに共通してアドバイスできる事は、「ジャストサイズを選ばない事」だった。それをもとに、吉田には体を細く見せるために、井上には痩せている体形をカバーするために、1サイズ以上大きいサイズを選ぶコツをレクチャーする。(#38)
いっしょに出かける環を迎えに、祐介の自宅にやって来たリカが着ていたのは、虎の刺繡が施されたスカジャンだった。リカの姿に驚いた祐介は、スカジャンを馬鹿にしてしまうが、外に出てみて初めてスカジャンが流行している事を実感する。あまりにも派手なうえ、高価なスカジャンに、どうしても尻込みしてしまう祐介に、環は「GU」の「サテンブルゾン」を勧める。(#39)
結婚式の2次会当日。ドレスコードの最終確認をした祐介は、もらったメールのドレスコードに続きがある事に気づく。続きに記されていたのは、「赤いアイテム」。すっかり動揺してしまった祐介を見た環は、夕方からの2次会に備え、これから赤いアイテムを購入しに行こうと祐介を買い物に連れ出した。今月はもうお金に余裕がないと言い張る祐介に、環が勧めたのは、「GU」の赤いスカーフだった。(#40)
第6巻
佐藤祐介は、会社を挙げての花見の席で、受付嬢の斉藤美和から自分のファッションが無難で地味である事を指摘され、すっかり落ち込み、自信を失くしてしまった。妹の佐藤環からの言葉に、少し気持ちが楽になったものの、いつも同じような事で落ち込み、ざわついた心のままでいる自分にひっかかりを感じた祐介は、これを機に変わる事を決意する。無難からの脱却を図ろうと、祐介は幅広いブランドを網羅する樋口リカに声を掛けて、銀座にショッピングに出かけた。祐介の目当ては、普段の服にプラスするための「安価ではなく、無難ではないもの」。鞄や靴下、スカーフにブレスレットなど、さまざまな物を見て歩き、自分ならではのスタイルを見つけるべく、祐介は取り入れる物を真剣に吟味していく。(#41、#42)
環は、「値段が高いもの=質のいいもの」という祐介の考え方に、待ったをかけた。混乱する祐介に対して、環は、ファストファッションが安くなる理屈を改めて説明したうえで、「ユニクロ」がファストファッションに分類されない事を明かす。そこで新たに登場するワードが「スローファッション」。環は、ファストファッションとスローファッション、ハイブランドの三つが、それぞれに違う役割を担っており、その中から上手に選ぶ事の大切さについて語る。(#43)
祐介は環といっしょに、究極のシンプルを意味する「ノームコア」脱却のために取り入れるトレンド品を探しに行く事になった。しかし祐介は、自分がトレンド品を身につける事に抵抗を感じていた。それを知った環は、祐介が「トレンド」という言葉を間違って理解している事に気づき、改めてトレンドとは何かを説明する。そのうえで二人が訪れたのは「ZARA」と「GU」。祐介は、ベーシックなコーディネイトに合わせる思い切ったアイテムを購入し、新しい自分にチャレンジする。(#44)
ある日祐介は、街中で会社の先輩、山本に偶然会った。私服の山本は、ラフなカジュアルスタイルにカラフルなスニーカーを身につけていた。かなりのスニーカー好きな山本は、スニーカーに興味を持った祐介の姿に喜び、後日自宅に招いて、スニーカーを見て貰う事になった。祐介が山本の部屋を訪れると、そこには大量の靴箱が積み重なっており、そのすべてがスポーツブランドのいわゆる「ハイテクスニーカー」。山本の熱すぎるスニーカー愛に若干引きながらも、祐介はお気に入りの1足を見つけ出す。(#45)
夏の強い日差しのもと、新しく買ったものを身につけて出かけた祐介は、デニムを履いた男性のファッションに目がいく。基本的に黒いスキニーや、黒いスラックスを常用していた祐介は、涼し気なデニムの印象に惹かれ、環に相談を持ち掛けた。そして二人は、おしゃれに履けるデニムを探しに「ユニクロ」「GU」「ZARA」に足を運ぶ。(#46)
祐介は、アクセサリーを身につける事に抵抗を感じていながら、アクセサリーを身につける事で自分を変えたい願望を持っていた。男性にとってなじみの薄いアクセサリーショップへ入る事を断固拒否する祐介を見かねたリカと環は、メンズのアクセサリーショップへと連れて行くが、反応はイマイチ。そこで、祐介にとって一番意味のあるアイテム「腕時計」にシフトチェンジ。さまざまなタイプの時計の紹介を受け、お気に入りの一つを購入する。(#47)
後輩の住むマンションの屋上で花火大会を見物する事になった祐介は、すぐに受付嬢の斉藤が来るかどうかを確認。参加する事を知ると、花見の時のリベンジとばかりに鼻息荒くコーディネイトを考え始めた。この日のために、「ノームコア脱却」のアイテムを購入して来た祐介は、環のアドバイスを受けて決めたコーディネイトで会場へとやって来た。しかし、あとからやって来た斉藤は、祐介の姿を見るや否や頭を下げ、意外にも花見の席での暴言を詫び始める。(#48)
登場人物・キャラクター
佐藤 祐介 (さとう ゆうすけ)
中小企業の営業を務める会社員の男性。会社ではちょっと抜けてはいるものの、おおむねまじめで爽やかな印象を持たれている。年齢は27歳。仕事でも頑張りを認められているが、自宅では完全オフモードになり、だらしない。彼女もいなく、休日は家でゲームをする事が趣味のリアルおたく。使ったら使いっぱなし、脱いだら脱ぎっぱなしで部屋中が散らかっている。 22歳の時に、両親が田舎での暮らしを選び、引っ越して以降、空いた実家で妹の佐藤環と二人暮らしをしている。スーツ以外は部屋着も外出着も同じという状態で、服は田舎の母親から届く謎のセンスのものが主。ファッションにはまったく興味を持っていなかったが、小学校の同窓会の打ち合わせのために地元の友達と会った事がきっかけとなって、自分の服装に疑問を持つ。 そして、ファッションが趣味だという環の力を借りて、服を買い始めた事で、次第にファッションへの興味が湧き、服装への意識に変化がみられるようになる。一度思い込むと、極端な行動に走りがちな性格。中学生の時、樋口リカから服装について辛辣なダメ出しをされた事があり、リカに対しては苦手意識を持っている。 しかし、同窓会で再会して以降、ファッションという共通の趣味で交流を深め、リカからの謝罪もあった事で和解するに至った。また、同様に同じ会社に勤める斉藤美和から、頑張っていたはずのファッションに対して「無難で地味」と言われ、すっかり自信を失くしてしまうが、それをバネに新たなステップへと進んだ。斉藤からも謝罪を受けた事で和解するに至る。
佐藤 環 (さとう たまき)
佐藤祐介の妹。高校生の頃、両親が田舎での暮らしを選んで引っ越して以降、空いた実家で兄の祐介と二人暮らしをしている。私生活も服装もすべてだらしない祐介にあきれつつ、家事全般を兄の分まですべて行っている。基本的に凝り性なため、家事の中でも特にファッションにかかわる洗濯には神経を使っている。社会人になったら結婚を前提とした尊敬できる恋人をつくり、実家を出る事が夢。 ファッションが趣味である事は今まで公にしてこなかったが、祐介がファッションに関して悩んでいるのを知り、服好きを公言。力を貸す事を決める。ファッションに抵抗がある祐介に、肩の力を抜いたおしゃれを提案。いっしょに服を買いに出かけ、選んであげる事で、祐介からはいつもおかえしにたこ焼きやアイスクリームなど、食べ物を御馳走になっている。 基本的に、パソコンのタイピングや、インターネットに関する事は苦手。そのため、SNSに関しても意外と疎い。祐介を通じて樋口リカとなかよくなった。おしゃれな彼女を姉のように慕っており、よくいっしょに買い物に行ったりしている。
小田 (おだ)
佐藤祐介の小学校時代の友人の男性。さりげないおしゃれができる人物で、年齢は27歳。お気に入りは、自分への昇進祝いにと奮発して購入した腕時計。値段は給料の約3か月分。人当たりがよく温和で、基本的に人をけなす事はしない。祐介のファッションの変化にも気づき、褒める事を忘れない。
樋口 リカ (ひぐち りか)
佐藤祐介の小学校時代の友人の女性。年齢は27歳。現在は実家で親と同居しながら、アルバイトの掛け持ちで生計を立てている。ショートヘアで、快活なイメージを持ち、底抜けに明るい性格で、何事にもアクティブ。服が大好きで、ファストファッションだけでなく、ハイブランドにも興味があり、百貨店のハイブランドのショップに行っては、試着だけして買わずに帰る事もよくある。 祐介とは同窓会をきっかけに再会。ファッションを通じて距離を縮めていく。実は中学生の頃、ファッションに興味を持ち始めた事で、祐介の服装に辛口の注文を付けた事があり、祐介を傷つけたまま謝れずにいた事を気に病んでいた。のちに祐介に対して謝罪する事で確執はなくなり、祐介の妹、佐藤環も交えてファッションを語るうえでのよき理解者となる。
高田 (たかだ)
佐藤祐介の高校時代からの友人の男性。太っているわけではないが、学生時代に野球をやっていた事で、太ももが太い事にコンプレックスを感じており、そのせいで思ったようなおしゃれが楽しめない事が悩み。祐介と書店で偶然再会し、すっかりおしゃれになった祐介にお勧めのファッションアイテムを教えてもらったが、体形に合わず断念。一度は祐介のせいだとキレかかったものの、再度祐介の力を借りて自分にも似合うアイテムを教えてもらう事になる。
新宿の洋服屋の店員 (しんじゅくのようふくやのてんいん)
新宿にある洋服屋で店員を務める男性。ショップ店員としてブログも配信しているイケメン。佐藤祐介が、コートを購入するために樋口リカと店を訪れた際、2種類のコートで悩んでいたところに声を掛け、最終的に決定に至るように背中を押した。その後、御徒町にあるミリタリーショップ「中田商店」に私用で訪れていた時、祐介と再会。 そこでは、ミリタリーファッション初心者の祐介にミリタリーアイテムについてレクチャーした。その後も祐介と偶然会っては、ファッションについて的確なアドバイスをする事が多くあり、頼りになるよきアドバイザー的な存在となる。基本的にファッションが好きで、客に勧める際も、相手の気持ちを汲み、押しつける事はしない。
圭 (けい)
大学1年生の青年。佐藤祐介と佐藤環のいとこにあたる。引っ込み思案なコンプレックスの塊で、おどおどした印象を与える人物。そのうえ思考も非常にネガティブ。新潟に住んでいるが、おしゃれな服を購入するために上京し、祐介と環の家に滞在する事になった。ファッション雑誌で勉強し、欲しいブランドの服を手に入れるためにアルバイトでお金を貯めたが、実際にショップに行ってみて違和感を感じ、結局購入しなかった。 その代わりに環からのアドバイスを受けて、着まわしのきく安い服を購入する事になった。現在、同じ学科で同じ学年の女性に片思い中。
大林 (おおばやし)
佐藤祐介の大学時代の友人の男性。共通の友人、坂田から結婚のお知らせが届いた事で、2次会に着て行く服を探しに買い物に来ていた時、偶然祐介と再会した。身長が低い事がコンプレックスで、靴はいつも厚底の物を着用。しかし何を着ても丈が余り、似合う服が見つからないと頭を抱えていた時、祐介といっしょにいた妹の佐藤環からコーディネイトの大切さについて教わり、ネガティブな考え方から脱するきっかけをもらった。
吉田 (よしだ)
佐藤祐介や大林、井上の大学時代の友人の男性。社会人になって以降、だいぶ太ってしまい、服選びには苦労が絶えない。できるだけ細く見せたいと、日常的にタイトなシルエットの服を選びがち。ジーンズなど、固くてのびない素材のパンツは苦手。買い物中だった祐介と合流し、おしゃれな普段着の選び方についてレクチャーしてもらう。
井上 (いのうえ)
佐藤祐介や大林、吉田の大学時代の友人の男性。食べても太らない体質で、ガリガリヒョロヒョロの印象。痩せすぎの体形を隠したいがうまくいかず、服選びには苦労が絶えない。自信のなさからか、いつも猫背になりがち。買い物中だった祐介と合流し、おしゃれな普段着の選び方についてレクチャーしてもらう。
斉藤 美和 (さいとう みわ)
佐藤祐介と同じ会社で受付を務める女性。おしゃれにとても気を遣っており、服を買うのは青山か代官山でと決めている。見た目のかわいらしさから、いつもちやほやされがちな愛されキャラ。しかしながら、自分が中心にいないと気が済まないところもあり、社を挙げての花見があった際は、自分よりも褒められていた祐介に嫉妬し、祐介の服装を「無難で地味」と指摘。 祐介がおしゃれを見直すきっかけとなった。その後、花火大会の席で祐介に謝罪し、和解する事ができた。
山本 (やまもと)
佐藤祐介と同じ会社に勤める男性。祐介の先輩にあたり、誰にでも優しく気さくで、頼りになる存在。私服はラフなカジュアルスタイルで、さわやかな印象。かなりのスニーカーマニアで、自宅には壁際にびっしり靴箱が積んである状態。中でもスポーツブランドの「ハイテクスニーカー」が大好きで、全色購入が基本。予備も一式購入し、サイズが合わなくても買ってしまうほどの熱の入れよう。 ただ、友人がそれを気に入れば譲り渡して履いてもらうなど、広い意味で靴を愛している。スニーカーへの愛を語らせたら自分でも止められないほど話が長い。街中で祐介と偶然会った際、スニーカーに興味を持ってくれた事に喜び、自宅へと招く事になった。自宅にあるスニーカーコレクションを見てもらい、祐介が気に入った1足を見つけた事に喜び、自分のコレクションを譲り渡した。
クレジット
- 企画協力
-
MB
書誌情報
服を着るならこんなふうに 16巻 KADOKAWA
第13巻
(2022-09-02発行、 978-4041115770)
第14巻
(2023-05-02発行、 978-4041136232)
第15巻
(2023-12-28発行、 978-4041145159)
第16巻
(2024-09-04発行、 978-4041152751)