荒野のコトブキ飛行隊

荒野のコトブキ飛行隊

TVアニメ『荒野のコトブキ飛行隊』のコミカライズ作品。どこまでも荒野が続く世界「イジツ」を舞台に、用心棒を生業とする少女パイロットたちの日常を描く、レシプロ戦闘機による空戦アクション。本作はTVアニメ版の前日譚にあたる内容となっている。「少年ジャンプ+」2019年21号から2020年17号にかけて配信された作品。

正式名称
荒野のコトブキ飛行隊
ふりがな
こうやのことぶきひこうたい
原作者
荒野のコトブキ飛行隊
漫画
ジャンル
アクション
 
武器・兵器
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

どこまでも荒野が続く世界「イジツ」。人々は荒廃した危険な陸路を避け、空路を使って交易を図っていた。キリエは、オウニ商会の護衛を務めるコトブキ飛行隊に所属するパイロットで、今日も不埒な空賊を愛機のレシプロ戦闘機「隼」を駆って打ち倒していた。そんな用心棒稼業を続けていたある日、オウニ商会の飛行船「羽衣丸」はオアシスのある村「ドルハ」にたどり着き、つかの間の休息を楽しんでいた。キリエも初めてのオアシスを満喫していたが、そんな中、謎の男たちがキリエたちをスカウトしたいと申し出てくる。しかし、そのタイミングで空賊が襲来したため、キリエたちは空賊に応戦。一行は空賊を追い払うことに成功するものの、オウニ商会の社長を務めるマダム・ルゥルは、今回の襲撃に際してドルハの自警団が動かなかったことから、空賊の裏にはドルハの村長のガナムがかかわっていると見抜く。さらに、ドルハはすでに空賊である「クロバチ一家」に乗っ取られており、キリエたちのスカウトもクロバチ一家の刺客だったことが判明する。一行は空賊の企みを打ち砕くため、彼らの本拠地に殴り込みをかけることを決める。

関連作品

TVアニメ

2019年1月から3月にかけて、本作『荒野のコトブキ飛行隊』の原作であるTVアニメ版『荒野のコトブキ飛行隊』がTOKYO MX、BS11、毎日放送、ネット配信ほかで放送された。制作はGEMBAが担当している。内容はコミカライズ版である本作とつながっており、時系列としては本作のあとの話で、コトブキ飛行隊が新たな敵と戦う姿を描いている。キャストは、キリエを鈴代紗弓、エンマを幸村恵理、ケイトを仲谷明香が演じている。

登場人物・キャラクター

キリエ

コトブキ飛行隊に所属するパイロットの少女で、黒い髪を肩で切りそろえている。パーソナルカラーは「赤」で、よく赤色の服を着ている。楽天的な性格で、直情的で直感的な行動を取ってはよく周囲から叱責されている。短絡的な判断でピンチに陥ることもあるが、逆境でも豪胆な判断力で場を覆す意思の強さを持つ。また、飛行隊の中では一番の新入りであるが仲間思いで、自分勝手な判断で周囲に迷惑を掛けた際には、自ら罰を受ける責任感が強いところがある。操縦技能に秀でており、型にとらわれない自由な操縦で空を駆け回る。一方で、空を縦横無尽に駆け巡るために機体への負担が大きく、その修理費が報酬から天引きされているため、懐具合はいつもカツカツの状態。パンケーキが大好物で、ほとんどの食事をパンケーキで済ますほど。

エンマ

コトブキ飛行隊に所属するパイロットの少女で、長い金髪をシニヨンにセットしている。パーソナルカラーは「青」で、よく青色の服を着ている。没落貴族であるために育ちがよく、お嬢様口調で話すが、かなりの毒舌家。キリエとは幼なじみで、気心が知れた関係を築いている。空戦では冷静な戦いを繰り広げ、無鉄砲なキリエのフォローをしたりしている。また洞察力が鋭く、敵の行動パターンを即座に見抜き、弱点を執拗に攻撃するというマムシのような戦法を得意とする。

ケイト

コトブキ飛行隊に所属するパイロットの少女で、長く伸ばしたアッシュブロンドを二つ結びにしている。パーソナルカラーは「紫」で、落ち着いた色合いの服を着ている。寡黙で理詰めな性格をしており、客観的な事実を淡々と話すしゃべり方をする。パイロットとしては天才的なセンスを持ち、常人には不可能なトリッキーな動きで、敵を撃墜していく。また、趣味は実用書を読むことで、ユーハングの遺した兵器類についても詳しい。そのため、空戦では彼女の豊富な知識が事態を切り開く鍵となることも多い。

チカ

コトブキ飛行隊に所属するパイロットの少女で、ベージュ色の髪をツーサイドアップにしている。パーソナルカラーは「ピンク」で、よくピンク色の服を着ている。コトブキ飛行隊の中では最年少で、子供らしく活発で感情豊かな性格をしている。キリエとは何かと張り合う関係で、よく言い争ってはケンカをしている。空戦では小柄な体型のためにG耐性が強く、空を自由自在に駆け巡ることができる。キリエとは戦い方も似ているため、空戦でも張り合うことが多い。しかし調子に乗りやすいところがあり、勢い余って前に出ては被弾するということを繰り返している。機体の被弾率はワーストワンで、いつも修理費が報酬から天引きされているため、キリエ以上に金欠に陥っている。また機体が修理中で、緊急時には出撃できないこともある。

レオナ

コトブキ飛行隊に所属するパイロットの少女で、赤い髪をポニーテールにセットしている。パーソナルカラーは「緑」で、よく緑色の服を着ている。クールな性格で責任感が強く、飛行隊の隊長を務めている。基本に忠実な努力家で、空戦でもその経験を生かした堅実な戦いぶりを見せる。つねに複数の事態を想定して戦っており、豊富な経験から的確に戦局を読む力を持つ。しかし、性格的にウソや演技が苦手で、相手をうまく騙そうと思えば思うほどしゃべれなくなる弱点がある。

ザラ

コトブキ飛行隊に所属するパイロットの少女で、茶色の髪をストレートロングに伸ばしている。パーソナルカラーは「黄」で、よく黄色を基調とした露出度の高い服を着ている。酒好きで飛行隊ではお姉さん的な存在で、その面倒見のよさから副隊長を務めている。料理やダンスなど、なんでも器用にこなす多芸さを持つ。また腕っぷしも強く、大の男をあっという間に制圧するほどの格闘術を身につけている。その多芸さを周囲からツッコまれた際には「昔、ちょっとね」と返すのが口癖。まじめ過ぎるあまり融通のきかないレオナとはいいコンビで、レオナの足りない部分をフォローしている。空戦では視野の広さを生かし、敵の全体の動きを見切っている。

マダム・ルゥル

オウニ商会の社長を務める女性で、上品な雰囲気を漂わせている。赤のドレスに青のジャケットを羽織っている。愛煙家で、つねに愛用している長煙管を持ち歩いている。判断力と人を見る目に長け、大事な交渉には自ら出向いて相手を見定める。守銭奴で金にはうるさいが、道理は弁(わきま)えており、非道は決して許さない。特に空賊とは取り引きしないことを身上としているため、直接対峙した空賊に啖呵を切るほど度胸も据わっている。ドルハの村長ガナムに先代村長の遺志を伝え、改心をうながしている。

ドードー船長 (どーどーせんちょう)

羽衣丸の船長を務めている。船長帽とネクタイをつけたドードー鳥のような姿で、空を飛ぶことができる。かなり頭がよく、人間の言葉を理解している節があり、伝令として手紙を届けたりしている。周囲の人間はなんの疑問も持たずにドードー船長を船長として扱っているが、新入りのキリエだけは、なぜ彼が船長をしているのか疑問に思っている。

ナツオ

オウニ商会で整備班長を務める女性。小柄で華奢な体型で、かなり幼く見えるが、れっきとした成人女性。言葉づかいが粗いが、面倒見がよい姉御肌な性格をしている。隼の整備を担当しており、むちゃな操縦をするキリエやチカをよく叱っている。

ガナム

ドルハの村長を務める中年男性。冴えない風貌ながら、人のよさそうな顔立ちをしている。祖父から村長を受け継ぎ、村の切り盛りに追われる日々を過ごしていたが、そんな中、クロバチ一家に目をつけられる。当初は商会を名乗っていたクロバチ一家と真っ当な取り引きをしていたが、日を追うごとに取り引き内容が過激化。気づけば、空賊行為に加担しなければ家族と村に危害を加えると脅され、怯えるまま彼らの言いなりになっていた。しかしマダム・ルゥルに現状を見抜かれ、祖父が村の飛行場に託した遺志を伝えられたことで、空賊に抗すると決断する。監視の空賊に薬を盛って脱出後、マダムに合流。事が終わったあとで責任を取ると宣言し、大金を払ってマダムの協力を取りつける。

イサオ

トウワ・ブユウ商事の会長を務める男性。お調子者ながら、底が見えない不気味な人物で大きな野望を秘めている。使えるものはなんでも使うを信条としており、「八八式七糎野戦高射砲群」をクロバチ一家に流し、コトブキ飛行隊と戦わせることで高射砲のデータを取ろうとしている。

集団・組織

コトブキ飛行隊

オウニ商会に所属する飛行部隊。オウニ商会は羽衣丸による物資の輸送を生業とし、その護衛のために雇われている。隊長はレオナが務め、全員がレシプロ戦闘機「一式戦闘機 隼一型」を愛機としている。全員が卓越した腕を持つと評判だが、隊員は契約で戦闘機を過度に損傷させた場合、修理費が天引きされる決まりとなっている。そのため、機体を乱暴に扱うキリエやチカはよく金欠に陥っている。また、よくケンカ騒ぎを起こすため、素行が悪いと悪評が立っている。隊の意向は基本的に隊のルールや雇い主の命令が優先だが、どうしてもゆずれない場合は隊員全員が話し合う「オタガイサマルール」で決める。

クロバチ一家 (くろばちいっか)

空賊を生業とする一家。表向きは「ドルハ産業」というフロント企業に任せて合法的に活動しつつ、裏では空賊活動を行っている。ドルハの村長ガナムを脅迫して村の実権を握り、ドルハの飛行場を使って戦闘機を出撃させている。エンブレムは黒い蜂のマーク。強欲で凶悪な集団で、「飛燕」を含む多数の戦闘機を所持している。本拠地はドルハの南東の使われなくなった空の駅にあり、イサオから「八八式七糎野戦高射砲群」を仕入れて武装拠点と化している。高射砲は時限式榴弾を採用しており、敵機の目の前で時限式に爆発させることで、散弾のように敵に攻撃する。高射砲は高い射程と攻撃範囲を持ち、戦闘機を打ち落とすこともできるが、連続使用に耐えきれるほど頑丈ではなく、使い続けていると次第に動作が不安定となる欠点を抱えている。また高射砲の仰角は85度までで、真上には攻撃することができない。

場所

イジツ

荒野がどこまでも広がる世界。海は枯れ果て、緑は減少し、地表の大部分は毒気や磁気嵐によって汚染され、人の住めない荒野と化している。陸路もほとんど分断されており、人々はわずかな生存圏に身を寄せ合って暮らし、ユーハングのもたらした航空技術を用い、空路を使って町同士の交流と交易を行っている。また、航空機を用いて盗賊行為を行う者たち「空賊」も存在するため、空路の行き来も多大な危険を伴う。このため、空賊から人々を護衛することを生業とする「用心棒」も台頭している。

ドルハ

荒廃したイジツの中でも珍しく豊富な水資源と肥沃な大地を持つ水の郷。荒野の中に存在するオアシスの村で、通商の経由地や避暑地として有名な地となっている。先代の村長がユーハングと懇意にしていたため、郷の中には立派な飛行場が建造されており、空賊対策に独自の自警団を組織している。現在は空賊であるクロバチ一家に牛耳られており、自警団組織はまともに機能していない。

その他キーワード

ユーハング

70年ほど昔にいた異邦人たちの総称。イジツに突如、開いた「穴」から現れたとされる謎の人物たちで、航空技術をはじめとしたさまざまな技術をイジツに伝えた。ユーハングは長い期間、イジツの民と暮らしていたが、なんの前触れもなくどこかへ去っていったとされる。現在は彼らが去って随分たつが、彼らの遺した技術や文化はイジツに根差しており、イジツのあちらこちらにユーハングの名残は未だに見て取ることができる。

羽衣丸 (はごろもまる)

オウニ商会が所有する大型の硬式飛行船。不燃性ヘリウムガスで揚力を得ている飛行船で、主に物資を運ぶ空輸業に使われている。航空機の離着艦が可能な空中母艦としての側面も持っており、護衛戦力としてコトブキ飛行隊の隼を格納している。

クレジット

構成

田岡 宗晃

ストーリー

田岡 宗晃

原作

荒野のコトブキ飛行隊

監修

二宮 茂幸

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