概要
ライバル力石徹の死という喪失感を乗り越えて1年間の放浪の旅から矢吹丈が帰ってきた。見事に復活したかに見えた丈だが、力石を試合で死なせた呪縛からは逃れられないままだった。祖父からボクシングジムを引き継いだ白木葉子は南米から招いたカーロス・リベラと対戦させて丈の再起を図る。
次々と強敵を打ち破る丈だが、彼の身体はパンチドランカー症状に蝕まれつつあった。
登場人物・キャラクター
矢吹 丈 (やぶき じょう)
子供の頃から孤児施設の脱走を繰り返し、やがて東京の下町、ドヤ街に流れ着いた。丹下段平が会長を務める丹下拳闘クラブで、バンタム級のプロボクサーとして活躍する。一時期はライバル力石徹の死のショックから立ち直れずに低迷したが、見事に復活を果たして東洋太平洋チャンピオンまで昇りつめる。 弱者に優しく友情に厚い性格。
カーロス・リベラ (かーろすりべら)
白木葉子が矢吹丈と対戦させる目的で海外から招いた世界ランクのプロボクサー。ベネズエラ出身で褐色の肌を持つ。丈とスパーリングを行なって、野性の本性を甦らせた。性格は陽気でジョークが好き。 カタコトだが日本語で話せる。後に世界チャンピオンホセ・メンドーサとの試合で廃人にされてしまう。
ホセ・メンドーサ (ほせめんどーさ)
キング・オブ・キングスの異名を取る、メキシコ出身のバンタム級世界チャンピオン。冷静沈着で完璧主義者。忙しいトレーニングの合間にも家族との交流を大切にし、ライバルにも敬意を払う。矢吹丈の最終的な目標となった偉大なプロボクサー。
林 紀子 (はやし のりこ)
東京の下町、ドヤ街の中にある林食料品店の一人娘。ふたつの長いおさげ髪がトレードマークの、庶民的な優しい少女。矢吹丈に想いを寄せているが、西寛一と結婚することになった。
白木 幹之介 (しらき みきのすけ)
白髪に白髭、眼鏡をかけた温厚な老紳士。白木財閥の創始者で、白木葉子の祖父。少年院を出た力石徹のプロボクシング復帰を応援するために私費で白木ボクシングジムを設立して会長に就任した。孫娘の良き理解者。
白木 葉子 (しらき ようこ)
白木財閥の令嬢で、祖父の白木 幹之介から引き継いだ白木ボクシングジムの会長を務める。容姿端麗で、長い黒髪の上品な美女。力石徹の死後、そのショックから来るスランプに陥っていた矢吹丈を立ち直らせようと、南米から呼び寄せたカーロス・リベラを対戦相手にぶつける。
力石 徹 (りきいし とおる)
元々プロボクサーだったが、観客の野次にカッとなり障害事件を起こしたことから特等少年院に送られ、そこで矢吹丈に出会う。のちに白木幹之介の支援の下、プロボクシング界のフェザー級ボクサーに復帰したが、2階級下の丈との試合のために過酷な減量に挑む。 『あしたのジョー2』開始時点で既に故人の設定なので、丈のイメージの中に度々登場する。
丹下 段平 (たんげ だんぺい)
左目に眼帯をつけた坊主頭の中年男。元プロボクサーだった。日銭を稼いでは飲んだくれる毎日だったが、矢吹丈との出会いをきっかけに彼を一流のプロボクサーに育てるべく奮起する。泪橋の下にある木造の小屋を丹下拳闘クラブとして、ここで丈のトレーナーを務める。 涙もろく人情家。
西 寛一 (にし かんいち)
丹下段平が会長を務める丹下拳闘クラブに所属する巨漢のプロボクサー。かつては少年院鑑別所の大きな顔をしたボスだったが、矢吹丈と共に少年院に送られて臆病な性格になり、少年院を出て更正してからボクシング界に入った。 林紀子に好意を抱いており、後に結婚することになる。
場所
泪橋 (なみだばし)
細い川にまたがった木製の橋の名称。橋の真下辺りに矢吹丈と丹下段平の住居を兼ねた丹下拳闘クラブがある。夢をなくした貧しい労働者が集まるドヤ街に続く橋である事から、「丈と共に栄光を掴んで、泪橋を逆に渡ろう」という信念を段平は抱いている。 丈にとっては、自分が常に帰るべき場所として心象に刻まれている。