あまえないでよっ!!

あまえないでよっ!!

特殊な力を持つ僧の少年が一人前になるため、六人の尼僧の少女たちと共に修行の日々を送る姿を描いた和風バトルファンタジーラブ・コメディ。「COMIC ガム」2003年10月号から2007年2月号にかけて連載された作品。物語は続編の『あまえないでよっ!!MS(モアスイート)』と『あまえないでよっ!!R(リターンズ)』に続いている。

正式名称
あまえないでよっ!!
ふりがな
あまえないでよっ
作者
ジャンル
ラブコメ
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あらすじ

第1巻

里中逸剛は、僧として一人前になるべく、本家から、祖母の河原浄徳が住職を務める「賽円寺(さいえんじ)」に修行に出された高校1年生。いっしょに修行する六人の尼僧に囲まれながら、僧としての仕事と高校生活の、両方に追われる生活を送っていた。そんな逸剛には、性的に興奮すると、僧としての能力が突如向上する「覚醒(い)」くという謎の能力があった。「覚醒」けばしばらくの間は、劇的な除霊能力を得るのだが、その副作用として煩悩に歯止めが利かなくなり、周りの女性に無差別に襲い掛かる「エロリバウンド」が起きてしまうのである。そこをコントロールする方法を模索していた冬、逸剛は大みそかの除夜の撞鐘(かねつき)役を命じられる。それは鐘の音に引き寄せられてやって来る煩悩と対峙する大役であったが、なんとか逸剛は撞鐘をこなす。しかし、そこに異変が訪れ、不自然な量の煩悩と低俗霊が「賽円寺」に集まって来る。その影響で訪れた参拝客が暴れだし、南部千歳らは危機に陥るが、そこに助けに入り、謎の強大な力ですべてを祓ったのは、なんと逸剛であった。

第2巻

里中逸剛が大みそかの日に発揮した強大な力の正体は、逸剛の中に封印されていた賽洞宗(さいとうしゅう)の開祖「賽禅上人(ざいぜんしょうにん)」のものであった。河原浄徳が逸剛を預かった理由は、その力を正しく導くためであると知った南部千歳は、逸剛を案じ、複雑な思いを抱くようになる。そして正月が過ぎ、賽洞宗門下の寺への拝請や、お彼岸の法要、生稲雛美の持つ霊力によって起きたトラブルの解決を終えた、春のある日、逸剛と為我井陽は、いっしょに出かけている最中に銀行強盗に巻き込まれてしまう。そこで陽が霊力を発揮し、強盗にとりついた霊を祓った事で、二人は事なきを得る。しかし、その直後、逸剛は為我井さくらから「まだ未熟であるにもかかわらず力を使った陽は、下手をすると、死んでいた可能性もあった」と告げられる。責任を感じた逸剛は、浄徳の命令で、陽と共に八谷海岸にある賽洞宗「賽澄寺(さいちょうじ)」へ修行に出る事になるのだった。

第3巻

賽洞宗「賽澄寺(さいちょうじ)」へ修行に出た里中逸剛為我井陽は、修行の仕上げとして、洞窟の中にある集合墓地の本堂でお経をあげる事になった。だが洞窟の中は強い陰の霊力が満ちており、そのショックで陽は気を失い、逸剛は陽の過去を意図せず知ってしまう。しかし、過去にとらわれかけた陽を何とか説得した逸剛は、お経を上げる事に成功。修行を終えた陽は、六道菩薩を宿す尼僧として、4段階あるうちの3段階目である「伝法灌頂(でんぽうかんじょう)」の段階の尼僧に成長するのだった。こうして「賽円寺(さいえんじ)」に戻って来た逸剛だったが、今度は南部千歳と共に向かった家で、同じく賽洞宗の「孝招寺(こうしょうじ)」の尼僧見習いである上野一希と出会う。優秀な一希に驚かされる逸剛と千歳だったが、逸剛の能力について何か知っている様子の一希は、その日から逸剛の前に現れ、逸剛を誘惑するようになるのだった。

第4巻

春。進級と進学をした里中逸剛たちのもとに、新1年生として上野一希が入学して来た。南部千歳は、一希の目的が逸剛を誘惑し「覚醒(い)」かせる事だと気づき、一希を警戒するが、逆に一希のペースに飲まれてしまう。そんなある日、逸剛、千歳、一希、そして阿刀田結子の四人は、東統泉高校で行われているボランティアの一環として、公団アパートの取り壊しに際する霊障の調査をする事になる。しかしそこは、以前結子が住んでいたアパートであり、さらに結子の友人・誠児は、地縛霊として今もそこに取り残されていた。誠児を平和的に成仏させたい結子に対し、一希は誠児の存在が呼び水となってほかの悪霊が集まっている事に気づき、誠児を強制的に除霊しようとする。しかし、誠児が地縛霊となった理由が自分にあると知った結子は、逸剛の言葉もあり、新たな力に目覚め、アパートに現れた霊すべてを成仏させる。こうして為我井陽に続き、結子もまた「伝法灌頂(でんぽうかんじょう)」の段階の尼僧に成長するのだった。

第5巻

初夏。ある日の除霊中、里中逸剛上野一希に無理やり連続で「覚醒(い)」かせられた事で暴走し、南部千歳に怪我をさせてしまう。逸剛を案ずる千歳だったが、そこに逸剛の幼なじみで、先輩尼僧でもある識志瑞理がやって来る。志瑞理は、逸剛たちの成長度合いを確認しに来たのだという。志瑞理の命令で「六地蔵巡業(ろくじぞうじゅんぎょう)」という修行を行う事になった千歳たち六人の尼僧は、町内に1体ずつあるはずの、自分が加護を受けている六道の地蔵を探す事になる。しかし、すぐに発見した天川春佳為我井陽阿刀田結子生稲雛美の四人に対し、千歳と為我井さくらは地蔵を見つけられずにいた。一方その頃、所属する「碩清流(せきしんりゅう)」内で追い詰められ、あとがなくなった一希は、逸剛をあと一回「覚醒」かせれば、逸剛を陰の相に落とすという目的を果たせると考え、逸剛に「孝招寺(こうしょうじ)」に来てほしいと頼む。千歳は、止める自分を無視して逸剛が従った事にショックを受けるが、逸剛の目的は、あえて一希に従う事で、消耗しきっている一希を回復させる事にあった。しかしその最中に陰の霊が現れ、逸剛と一希は危機に陥る。だが、そこに千歳が駆けつけ、千歳は逸剛と協力して除霊に成功。さらに現場にあった地蔵も発見し、修行に成功するのだった。

第6巻

先日の一件で騒ぎを起こした上野一希 は、己の未熟さを自覚し、本山へ戻る事になった。一方為我井さくらは、未だに地蔵を見つけられず、行き詰っていた。そんなある日、生稲雛美の父親が体調を崩し、里中逸剛南部千歳識志瑞理の三人は、雛美に付き添う形で、雛美の実家である「奉山寺(ぶざんでら)」へ向かう事になる。しかし父親は実際は元気で、さらに雛美に、自らの寺の流派を現在の賽洞宗「専慶(せんけい)流」から、一希が属している「碩清流(せきしんりゅう)」に改めたいので、もう「賽円寺」には戻るなと言い出す。雛美が悩んだ果てに両親に自分の意見を伝えようとすると、なんと雛美の両親は「碩清流」の手の者にあやつられており、無理やり従わされそうになっていた事が発覚する。真実を知った雛美は激怒し、新たなる力に目覚める。そして「碩清流」の手のものを撃退し、為我井陽阿刀田結子に続いて雛美も「伝法灌頂(でんぽうかんじょう)」の段階の尼僧に成長するのだった。こうして「奉山寺」での事件を解決し、戻って来た逸剛たちだったが、「賽円寺(さいえんじ)」までの帰り道で、地蔵を探しに行ったさくらが霊に襲われ、霊力を奪われそうになっている場面に出くわすのであった。

第7巻

為我井さくらが霊に襲われている現場に天川春佳阿刀田結子も駆けつけ、春佳の活躍で、なんとか里中逸剛たちは除霊に成功する。しかし、地蔵を見つけるための最後の手段に失敗したさくらは、「賽円寺」を去る決意をし、その前に自分が「六地蔵巡業(ろくじぞうじゅんぎょう)」の中で知った事実を、五人の尼僧に伝える。それは、逸剛は今の世において「賽禅上人(ざいぜんしょうにん)」の霊力を受け継いだものであり、自分たち六人の尼僧は、上人の霊力を「菩提」と呼ばれる境地へ導くために存在するという事であった。しかし、上人の霊力の覚醒は非常に危険であり、「碩清流(せきしんりゅう)」が望むように逸剛が「覚醒(い)」くのを繰り返した結果、陰の相に落ちた場合は、「白晨王(びゃくしんのう)」という戦乱や災厄を生む存在になってしまうという。そんな折、賽洞宗の面々が総力を尽くして行うダムの浮遊霊の大規模除霊「聖上人供養法要」が行われる事になる。「賽円寺」からは逸剛、南部千歳、結子、為我井陽の四人が参加する事になるが、本来協力して除霊を行うはずの「碩清流」の目的は、土地に残る陰の霊力「摩羅火(まらか)」を利用して「白晨王」を顕現させ、その器である逸剛を乗っ取らせる事であった。一度は「摩羅火」に乗っ取られかける逸剛であったが、六人の尼僧たちの声によって撃退に成功する。そして「聖上人供養法要」は成功し、「碩清流」を野放しにしてはおけないと感じた河原浄徳は「賽円寺」を離れ、代わりにさくらが出家し、浄徳の代わりに「賽円寺」の住職になる。そして逸剛も、より強くなるために、現在の仲間に甘えている状況から抜け出し、本山に戻って修行する決意をするのだった。

派生作品

本作『あまえないでよっ!!』の続編として『あまえないでよっ!!MS(モアスイート)』と『あまえないでよっ!!R(リターンズ)』がある。『あまえないでよっ!!MS』は本作同様「COMIC ガム」に連載され、コミックスは全6巻。『あまえないでよっ!!R』はWEBコミック誌となった「コミックガム」に連載され、コミックスは全1巻となっている。

メディアミックス

TVアニメ

本作『あまえないでよっ!!』は2005年7月から9月にかけてと、2006年1月から3月にかけての2回TVアニメ化し、TVさいたまをはじめとする独立UHF局のほか、AT-Xで放送された。2回目のアニメ化の際はタイトルが変わり『あまえないでよっ!! 喝!!』となった。監督は元永慶太郎、シリーズ構成は上江洲誠、キャラクターデザインは堀井久美が務めた。里中逸剛役を鈴木千尋、南部千歳役を中原麻衣が演じた。

WEBラジオ

本作『あまえないでよっ!!』に関するWEBラジオが、4作制作・配信されている。まず、2005年4月から11月にかけて配信された最初のWEBラジオ「あまえないでよっ!!ラジオ」は、本作の掲載誌である「COMIC ガム」のホームページで配信され、パーソナリティは、六人の尼僧を演じる声優たちが交代で一人、あるいは二人で担当した。残り3番組は、TVアニメ『あまえないでよっ!! 喝!!』の公式サイトで公開・配信され、2005年11月から2006年1月にかけて配信された「あまえないでよっ!! 陽のえんま帳 with 小鬼」は、パーソナリティを為我井陽役の新谷良子が担当。2006年2月から4月にかけて配信された「一希のあまえていいよっ!!」はパーソナリティを上野一希役の真田アサミが担当。2006年4月から6月にかけて配信された「さくらのお悩み相談室」はパーソナリティを為我井さくら役の寺田はるひが担当した。これら3番組は、メインパーソナリティに加え、毎回別のキャストが一人、ゲストとして登場した。

登場人物・キャラクター

里中 逸剛 (さとなか いっこう)

「賽円寺」の寮衆1回生で、東統泉高校1年B組に所属する男子。のちに2年B組に進級する。河原浄徳は祖母。ほとんど坊主に近いベリーショートカットヘアにしている。識志瑞理からは「逸っくん」と呼ばれている。明るくエッチで普段はあまり頼りにならないが、いざという時は身を挺してでも仲間を守る、心優しい性格。もともとは田舎にある本家で暮らしていたが、僧として一人前になるため、半ば厄介払いされる形で「賽円寺」へ修行に出された。 実家にいた頃の悪い思い出から、当初はあまり寺の仕事が好きではなかった。しかし、南部千歳をはじめとする六人の尼僧とかかわるうち、次第に前向きになっていく。性的に興奮すると、突如僧としての能力が向上する「覚醒(い)」くという特殊能力を持っている。 この能力は非常に強力である一方で、使用後、しばらく煩悩に歯止めが利かなくなる副作用、通称「エロリバウンド」がある事に悩んでいた。そのためできるだけ「覚醒」く事を用いての除霊行為は避け、少しずつ能力をコントロールできるように尽力していた。しかし、この能力は実は逸剛の中に封印されていた賽洞宗(さいとうしゅう)の開祖「賽禅上人(ざいぜんしょうにん)」のものであった。 逸剛ができるだけ「覚醒」く事を避けつつ、逸剛自身と周囲がこの能力を正しい方向に導いていければよいが、失敗して「陰の相」という負の方向に誘導され、落ちた場合、逸剛は「白晨王(びゃくしんのう)」という戦乱や災厄を生む存在になってしまうという危険をはらんだものであった。 にもかかわらず、逸剛自身はこれを知らされないまま、僧としての業務に励む事になってしまう。最終的には逸剛もすべてを知り、正しく「賽禅上人」の力を使えるようになるため、「賽円寺」から本山へ戻って修行する事になる。胸の大きな女性が好きで、たとえば千歳や天川春佳のようなスタイルのいい女性の裸を見ると「覚醒」きやすいが、阿刀田結子や為我井陽のようなスレンダーな女性の身体を見ると、逆に気分が沈静化する事がある。 身長169センチで、血液型はO型。誕生日は7月7日。

南部 千歳 (なんぶ ちとせ)

里中逸剛の仲間である、六人の尼僧の一人。「賽円寺」の寮衆1回生で、東統泉高校1年B組に所属する女子。のちに2年B組に進級する。人道菩薩の加護を受けている。前髪を眉上で短く切り、胸まで伸ばした赤茶色のストレートロングヘアを髪飾りでまとめている。やや堅物な印象を持たれるが、何事に対しても一生懸命に取り組む、明るくまじめな性格の持ち主。 そのため逸剛の事を意識しつつも素直になれず、いつも喧嘩になってしまっている。また、逸剛の特殊能力「覚醒(い)」くについても、強力だからといって乱用しては逸剛の成長の妨げになり、よくないと考えていた。だが、高校1年生の冬、逸剛に秘められた力の秘密を知ってからは、思い悩みながらも逸剛を支えていくようになる。 身長163センチで、血液型はA型。誕生日は11月7日。

阿刀田 結子 (あとうだ ゆうこ)

里中逸剛の仲間である、六人の尼僧の一人。父親を亡くしている。「賽円寺」の寮衆1回生で、東統泉高校1年B組に所属する女子。のちに2年B組に進級する。誠児からは「結ちゃん」と呼ばれており、修羅道菩薩の加護を受けている。前髪を目の上で切り、顎の高さまで伸ばした癖のある青色のボブヘアにしている。三白眼が特徴でスレンダーな体型をしている。 快活で男勝りな性格で、男性のような口調で話す。そのため、逸剛とは、異性というよりも、男性同士のような関係になっている。スポーツ万能で、女子ではなく男子の部活の助っ人を頼まれるほど運動が得意。しかし成績は非常に悪く、逸剛とほとんど変わらない。身長156センチで、血液型はB型。誕生日は8月30日。

生稲 雛美 (いくいな すみ)

里中逸剛の仲間である、六人の尼僧の一人。「賽円寺」の寮衆1回生で、東統泉高校1年B組に所属する女子。のちに2年B組に進級する。畜生道菩薩の加護を受けており、高校では家庭科部に所属している。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、顎の高さまで伸ばした茶色の内巻きボブヘアにしている。色黒で眉が太く「げじ眉」と評されている。 穏やかで控えめな、母性あふれる性格。そのため、男子に非常にもてる。畜生道菩薩の加護を受けている影響で、春になると身体から、雄の獣を惹きつけるフェロモンのようなものが出てしまう。その最中は近隣の犬や猫がどんどん集まってくるという事態に悩んでいたが、逸剛の助力により生稲雛美自身が尼僧として成熟した事でフェロモンをコントロールできるようになり、克服した。 身長161センチで、血液型はO型。誕生日は5月12日。

為我井 さくら (すがい さくら)

里中逸剛の仲間である、六人の尼僧の一人。「賽円寺」の2回生で、東統泉高校2年C組に所属する女子。のちに3年C組に進級し、3年生になってからは生徒会長も務める。餓鬼道菩薩の加護を受けている。為我井陽とは遠縁関係だが、陽が為我井さくらの家に引き取られてからは姉妹同然の関係である。天川春佳からは「さっちゃん」と呼ばれており、出会った当初から為我井姉妹の事情を知られている事もあり、春佳とは強い信頼関係で結ばれている。 前髪を真ん中で分けて額を全開にし、顎の高さまで伸ばした紫色の内巻きボブヘアにしており、眼鏡をかけている。六人の尼僧の中ではリーダー的存在で、まじめで頼りがいある、知性あふれる性格。そのため河原浄徳からの信頼も厚い。 しかし、霊力は低く、「賽円寺」に来たのも、陽が尼僧として少しでも早く成長するようにサポートするためだった。陽の事を誰よりも大切に思っており陽のために尽力していたが、陽が「賽澄寺(さいちょうじ)」での修業に成功し、「伝法灌頂(でんぽうかんじょう)」の段階の尼僧に成長した事で、自身の目的が果たされてしまい、霊力も薄れてしまった。 そのため「六地蔵巡業(ろくじぞうじゅんぎょう)」に失敗したのを機に出家し、最終的には浄徳に代わって「賽円寺」の住職を務める事になる。身長168センチで、血液型はA型。誕生日は10月2日。

天川 春佳 (あまのがわ はるか)

里中逸剛の仲間である、六人の尼僧の一人。「賽円寺」の2回生で、東統泉高校2年C組に所属する女子。のちに3年C組に進級する。天道菩薩の加護を受けている。天川京は姉。六人の尼僧の中では一番最初に「賽円寺」を訪れ、その次にやって来た、為我井姉妹の事情も知っている。特に為我井さくらとは年齢が同じな事もあり、強い信頼関係で結ばれている。 高校では合気柔術部に所属しており、非常に強い。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、胸の高さまで伸ばした金色のロングヘアをゆるく巻いた髪型をしている。胸が大きく、さらにかなりの長身という抜群のスタイルを持つ。おっとりとしたマイペースな性格の天才肌。六人の尼僧の中で一番の祈禱術の使い手で、天道菩薩の加護を受けている事も手伝い、結界も壇も作らずに、経文だけで霊を10時間もぶっ通しで成仏させ続けられるほどの能力を持つ。 また、高校の成績も六人の中で最もよいが、感覚で学ぶため、人に教えるのは非常に苦手。しかし、趣味は昼寝で、ごろごろするのが好きなぐうたらな一面もある。また、下着姿で家をうろつく事も多く、よく逸剛を困らせている。 寺の仕事をさぼる事も多いが、実は街の浮遊霊たちの相手をしており、彼らとは非常に仲がいい。身長172センチで、血液型はO型。誕生日は4月12日。

為我井 陽 (すがい ひなた)

里中逸剛の仲間である、六人の尼僧の一人。「賽円寺」の寮衆準備生で、東統泉中学校3年D組に所属する女子。中学卒業後は東統泉高校1年C組に進学する。両親を亡くしているが、両親は現在為我井陽を守る2体の鬼に変身しており、つねに陽のそばにいる。地獄道菩薩の加護を受けている。為我井さくらとは遠縁関係だが、陽がさくらの家に引き取られてからは姉妹同然の関係である。 天川春佳からは「ひなちゃん」と呼ばれている。前髪を眉上で切り揃え、膝の高さまで伸ばした紫色のロングヘアを、2本の三つ編みにしてまとめている。寡黙で落ち着いた性格で、普段はあまり発言しない。しかし実は毒舌家で、敵とみなしたものには、容赦のない指摘をする。両親の死後から自分にとりついている2体の鬼を家族同然に思っており、為我井家に引き取られた後も、さくらたちの了承のもと、鬼たちといっしょに暮らしていた。 しかし中学1年生の頃、校内の不良に襲われた事で、陽を守るため鬼たちが暴走。不良にケガをさせてしまい、学校にいられなくなってしまった過去を持つ。そこで、河原浄徳の助言と、さくらの強い希望でさくらと共に引っ越し、賽洞宗「賽円寺」に入り、東統泉中学校に転校した。 その後も、鬼たちと別れなければと思いながらもできない日々が続いていたが、逸剛と共に「賽澄寺(さいちょうじ)」で修業した事で、尼僧として成長し、同時期にサイズダウンして小さくなった鬼をコントロールできるようになった。さくらの事を、誰よりも大切に思っている。 身長152センチ、血液型はB型。誕生日は12月31日。

上野 一希 (かずさの かずき)

賽洞宗「孝招寺(こうしょうじ)」の尼僧見習いで、東統泉高校1年C組に所属する女子。里中逸剛が高校2年生に進級した際に入学して来たため、学年と年齢は1つ下にあたる。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、淡い黄緑色のショートカットヘアにして、左側の髪の毛の一部だけを髪飾りでまとめている。一見物腰柔らかくおしとやかに振る舞っているが、実際は計算高く意地悪な、裏表のある性格。 特に逸剛の前では猫をかぶっている。逸剛たちとは、逸剛と南部千歳が訪れた家で、先に来て挨拶していた事で知り合い、いっしょに除霊を行った事で親しくなる。その後、東統泉高校に入学して来るが、実は「碩清流(せきしんりゅう)」という、逸剛の霊力を陰の相に落とし、自分たちの意のままにする事で、賽洞宗の実権を握ろうと企てる一派に属している。 そのため、逸剛と顔を合わせては誘惑し、故意に「覚醒(い)」かせる事で陰の相に落とそうとする。しかし、逸剛と千歳と接するうちに次第に考えを改め、最終的には諦めて自分の未熟さも実感し、「碩清流」を抜けて本山へ戻った。身長161センチで、血液型はAB型。誕生日は5月30日。

識 志瑞理 (しき しずり)

賽洞宗本山の若い尼僧で、里中逸剛とは幼なじみ。「賽円寺」の寮衆のOGでもあり、天川京とは同期。識聡理は妹。前髪を目の上で切り、太ももの高さまで伸ばした青色のロングヘアをポニーテールにし、毛先を巻いた髪型をしている。約180センチの長身で、眼鏡をかけ、鼻の周りにそばかすがある。穏やかでおっとりした性格だが、一方でそそっかしく、極度の方向音痴。 逸剛とは本山にいた頃から親しい幼なじみだったが、識志瑞理が16歳の時に修行に出てしまってからは会っていなかった。しかし、逸剛たちが高校2年生の夏に、逸剛たちの成長度合いを確認しに「賽円寺」へやって来た事で再会する。今でも逸剛の事を意識しているが、逸剛にはあまり女性として認識されていない。 「曜天観(ようてんがん)」という、対象の目を見る事で、その人物の霊力の大きさや陰陽の度合を見定める力を持っており、その気になれば記憶や心まで読み取る事もできる。しかし、普段は眼鏡状の仏具によって能力を制限しており、眼鏡をはずさない限りは「曜天観」は発動しない。そのためか、両手で眼鏡を触る仕草をしている事が多い。

河原 浄徳 (かわはら じょうとく)

賽洞宗「賽円寺」の住職と、逸剛たちの通う東統泉高校の副校長を務める年老いた女性。里中逸剛の祖母。賽洞宗の五聴衆の中でも重要なポストを務める高僧でもある。非常に小柄で三白眼が特徴。逸剛たちには、普段は「浄徳ばあ」、高校では「先生」と呼ばせている。厳しくも温かい性格で、逸剛と六人の尼僧たちを見守っている。若い頃は相当な美人だったらしく、賽洞宗関係者の老人や町内の老人や、そして浮遊霊たちからは、現在でもアイドル的扱いを受けている。 長らく「賽円寺」の住職を務めており、逸剛の中に封印されていた賽洞宗(さいとうしゅう)の開祖「賽禅上人(ざいぜんしょうにん)」の力を正しく導くために尽力していた。最終的には「賽禅上人」の力を悪用しようとする「碩清流(せきしんりゅう)」の人間に勝手な行動をさせないために本山に戻り、為我井さくらに住職を任せた。 ヘビースモーカーで、つねにタバコを吸っている。

天川 京 (あまのがわ みやこ)

八谷海岸にある賽洞宗「賽澄寺(さいちょうじ)」の住職を務める若い尼僧。天川春佳の姉。「賽円寺」の寮衆のOGでもあり、識志瑞理とは同期。前髪を真ん中で分けて額を全開にし、腰まで伸ばした深緑色のロングヘアを、右側の髪の毛の一部だけ垂らして、残りは首の付け根の位置で一つに結んでいる。胸が大きくセクシーな雰囲気の、おっとりした性格。 修行のために「賽澄寺」を訪れた里中逸剛と為我井陽のために、二人が成長できるよう指導をする。

誠児 (せいじ)

阿刀田結子の友人で故人。現在は結子が以前住んでいた公団アパートの地縛霊になってしまっている。前髪を眉上で短く切った、癖のあるベリーショートカットヘアにして、両目の下にそばかすがある。穏やかでかわいらしい雰囲気を漂わせているが、やや気の弱い性格。小学生の頃、いじめっ子を結子と共に撃退し、また、アパートの隣同士に住んでいた事がきっかけで親しくなる。 しかし中学校に進学後、病気で入院してしまい、そのまま亡くなった。亡くなった時期と結子が引越しした時期が重なってしまった事で、結子に見捨てられたと思ったまま地縛霊となった。そのため結子を恨んでいたが、結子が里中逸剛らと共に公団アパートに霊障調査に訪れた事で再会し、誤解も解けて成仏した。

識 聡理 (しき さとり)

上野一希と同じ「碩清流(せきしんりゅう)」に属する賽洞宗の若い尼僧で、識志瑞理の妹。前髪を目の上で切り、腰まで延ばした水色のストレートロングヘアをポニーテールにしている。「碩清流」の最高位である洪厳の右腕的存在として暗躍しており、一希らに命令して里中逸剛を陰の相へ落そうとしている。冷淡で残酷な性格で、一希の事も手駒程度にしか思っていない。 志瑞理と同じ「曜天観(ようてんがん)」の力を持っているが、志瑞理とは違い、眼鏡状の仏具で制限しなくても能力がコントロールできる。

クレジット

原作協力

ボヘミアンK

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