あらすじ
第1巻
明るく無邪気な小日向光は今日から高校生となり、新しい学び舎に期待を膨らませていた。一方、大木双葉は上がり症な性格に加え、最近引っ越したばかりで気分が沈んでいた。知らない土地や、知らない学校で心細さを感じていた双葉だったが、入学式の日に光と出会う。いつも楽しそうに無邪気な笑顔で、誰とでもすぐになかよくなる光を見ていると、双葉も次第に物事に対して前向きになっていく。そして光はダイビングが大好きなことから、高校でもダイビング部に入部すると意気込んでおり、彼女といっしょにいるうちにダイビングに興味を覚えた双葉も、ダイビング部に入部することとなる。
第2巻
小日向光と共に夢ヶ丘高校ダイビング部に入部した大木双葉は、顧問の火鳥真斗の指導のもと、練習を行っていた。しかし予想以上にダイビングは難しく、いつもと勝手の違う動きに双葉は不安を募らせ、つい弱気になってしまう。だが、光のポジティブな言葉に勇気づけられた双葉は、少しずつダイビングの技術を身につけていく。そして光と双葉は、ダイビング部に所属する2年生の二宮愛と二宮誠の姉弟と出会う。光が愛を怒らせてしまってトラブルになるものの、無事に問題は解決し、光たちは頼れる先輩を得る。そして一同は話し合いの末、部活動の活動方針を初心者の双葉の全面バックアップに決定する。双葉は夏にオープン・ウォーター・ダイバーとしてデビューすべく、資格取得を目指すこととなる。
第3巻
春が過ぎ、季節は雨降り注ぐ梅雨となる。オープン・ウォーター・ダイバーの資格取得を目指す大木双葉は、たった一人で顧問の火鳥真斗のプール講習を受けることとなる。ほかの部員は全員経験者であるため、初心者の双葉だけが講習を受ける必要があったのだ。小日向光と別れて一人で講習に挑むことに不安を感じる双葉だったが、あきらめずに最後までやりきり、無事に講習を乗りきる。実は隠れて双葉を応援していた光と二宮姉弟も、彼女が無事に講習を終えたことを祝い、喜びを分かち合う。そして双葉も自分の成長を実感し、少しだけダイビングに対して前向きな気持ちになるのだった。そして梅雨も終わり、7月に突入。プールでの練習を重ねていた双葉は、初めて海に潜る海洋実習を受ける。初心者ダイバーの聖地である大瀬崎にたどり着いた一行は、それぞれがバディを組んで海に潜る。双葉は不安から弱気になりながらも、光と組んで海に潜り、神秘的な蒼の世界を満喫する。無事に実習を終えた双葉は初めての体験に感動に包まれるとともに、実習を無事に終えたことで、オープン・ウォーター・ダイバーの資格を手にするのだった。
第4巻
夏真っ盛りの中、夢ヶ丘高校ダイビング部はテスト前の休止期間に入り、部員たちはそれぞれの日常を過ごしていた。夏が苦手な大木双葉は、ついネガティブな気持ちになってしまうが、小日向光の明るさに元気づけられる。二宮愛は優柔不断な性格で、取捨選択を苦手としていたが、光の悩むことすら楽しむ姿勢を見て、自分らしく生きていこうと気持ちを新たにする。そして一行は終業式を迎え、夏休みに突入する。夏休みには双葉の中学時代の友人である、茜とちずるが遊びにき来て、ダイビング部の面々と共に伊豆の海を満喫する。ちずるは見違えるほどたくましくなった双葉の姿に寂しさを感じ、光に嫉妬してしまうが、体験ダイビングをきっかけに打ち解け、光ともなかよくなる。そして新たな絆で結ばれた四人は、再会を約束して別れるのだった。
第5巻
夏休みも中盤を迎える中、夢ヶ丘高校ダイビング部は夏合宿に訪れていた。ダイビング設備が整った旅館で、大木双葉はいつもと同じく小日向光とバディを組み、ナビゲーションの実地訓練を行っていた。少し不安になりながらも光といっしょなら大丈夫と自分を奮い立たせて、双葉はナビゲーションに挑む。しかしダイビングを始めて間もなく、双葉は光を見失ってしまう。双葉は心細さと焦りで混乱してしまうものの、今までの体験を思い出し、一人で合流地点へと向かう。そして無事に合流地点にたどり着いた双葉は、光が実はずっとそばにいて、自分を見守っていてくれたことを知る。光は命も失いかねない過酷なダイビング環境で、双葉が自分に頼り過ぎて失敗しないように、今回のダイビングを利用して訓練を課していたのだった。光の真意を理解した双葉は、光に頼り過ぎずに自分の力で信頼し合える関係を築くことを誓う。
第6巻
夏休みも終わり、新学期が始まる。小日向光と大木双葉は、夢ヶ丘高校ダイビング部のくたびれたドライスーツを、マイドライスーツに新調することを決めるなど、忙しない毎日を送っていた。そんなある日、光は海で岬こころと出会う。見た目は非常にかわいい美少女ながら、中身は海の男さながらのこころを光は気に入り、二人で見つけたタコの母親と卵を見守る日々を過ごす。タコの母親は絶食してまで卵を守り抜き、最期は衰弱死してしまうが、悲しくも愛にあふれた結末を見届け、二人は孵化したタコの赤子を見送る。そして季節は巡り、10月の後半を迎えた頃、夢ヶ丘高校は文化祭の準備で慌ただしくなっていた。そんな中、二宮愛は日常と非日常の交差する独特な空気を楽しんでいたが、ピーターと名乗る一人の少年と出会う。そして強引なピーターに連れられ、愛は摩訶不思議な夜を過ごすこととなる。彼のもたらす神秘的で胸躍る光景に目を奪われる愛だったが、火鳥真斗が愛を引き留め、ピーターはいずこかへと消え去る。後日、愛は、ピーターは前夜祭の日に現れる幽霊で、楽しい非日常にあこがれる子供を連れ去ってしまうという話を聞くのだった。
第7巻
夢ヶ丘高校ダイビング部は注文していた新しいドライスーツが届き、興奮冷めやらぬまま、一同は初のマイドライスーツでのダイビングに挑戦する。火鳥真斗が業者と交渉してモニターを引き受けるのを条件に、新品のダイビング機材をそろえたこともあり、ダイビング部は気分も新たに部活動に励んでいた。ドライスーツはウエットスーツと違ってバランスを取るのが難しく、大木双葉は悪戦苦闘していた。これまでうまくやれていた分、双葉は大きく落ち込んでしまうが、小日向光の温かな励ましを受けて、再び真摯にダイビングに取り組む覚悟を固めるのだった。そして季節は巡り、光と双葉はハロウィンのイベントに参加していた。コスプレをした光は、そのイベントで岬こころと再会する。こころは姉に無理やりコスプレをさせられていたが、相も変わらず美少女然としており、光も双葉もこころを女の子とカンちがいしてしまう。そして双葉とこころは、光と仲のいいお互いの姿を見てひそかに対抗心を燃やし、ハチャメチャなハロウィンを過ごすこととなる。
第8巻
年の瀬も近くなり、クリスマスを迎える。夢ヶ丘高校ダイビング部の面々はそれぞれに予定が入ってしまい、クリスマスは各自で過ごすこととなる。小日向光も家で過ごしており、妹の小日向こだまがヒマそうな様子だった。そこで光はこだまと共に冬の海に潜り、二人で海に飾られたクリスマスツリーを堪能する。そして光は、ダメ元で知り合いに声を掛け、みんなで大晦日を過ごすことを計画する。ダイビング部の面々や、岬こころも海の家「海女人屋(あまんちゃや)」に集まり、みんなでにぎやかに過ごして温かな空気に包まれる。そんな中、大木双葉は人とコミュニケーションを取るのが苦手な自分が、みんなといっしょにいるのを楽しんでいるのに気づき、この一年で自分が大きく変わったことと、変われないところがあることを実感する。そして年も明け、双葉はこれから始まる新しい一年に思いを馳せるのだった。
第9巻
冬は海水温度が下がり、魚も少なくなるが、水の透明度が上がるためにダイビングをするのには絶好の環境となる。そこで夢ヶ丘高校ダイビング部の面々は、漁船で沖まで向かってダイビングをするボートダイビングにやって来た。大木双葉も、人生初のボートダイビングにチャレンジするために参加していた。深く広い海を楽しむ双葉だったが、オープン・ウォーター・ダイバーの資格しか持っていない双葉は、より深く、広い海を体験するには、さらに上の資格「アドバンス」が必要であることを知る。そして双葉は、アドバンスの資格を得ることを今年の目標に定める。
第10巻
季節は巡り、小日向光たちが高校に入学して一年がたち、夢ヶ丘高校は桜咲く春の季節を迎えていた。光の妹の小日向こだまも新入生となり、姉妹そろって夢ヶ丘高校に通うようになった。こだまは友人の岬ことりと共に、これからの高校生活に思いを馳せるが、親友のことりは大木双葉の姿にあこがれ、すぐさまダイビング部に入部してしまう。姉と同じダイビング部に入部するのを嫌うこだまは拒否しようとするが、祖母である小日向きのの話を聞き、ひとまず入部することを決める。双葉も光から祖母の話を聞いて昔のダイビングに興味を持ち、ダイビング部のホームページを作ることを思いつく。そして双葉は、きのの経営する海の家「海女人屋(あまんちゅや)」から名前をもらい、ホームページの名前を「あまんちゅ!」に決めるのだった。新入部員が入部してにぎやかになったダイビング部の面々は、ことりからの提案で、大室山の山焼きに参加。そこで光と双葉は、中学生となった岬こころと再会する。そして二人は、こころはことりの弟で、れっきとした男の子だということを知る。
第11巻
夢ヶ丘高校ダイビング部は、夏合宿のために部員全員で沖縄へと赴く。大木双葉も夏前に上位ライセンスの「アドバンス」の試験に合格し、沖縄の海でボートダイビングを満喫する。そんな中、こっそりみんなについてきていた光の祖父の小日向はやても加わって、合宿はにぎやかで騒々しいものとなる。部員たちは合宿を通じて先輩後輩の枠を超え、お互いの新しい一面を知り、ダイビング部の結束はより強固なものとなっていく。沖縄の海を満喫した一行は、この地を離れることに寂しさを覚えるが、再び沖縄に来ることをみんなで誓い合い、沖縄をあとにする。
第12巻
日に日に秋が深まっていく、そんなある日。夢ヶ丘高校ダイビング部は二宮愛と二宮誠の姉弟の提案で、秋の大祭に参加することとなる。女子たちは神前で舞いを披露する「舞姫」を、そしてたった一人の男子である誠は「鹿島踊り」を行う予定だが、そこに岬こころも誠の口添えで、法螺貝を吹く役での祭への参加が決定する。神社での祭りの準備期間は厳かで、幻想的な雰囲気に包まれており、こころは気を引き締めて祭に臨む。そしてこころは、一心不乱になって神輿を担ぐ男たちの気迫に圧倒されながらも、自分もがんばらなければと奮起する。いつも見ている人たちが、いつもと違って見える摩訶不思議な体験をしたこころは、祭の終わりを名残惜しく感じつつも、祭を最後まで見届ける。この祭を通じてこころは誠となかよくなり、彼の勧めで海の家「海女人屋(あまんちゃや)」に設けられた夢ヶ丘高校ダイビング部の海女人屋支部に入部するのだった。
第13巻
季節は木の葉が色づく秋となっていた。小日向光と大木双葉は、修学旅行で京都に行くこととなり、期待に胸をふくらませていた。初めての京都を友人たちと満喫する光だったが、人ごみにまぎれて友人たちとはぐれてしまう。そんな中、光はたまたま京都に修学旅行で訪れていた茜と再会する。同じく友人とはぐれてしまった茜と行動を共にし、無事にみんなと合流した光たちは、そのままちずると双葉を加えて京都観光を再開する。双葉はダイビング部のホームページを作成するようになり、写真にハマっていたが、自分の撮影技術に行き詰まりを感じて悩んでいた。しかし、仲間たちと美しい京都を見学したことで、自分がカメラにとらわれるあまり固定概念にとらわれすぎていたことに気づき、写真に対しても前向きな気持ちを抱くようになる。
第14巻
冬が終わり春が近づいた頃、夢ヶ丘高校ダイビング部にも別れの季節がせまっていた。二宮愛は卒業後も実家から大学通いを始めることや、二宮誠が卒業後に上京することを部員たちに知らせる。突然の誠との別れに部員たちは思い出を語り、別れを惜しみつつも、彼らの前途を応援して見送る。そして彼らがダイビング部を去るのと同時に、愛に指名された大木双葉がダイビング部の新部長となり、小日向光はその手助けをする副部長に就任するのだった。しかし3年生に進級後、双葉と光はクラス分けで離れ離れとなり、二人は落ち込んでしまう。光はすぐさま気分を切りかえ、落ち込んでいる双葉を景気づけの大ジャンプで元気づけようとするが、着地に失敗して左足首骨折の大ケガを負ってしまう。新たな門出を大騒動で迎えたダイビング部は、部長と副部長のいない状態で新入生の仮入部期間を迎える。小日向こだまと岬ことりは先輩たちが不在の中、待夜紅葉と詩丘桜の二人を新入部員として獲得するのだった。
第15巻
夢ヶ丘高校ダイビング部に入部した新入生の詩丘桜は、中学生にしてプロの水中カメラマンとしてデビューした逸材だった。しかし気が非常に弱く、いつも幼なじみの待夜紅葉の後ろに隠れてばかりいた。最近、水中カメラに強い興味を持つ大木双葉はなんとかして桜となかよくなりたいと思うものの、臆病な性格の桜は双葉を避けてばかりで、二人の距離はなかなか縮まずにいた。そんな中、桜は趣味のネットゲームをしている最中、ゲーム仲間の「するめじん」から現実世界で会いたいと誘いを受ける。不安を感じつつも、するめじんがどんな人なのか気になっていた桜が、その申し出を了承すると、そこに現れたのは双葉だった。するめじんの思わぬ正体に大いにとまどい、なかなか言い出せずにいた桜だったが、いつまでも自分を待ってくれている双葉の姿を見て、勇気を出して双葉に自分の正体を打ち明ける。桜は双葉に思いの丈をぶつけ、双葉の言葉にやさしく包まれることで、閉じこもっていた臆病な心を解きほぐしていく。そして桜は、水中写真の弟子入りを志願してきた双葉と、師弟関係を築くのだった。
特殊な描写
本作『あまんちゅ!』は、作者の天野こずえの過去作品である『浪漫倶楽部』や『ARIA』などのセルフオマージュが散りばめられている。例えば、作中の舞台となる夢ヶ丘高校は『浪漫倶楽部』にも同名の中学校が登場している。また、作中の背景に描写されているチラシなどには、『ARIA』の舞台となったネオ・ヴェネツィアに関連したものが描写されている。一部のキャラクターも両作品とのかかわりがあり、本作のメインキャラクターの一人である火鳥真斗は『浪漫倶楽部』にも深いかかわり合いを持ち、同作にも登場している。また茜とちずるは、『ARIA』に登場する水無灯里と藍華・S・グランチェスタに似た容姿や性格、口癖を持つ。
モデルになった町
本作『あまんちゅ!』は静岡県伊東市を舞台にしており、伊豆の海や伊東マリンタウン、温泉丸など市内各所の名所をモデルにした建物が登場している。アニメ第1期『あまんちゅ!』でも伊東市の街並みが映し出されたほか、TVアニメの放映時期には伊東市の各自治体が『あまんちゅ!』とタイアップし、スタンプラリーが行われた。
コラボレーション
ARIA
本作『あまんちゅ!』はアニメ第1期『あまんちゅ!』が開始するのを記念して、同じく天野こずえの漫画『ARIA』とのコラボレーションが行われた。このコラボレーションは「みらくるドラマCD」と題され、2016年7月9日発売の『あまんちゅ!』10巻と、2016年9月10日発売の同11巻、それぞれの特装版に両者のキャラクターが共演するドラマCDと描き下ろしイラストが付属された。音響監督には『ARIA』と『あまんちゅ!』、両作品の監督を務めた佐藤順一が携わっている。ドラマCDの内容は原作者の天野こずえもプロット段階から携わっていると語っている。また、アニメ第2期『あまんちゅ! ~あどばんす~』が開始するのを記念して、再び本作と『ARIA』とのコラボレーションが行われた。このコラボレーションは「みらくるあどばんすプロジェクト」と題され、2018年4月10日発売の『あまんちゅ!』12巻と、2018年6月9日発売の同13巻、それぞれの特装版に両者のキャラクターが共演するドラマCDと描き下ろしイラストが付属された。音響監督を佐藤順一、脚本を赤尾でこ、福田裕子が務めるなど、『あまんちゅ! ~あどばんす~』のスタッフがかかわっている。また本コラボレーションを記念して、一部書店では『あまんちゅ!』第1巻から第11巻のうち1冊を買うと、両作品のイラストが描かれたクリアしおりがランダムでプレゼントされるキャンペーンが行われた。『あまんちゅ! ~あどばんす~』のBlu-ray全4巻には特典として「みらくるあどばんす漫画」とコミックス特装版未収録のドラマCDが2話収録されている。「みらくるあどばんす漫画」は天野こずえ描き下ろしの両作品のキャラクターが共演する漫画で、Blu-rayに1話ずつ収録されており、全4話で総ページ数100ページを超えるボリュームのある内容となっている。
メディアミックス
TVアニメ
2016年7月から2016年9月にかけて、本作『あまんちゅ!』のTVアニメ版第1期『あまんちゅ!』がAT-X、TOKYO MX、BS11ほかで放送された。また2018年4月から2018年6月にかけては、TVアニメ版第2期『あまんちゅ! ~あどばんす~』がAT-X、TOKYO MX、BS11で放送された。制作はどちらもJ.C.STAFFが担当した。内容は本作と同じくダイビングを通じて大木双葉たちが成長していく青春物語で、アニメのダイビング描写にはPADIアジア・パシフィック・ジャパンが協力している。本作の監督を務めた佐藤順一は、過去に天野こずえの漫画『ARIA』のTVアニメ版でも監督を務めており、アニメ放送を記念に行われた本作と『ARIA』のコラボレーションでも尽力している。キャストは小日向光を鈴木絵理、大木双葉を茅野愛衣が演じている。
Webラジオ
アニメ第1期『あまんちゅ!』の放送に合わせ、Webラジオ『あまんちゅらじお! ぴかりとてこと』が、2016年7月7日から2017年3月30日にかけてニコニコ動画で配信された。配信スケジュールは第1話から第7話は木曜日に隔週配信で、第8話以降は月一配信となっている。メインパーソナリティーは小日向光役の鈴木絵理と、大木双葉役の茅野愛衣が務めた。TVアニメ版第2期『あまんちゅ! ~あどばんす~』が放送される際には『あまんちゅ! ラジオ ~あどばんす~』のタイトルで、2018年3月29日から12月21日にかけてYouTubeで配信された。
登場人物・キャラクター
小日向 光 (こひなた ひかり)
静岡県立夢ヶ丘高校に通う女子で、登場時の年齢は15歳。1年2組に在籍している。誕生日は1月31日の水瓶座で、血液型はO型。身長は148センチ。三人兄妹の真ん中で、小日向こだまは妹で、小日向つばさは兄。淡いもえぎ色の髪をショートカットにしており、小柄な体型ながら胸は大きい。明るく無邪気な性格で、好奇心と行動力が非常に旺盛。興味を持ったら一直線に突き進むため、周囲からはその無鉄砲さを心配されることもある。無駄に明るいことから、周囲からは「ぴかり」のあだ名で呼ばれる。祖母である小日向きのの経営する海の家「海女人屋(あまんちゃや)」の手伝いをしていたため、スキューバダイビングが大好き。ダイビングの上級ライセンスを取得済みで、インストラクターをしており、将来は地元でプロのダイビングインストラクターになるのを夢見ている。入学早々、持ち前の明るさで大木双葉となかよくなり、彼女と共に夢ヶ丘高校ダイビング部に入部する。あだ名を付けるのが好きで、双葉をはじめとする周囲の人たちを自分の付けたあだ名で呼んでいる。また、祖母からもらったホイッスルをつねに持ち歩いており、言葉に困った際にはホイッスルを使って感情表現をする。ホイッスルを鳴き声のように使うことから、岬ことりからは謎生物扱いされている。口癖は「うぴょー」。実は勉強が得意で、成績は全教科すべて平均以上。絵もうまく、イラストタッチな絵柄を得意としている。2年生に進級後は、髪を少し伸ばすようになり、段々と髪型のバリエーションが増えている。3年生に進級後は、二宮愛の指名で副部長に就任するが、景気づけの大ジャンプで着地失敗して左足の足首骨折という大ケガを負ってしまう。そのため、進級してしばらくのあいだは松葉杖生活で、海にも潜れずにいた。
大木 双葉 (おおき ふたば)
静岡県立夢ヶ丘高校に通う女子で、登場時の年齢は16歳。1年2組に在籍している。誕生日は4月3日の牡羊座で、血液型はAB型。身長は170センチ。サラサラの黒い髪をロングヘアにしており、容姿端麗で上品な佇まいをしている。眉毛が薄く、点々のようになっているため、小日向光から「てこ」のあだ名を付けられる。中学まで東京で暮らしていたが、卒業を機に知り合いが誰もいない伊豆に引っ越してきた。交通の便が悪いため、親に言われて原付の免許を取り、学校にはスクーターで通学している。臆病な性格で、周囲の声に流されやすく、人前だと上がって何もできなくなることもしばしば。高校に入学後、小日向光とクラスメートとなり、彼女と共に過ごすうちにダイビングに興味を持ち、夢ヶ丘高校ダイビング部に入部する。光の影響を受け、ダイビングに挑戦するうちに少しずつ前向きで明るい性格へと成長していく。喜ぶときは「ふわぁ」と叫び、拒絶するときは「却下」と言うのが口癖。趣味は写真撮影で、携帯を使って好きなものを写真に撮っている。光たちにプレゼントされてからはデジタルフォトフレームを愛用している。好きなものにはとことん熱中するタイプで、小日向きのからダイビング開拓時代の話を聞いて、ダイビングの歴史に興味を覚える。その後、ダイビング活動と歴史をまとめた夢ヶ丘高校ダイビング部ホームページ「あまんちゅ!」を開設した。ホームページに掲載している写真は彼女が撮影したもので、のちに水中撮影に強い興味を覚えるようになる。ホームページ作成中、二宮誠に勧められ、息抜きに「箱庭」と呼ばれる仮想世界に町や家を作るネットゲームで遊んでいる。ゲームアバターはイカの姿で、「するめじん」というアバター名を使っている。ゲームでは一人称に「ボク」を使い、少年っぽい口調で話す。
二宮 愛 (にのみや あい)
静岡県立夢ヶ丘高校に通う女子で、登場時の年齢は16歳。2年3組に在籍している。誕生日は1月7日の山羊座で、血液型はA型。身長は160センチ。ダイビング部に所属し、部長を務めている。二宮誠は双子の弟で、小日向光たちからは「姉ちゃん先輩」と呼ばれる。赤い髪をツインテールにセットしており、スタイル抜群な美人。性格は勝ち気で怒らせると怖いものの、面倒見が非常によく、火鳥真斗からは「ちょっと硬くて融通きかないところもあるけどいい子」と評されている。一方で、優柔不断で取捨選択が苦手なところがあり、服選びにはいつも悩んでいる。弟の誠のことをぞんざいに扱っており、機嫌が悪くなるとすぐに弟を蹴っ飛ばしている。その一方で、幼い頃から姉として弟を守ろうという意識が強いが、誠からは、「強い人」に見えるけど実際は「強くあろうとする人」であると理解されている。文化祭の前夜祭でピーターと出会い、それからは彼にひそかな恋心を抱いている。3年生への進級の際にピーターと再会し、二宮愛自身の恋心を告白することでピーターを目覚めさせた。その後、再会を約束したピーターが永遠野守だと知るものの、真斗と守の恋を応援するために自らは潔く身を引く。絵を描くのが好きで、リアルタッチなイラストを得意としている。卒業後は美術系の大学に進学した。地元に愛着があり、大学は遠いものの実家から通学している。
二宮 誠 (にのみや まこと)
静岡県立夢ヶ丘高校に通う男子で、登場時の年齢は16歳。学年は2年生。誕生日は1月7日の山羊座で、血液型はA型。身長は178センチ。ダイビング部に所属し、副部長を務めている。二宮愛は双子の姉で、小日向光たちからは「弟くん先輩」と呼ばれる。赤毛の髪を短く切りそろえた糸目が特徴で、おとなしいが優しい性格をしている。姉からはかなりぞんざいに扱われており、よく蹴られている。ただし仲が悪いというわけではなく、遠慮なく接することができる家族として気遣っている。岬こころを初対面で男性と見抜いており、秋の大祭でこころと交友を深めてからは、彼を弟分としてかわいがっている。上位ライセンスを取得済みで、ダイビング部では姉とよくバディを組むが、こころがダイビングを始めてからは彼ともバディを組むようになる。趣味はゲームで、コンシューマからスマートフォンゲームまでなんでもプレイしており、デジタル関係の知識も豊富。そのため、大木双葉がダイビング部のホームページを作る際にも協力している。また、その際に息抜きのために「箱庭」と呼ばれる仮想世界に町や家を作るネットゲームを双葉に勧め、双葉と詩丘桜が出会うきっかけをつくっている。幼い頃は泣き虫で、ガキ大将だった姉の後ろにいつも隠れ、彼女に守られていた。ただ、姉が自分たちを守るために強がっているのも知っており、そんな姉の姿を見て育ったため、「強い人」などはおらず「強くあろうとする人」しかいないという考えを持つようになる。この考えをこころに伝えたあと、こころを通じてダイビングの面々にも伝わり、彼らに大きな影響を与えている。卒業後は東京の大学に通うため、実家を離れて上京した。ダイビング部唯一の男性だったが、実はナンパ除けに大いに役立っていたらしく、二宮誠の卒業後、女子だけになって何かとナンパされることが増えた際にはその存在を惜しまれていた。思い入れのあるものが捨てられないタイプなため、掃除の類が苦手。
火鳥 真斗 (かとり まと)
静岡県立夢ヶ丘高校の女性教師で、登場時の年齢は29歳。小日向光たちが在籍する1年2組の担任を務めている。誕生日は8月2日の獅子座で、血液型はO型。身長は168センチ。ロングヘアをポニーテールの髪型にし、明るくさばさばした姉御肌な性格をしている。モットーは「楽しいは無限大」で、勉強も遊びも精いっぱい楽しむことが大切だと考えている。生徒たちにも勉強は二の次で、楽しむことが大事だと説いているが、勝負事の際には負けず嫌いな一面を見せるなど子供っぽいところもある。ダイビングが趣味で、夢ヶ丘高校ダイビング部の顧問を務める。上位ライセンスの持ち主で、初心者の大木双葉の指導も行っている。『浪漫倶楽部』に登場する、人ならざる者を見る力を持つ少年の火鳥泉行の姉。弟の影響で人ならざる者が見えるという能力を持ち、中学校の卒業式でピーターと出会い、彼に「ピーター」という名を付けた。その後、高校生時代にたびたび彼と会っていたが、ピーターから別れを告げられたのを最後に会うことはなくなる。夢のような記憶は大人になるにつれて薄まっており、現在はかなりの部分を失っているが、ピーターの存在は認識している。のちに二宮愛からピーターの顚末を聞いて安堵する。その後、ピーターの正体である永遠野守と再会。彼からは告白もされているが、色恋沙汰に免疫がなく、愛の気持ちも知っていたために当初は逃げてばかりいた。しかし愛をはじめとする周囲の応援で、少しずつ距離を縮めていく。夢ヶ丘高校の卒業生でもある。
ありあ
『あまんちゅ!』に登場する動物。ダイビング部のマスコットだが、実は校長が飼っているオス猫。全身白色だが、耳としっぽが茶色なことから、小日向光が勝手に「ちゃ」と名付け、顧問にしてしまう。
校長 (こうちょう)
静岡県立夢ヶ丘高校の校長を務める男性で、登場時の年齢は48歳。誕生日は8月4日の獅子座で、血液型はAB型。身長は190センチ。大きなもじゃもじゃとした頭が特徴で、眼鏡を掛けている。ありあの飼い主でもあり、ありあを学校によく連れてきている。小日向光が勝手にありあに「ちゃ顧問」と名づけたのをきっかけに、光たちにかかわるようになる。光たちが拾ってきたお姫をありあのお嫁さんとして引き取る。ランニングが趣味で、よく学校近くを走っている。本名は「佐地茂瑠偉」。
お姫 (おひめ)
『あまんちゅ!』に登場する動物。捨てられていたメスの子猫。ジョギング中にカラスに襲われていたところを、小日向光と大木双葉が助けた。その後、引き取り手を探していたところ、校長がありあのお嫁さんとして引き取ることになった。まだ幼いため、人の指をくわえるくせがあり「指ちゅぱ」「ちゅぱりんぐ」などと呼ばれている。
ピーター
静岡県立夢ヶ丘高校に伝わる怪談に出てくる幽霊で、線の細い黒髪の青年の姿をしている。「今」の楽しさに目を奪われるあまり、その先に足を踏み入れたくないと考える人間を連れ去ってしまうといわれている。そのさまをネバーランドに子供たちを連れていく『ピーターパン』になぞらえ、火鳥真斗に「ピーター」と名づけられた。ピーター自身は、この名をいたく気に入っており、「愛すべき仮称」として名乗っている。その正体は神社に捨てられた赤子の意識。赤子を不憫に思った猫の妖精である「ケット・シー」が、赤子をあやすために夢の世界を作り出したが、その夢が現実で夢を見ている人の意識とリンク。それによって赤子の夢に時空を超えて人の意識が迷い込み、その人々の意識の影響を受けて赤子の意識が成長し、現在のピーターを形作ることとなった。ピーターが見ている夢こそが「ネバーランド」であり、高校生時代の真斗もたびたび彼の夢に迷い込んでいた。夢の世界は、赤子時代の彼の意識が無意識に流し続ける涙によって水没の危機を迎えていた。夢を通じて現実世界の人々と触れ合うことで、夢の世界を広げ、水没から救おうとするものの、流れ出る水の量は増え続け、遂には断念してしまう。すべてに絶望し、最後は水没する夢の世界と運命を共にしようとするが、二宮愛の言葉によって現実を受け入れ、赤子の意識となって目を覚ます。そして、のちにピーターが無事に成長した姿として、永遠野守が二人の前に姿を現すこととなる。
岬 ことり (みさき ことり)
静岡県立夢ヶ丘高校に通う女子で、登場時の年齢は15歳。誕生日は10月31のさそり座で、血液型はB型。身長は146センチ。岬こころの姉で、小日向光たちの一年後輩にあたる。黒い髪をセミロングにしており、高校入学を機に大人っぽくなることを目指している。入学直後に見た大木双葉に大人の女性としてのあこがれを抱き、彼女に近づくために夢ヶ丘高校ダイビング部への入部を即決した。フィーリングや口調などが双葉と似ているため、すぐになかよくなった。同学年の小日向こだまとは中学時代からの親友だが、彼女の姉である小日向光のことは「謎生物」と思っており、嫌ってはいないものの苦手と感じている。そのため、弟の思い人が光だと知った際には頭を抱えていた。ダイビング初心者だが、夏合宿前にはオープン・ウォーター・ダイバーの資格を取得している。感動した際には「凄山凄子」、落ち込んだときには「ダメ山ダメ子」など、「〇山〇子」という言い回しを使うのが口癖。2年生進級後は、光が大ケガを負ったせいでダイビング部の3年生が機能しなかったこともあり、率先して新入部員獲得に動き出す。その際に企画屋として優秀な一面を見せる。
岬 こころ (みさき こころ)
岬ことりの弟で、登場時の年齢は11歳。誕生日は3月3日のうお座で、血液型はB型。身長は128センチ。海の男を目指すれっきとした男の子だが、見た目は美少女然としており、変声期が来ていないため、初対面では女の子にまちがわれることが多い。無造作に伸ばした髪を後ろで一つまとめにし、日焼けした小麦色の肌をしている。姉のことりからもその美少女っぷりをいじられることが多く、ハロウィンでは手作りの甘ロリ系のドレスを着せられている。海でタコの母親と卵を見守っていたところ、小日向光と出会ってなかよくなる。それ以降、光を通じてダイビング部の面々ともなかよくなる。光をはじめとしたダイビング部の面々からも女の子と思われていた。大木双葉とは光の友人という立場からお互いに対抗心を抱いていたが、男性だと判明して以降は一転して双葉から光との仲を応援してもらっている。唯一、初対面で二宮誠だけは岬こころが男性だと気づいており、秋の大祭に誘ってもらったことをきっかけにして、彼を「兄貴」と慕うようになる。また誠や光と共に、海の家「海女人屋(あまんちゃや)」に設けられたダイビング部海女人屋支部に入部した。3日でオープン・ウォーター・ダイバーの資格を取得し、誠とバディを組んでダイビングをするようになる。年上の光を異性として意識しており、こころ自身の13歳の誕生日の際に、ダイビング部の面々が気を利かせて光とのデートをセッティングした。デートの際、結婚についての話題を光がプロポーズだとカンちがいして了承してしまったため、付き合うことになる。光はこころが大人になっても心変わりしなければと軽い気持ちだったが、こころは夫として妻の光を守る男気を見せるようになる。また、光が大ケガを負った際には積極的に介護を手伝い、光からも徐々に異性として意識される。
小日向 はやて (こひなた はやて)
地元では、黒一色のウェットスーツで人間技とは思えない速さで水中を泳ぎ、ダイバーが海中でトラブルを起こすなど困った時にはどこからともなく現れるといわれる。仲良くなった人を、竜宮城と呼ばれる絶景のダイビングスポットに連れて行ってくれるとも噂されている。またの名を、伝説のダイバー「漆黒の人魚 じゅごんちゃん」。 その正体は小日向光の祖父。ケーキを自作するなど料理も得意。
小日向 きの (こひなた きの)
小日向光の父方の祖母で、登場時の年齢は66歳。誕生日は7月29日の獅子座で、血液型はO型。身長は142センチ。伊豆の海で海の家「海女人屋(あまんちゅや)」を経営している。彼女の作る豚汁は絶品と評判で、光も大好物にしている。海に潜るのが大好きで、若い頃は海女を生業としており、日ごとに潜水時間を延ばしていたが、記録を伸ばすことに夢中になり過ぎるあまり遂に溺れてしまった。その際に謎の存在を目撃。その存在を「龍神様」と名づけ、気がついたら手ににぎっていた鱗を「龍神様の鱗」と思い込み、宝物にしている。小日向はやてに溺れていたところを助けられたのがなれ初めで、龍神様にもう一度会うため、彼からダイビングの技術を教わった。ただ、当時はダイビングに対しての偏見も多く、密猟者と誤解されたり、地元の漁師からはいい顔をされなかったりするなど、非常に苦労していた。若い頃からダイバーとして活躍してきた業界の生き字引ともいうべき存在で、数々のダイビングの名所を発見してきたほか、長年の活動から口コミ禁止の超絶レアスポットの情報も知っている。宝物の龍神様の鱗はホイッスルに飾りとして貼り付け、孫の光にお守りとして渡している。
小日向 こだま (こひなた こだま)
小日向光の妹で、登場時の年齢は15歳。中学生3年生。誕生日は11月11日のさそり座で、血液型はA型。身長は146センチ。金色の髪をショートカットにしており、姉とは正反対のしっかり者。小学生の頃は光といっしょによく海に潜っていたため、ダイバーのミドルライセンス(ジュニア・オープン・ウォーター・ダイバー認定)を取得している。姉の奇行には頭を悩ませており、姉が何かしでかすたびに「あーんぽーんたーん」と突っ込んでいる。のちに静岡県立夢ヶ丘高校に入学し、光たちの一年下の後輩となる。当初は姉妹そろって同じ部活をするのは恥ずかしいからと、ダイビング部に入部する気はなかったが、中学時代からの友人の岬ことりがダイビングに即決で入ったことに巻き込まれるかたちで入部する。当初はそれでも正式に入部することに悩んでいたが、祖母の言葉で入部を決める。
小日向 つばさ (こひなた つばさ)
小日向光の兄。女子にモテるがマメでないため、よく振られる。
永遠野 守 (とわの まもる)
静岡県立夢ヶ丘高校に務める男性教師で、登場時の年齢は35歳。二宮愛たちのクラス担任も務める。誕生日は2月29日のうお座で、血液型はB型。身長は180センチ。黒い前髪を目が届くまで伸ばし、無精ひげを生やしている。ひょうひょうとしているが、生徒思いの実直な性格をしている。実はピーターが無事に成長した存在。赤ん坊の頃、母親が重度の育児ノイローゼとなり、神社に置き去りにされてしまう。しかしすぐに母親は思い直し、彼を連れ戻し、母親のもとで健やかに育つこととなる。罪悪感にかられた母親から中学に入るまで何度もその話を聞かされ、謝罪され続けてきた。また、ピーターとしての記憶は夢のようなもので、成長するにつれて薄まり、大人になる頃にはただの夢と思っていたが、火鳥真斗と出会い、彼女に惹かれるにつれてピーターの記憶がよみがえり始める。また、二宮愛の存在が記憶を確信させるきっかけとなり、のちに二人がピーターの最期を見届けたあと、そのことを明かす。ピーターの夢に出てきた猫の妖精である「ケット・シー」によく似た姿の黒猫を引き連れている。現在も真斗に強く惹かれ続けており、彼女に告白するものの、なかなか距離を縮められずにいる。
茜 (あかね)
高校生の少女。大木双葉の中学時代の友人で、東京在住。茶色の髪をセミショートに整え、もみあげを長く伸ばした髪型をしている。おっとりとした性格で、「はい」を「はひっ」と言ってしまう癖がある。伊豆に引っ越した双葉のことを心配しており、夏休みを利用してちずると共に伊豆を訪れ、双葉の元気そうな姿を見て安心する。また、観光案内役である小日向光とも知り合い、すぐになかよくなった。2年生に進級後、修学旅行先が光たちと同じ京都で、時期も同じだったために偶然京都で再会する。
ちずる
大木双葉の中学時代の友人で高校生の少女。東京在住。茶色の髪をショートカットに整え、勝ち気な性格をしている。「のろすけ禁止!」など、何かと「〇〇禁止!」と注意するのが口癖。伊豆に引っ越した双葉のことを心配しており、夏休みを利用して茜と共に伊豆を訪れ、観光案内を買って出た小日向光と知り合う。中学時代の双葉は気が弱く、ネガティブ思考だったが、再会した際には前向きに成長していた双葉の姿に逆に寂しさを感じる。双葉を変えた光に一方的な対抗心を抱くが、ダイビング体験で光に助けてもらったのをきっかけにして打ち解ける。2年生に進級後、修学旅行先が光たちと同じ京都で、時期も同じだったために偶然京都で再会する。その際には、さらに前向きに成長した双葉の姿を見て感慨深いものを感じる。
待夜 紅葉 (まちや もみじ)
静岡県立夢ヶ丘高校に通う女子。登場時の年齢は15歳。新1年生で、小日向光たちの2年後輩にあたる。誕生日は11月15日のさそり座で、血液型はO型。身長は172センチと、女子にしてはかなりの長身。赤い髪をセミショートに整え、抜群のスタイルを誇る。幼なじみの詩丘桜が人見知りなため、彼女を守るべく奮闘している。見ているだけで気の弱い人間は怯えるほど目力が強い。また桜の水中撮影にも付き添っており、危なっかしい彼女のサポートを務めている。気の強い性格なため誤解されがちだが、実は料理が得意だったり、照れ屋だったりと女の子らしい一面もある。ダイビング部入部後の新歓の際には、豪華な手作り弁当を用意したが、気合を入れて弁当を作りすぎたため、母親が作ったとウソを言って誤魔化していた。「ばっちぐー」「ちょべりば」など、古い流行語を使うのが口癖。桜といっしょに「箱庭」と呼ばれる仮想世界に町や家を作るネットゲームで遊んでおり、ゲームでのアバター名は「紅まぐろ」。
詩丘 桜 (しおか さくら)
静岡県立夢ヶ丘高校に通う女子。登場時の年齢は16歳。新1年生で、小日向光たちの2年後輩にあたる。誕生日は4月2日の牡羊座で、血液型はAB型。身長は146センチ。桜色の髪をレトロツインテールにしており、小柄で華奢な体型をしている。内気でおとなしい性格ながら、実は現役のプロの水中カメラマン。ただ過去に写真を批判されたことがトラウマとなり、それが原因で他人と写真の話をしたがらない、人見知りな性格になってしまう。待夜紅葉とは幼なじみの関係で、彼女の後ろによく隠れていることが多い。「ハウジング」と呼ばれるダイビング用の防水カメラケースをよく背負っているが、周囲からはその姿が「カニ」っぽいと言われている。ふだんはおとなしいが、水中撮影にかける情熱は本物で、撮影中は思わぬ行動力を見せるため、彼女の撮影時の姿は「桜のフォトジェニックモード」と紅葉に名づけられている。詩丘桜の撮る写真はどれもすばらしいものだが、一方で写真を撮ることに夢中になり過ぎて、そのまま岩場にぶつかることも多いため、生傷が絶えない。入学前に岬ことりと小日向こだまの雑談を聞いてダイビング部に興味を持ち、入学後にことりに誘われてダイビング部に入部する。大木双葉とは入学前に顔を合わせており、何かと構われることが多い。趣味はゲームで、「箱庭」と呼ばれる仮想世界に町や家を作るネットゲームにはまっている。ゲームでのアバター名は「海職人」で、海の底のマップに竜宮城をまったり建築している。ふだんの一人称は「私」だが、ゲームではキャラを作り、「おいら」という一人称を使って、べらんめえ口調で話す。紅葉と、たまにお手伝いにくる「するめじん」とよく遊んでいる。するめじんとはフィーリングが合い、何かと相談を持ち掛けているが、のちに双葉がするめじんの正体であることを知り、彼女ともなかよくなる。双葉からは写真の師匠と敬われている。