概要・あらすじ
高校1年生の滝口宵は、声が低くて、背も高く、美しい男顔をしていた。しかも品行方正で、正義感にあふれている少女漫画のヒーローのような女の子。困っている人を自然と助けてしまうので、また一人、また一人と彼女のファンは増えていく。自分としてはふつうのことをしているだけなのに、なぜか男子からも女子からも王子と呼ばれ、複雑な心境の宵。そんなある日、学校で突然、上から男性が飛び降りてきて、宵とぶつかる。ごめんとあやまりながらもそのイケメンは宵をじっと見て「美しい」と言ったあと、「男?」と失礼なことを言う。怒ってその場を立ち去る宵。のちにその失礼な男は1年先輩の市村琥珀であることを知る。友達の話では、家がお金持ちでルックスのよい彼も王子と呼ばれているらしい。コンビニに立ち寄った宵は、女性店員を口説こうとしている迷惑な酔っぱらいを注意し、胸ぐらをつかまれる。その様子をスマホで撮影し、ネットに流すと酔っ払いを脅す男がいた。それは、またもや市村だった。酔っ払いは背後から市村を殴ろうとするが、宵は空手の構えで男の手をはねのけた。騒ぎが大きくなってしまい、市村は宵の手を引いて逃げる。公園で宵のことを「かっこいい。あの瞬間王子に見えた」と話す市村。宵は「勝手にみんなが持ち上げているだけで、好きで王子をやっているわけではない」とうつむくが、市村は「別に王子っぽい女の子がいたっていい。オレはときめいたし」と宵を肯定する。それから「いままでお姫様扱いなどされたことがない」という宵に「周りの男は見る目がない」と言って、宵をお姫様だっこするのだった。初めての経験に顔を真っ赤にし、うろたえる宵。その顔を見た市村は、宵のことが気になり始め、翌日、宵に「一緒にお昼を食べよう」と誘うのだった。
登場人物・キャラクター
滝口 宵 (たきぐち よい)
高校1年生の女の子。すらりとした長身、低い声、整った男顔をしており、周りから王子と呼ばれている。誠実で品行方正で、自然に人助けをしてしまうため、女子からの貢ぎ物が絶えない。髪型は黒髪ショートカットで、鼻までの長さの前髪を真ん中で分けている。父が下北沢で「なすおやじ」というカレー屋を営んでいる。「カレーの王子さま」とあだ名をつけられるのが嫌で、学校ではこのことを隠している。男子とまちがえられることはあっても女扱いしてもらうことはほとんどなく、恋愛には奥手。かつては空手を習っていた。
市村 琥珀 (いちむら こはく)
高校2年生の男の子。滝口宵と同じ学校の1年先輩で、王子と呼ばれている。明るい髪色で、耳にピアスをつけており、唇の左下にホクロがある。祖父が会社の社長でお金持ち。家がバレないよう、フェイク用のマンションもある。すでに会社を2~3社任されているとか、泣かせた女は三桁を超えるなどと噂をたてられている。思ったことをすぐに口にするタイプで、素行も悪い。お金目当てで言い寄ってくる女にうんざりしている。
書誌情報
うるわしの宵の月 8巻 講談社〈KC デザート〉
第1巻
(2020-12-11発行、 978-4065217771)
第2巻
(2021-05-13発行、 978-4065232798)
第3巻
(2021-11-12発行、 978-4065256800)
第4巻
(2022-05-13発行、 978-4065278710)
第5巻
(2022-11-11発行、 978-4065298190)
第6巻
(2023-05-12発行、 978-4065316344)
第7巻
(2023-10-13発行、 978-4065333525)
第8巻
(2024-08-09発行、 978-4065366196)