カノジョも彼女

カノジョも彼女

男子高校生の向井直也は、自分にウソをつかない生き方を選択した結果、佐木咲、水瀬渚と同時に交際することになる。さらに直也に思いを寄せる星崎理香、桐生紫乃も加わり、五角関係へと発展する。そんな複雑な関係に翻弄される直也の姿を描いたラブコメディ。講談社「週刊少年マガジン」2020年14号から2023年25号まで連載の作品。2021年7月に第1期、2023年10月に第2期テレビアニメ化。

正式名称
カノジョも彼女
ふりがな
かのじょもかのじょ
作者
ジャンル
ラブコメ
 
学園
レーベル
講談社コミックス(講談社)
巻数
既刊16巻
関連商品
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あらすじ

それが正しい道じゃなくても

ある日、高校1年生の向井直也は同級生の水瀬渚に告白され、佐木咲という恋人がいながら心動かされてしまう。直也は小学1年生の頃からずっと咲のことが大好きで、毎月の告白を繰り返した結果、最近ようやく交際をスタートさせた。それほどまでに咲を愛しているはずなのに、渚の健気(けなげ)な思いにときめいていた。しかしこのままの状態では、自分の気持ちにウソをつくことになってしまうと考えた直也は、渚を連れて咲のもとへ向い、二股してもいいかと大胆に尋ねる。日本の常識で考えれば、男女の交際は一対一が基本であるが、直也はその一般常識から渚を振るのは、自分の本意ではないと考えたのだ。そんな直也の思いと、渚の直也への真剣な気持ちを知った咲は、ひとまず三人で直也の家でいっしょに暮らすことにする。直也の家族は仕事の都合で引っ越しており、咲のそばにいたい直也だけがこの家で一人暮らししていたため、自由に使うことができたのだ。そこで三人は、ひとまず性的な関係にはならないというルールを作るが、咲は渚といっしょに過ごせば過ごすほど、女性として負けている気がして不安になってしまう。

バレたくないから

三人での同居生活が始まったが、向井直也が二股交際をしていること、三人で暮らしていることは周囲に隠していた。二股に関しては、直也にとっては佐木咲水瀬渚に真剣に向き合った末の結果ながらも、周囲は理解してくれないだろうと咲は考えていた。そこで直也と咲は、学校では初対面のふりをして渚と接するが、この状況では渚を悲しませるだけだと気づく。そこで三人は、人気のない場所でいっしょに過ごすことにするが、咲は次第に不安を募らせていく。渚は家で家事を担当しており、性格も健気で献身的で、咲にも好意的に接していた。そんな渚に対し、咲は家事を直也と渚にまかせっきりで、これといった特技もなかった。このままでは渚に直也を奪われてしまうと焦った咲は、その夜、直也にせまるものの拒否され、ショックを受けて自宅に帰ってしまう。

帰ってきてよ

向井直也佐木咲が自宅に帰ってしまったことで、なんとか機嫌を直して家に戻ってきてもらおうとしていた。水瀬渚も協力を申し出るものの、直也はこれは自分の問題であると主張し、一対一で咲と向き合おうとする。そんな直也の努力も虚(むな)しく、咲はなかなか家に戻って来なかったが、渚は咲が家を出ていった理由をなんとなく察していた。咲は、胸が小さいことにコンプレックスを抱いており、直也は渚のような胸の大きな女性が好きなのではないかと感じてしまう出来事があった。これが引き金となり、咲は自宅に帰ってしまったのだ。そこで渚はこれを間接的に指摘することで、三人は改めて話し合う。これによって咲は、胸の大きさに関してはただのきっかけであり、最近自分は渚に比べて、あまりにも直也の役に立っていないことを自覚し、落ち込んで家に帰ったことを打ち明ける。そんな咲の思いを知った二人は、これからはもっとお互いの本音を語り合い、対等な関係を築いていこうと約束を交わす。

ミリカ登場

佐木咲が家出したことから、向井直也、咲、水瀬渚の関係はより一層深まったが、ある日、秘密にしていた二股の関係が、同級生の星崎理香にバレてしまう。三人の関係を面白がった理香は、学校中にばらすと直也たちをからかうが、渚はある事実に気づいていた。先日動画サイト「ミーチューブ」を見ていた渚たちは、有名配信者のミリカの動画に、直也たちの学校の制服が映っていることに気づく。ミリカはすぐに動画を削除するが、渚は動画のスクリーンショットを保存していたのだ。そんなミリカと理香の特徴が一致していると確信した渚は、理香こそがミリカなのではないかと彼女に尋ねる。これによって理香は正体をバラされるのではないかと焦るが、渚たちにはまったくその気はなかった。そんな三人の人柄を知った理香は、安堵(あんど)すると共に直也を気に入り、自分が直也の三人目の彼女になると宣言する。しかし、理香はその動画がきっかけで身元がバレてしまい、ストーカーが学校に押し掛けて来るのではないかと不安を抱いていた。そこで理香は、直也に守ってもらえればいいと考えるが、直也はあっさりとこの申し出を拒否する。

二人のためなら

向井直也に振られた星崎理香は、自らのプライドが許さず、何がなんでも直也を振り向かせようとしていた。そこで理香はキャンプ用品を買い込んで、向井家の庭に居座ってテント生活を始め、そこで動画撮影と配信をしてお金を稼ぐという、不屈の闘志を発揮する。直也たちはこの情熱に感心しつつも、このままでは理香が本当に居ついてしまうと恐怖を覚えていた。そこで直也は、理香が席を外したスキにキャンプ用品を買取業者に売却し、キャンプ用品代は今後働いて返すので、もう自分たちにはかかわらないで欲しいと理香に頼み込む。しかし理香は、直也が佐木咲水瀬渚に誠実に向き合い、二人を幸せにするために取っていた行動だったことを知り、さらに直也を気に入ってしまう。そんな中、理香の父親が理香を自宅に連れ戻すために現れ、理香のミーチューブチャンネルを削除すると言い出す。

ツンがデレデレ

向井直也星崎理香の父親を説得し、理香のミーチューブチャンネルを守り抜いたことで、理香は本気で直也に恋するようになる。その後、理香は家に帰っていったが、佐木咲水瀬渚は新たなライバル出現に焦りを覚えていた。そんなある日、直也は理香を呼び出し、二人は改めて話し合うが、この時も直也が誠実に対応したために理香はますます思いを募らせる。そして理香は、直也にアプローチを繰り返すようになり、鈍感な直也も理香が自分に思いを寄せているのではないかと気づき始める。咲は理香の気持ちを必死にごまかすが時間稼ぎにしかならず、ある日、理香は咲や渚をはじめほかの生徒たちが見ている前で、直也に告白する。

非日常だからできること

星崎理香向井直也に改めて振られてしまうが、いつか絶対に振り向かせると宣言し、直也にキスをする。これを目撃した佐木咲水瀬渚は深く傷つき、咲の友人、桐生紫乃は直也が二股をかけているらしいことを知ってしまう。そんな咲と渚に申し訳なく思った直也は、三人で温泉旅行へ行こうと提案する。咲と渚はこの提案を喜ぶが、渚は次に直也とキスをする相手は、自分ではなく咲がふさわしいと考えていた。渚は本来であれば咲だけが直也と交際しているはずが、自分が横槍を入れたことで二股関係になったことを、今でも申し訳なく思っていた。そして先日、咲ではなく理香が直也のファーストキスを奪ったことを不憫(ふびん)に思っていたのだ。そこで渚は、今回の旅行では咲のサポート役に回るから、直也と関係を深めて欲しいと彼女に伝える。こうして三人の旅行は始めるが、旅行先の箱根に理香と紫乃が現れる。

VS.紫乃

二股関係を疑う桐生紫乃の追求を逃れるため、水瀬渚は先日のスクリーンショットを使って星崎理香をけん制し、旅行には四人で来たと、無理やり話を合わせてもらう。さらに渚は、紫乃に疑われないように旅行中は距離を置くと向井直也に伝えるが、直也はこれを認めようとしない。そんな中、直也は女性用の露天風呂に誤って落ち、入浴中の紫乃に遭遇。ここで紫乃は、二股のさまざまなデメリットを直也に伝えて説得しようとするが、勢いあまって直也を押し倒してしまう。そのうえ、その姿を露天風呂にやって来た佐木咲と渚に見られてしまうのだった。これを好機ととらえた渚はその場の写真を撮り、紫乃を脅す材料を手に入れ、これ以上自分たちの関係を疑わないで欲しいとせまる。これに慌てた紫乃は露天風呂から逃げ出し、咲は露天風呂から直也を追い出すのだった。こうして露天風呂には咲と渚だけが残され、咲は渚が自分に遠慮していることへの疑問をぶつける。

渚にとっての直也

時はさかのぼる。水瀬渚は非常に不器用で要領が悪く、なんに対しても一生懸命に努力をしないと人並みになれず、苦労の絶えない人生を送ってきた。そんな自分にも、得意分野があるはずだとこれまで信じて生きてきたものの、特にやってみたいことを見つけられないまま高校受験を迎え、渚はどこか淋(さび)しい気持ちで受験会場へ向かっていた。そんな渚は会場付近で、向井直也佐木咲に告白する姿を目撃する。二人の話によると、直也は小学1年生の頃から咲に思いを寄せており、彼女と交際するために毎月告白し続けていた。そしてこの日も、直也は懲りずに咲に思いを伝えていたのだ。そんな直也の行動力に衝撃を受けた渚は、その日から直也を意識し始め、やがて彼に思いを寄せるようになる。そして直也を振り向かせるため、一度はあきらめていた料理に再チャレンジしていた。さらにジョギングで身体を絞り、よりよい食材を買うためにアルバイトを始める。そんな中、これまでの人生で初めての充実感を覚えた渚は、自分を変えてくれた直也に恋愛感情だけではなく、深い感謝の念も抱くようになっていた。

二股なんて絶対に

向井直也は、偶然水瀬渚の過去を知ったことで改めて渚と向き合っていた。この話し合いで以前よりも心を開いた渚は、直也の頰にキスをして、桐生紫乃に自分たちの関係を伝える。こうして温泉旅行から帰宅してすぐ、三人は紫乃の自宅に呼び出される。紫乃は改めて二股交際に対して猛反対するが、直也はまったく聞き入れないどころか、紫乃にも認めてもらうため、今後より一層努力すると宣言する。こうしてこの日の話し合いは終わるが、紫乃には誰にも打ち明けていないことがあった。実は紫乃もまた、直也に思いを寄せていたのだ。

イケイケゴーゴー夏休み

向井直也佐木咲水瀬渚は楽しい夏休みを過ごすための計画を練り始めるが、その前に期末テストが控えていた。直也たちの高校では、テストで赤点を三つ以上取った場合、夏休み返上で毎日補習に参加しなければならなかった。そのため渚の成績を不安視した直也は、すぐさま勉強会を始めるがうまくいかず、咲の提案で桐生紫乃に手伝ってもらうことにする。紫乃は成績優秀であるため、咲は渚の先生役にふさわしいと考えたのだ。そんな咲に騙(だま)されて呼び出された紫乃は、仕方なく向井家で渚に勉強を教え始めるが、咲が口を滑らせたことで、三人が二股交際をしているだけでなく、同居していることを知ってしまう。この事実に紫乃は驚愕(きょうがく)するが、結局流されるままに勉強会を続けることになる。そして紫乃のおかげで渚は補習を免れるが、紫乃は勉強を手伝った報酬として、夏休みに自分も向井家に住まわせて欲しいと言い出す。

紫乃と直也

時はさかのぼる。中学に入学したばかりの桐生紫乃は、自分とはまったく違うタイプの佐木咲に付きまとわれ、困惑していた。咲は紫乃に胸が小さい者同士の親近感を抱いて近づいていたのだが、紫乃は咲となかよくなれないだろうと思っていた。しかし、無視してもめげずに話しかけて来る咲と接するうち、紫乃は徐々に咲と親しくなっていく。そんなある日、紫乃は咲が向井直也に告白される場面に遭遇する。直也はただストレートに告白するばかりで、照れた咲に邪険にされて追い払われていた。しかし紫乃は、そんな直也のまっすぐな人柄に触れて惹(ひ)かれていく。そこで紫乃は直也に話しかけ、直也と咲がうまくいくように協力するようになる。そんな中、紫乃は直也の人柄をさらに知ることとなり、いつしか彼への思いを自覚する。

カノジョと花火

向井直也への思いを隠したまま、桐生紫乃は夏休みのあいだ直也たちと同居することになる。当初こそ直也と水瀬渚にそっけない態度を取っていた紫乃は、なんだかんだで面倒見のいい性格を発揮してしまい、次第に向井家に馴染んでいく。しかし紫乃は、このままではいけないと考え、近々開催される花火大会を利用して直也とキスするように佐木咲に命じるのだった。こうして直也、咲、渚、紫乃の四人は、当日突然やって来た星崎理香も加えて、五人で花火大会に向かう。その途中、動画撮影のある理香は抜けるものの、残った四人で楽しい時間を過ごしていると、いよいよ花火が始まる頃、咲と渚がどこかへ行ってしまう。これに気づいた直也と紫乃は慌てて二人を探し始めるが、その途中で迷子を発見したうえに、紫乃は転んでケガをしてしまう。すると直也は、咲と渚よりも迷子と紫乃を優先し、二人を抱えて移動することになる。そんな直也の心優しい人柄に触れた紫乃は、なぜ直也のような誠実な男性が、咲を悲しませてまで二股関係を続けているのかが理解できないと尋ねる。これに直也は、咲には自分の気持ちをすべて正直に伝えたかったからだと説明するが、その言葉に紫乃は激怒する。親しい人を悲しませるくらいなら、隠していた方がいい場合もあると反論する。

カノジョと花火2

コンビニで桐生紫乃と別れた向井直也は、佐木咲水瀬渚を探していたが、そこに星崎理香が現れる。急いでいる直也は理香にそっけない態度を取るが、理香はいっさい気にせず、もっと自分を見て欲しいとせまる。そして理香は、自分の新作動画の話題を振り、ぜひ見て欲しいと頼むが、直也はもう理香の動画は興味がないと、その場を去ってしまう。この言葉に深く傷つきつつも、理香は直也との関係に変化が生じていることに気づき感激していた。直也は理香のことをこれ以上知ると、理香のことを好きになりそうなので、動画を見ないようにしていたのだ。その後、必死に会場を探し回った直也は、まず渚と再会。10分後に咲と待ち合わせしているらしい公園で、二人きりで過ごす。そして直也は、周囲に自分たちの関係を打ち明けられないことを詫(わ)びるが、渚は直也といっしょにいられる喜びの方が大きく、ずっといっしょにいたいと打ち明ける。こうして二人の仲は以前より深まり、咲がやって来たことで渚はその場を去るが、直也と咲がいいムードになりかけた頃、花火大会は終了してしまう。

カノジョと覚悟

向井直也佐木咲は、花火大会でキスこそできなかったものの、二人でじっくり話したことで絆(きずな)はより一層深まった。しかしこの状況に桐生紫乃は、いい雰囲気になってもキスすらしない咲の態度に疑問を持ち、咲は本当に直也が好きなのかと思うようになっていた。そんな中、咲宛に大量のキャンプ用品とキャンプ場の無料クーポンが届く。咲自身はよく覚えていなかったが、どうやら以前懸賞に応募したものが当選したらしいのだ。そして咲は早速、直也や咲、水瀬渚、紫乃の四人でキャンプに行くこととなる。しかしこれは、星崎理香の仕組んだ作戦だった。理香は、四人が慣れないキャンプで困っているタイミングを見計らって現れ、キャンプが得意な自分が頼りがいのあるところをアピールしようとしたのだ。直也は、花火大会であれだけ冷たくしたにもかかわらず積極的に接してくる理香に困惑するが、彼女にはさらなる秘策があった。それは、食事に睡眠薬を混ぜて全員を眠らせ、直也だけを連れ去って二人きりで過ごすというものだった。しばらくして目覚めた直也は、これ以上自分にアピールしても、理香が傷つくだけだと説得しようとする。しかし、理香はそれを承知のうえで、それでも直也と過ごしたいと伝える。

決着の五か月間

8月1日の夜、向井直也星崎理香の思いを改めて知り、理香と話し合ったうえで、理香を振る決意をする。そこで直也は、理香と向き合う期間を今年中に定め、理香にも自分の家に住んでもらうことにする。だが佐木咲水瀬渚は、直也の真意こそ汲(く)み取るものの、理香の積極的過ぎるアピールを問題視していた。しかし二人は、理香が性的なことをしないという約束さえ守れば、直也の部屋を自室にしたり、直也といっしょに寝たりしても問題ないだろうと言い出したのだ。この言葉に戸惑った直也は、全員と平等に接するため、理香だけでなく、咲や渚、桐生紫乃とも時々いっしょに寝る日を作ると応じる。こうしてじゃんけんの結果、紫乃、理香、渚、咲の順に直也といっしょに寝ることが決まる。紫乃は一見巻き込まれる形で参加したものの、本当は直也と二人きりで一晩過ごすことで、自分の恋が成就する可能性があるのかを見極めようとしていた。そこで紫乃は下着姿で直也と一晩過ごすが、直也のドギマギした姿を見て、もしかすると望みがあるのかもしれないと思うようになる。

親、襲来

夏休みのある日、向井直也の両親が突然家にやって来た。両親に五人といっしょにいる現場を見られてしまった直也は、正直に二股していることを両親に打ち明けるが、直也の父親は異性にもてる直也を羨ましがるものの、直也の母親は戸惑いを隠せない。一方の佐木咲水瀬渚も、二股関係をひとまず受け入れてはいるものの、完全に納得しているわけではなかった。直也の母親は、あきらめの悪い直也が、二人を納得させるまで何年もずるずると二股関係を続けてしまうのではないかと懸念していたのだ。それを指摘された直也は、咲と渚を幸せにしたいと強く願う気持ちを証明すると、まずは次の定期テストで学年1位を取ると宣言。しかしこれを実現させるためには、学年1位を取り続けている桐生紫乃を超える必要があった。

カノジョとバカンス

向井直也たちは、テスト勉強を始める前の最後の思い出作りとして、2泊3日の沖縄旅行へ行くことになった。当初は予算の都合で1泊2日の予定だったが、桐生家の別荘が借りられることになり、2泊3日の日程となる。そこで佐木咲は、この旅行で直也とキスすると誓うが、水瀬渚星崎理香も譲らず、結局、最終的に誰が直也とキスするかで勝負することになる。しかし理香には、今回も秘策があった。理香は桐生紫乃も直也に思いを寄せているが、咲の存在もあり、気持ちを隠していることに気づいていた。そしてそれを黙っている代わりに、旅行中は自分に協力して欲しいと紫乃に持ち掛ける。自分の気持ちをどうしても知られたくない紫乃は、しぶしぶ理香の申し出を受け入れる。しかし渚もまた、今回の旅行でどうしても叶(かな)えたいことがあった。それは今回の旅行で、直也と協力して咲に喜こんでもらいたいというものだった。もちろん直也はこの提案に賛成し、まずは咲と二人きりになろうとするが、理香と紫乃の妨害に遭って失敗に終わる。そして紫乃は、どんなに格好悪くとも自分の気持ちを正直に伝えようとする理香と過ごすうちに、心境に変化が訪れる。

カノジョの決意

桐生紫乃のヘアリボンが海に流されそうになり、取りに行こうとした紫乃と彼女を助けに行った向井直也は、無事にリボンを回収するものの、そのまま無人島に流れ着いてしまう。このリボンは、以前直也が紫乃にプレゼントしたもので、紫乃の宝物でもあった。プレゼントしたことを覚えていた直也は、紫乃がリボンを大切にしてくれていたことを喜ぶ。そんな中、周囲が暗くなってしまい、そのまま無人島で一夜を過ごすことになる。しかし、二人は全身が濡れていることで徐々に体が冷えていき、二人は身を寄せ合って温め合うことにする。これを好機と見た紫乃は、自分には好きな人がいるが、その人に気持ちを打ち明けることはできずに苦悩していることを打ち明ける。もちろんその思い人は直也のことだが、鈍感な直也はこの言葉にまったく気づくことなく、真摯なアドバイスを送る。そんな温かい直也の人柄に改めて触れた紫乃は、直也にキスをする。

メディア化

テレビアニメ

2021年7月から9月にかけて、本作『カノジョも彼女』のテレビアニメ版『カノジョも彼女』がMBS、TBS、BS-TBSで放送された。監督は桑原智、シリーズ構成は大知慶一郎、キャラクターデザインは豊田暁子が務めている。キャストは、向井直也を榎木淳弥、佐木咲を佐倉綾音、水瀬渚を和氣あず未、星崎理香を竹達彩奈、桐生紫乃を高橋李依が演じている。2023年10月からはSeason2が放送開始。

登場人物・キャラクター

向井 直也 (むかい なおや)

とある高校の1年B組に在籍する男子。黒髪ショートヘアにしている。身長170センチ。誠実かつ生真面目(きまじめ)な性格で、何事にも真摯に取り組んでいる。しかし、物事に真剣に向き合いすぎるあまり、常人には考えつかないような奇想天外な答えを出してしまうことがある。幼なじみでとなりに住む佐木咲に好意を寄せており、小学1年生の頃から告白を繰り返したことで、高校入学後についに交際を始めた。しかし咲と交際を始めた直後、水瀬渚に告白されて心動かされてしまう。そして、日本の常識では二股は許されないことから渚を振るのは簡単だが、それは自分の本意ではないという結論に至り、二人と交際する二股関係を選ぶことになる。一風変わった恋愛観を持つが、それ以外については常識人で、一度決めたルールは必ず守る。そのため、二人と交際中に星崎理香にいくらせまられても、三股はダメだと心を律しており、理香には少々そっけない。桐生紫乃とは中学1年生の頃、咲をきっかけに親しくなって友人関係を続けているが、彼女の思いにはまったく気づいていない。両親と三人暮らしをしていたが、両親が仕事の都合で転居することになった際は、咲の傍(そば)にいたいからと一人暮らしをするようになったため、家事全般をこなせる。誕生日は12月31日で、好きな食べ物はバナナ。好きな動物は、咲の影響もあり犬。好きなデートスポットは公園。無人島に一つだけ持って行くなら、サバイバルブック。もし宝くじが当たった場合は、貯金しようと思っている。

佐木 咲 (さき さき)

向井直也と同じ高校の1年B組に在籍する女子。女子バスケットボール部に所属している。直也とは幼なじみで、高校入学後に交際を始めた。ピンク色の髪をストレートロングヘアにしており、吊(つ)り目が特徴。身長161センチの細めの体型で、胸が小さいことにコンプレックスを抱いている。両親から、苗字も名前も「さき」だったら面白いという理由で「佐木咲」と名づけられ、周囲からは、「サキサキ」と呼ばれることが多い。元気一杯な心優しい性格ながら、素直になれないところがあり、ふだんは強気に振る舞っているものの、実は繊細ですぐに落ち込んでしまう。また、眠るとすべてを忘れてしまうため、あまり引きずらないタイプでもある。向井家のとなりに住んでいるため、直也とは小さな頃から仲がいい。しかし、小学1年生の頃から毎月直也が告白してくるようになり、嬉しく思いながらも、直也が真剣すぎるために重たく感じ、なかなか受け入れられずにいる。それでも高校入学後すぐに直也の告白を受け入れて交際を開始するが、ある日、直也が水瀬渚とも交際したいと言い出し、大混乱に陥るが、渚の人柄に触れて関係を認める。美少女全般が大好きで、渚の人柄だけでなく容姿も好みだった。誕生日は4月13日で、好きな食べ物はパフェ。ゲームが趣味で、日課はゲームのランク戦。好きな動物は犬で、好きなデートスポットは遊園地。無人島に一つだけ持って行くなら、水着。宝くじが当たった場合は、ハワイに別荘を買おうと思っている。

水瀬 渚 (みなせ なぎさ)

向井直也と同じ高校の1年B組に在籍する女子。直也の二人目の恋人でもある。紺色のセミロングヘアをサイドテールにしており、まじめでおとなしい性格の持ち主。身長155センチとやや小柄ながら胸は大きく、佐木咲に羨ましがられている。何事もコツコツと真摯に取り組む努力家ながら、極端に不器用で要領も悪いため、人の何倍もの努力をしないと人並みになれないという苦労人。中学3年生の高校受験当日まで、熱中できるものが見つけられず、虚しい日々を送っていた。しかし高校受験当日、咲に告白する向井直也を見て衝撃を受け、直也のようにうまくいかなくても決してあきらめず、熱意を持って取り組む人間になりたいと願うようになる。その後、直也に惹かれるようになり、彼と釣り合う女性になろうと、毎日4時間の筋トレとジョギング、8時間の料理特訓を重ね、眼鏡を外して直也に告白した。直也が咲に思いを寄せていることを承知で告白したため、二股交際には前向きである。当初はどこか咲に遠慮する気持ちもあったが、咲が自分を友人としてもライバルとしても認めてくれたことで、次第に積極的になっていく。そのため咲には感謝しているが、星崎理香や桐生紫乃が自分たちの関係を邪魔してくる際は、それを阻止するために手段を選ばない。誕生日は3月18日で、好きな食べ物は納豆。日課は筋トレと料理の特訓、スーパーの安売りチェック。好きな動物はインコで、好きなデートスポットは映画館。無人島に一つだけ持って行くなら、包丁。宝くじが当たった場合は、日々の食材の質を上げたいと思っている。歌やゲーム、勉強が苦手で、1年生の期末テストでは紫乃に勉強を教えてもらってなんとか補習を免れた。

星崎 理香 (ほしざき りか)

向井直也と同じ高校の1年D組に在籍する女子。金色のストレートロングヘアをツインテールにしている。吊り目で八重歯が特徴。胸が非常に大きく、星崎理香自身の武器であることを自覚している。学業の傍ら動画サイト「ミーチューブ」の配信者「ミーチューバー」として活動しており、ゲームやスポーツ、料理、キャンプなど多岐にわたって配信している。また、活動時は身元がばれないようにマスクで顔を隠し、名前も「ミリカ」を名乗っている。そのため、向井直也たちからも「ミリカ」と呼ばれている。明るい性格の努力家で、目的のためならどんな格好悪いことでもやってのける不屈の闘志を持つ。ミーチューバーになる前は、特にやりたいこともなく漫然と日々を過ごしており、勉強も苦手だった。父親には将来のためにも勉強しろと言われ続けているが、関心の持てないことを頑張るのは何か違うような気がしている。そこで自分らしい特技を見つけ、自立するためにミーチューバーとなった。ミーチューバーとして注目を集めるためには手段を選ばず、自分の胸を武器にすることも厭(いと)わない。そしてコツコツと試行錯誤を繰り返しながら、人気配信者の座に上り詰めたため、自分のチャンネルを何よりも大切に思っている。当初、直也たちのことに関心を持っていなかったが、直也の人柄に触れて好意を抱くようになった。そんなある日、星崎理香が父親ともめた際に直也が味方してくれたことから、彼にアピールするようになっていく。誕生日は8月1日で、好きな食べ物はハンバーグ。日課は動画作りとその日の自分自身を写真に残すこと。好きな動物はライオンで、好きなデートスポットは世界各地の名所。無人島に一つだけ持って行くなら、スマートフォンとソーラー充電器。宝くじが当たった場合は、それを題材にした記念動画を撮ろうと思っている。

桐生 紫乃 (きりゅう しの)

向井直也と同じ高校の1年B組に在籍する女子。女子バスケットボール部に所属している。薄紫色のゆるく巻いたロングヘアをお団子にして一つにまとめている。細身な体型で佐木咲よりも胸が小さく、出会った時から咲に親近感を抱かれていた。生真面目な性格で自分にも他人にも厳しく、文武両道なお嬢様。曲がったことが大嫌いで、間違ったことははっきりと意見するため、周囲からはやや怖い印象を持たれている。しかし、なんだかんだで面倒見がよく、周囲からの信頼は厚い。咲とは中学校に入学して知り合うが、桐生紫乃自身は咲とあまりにもタイプが違うため、なかよくなれないとの思いから当初はそっけない態度を取っていた。しかし、咲と過ごすうちにその人柄を知り、今では無二の親友となった。直也とは咲を通じて知り合い、当初は咲と直也の仲を応援していた。そんな中、直也のまっすぐで一生懸命なところに惹かれ、思いを寄せるようになるが、この思いは胸に秘めていようと思っている。そんな高校1年生のある日、咲と交際を始めたばかりの直也が、水瀬渚と二股交際を始めたと知って衝撃を受ける。そして二股をやめさせようとするが、咲が思ったよりも直也との恋に真剣に向き合っていないことを知り、紫乃自身も直也と交際できる可能性があると考えるようになり、恋と友情の狭間(はざま)で思い悩むようになる。誕生日は11月25日で、日課は株式市場のチェックと日向ぼっこ。好きな動物は猫で、好きなデートスポットは恋人の自宅。無人島に一つだけ持って行くなら船で、その船で自由に帰宅しようと考えている。宝くじが当たった場合は、株を買って運用しようと思っている。

星崎 理沙 (ほしざき りさ)

星崎理香の妹。学業のかたわら動画サイト「ミーチューブ」の配信者「ミーチューバー」として活動している。主にゲームを配信しており、活動時の名前は「リサポン」。金色のストレートロングヘアをツインテールにしている。まだ幼いながらも落ち着いた雰囲気を漂わせた美少女で、顔立ちは理香と非常によく似ている。やや生意気な一面もあるものの姉思いの心優しい性格で、理香といっしょにミーチューブのコラボレーション配信を行ったり、向井直也と理香の恋をアシストしている。しかし、時おり暴走する理香の行動の巻き添えになるなど、気苦労が絶えない。

書誌情報

カノジョも彼女 16巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(2020-06-17発行、 978-4065197431)

第2巻

(2020-09-17発行、 978-4065207475)

第3巻

(2020-11-17発行、 978-4065214091)

第4巻

(2021-01-15発行、 978-4065219607)

第5巻

(2021-04-16発行、 978-4065228852)

第6巻

(2021-06-17発行、 978-4065235881)

第7巻

(2021-08-17発行、 978-4065244784)

第8巻

(2021-10-15発行、 978-4065251430)

第9巻

(2022-01-17発行、 978-4065266069)

第10巻

(2022-04-15発行、 978-4065275412)

第11巻

(2022-06-17発行、 978-4065281833)

第12巻

(2022-09-16発行、 978-4065291337)

第13巻

(2022-11-17発行、 978-4065297100)

第14巻

(2023-02-17発行、 978-4065306291)

第15巻

(2023-04-17発行、 978-4065312650)

第16巻

(2023-07-14発行、 978-4065321874)

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