概要・あらすじ
緑ヶ丘中学校に転校してきた小林渡はバイタリティ溢れるいたずら好きな少年。転校早々、学校中の注目を集める。そんな小林渡が強く興味を示したのは、学級委員の同級生江藤茜の家業である大工。亡き父が大工だったことから、その道を目指して成京工業高校に進学する。
登場人物・キャラクター
小林 渡 (こばやし わたる)
緑ヶ丘中学校に転校してきた。小柄ながら足が速く、運動は得意だが、スポーツのルールを知らないので試合に出すと大騒ぎになってしまう。幼い頃に両親を失い、施設で育った。旧姓は仲村。自由な発想をしつつも、意外とガンコな面もある。当初は傍若無人だったが、もともと施設でリーダー格だったこともあり、次第に他人の気持ちを思いやるようになっていく。 成京工業高校の建築科に進学し野球部を経て建築クラブに入部。充実した高校生活を過ごす。
江藤 茜 (えとう あかね)
緑ヶ丘中学校に通う小林渡の同級生で学級委員。ボーイッシュな見かけとさっぱりした性格で、女子の間での人気が高い。口より先に手が出るタイプ。問題児の小林渡につい世話を焼いてしまう。高校は自宅近くの堀西高校。人目をはばからない小林渡のアタックに、心を許しつつある。
小林 勝 (こばやし まさる)
小林渡の義理の父。集英物産の営業部長で初老の紳士。実子に恵まれなかったため、弟の反対を押し切って小林渡を引き取った。できれば小林渡には、自分と同じ会社で働いてもらいたいと思っていた。
おかあさん
小林渡の義理の母。いつも和服姿でふくよかなおっとりした女性。早くから小林渡の本性を見抜き、受けとめていた。小林渡を小さな子供扱いすることがある。
棟梁 (とうりょう)
小林渡がムリヤリ弟子入りした、腕利きの大工。江藤茜の祖父。仕事には厳しいが、酒を飲むと適当なことを言い始め、仕事のこと以外はまったく憶えていない。小林渡に高校進学を勧めた。
島津 亮 (しまづ りょう)
緑ヶ丘中学校の生徒会長で、名門の白星学園に進学した。小林家の隣人で小林渡の部屋の窓の向かいが自室。小林渡が窓の間を跳んで行き来することもある。頭脳明晰で眉目秀麗な自分に酔うナルシストであることは秘密にしていた。
西郷 ひろき (さいごう ひろき)
緑ヶ丘中学校の番長だったが、『長』のつくことは大嫌いなので呼ばせない。進学後も三稜高校の西郷グループは周囲に恐れられている。小林渡をシメようとしたが、なりゆきで友人になった。三木なおみと恋人関係にあり、その熱愛ぶりに周囲は辟易としている。
小西 悟朗 (こにし ごろう)
緑ヶ丘中学校では小林渡のクラスメイトで、木内正実と合わせて三バカトリオとされる。野球部のキャプテンでポジションは捕手。家の酒屋を継いでスーパーマーケットにするのが夢。そのために猛勉強して開明商業高校に進んだ。宮本通子とは苦労して恋愛関係に。
木内 正実 (きうち まさみ)
緑ヶ丘中学校では小林渡のクラスメイトで、小西悟朗と合わせて三バカトリオとされる。小林渡が来るまでは小西悟朗と不仲だった。生徒会長就任、白星学園進学と尊敬していた島津亮と同様の経歴をたどっている。
宮本 通子 (みやもと みちこ)
緑ヶ丘中学校に3年の2学期に転校してきた。背の高い、明るく華やかな女の子。卒業を前に小林渡に告白して失恋。その後、友人関係が続いていた小西悟朗の誠実な人柄に惹かれた。堀西高校に進学後、二人で暮らしてきた兄の結婚で、静岡に転校。その出発の日に小西悟朗から事実上のプロボーズを受ける。
三木 なおみ (みき なおみ)
緑ヶ丘中学校で小林渡のクラスメイト。江藤茜といつも一緒にいる、恥ずかしがり屋の少女。小林渡に一目惚れ。失恋したが、病気の見舞いに毎日やってきた西郷ひろきと恋仲になった。小林渡の恋人は江藤茜じゃなきゃダメと主張し続けている。
久米 健 (くめ たけし)
緑ヶ丘中学校で小林渡のクラスの担任。天然パーマとヒゲがトレードマークの大柄でパワフルな数学教師。生徒にとって話がしやすいものの、怒ると怖い先生だ。じっとしていない小林渡を顧問をしているバスケット部に入れるが、長続きしなかった。それでも小林渡には親身に接し、高校進学も勧めていた。 小林渡が2年の冬休みの間に、同僚の先生と結婚。翌年に生まれた娘を溺愛している。
浅野 紳一 (あさの しんいち)
成京工業高校での小林渡のクラスメイト。不動産屋の父とはひどい不仲で、しばしばケンカをして家出することも珍しくない。設計志望で系列の大学よりもランクの高いE工業大学への進学を考えている。美術部の部員だが、小林渡の巻き添えで建築クラブの手伝いをすることが多い。
吉沢 明美 (よしざわ あけみ)
成京工業高校での小林渡のクラスメイト。容姿に自信があり、同学年に女子が少ないこともあって、男子学生に強く出ている。浅野紳一に猛アタックをかけて恋人の座を射止めた。浅野紳一と小林渡との関係から建築クラブのゲストとなり、2年で正式部員になる。
鬼島 (きじま)
成京工業高校の建築クラブの先輩。模型制作に全身全霊を打ち込むが、過度の職人肌で完成度に満足できずに途中で制作途中の模型を破壊してばかりいる。建築クラブで実際に建築現場の手伝いをしたときに棟梁に心酔。弟子入りを熱望する。
場所
緑ヶ丘中学校 (みどりがおかちゅうがっこう)
緑町にある小林渡が通っている中学校。
成京工業高校 (せいきょうこうぎょうこうこう)
小林渡が通う高校。緑町からは電車で数駅の距離にある。系列の大学があり、希望すれば建築科に進むこともできる。
建築クラブ (けんちくくらぶ)
小林渡が通う成京工業高校の部。授業で飽き足らない建築科の生徒たちが集まっている。変人ばかりなので『へんちくクラブ』とも呼ばれる。一方で、建築模型はプロも感心するほどのものを作る。