概要・あらすじ
中学2年生の三浦惣太は、スナックで働いて生計を立てる母親と二人暮らし。生活は苦しく、惣太はスマホも買ってもらえず、お小遣いもゼロだった。学校でも惣太の家が貧乏なことが知れ渡っており、ほかの生徒からも敬遠されていた。そんなある日、一人ぼっちでおにぎりを食べていた惣太は、ある噂話を耳にする。それは「春日橋の下ですごく安く売春をしている女性がいる」というものだった。「女の子って買えるのか?」。女性に興味を持ち始めた惣太の心に「売春」の2文字が深く刻み込まれた。その日の夕方、母親が急に仕事に行くことになり、おかず代として惣太は100円を渡された。お釣りはお小遣いにしていいと言われた惣太は大喜び。自転車でコロッケを買いに行く。その帰り道、考え事をしていた惣太は、いつのまにか春日橋まで来ていた。昼間の話を思い出した惣太は、好奇心から土手を降りた。川辺の草むらをかき分けて進むと、ダンボールの上で猫と寝ている女子高生、乃木春を発見する。何をしに来たかを問われた惣太は、学校で聞いた噂のことを話す。さらに所持金を尋ねられた惣太だったが、コロッケを買ったお釣りの24円しか持っていなかった。それを知った春は、あまりのお金のなさに大爆笑。久々に笑ったという彼女は、「24円で私のことを売ってあげる」と言い出す。びっくりしながらも、ときめく惣太に、彼女は近づき、その頭をやさしくなでた。「24円だとこんなもんでしょ」という春に拍子抜けしながらも、惣太は顔を赤らめた。「24円分とはいえ、自分は女性を買ったのだ」。その夜、惣太はどきどきして眠れなかった。惣太はお金をためて、また彼女に会いに行きたいと願うのだった。
登場人物・キャラクター
三浦 惣太 (みうら そうた)
中学2年生の男子。母親と二人ぐらしで、家が貧乏。お小遣いゼロでスマホも買ってもらえないが、ただひたすら貧困に耐えている。消極的で暗い性格。年頃の男の子らしく、女性に興味を持っているが、小心者で女の子と口をきくこともできない。春日橋の下で売春をしている女性がいるという噂を聞きつけ、好奇心から橋へ行き、そこで女子高生の乃木春と出会う。
乃木 春 (のぎ はる)
茶髪の女子高生。春日橋の下で売春をしていると噂される謎の女性で、橋の下の川辺でダンボールをしき、猫といっしょに昼寝していることが多い。売春の噂を聞いてやって来た三浦惣太の所持金が、たったの24円だったことに大爆笑し、その24円で惣太の頭をなでてやる。惣太のことは「可哀想」でからかいがいがあると思っており、どちらかといえば好意を寄せている。