うしおととら

妖怪退治の武器・獣の槍の伝承者に選ばれた少年蒼月潮が、相棒の妖怪・とらとともに、強敵妖怪との戦いを繰り広げ、その絆を深めていく。妖怪をテーマにしたバトルアクション漫画ではあるが、序盤から数々の謎や伏線が散りばめられており、それを妖怪たちとの戦いを通じて少しずつ回収していくという、ストーリー漫画の面も強い。藤田和日郎の初連載作品にして代表作。第37回小学館漫画賞受賞(1991年)。第28回星雲賞コミック部門賞受賞(1997年)。日本のメディア芸術100選マンガ部門選出(2006年)。

世界観

主人公の蒼月潮が住んでいるのは架空の都市である東京都みかど市。高いビルなどがあまりなく、自然も数多く残っていることから、都心部から離れた郊外に存在していると見受けられる。また、の住む芙玄院は、背後に印象的なふたつの山を背にする地に建立されており、住宅街からも離れた場所にあるようだ。

物語の重要な要素となる妖怪に関しては、詳しくはわかっていない。意思のない低級妖怪などはそこら中に徘徊してはいるものの、その存在を強く信じる者や厳しい修行を積んで法力を得た僧侶、のように獣の槍といった特殊な力を持つ道具を手にした者のみが見られるようで、一般人の目には映っていない。強い力を持つ妖怪はその種類が多種多様に存在し、代表的なものとしては里の神として人々に崇められ太古より生き続けるもの、虫などが長い年月をかけて妖怪になった「変化」と呼ばれるものなどが存在する。

妖怪に共通して言えることは、人が恐怖心を抱くような異形の姿に加えて、人知を超えた能力を有しており、基本的に人を嫌って自然の中に棲み、あまり人の前に姿を現すことはないということだろう。種類によっては、人の姿を借りてひっそりと生活しているものもいる。ただ、人を襲い喰らう悪しき魔物と化したものも時折出現し、そのような輩にはの父である蒼月紫暮に代表される光覇明宗に属する僧侶たちが派遣され、人知れず退治されている。

作品構成

ひとつのエピソードを章として区切り、序章「うしおとらとであうの縁」~最終章「うしおととら」まで、全56章で物語は完結する。各章は短編で1話、長編では5~10話程度、最長になると21話とその幅はまちまち。なお、短編は物語が区切りを迎える際の閑話休題的に挟まれることが多く、ギャグテイストの強いエピソードも。また、妻子の仇を追い求める呪符師の鏢や獣の槍の伝承者である引狭霧雄をメインに据え、主人公の蒼月潮とらがほぼ登場しないエピソードも存在。さらに、とら獣の槍に貫かれて封印されるまでのエピソードや、若き日の蒼月紫暮(潮の父)が日崎須磨子(潮の母)と出会って結ばれるまでのエピソードなども外伝としてまとめられている。

あらすじ

うしおととらの出会い 序章「うしおととらであうの縁」~第六章「伝承」

自宅の寺院、芙玄院の地下蔵から妖怪退治の武器・獣の槍を見つけた中学2年生の少年・蒼月潮は、獣の槍とともに封じられていた獣のような姿の妖怪を解放する。人を喰らう残忍な妖怪を獣の槍の不思議な力で御し、とらと名づけた蒼月潮は、それ以降、妖怪との過酷な戦いに巻き込まれることとなる。

とらの妖気に惹かれるように現れる悪しき妖怪たちを、獣の槍で次々と撃退していくを喰らいたいとらに対して、は人を襲わせないためにとらを監視する。学校に出没し、の幼なじみである中村麻子井上真由子を襲う虫の妖怪石喰い、裏切られた過去から娘の羽生礼子を囚われの身とし、憎しみのまま異形と化した鬼、都会に現れて真由子を狙った空飛ぶ首だけの妖怪飛頭蛮、そしてとらを妻子の仇としてつけ狙う、憎しみの権化と化した呪符師の鏢。いがみ合いながらも息のあったコンビネーションを見せて共闘し、危機の連続をかいくぐるという奇妙な関係を続けていくふたりだったが、は海で遭遇した妖怪・海座頭より、死んだと聞かされていた母・蒼月須磨子が生きており、妖怪たちから多大な恨みを受けていることを聞かされる。

旅立ちの時 第七章「ヤツは空にいる」~第十二章「遠野妖怪戦道行」

父・蒼月紫暮に母のことを問いただす。真相を知りたければ北海道の旭川へと向かえという言葉を受け、とらを連れて旅に出ることを決意する。飛行機で一気に北海道へと向かおうとするだったが、巨大な妖怪・衾の襲撃を受け、飛行機は仙台空港に不時着。そこから先は陸路を進むことに。道中では鎌鼬三兄妹の雷信・十郎・かがりの諍いを解決し、鷹取家に捕らわれていたザシキワラシのオマモリサマを解放。そのまっすぐな心で人との共存を願う妖怪たちと意思の疎通を見せるだったが、その矢先、蛇の妖怪・一鬼に率いられた東日本の妖怪衆・遠野妖怪の怒濤の襲撃を受け、は絶体絶命の危機に追い込まれてしまう。

北海道上陸 第十三章「おまえは其処でかわいてゆけ」~第十七章「霧がくる」

遠野妖怪の長である天狗、山ン本に認められたは、800年前に妖怪たちと激戦を繰り広げた白面の者の存在、そして須磨子が白面の者の眠る地に結界を張っていることを知った。母のことを少しだけ知り旅を再開したは、遠野の郊外で出会った軟派な青年コンビ香上・片山の車に無理矢理同乗し、北海道を目指す。その後、秋田で少女を襲う妖怪・なまはげとの戦いを制したのちに、フェリーに乗りようやく北海道に上陸。だが、北海道の地でもを待っていたのは、洞爺湖に棲む悪神・オヤウカムイ、そして覆ったものを溶かす霧の妖怪・シュムナとの激戦であった。

獣の槍伝承者候補者 第十八章「婢妖追跡~伝承者」~第二十一章「変貌」

相次ぐ激戦に疲れ果てたは気絶。を気遣ってトラックの屋根に乗せるとらだったが、が気が付くと、そこは北海道の南の果てにある襟裳岬。そんなの前に現れた勝ち気な少女・関守日輪と錫杖を持つバイクの男・秋葉流。ふたりは獣の槍を伝承するために厳しい修行を経てきた、光覇明宗の若き僧侶だった。そして現れた3人目の伝承者候補・杜綱悟。彼は白面の者が使役する婢妖に精神を乗っ取られていた。悟を正気に戻すため、獣の槍の力を限界まで発揮させて悟の体内に侵入。人の身体に詳しい妖怪・イズナに導かれて悟の脳内に巣くう婢妖を撃破する。だがその直後、獣の槍に完全に魂を喰われ、一匹の獣と化して暴走してしまう。そんなを救うため、謎の女性・ジエメイに導かれ、に縁のある麻子、真由子、礼子、桧山勇鷹取小夜の5人の少女たちが旭川の地に集結する。

獣の槍を持つ者の宿命 第二十二章「時逆の妖」~二十五章「時限鉄道」

正気に戻ったは、ついに旅の最終目的地である旭川にある洞にたどり着く。そこでを待っていたのは、時間を旅する妖怪・時逆と時順であった。時逆の力で過去の中国に行き、ジエメイとその兄ギリョウが命を賭して獣の槍を誕生させる瞬間を目撃。さらには白面の者が傷ついた身体を癒すため、日本を支える柱の「要」に身を置いていることを知る。やがて来る白面の者との戦いを決意する。そして、東京に帰るために合流した紫暮とともに寝台列車に乗るだったが、その列車の乗客を喰らわんと地中を進む巨大な妖怪・山魚が現れる。さらにその列車には、北海道の往路で遭遇したとらの打倒に燃える破戒僧・凶羅が、絶大な力を持つ神具・穿心角を手に乗り込んでいた。

最後の伝承者候補キリオ 第二十六章「HIGH SPEED EATER」~第二十九章「麻子の運動会」

東京に帰還し、普段の生活へと戻った。だが、白面の者は決戦の日を待たず、獣の槍を破壊せんと策を弄する。そんななか現れたホムンクルスの九印を従えた謎の少年。彼は獣の槍伝承者候補の最後のひとりである引狭霧雄であった。霧雄は光覇明宗の僧侶たちに、自身の持つエレザールの鎌を量産することで白面の者打倒を提示。も倒せなかった白面の者が放った強大な力を持つ妖怪・くらぎを光覇明宗の総本山で倒し、その力を僧たちに見せつける。そして、その陰でとらもまた、九印の変幻自在の技に翻弄され不覚を取ってしまう。僧たちの信頼を得た霧雄は、エレザールの鎌の量産を盤石なものにするため、獣の槍の破壊を提唱し、から獣の槍を奪取。焦るの前には日輪が、九印へのリベンジを狙うとらの前には流が現れ、各々が霧雄のもとへと急ぐのだった。

続く妖怪たちとの激戦 第三十章「愚か者は宴に集う」~第三十三章「外堂の印」

真由子のもとに届いたディナーパーティーの招待状。それは、質問をしたのちに人間を喰らう妖怪・たゆら、などかの罠だった。真由子とともに行動していたとらはそれに気が付いていたが、ハンバーガーに夢中になっている間に真由子はひとりで出かけてしまう。真由子を喰うのは自分だと言い張るとらは真由子の姿に変化し、ひとり街へと繰り出す。

ひょんなことからが病院で出会った目の不自由な少年・ミノル。そんなミノルの周囲では、人の心を読む妖怪・さとりが、鋭い鎌を手に人間の目玉を集めていた。四国から来たという鋭い目つきの少女・設楽水乃緒がのクラスに転入してくる。彼女は箱に封じられた妖怪・お外堂さんを使役する家系に生まれたために周囲から畏怖の目で見られており、人を寄せ付けない刺々しい雰囲気を醸し出していた。彼女の目的は、東京に現れた使役者を失ったお外堂さんであるはぐれ外堂を退治すること。クラスに馴染めないままはぐれ外堂と戦う水乃緒を見て、かつてに心を救われた礼子は、水乃緒に対してまるで昔の自分を見るようだと言う。

高まる決戦の機運 第三十四章「西の国・妖大戦」~第三十六章「かがりととらおつかいに」

高千穂に拠を構える西の妖怪の長・神野が東の長・山ン本を捕らえ、白面の者に総攻撃を仕掛けようと画策。イズナ雷信かがりよりそれを聞かされたは、山ン本を助けるために東の妖怪の精鋭らとともに西へと向かう。苦難を乗り越え辿り着いた高千穂の空に浮かぶ神野の屋敷では、神野の提案により雷信かがりとらを加えた3人が、西の鎌鼬三兄妹と勝負することに。激戦を勝ち抜くとらたちだったが、この戦いは時間稼ぎであり、神野は西の妖群を引き連れ、すでに白面の者が眠る海へと到着していた。結界を自在に操る間鎚を切り札に攻撃を仕掛ける神野。だが、白面の者にその攻撃は一切効くことはなく、西の妖怪たちは危機的状況に陥る。そこへとら神野を逃がすために出現。ついに白面の者に相まみえる。

人間たちの反撃 第三十七章「TATARI BREAKER」~第四十章「記録者の独白」

アメリカで発足した、妖怪を科学的に分析する機関・HAMMR。その研究者たちが暴走してを拉致。獣の槍を実験材料としてその能力の秘密を探ろうとする。そして、獣の槍に付着していた白面の者の細胞を培養したことで、その細胞が凶暴化して暴走。壊滅的な大事故に発展してしまう。一方、目の前でが襲われるのを見た麻子の頼みにより、とらが麻子を連れての救出に向かっていた。

放浪の旅を続ける霧雄は、少女を襲う猿の妖怪・しっぺいたろうに手痛い敗北を喫する。そしてひとり佇む霧雄に声を掛けたのは、祖父の家に遊びに来ていた真由子。ふたりは交流し仲良くなるのだが、しっぺいたろうの次の標的は真由子だった。それに気が付いた霧雄は、エルザールの鎌を手に再び戦う覚悟を固める。

ある深夜のテレビ局。事件記者の守矢克美がモニターに映し出されるニュース映像をじっと見つめていた。そこには獣の槍を操るとらの姿が映る。最近頻繁に起こる奇妙な事件の数々を追いかけている守矢は、の存在にたどり着いて独自に取材を行い、この少年の周囲で何かとんでもないことが起ころうとしているのではないかと頭を巡らせていた。

字伏と獣の槍 第四十一章「獣群復活」~第四十三章「風が吹く前」

再会した鏢から戦いに必要なことを学ぶ。その頃、各所の岩の中からとらに似た姿の妖怪が次々と復活していた。の前に現れたそれら獣のような妖怪を前に鏢が語る。とらを含む彼らの名は字伏であると。そして現れた、上唇から下顎にかけて突き刺さるように3本の刃を備えた黒い身体を持つ持つ紅煉という名の字伏。その姿を見た鏢は歪んだ笑みを見せて歓喜する。

字伏到来ののち、3年生に進級した。戦いの前にやり残したことがないようにと出かけたは、桜咲く並木道で麻子に遭遇する。桜吹雪の中、笑顔で歩くふたりだったが、そこに一陣の風が吹き麻子の足が止まった。風が止んだとき、麻子を含め、すべての人々からの記憶が消えていた。

孤立する潮ととら 第四十四章「季節石化」~第四十六章「不帰の旅」

今まで関わってきたすべての人々と妖怪たちから忘れられてしまった。だがとらだけはのことを覚えていた。そんななか、自衛隊が光覇明宗の総本山を封鎖。駆けつけたが本堂に入ると紫暮や日輪ら僧侶たちは石と化していた。その後、東と西の妖怪が大同団結し真由子を攫わんとする。時順が獣の槍が破壊される未来を見たことで、ジエメイの血を引く真由子を生け贄に、新たな獣の槍を造ろうと目論んでいたのだ。真由子の代わりに麻子が身を捧げる決意をし、彼女が炎の釜へと身を投げ出す。麻子を救うために乱入する。さらに混乱の中に現れ、大暴れをする紅煉

すべての味方を失ったように見えただったが、その後、事件記者の守矢の案内により、HAMMRの残党たちのもとに案内される。そこで人々がなぜ自分だけを忘れてしまったのか、その事件の真相を聞かされ、さらには自衛隊が白面の者に向けてミサイル攻撃を行おうとしていることを知るのだった。

白面の者が目覚める時 第四十七章「混沌の海へ」~第四十九章「獣の槍破壊」

須磨子を救うために沖縄の海へ向かったとら。その前に立ちふさがったのは、ひとり石化を逃れ、白面の者の手先となったと語る流であった。とらを急がせるために流と対峙し、戦いの中でその真意を問いただす。そして自衛隊の高速深海探査艇を強奪し、海中へと向かったは、ついに須磨子と邂逅。だが、すでに須磨子の張る結界の力は限界を迎えており、白面の者が目覚めてしまう。沖縄の海に集結した妖怪たちが使役する巨大な集合妖怪・火の兄も、自衛隊の潜水艦もまったく歯が立たず、海上に出て咆哮を上げる白面の者。巨大で恐るべき姿をテレビカメラが捉え、日本中の人々が恐怖する。だが恐怖こそが白面の者の力の源であり、海上では地獄絵図が展開されていく。そんな白面の者に対し、須磨子が諫めるのも聞かずに、心を憎しみに染め上げていく。そして、その場に現れたとらのあるひと言がきっかけとなり、ただの一匹の獣と化したは海上へと飛び出すのだった。

最終決戦 第五十章「とら」~最終章「うしおととら」

自らを石化させていた光覇明宗の僧侶たちが戦いの時を察知し目覚めの時を迎え、東西の妖怪たちとともに白面の者に一斉攻撃を仕掛けるが、まったく通用しない。一方でが憎悪を込めた渾身の一撃を白面の者に放つが、それすらもまったく通じないどころか獣の槍が砕け散ってしまう。力尽きて静かに海中に沈んでいく。そこへ時逆と時順とともに現れた霧雄が、過去で見てきたある出来事を語りだす。それは白面の者とらが誕生する瞬間の物語。海の中で意識を失いつつあるも、霧雄が語る物語と同じ光景を見ていた。とら白面の者に秘められた因縁を知り、本当に守りたいものが何なのかに気が付く。それに対し、獣の槍の破片が輝きでもって答える。日本本土に上陸した白面の者とらがひとり立ち向かうなか、獣の槍の破片が持つ力で、人々や妖怪たちからの記憶が蘇った。皆に支えられ、とらのもとへと向かう。そして、獣の槍の破片のすべてがとらの体内に集まると、その口内から新たな獣の槍が出現した。それを手にしたはすべての人々、そして妖怪たちの想いを背に、とらとともに白面の者に最後の決戦を挑む。

メディアミックス

小説

1993年から1995年の間に小学館のスーパークエスト文庫より全4巻が発行。のちに同社のガガガ文庫より新装版として全2巻が発行された。すべて原作およびイラストは藤田和日郎が務め、文章は中山文十郎。

OVA

1992年から1993年の間に制作・販売された、序盤のエピソードを抜粋したオリジナルビデオアニメである。全10話に加え、SD化したキャラクターが登場するコメディタッチの番外編が存在。

TVアニメ

2015年7月から12月まで26話、2016年4月から6月まで13話の全39話を分割3クールで放送予定。藤田和日郎もシリーズ構成に携わり、エピソードを抜粋する形で白面の者との最終決戦まで放送し、物語を完結させる。

TVゲーム

スーパーファミコン用ソフトとして1993年1月25日にアクションゲームが、1993年7月9日にロールプレイングゲームが発売されている。

評価・受賞歴

妖怪退治という簡潔な物語の中で魅力あるキャラクターたちが活躍する姿を躍動感のある大胆な構図で描いており、非常に読みやすいエンタテインメント性の高い作品。いわゆるバディものでもあり、人間蒼月潮と妖怪とらの絆が、時にユーモアを交えつつも熱い描写で構築されていく姿も楽しめる。

各章は独立しているように見えてすべて繋がっており、過去のエピソードに登場したキャラクターも頻繁に再登場するなど、読者を喜ばせるツボを心得ていると言えるだろう。また、圧倒的な悪として白面の者の存在を序盤から示唆。白面の者を倒すという最終目標に向かって積み上げるように物語は進んでいき、それが最終決戦で怒濤のように押し寄せてくる。終盤は漫画史に残るほどのすさまじい盛り上がりを見せ、読後のカタルシスは圧倒的と言えるほどに強い。

非常にファン人気の高い作品であり、連載終了からおよそ20年が経過した2015年には待望とも言えるTVアニメ化がされ、大きな話題になった。

作家情報

藤田和日郎:単行本の折り返しでアシスタントを含めた近況を描くことが多く、そこでは好きなものに対して研究熱心であることが窺える。また、漫画制作に対しても強いこだわりを持った熱い人物で、ほかの作者の漫画のなかで藤田和日郎をモデルとしたキャラクターが登場することも多い。2015年9月11日にはNHKのテレビ番組「浦沢直樹の漫勉」において4日間の密着ドキュメンタリーが放送され、ほとんど下書きをしないままペンを入れてホワイト修正で線を描くという独自の手法が紹介された。

登場人物・キャラクター

蒼月 潮 (あおつき うしお)

不器用で少し暴力的といえるほどに元気だが、他人のことでも涙を流せる優しさを持つ、真っ直ぐな瞳をした中学2年生の少年。絵を書くのが大好きで、美術部に所属しているが、その腕前は今ひとつ。実家である光覇明宗に属する寺院・芙玄院の地下蔵にあった、妖怪退治の武器、獣の槍を引き抜き、その秘められた力を使いこなす。 その際に獣の槍に貫かれて封じられていた妖怪・とらを解放した。普段は短髪だが、獣の槍を使用すると一気に髪の毛が伸び、それを振り乱しながら荒々しく戦う。出会った当初の蒼月潮ととらは、食うか食われるかの緊迫した間柄だったが、多くの妖怪たちとの戦いを通じて絆が芽生えていき、徐々に息のあったコンビネーションを見せるようになった。 およそ800年前に日本を荒らしまわった大妖怪・白面の者と決着をつけなければならない宿命にあり、その過程で多くの人々や妖怪たちと交流。皆、蒼月潮の真っ直ぐさに惹かれていき、白面の者に対抗しうる、種族を超えた絆を形成していく。

とら

『うしおととら』に登場する妖怪。妖怪退治の武器・獣の槍に貫かれ、光覇明宗に属する寺院・芙玄院の地下蔵に封じられていたが、蒼月潮に開放され、500年ぶりに現出した。虎やライオンを思わせる巨大な獣のような風貌をしており、手足には鋭いツメが伸びている。稲妻を呼び炎を吐く能力を持ち、全身を包んだ長い体毛を鋭く伸ばし、刃のように扱うことも可能。 荒々しく残忍な性格で、人を食うために暴れようとしたが、自分を貫いた獣の槍の力を蒼月潮が発揮させたため、嫌々ながらも彼の命令に従うこととなる。その後、成り行きで助けてしまった蒼月潮の幼馴染、井上真由子からもらった「はんばっか」(ハンバーガー)を気に入り、人を喰うことはそれなりに我慢できるようになった。 およそ800年前に暴れた大妖怪・白面の者と激戦を繰り広げており、当時のことを知る妖怪達からは長飛丸と呼ばれている。また、実は中国大陸出身の妖怪であり、その頃は字伏の名で呼ばれていた。

中村 麻子 (なかむら あさこ)

蒼月潮の幼馴染で、意志の強い瞳をしたボブカットが似合う中学2年生の少女。男勝りの勝ち気な性格に加えて世話焼きな面もあり、困っている人や悩んでいる人を見ると放ってはおけない。蒼月潮が悩んでいる時も体当たりでぶつかり、その心のモヤモヤを晴らすのに助力した。父親から空手の手ほどきを受けており、その腕前は確かで、スラっとした手足から鋭い突きや蹴りを繰り出す。 制服以外の時は動きやすさを重視した、ジーンズにTシャツといったラフな姿がいることが多い。周囲の同級生は蒼月潮とは似たもの同士でお似合いのカップルだと思っているが、本人だけがそれを否定している。

井上 真由子 (いのうえ まゆこ)

蒼月潮の幼馴染の少女で、やや天然気味のおっとりとした性格をしており、肩まで伸ばした真っ直ぐな髪や優しげな目元から、清楚な雰囲気を漂わせる。骨董好きな父親の影響により、不気味とも取れる人形を集めるのが趣味。蒼月潮の知人の中では最初にとらの存在を知った人物であり、首だけで行動する妖怪の飛頭蛮から助けられたことで、とらに親近感を覚え、「とらちゃん」と呼び懐くようになった。 蒼月潮のことが好きだが、親友である中村麻子が蒼月潮のことを誰よりも想っていることを知っているため、自分の気持ちを抑えている。妖怪を見て怯えはするが、簡単に諦めるのではなく、どうにか対処できないかと考える確かな意志の強さも持つ。

蒼月 紫暮 (あおつき しぐれ)

蒼月潮の父親で、光覇明宗に属する寺院・芙玄院の住職。おどけた言動を取ることも多いが、住職らしい厳しさと優しさ併せ持つ初老の男性。厳しい修行により身につけた妖怪退治の術・法術を用い、諸国を巡っての妖怪退治を請け負っており、その礎となる力、法力は、同宗派の中でも随一といえるほどの使い手である。 戦いにおいては僧侶らしく錫杖や、刃のついた宝輪を使用。蒼月潮が獣の槍を抜いたことで自身の秘密を打ち明け、死んだと言い聞かせていた妻・蒼月須磨子の真の役割を知るため、蒼月潮を旭川へと一人旅させた。その後、大妖怪・白面の者との戦いが激化すると、光覇明宗の僧たちのリーダー的な立場として、雄々しい姿を見せる。

蒼月 須磨子 (あおつき すまこ)

蒼月潮の母親。旧姓は日崎、獣の槍の誕生に深く関わる女性・ジエメイの血を引く女性で、生まれながらにして強大な法力の持ち主。800年前の戦いにおいて西の海へと逃走した大妖怪・白面の者に対し結界を張るお役目様の3代目として選ばれた。「潮」と名づけた自分の息子が獣の槍を振るって戦う夢を見たことで、霊体となったジエメイから2年間だけ猶予をもらい、蒼月紫暮と添い遂げ、蒼月潮を産んだ。 なお、蒼月紫暮と日崎須磨子の出会いから結ばれるまでの物語は、最終巻に収録された外伝「里に降る雨」にて描かれている。

凶羅 (きょうら)

影で妖怪退治を行う仏門の一派・光覇明宗を束ねる大僧正・和羅の兄。人並み外れた巨漢で、妖怪退治の術・法術の優れた使い手。顔や身体には歴戦の証である無数の傷が刻まれている。妖怪との戦いに快楽を覚える気性の激しい破戒僧として育ち、あまりにも凶暴な性格のために破門されたが、その力自体は和羅から信頼されており、蒼月潮が持つ獣の槍の奪還と、蒼月潮に従う妖怪とらの抹殺を命じられた。 その強力な法術によってとらを追い詰めたものの、獣の槍を操る蒼月潮に敗北。のちに札幌にある光覇明宗の寺院に封じられていた強力な法具穿心角を手に、寝台列車に乗った蒼月潮を追いかけて復讐しようとするが、寝台列車が巨大な妖怪・山魚に取り憑かれたため、戦いは中断。 蒼月潮たちと一時的に共闘することとなった。

関守 日輪 (せきもり ひのわ)

妖怪退治を担う仏門の一派・光覇明宗の高僧たちが選出した獣の槍の伝承者候補のひとり。ショートカットにキリッとした鋭い眉と大きく鋭い瞳が特徴的な、少年のような面影を持つ少女。半月型の櫛を両手に持ち、念を練って法術を炸裂させる。非常に気性が荒く、厳しい修行を経ていない蒼月潮に対し、今まで無事でいられたのはすべて獣の槍のお陰だと敵意むき出しで迫り、それまでの行いを非難。 失意の蒼月潮から獣の槍を持ち去った。白面の者の分身である大量の婢妖に遭遇し、槍の力の力を発動させて戦おうとするが、能力を発揮することができずに絶体絶命の危機に陥ったところを、駆けつけた蒼月潮に救われた。 その後、少しは蒼月潮を認めるようになり、白面の者との戦いが激化すると、口喧しさは変わらないものの蒼月潮と共闘することとなる。

秋葉 流 (あきば ながれ)

光覇明宗の高僧たちが選出した、獣の槍の伝承者候補のひとり。ライダースジャケットに身を包み、大型のバイクを駆るニヒルな雰囲気の青年。蒼月潮もバイク好きということもあり、蒼月潮は秋葉流のことを流兄ちゃんと呼び慕った。ひと目見ただけでは法術を操る法力僧には見えないが、常にバイクとは不似合いな錫杖を携帯。 獣の槍ではなく、蒼月潮とともに行動するとらに興味を持ち、戦いを挑むが手痛い敗北を喫し、それ以後は蒼月潮やとらに協力した。妖怪たちとの戦いにおいては、危なくなった逃げるなどと軽口を叩いていたが、本心は別のところにあり、実は何をやっても本気を出せない自分に虚しさを感じていた。 白面の者との最終決戦を前に自分自身に嘘をつけなくなり白面の者側に造反、唯一敗北したとらとの全力の戦いを望む。

杜綱 悟 (もりつな さとる)

光覇明宗の高僧たちが選出した、獣の槍の伝承者候補のひとり。法術に加えて、術者の意のままに操れる物の怪・式神を使役する陰陽道も学び、同世代の僧からは獣の槍伝承者になるのは確実と言われたほどに才気に溢れた若者。陰陽師のようなゆったりとした衣をまとい、巨大な多足類のような式神と、巨大な蛭のような式神を使役する。 その才能に目をつけた白面の者の分身体・婢妖に身体を乗っ取られ、獣の槍を破壊するために蒼月潮の前に立ち塞がった。蒼月潮が決死の覚悟で杜綱悟の体内に入り込み、脳内に巣食う婢妖を殲滅し、元の姿に戻った。その後、もっと強くなりたいと願う蒼月潮に試練を与え、獣の槍を信じてともに成長することが正しいと諭す。

杜綱 純 (もりつな じゅん)

光覇明宗の法術を操る僧のひとりで、杜綱悟の妹。蒼月潮が獣の槍を持つことを認めず、同じ志を持つ若い僧たちと組み、蒼月潮の前に現れて戦いを挑んだ。だが、白面の者の分身体・婢妖に身体を乗っ取られた杜綱悟が現れたことで戦いは中断。杜綱悟を元の姿に戻すため、蒼月潮の協力を仰いだ。 蒼月潮が獣の槍の力で杜綱悟の体内に入り、婢妖たちと激突。杜綱純も自身を水流の中に置いて気を高め、一転に集中した念を杜綱悟の目から脳に向けて放ち、脳内の婢妖を消滅させた。幼い頃に自分を守るために妖怪を退治した血まみれの杜綱悟の姿を見て恐怖したという過去があり、そのことをすっと謝りたいと願っていたが、この一件のあと、それを果たす。

キリオ

獣の槍伝承者候補のひとり。光覇明宗の高僧・引狭が連れてきた子供で、強い法力を秘めている。西洋魔導に精通する引狭が生み出した九印という無機質な姿のホムンクルスを従え、法力を増大させて凄まじい破壊力を生み出す武器・エルザールの鎌を使用。母親と慕う斗和子の考えに従って獣の槍の不要論を提言し、その考えに賛同する者たちとともに蒼月潮から獣の槍を奪い破壊を目論む。 だが、実は斗和子は大妖怪白面の者の化身であった。また、キリオ自身もマテリアと呼ばれるホムンクルスであり、母親と慕う人物に裏切られ失意の彼は、九印とともに何処かへ消えた。その後、放浪の旅の途中で井上真由子と出会い、彼女を守るために戦いに復帰。 井上真由子の家に居候することとなる。白面の者との戦いが激化すると、蒼月潮たちに協力。過去を遡り、白面の者の誕生と、獣の槍の因果関係を見るという重要な役割を担うこととなる。

羽生 礼子 (はにゅう れいこ)

蒼月潮の同級生で、まったく笑顔を見せず、どこか暗い影を背負ったロングヘアーの美少女。不登校により年齢は蒼月潮よりも1歳上である。父親は有名な画家だったが、妻に弟子と逃げられた恨みにより鬼へと変貌。その父親の歪んだ愛に囚われており、羽生礼子に近づいた者は、不可解な事故により大怪我を負っていた。 それを気に病んで自殺未遂を4回繰り返したが、蒼月潮の活躍により、鬼とともに歪んだ邪気を撃退。羽生礼子も笑顔を取り戻した。実は手先が器用で、手芸や刺繍が得意。

桧山 勇 (ひやま ゆう)

蒼月潮が北海道に行くために立ち寄った飛行場で出会った、活発な少女。旅客機のパイロットをしていた父親が、運行中に巨大な妖怪・衾に襲われ、乗客を巻き添えにして死去。事件は自衛隊の戦闘機のニアミスによる事故と報道され、その戦闘機のパイロットだった父の友人・厚沢恭治を恨んでいた。 その厚沢恭治に付き添われ、蒼月潮と同じ旅客機に乗って北海道へと行く予定だったが、旅客機が再び衾に襲われ真実を知った。そして、獣の槍を蒼月潮とともに握り、衾の首元を貫くことで、父の仇をとる。その後、怪我を追いながらも、衾の襲撃によりパイロットを失った旅客機を操縦し、無事に着陸させた厚沢恭治に対し、涙を流しながら謝罪した。

鷹取 小夜 (たかとり さや)

蒼月潮が旭川への旅の途中に訪れた遠野で出会った、白い髪の美少女。あの世と交信ができ、妖怪を見ることもできる白い髪の女の一族で、強力な結界により鷹取家に囚われている富を呼ぶ妖怪オマモリサマを慰める役割を担っている。身体が弱く、家族からも冷たい仕打ちを受けていたため、何に対してもすぐに謝ってしまう後ろ向きな性格だったが、蒼月潮がオマモリサマのために戦う姿を見て、強く生きることを決意。 オマモリサマの解放を願う。蒼月潮が獣の槍を振るってオマモリサマを囚える結界を断ち切った後は性格も明るくなり、髪の毛も真っ白ではなく根本から色が着いてくるようになった。

白面の者 (はくめんのもの)

『うしおととら』に登場する妖怪。9つの尾を持つ狐のような姿をしており、雲のように巨大な身体は黄金の輝きを放っている。悠然と宙を舞い、名前の由来となる白い顔には下から睨むような恨めしい眼が爛々と光っている。人々の恐怖心や絶望を糧としてそれを強大な力に変え、自分以外の妖怪の存在を許さない。太古の昔に出現し、ふたつの国を滅ぼしたのちにおよそ800年前の日本に到来。 人間と妖怪が手を組んで激戦を繰り広げたことで、ようやく退けることに成功したが、力を蓄えるために日本大陸の要となる地に根付き、復活の日まで手出しをさせないようにした。蒼月潮の持つ獣の槍の力を恐れており、獣の槍破壊のため、自身の分身となる小型の妖怪・婢妖や、女性に化身した斗和子などを刺客として送り込んだ。

紅煉 (ぐれん)

『うしおととら』に登場する妖怪。とらに似ており、巨大な体躯と、鋭いツメを持つ漆黒の獣のような姿を持つ。稲妻を呼び火炎を吐くという点でもとらと同じである。実はとらと同種の字伏という種類の妖怪であり、その凶暴性を見出されて、白面の者の手先として暗躍。白面の者から新たに与えられた力として、分身体である黒炎を生み出し、上顎から下顎にかけて貫かれた鋭い3本の刃を振るう。 白面の者からの刺客として、獣の槍を持つ蒼月潮やとらの前に立ち塞がった。符術士の鏢の妻子を惨殺した獣でもあり、鏢と壮絶な死闘を繰り広げる。

東の長 (ひがしのおさ)

『うしおととら』に登場する妖怪。遠野の地で東日本に住む妖怪たちをまとめる長老。人間の老人の姿となって蒼月潮を試し、その真っ直ぐな心を認めて、白面の者の存在と、蒼月潮の母親が白面の者を守るように結界を張っていることを教えた。また、東日本の妖怪たちに、蒼月潮には決して手出ししないことを約束させる。 その正体は、長い鼻を持ち扇子で大風を呼ぶことができる老天狗であった。

雷信 (らいしん)

『うしおととら』に登場する妖怪。すれ違いざまに身体から伸びた鋭い鎌で斬りつける妖怪・鎌鼬のひとり。人間の世に馴染むため、左頬に痣のある逞しい男性に化けて生活している。暴走して人間を惨殺する弟・十郎を止めるため、獣の槍をもつ蒼月潮と、それに従うとらの力を借りた。十郎に想いは通じたが、十郎自身はもはや手遅れと悟り、自ら獣の槍に刺し貫かれて絶命。 この一件により蒼月潮ととらに対して大きな恩を感じており、有事の際には真っ先に駆けつけることを約束した。

かがり

『うしおととら』に登場する妖怪。すれ違いざまに身体から伸びた鋭い鎌で斬りつける妖怪・鎌鼬のひとりで、切り傷に効く薬の入った壺を携帯。人間の世に馴染むため、スレンダーな美しい女性に化けて生活している。暴走して人間を惨殺する兄・十郎を止めるため、獣の槍をもつ蒼月潮と、それに従うとらの力を借りた。 十郎に想いは通じたが、十郎自身は手遅れと悟り、自ら獣の槍に刺し貫かれて絶命。この一件により蒼月潮ととらに対して大きな恩を感じている。とらに対しては最初は厳しく当たっていたが、その雄々しい戦いぶりを目撃し、また、齢千年を超える大妖怪と知ったことで、とらのことを慕うようになる。

一鬼 (ひとつき)

『うしおととら』に登場する妖怪。額に一本の角を生やした巨人のような姿をしているが、実は無数の蛇の集合体。東日本に住む武闘派の妖怪たちのリーダー的な役割を担う。長い鉄棒を振り回して戦い、蛇を解いて放ち敵を絡めとることもできる。また、大口を開けて敵を丸呑みにするという大技も持つ。800年前にとらとともに白面の者と戦った強者で、人間と相いれることができず蒼月潮に手出しをさせないという東の長に反発。 結論を出すためにとらと一騎打ちを繰り広げて敗北し、やむなく長に従うこととなった。

オマモリサマ

『うしおととら』に登場する妖怪。着物姿の古風な子供の姿をしており、住み着いた家に富を呼び、離れればたちまち没落すると言われる座敷童である。鷹取家の結界の中に捕らえられていたが、鷹取小夜の願いにより蒼月潮が獣の槍を使って結界を断ち切り、鷹取家から解放された。その後は鷹取小夜とともに行動。 恩のある蒼月潮が危機に陥ると、できうる限りの手助けをした。

イズナ

『うしおととら』に登場する妖怪。イタチやリスを思わせる小さな姿をしている。無邪気で人懐っこく、人の体に入り込むエキスパートを自称。獣の槍の伝承者候補のひとり杜綱悟の頭に巣食った白面の者の分身体・婢妖を倒すために、蒼月潮の手助けをした。その能力ゆえか俗世間の情報に詳しい。現世に疎いとらを小馬鹿にしては炎で焼かれていたが、それもコミュニケーションのひとつと捉えるほどの仲となる。

神野 (しんの)

『うしおととら』に登場する妖怪。高千穂にて西日本に住む妖怪たちをまとめる西の妖怪の長。髪を逆立てた青年のような姿をしており、それが真の姿なのかは不明。大剣・流走を振るって戦う。強力な結界を生み出す結界自在妖・間槌を200体引き連れ、東の長が語る獣の槍を持つ蒼月潮を待つべきだという意見を聞かずに、白面の者に攻撃を仕掛けた。 だが、白面の者の強大な力の前に為す術もなく敗北。絶体絶命の危機に陥るが、蒼月潮に助けられたことで獣の槍の力を信じるようになり、東と西の妖怪で大同団結し、来るべき決戦の時を待つことを決めた。

九印 (くいん)

『うしおととら』に登場するホムンクルス。光覇明宗の高僧・引狭が作り上げた。機械と虫を融合させたような無機質な外見をしており、意思はあるが感情を表に出すことはない。キリオに付き従い、キリオの身を守ることを第一に優先して行動。蒼月潮の行動を阻むために立ちはだかり、とらと激しい一騎打ちを繰り広げた。 状況を見て的確な判断を下す頭脳に加え、伸縮自在の爪や肩から放つ気弾で敵を追い詰めていく。また、あらゆる攻撃を逸らす黄金の霧を周囲に撒き散らすこともできる。

ギリョウ

古代中国の鍛冶師で、妹のジエメイを人身御供に捧げて生み出した純粋な鉄から獣の槍を作り出した。父や母を惨殺し、妹までも失うことになった白面の者への恨みを込めて鉄を叩くうちに、自身の身も獣の槍とひとつになり、その意志が獣の槍に宿されている。過去をさかのぼった蒼月潮が、獣の槍誕生を目撃しており、勇気を見せてくれた蒼月潮のような人物とともに戦いたいという願いを込めて、槍の柄に「我屬在蒼月胸中到誅白面者」と刻み込んだ。

ジエメイ

古代中国の鍛冶師・ギリョウの妹で、灼熱の炉の中に人身御供として自らその身を捧げて、獣の槍の材料となる純粋な鉄を生み出した。平安時代の日本に白拍子として前世の記憶を持ったまま転生し、人や妖怪たちとともに白面の者と戦い、西の海へと退けた。だが、白面の者が日本の要となる地に身をおいたため、これ以上手出しをさせないよう、結界を張る初代のお役目様となる。 その後、2代目のお役目様として霊能者の日崎御角を見出して霊体となり、獣の槍の行く末を見守ることとなった。

(ひょう)

呪印の書かれた特殊なお札を使う符術を用いて妖怪を退治する符咒士。鏢というのは字であり、本名は不明。全身黒ずくめのスーツ姿に黒い中折れ帽を深くかぶり、その隙間からするどい爪で引っ掻かれたような3本の傷が刻まれた右目が覗く。その目は目玉自体が失われており、その代わりに浄眼という妖怪を見る不思議な石が埋め込まれている。 武器として自身の字名と同じ名のクナイのような投擲武器・鏢を使用。それを女性の髪を編み込んだ特殊な糸の先端に付けて放つ。妻と子供を殺して喰らった、鋭い鉤爪を持つ妖怪を追い求めており、目の傷はその妖怪に付けられたもの。八卦の描かれた占いの道具・遁甲盤に導かれて日本へ向かい、とらを自身の仇と思い激戦を繰り広げた。 普段は冷静な面持ちだが、仇の話をする時や、子供や女性を標的にする者に対しては、激しい怒りと憎悪を露わにする。なお、鏢が符咒士になるための修行の物語は、最終巻に収録された外伝「桃影抄~符術士・鏢」にて描かれている。

集団・組織

HAMMR (はまー)

『うしおととら』に登場する組織。正式名称は「HEAD ANTI METAMORPHOSE MEASURE RESEARCH」。ヘレナ・マーコフ、ニコラス・ケストラー、マルコ・パブロティという3人の天才を中心として、アメリカ政府により組織された特殊機関である。妖怪を科学的に研究・分析すると同時に、対妖怪用の兵器を開発することが目的。 かなり強引な方法での研究を進めており、獣の槍を所有者の蒼月潮とともに強奪した。だが、研究所で管理していた白面の者の体組織が暴走し、結果的に蒼月潮に助けられることとなる。この事故によりヘレナ・マーコフが死去。生き残ったニコラス・ケストラー、マルコ・パブロティが、のちに対妖怪用兵器キルリアン振動器を完成させた。

その他キーワード

獣の槍 (けもののやり)

『うしおととら』に登場する武器。蒼月潮が実家である光覇明宗に属する寺院・芙玄院の地下蔵から発見した妖怪退治用の槍。使用すると髪の毛が一気に伸び、獣のような俊敏な動きが可能になり、治癒能力も格段に向上する。古代中国で白面の者に恨みのある鍛冶師ギリョウが、妹のジエメイを人身御供にして造ったもので、白面の者に対する怨みや憎しみが込められている。 獣の槍自体が意思を持っており、その時代に合わせて使い手を選ぶ。また、その使い手は凄まじい戦闘能力と引き換えに、己の魂を獣の槍に捧げねばならず、魂をすべて与えてしまったものは己を失い、ただの獣のような存在に成り下がってしまう。妖怪たちがその身で作った封印の赤い布が巻きつかれており、それを解くと獣の槍の力が格段に上昇するが、削られる魂もそれに比例して大きくなる。

書誌情報

うしおととら 全33巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉 完結

第1巻

(1990年12月発行、 978-4091224811)

第2巻

(1991年1月発行、 978-4091224828)

第3巻

(1991年4月発行、 978-4091224835)

第4巻

(1991年6月発行、 978-4091224842)

第5巻

(1991年9月発行、 978-4091224859)

第6巻

(1991年10月発行、 978-4091224866)

第7巻

(1991年12月発行、 978-4091224873)

第8巻

(1992年2月発行、 978-4091224880)

第9巻

(1992年4月発行、 978-4091224897)

第10巻

(1992年7月発行、 978-4091224903)

第11巻

(1992年8月発行、 978-4091231017)

第12巻

(1992年10月発行、 978-4091231024)

第13巻

(1993年1月発行、 978-4091231031)

第14巻

(1993年4月発行、 978-4091231048)

第15巻

(1993年6月発行、 978-4091231055)

第16巻

(1993年8月発行、 978-4091231062)

第17巻

(1993年12月発行、 978-4091231079)

第18巻

(1994年4月発行、 978-4091231086)

第19巻

(1994年6月発行、 978-4091231093)

第20巻

(1994年8月発行、 978-4091231109)

第21巻

(1994年10月発行、 978-4091234018)

第22巻

(1995年1月発行、 978-4091234025)

第23巻

(1995年4月発行、 978-4091234032)

第24巻

(1995年6月発行、 978-4091234049)

第25巻

(1995年10月発行、 978-4091234056)

第26巻

(1995年12月発行、 978-4091234063)

第27巻

(1996年2月発行、 978-4091234070)

第28巻

(1996年4月発行、 978-4091234087)

第29巻

(1996年6月発行、 978-4091234094)

第30巻

(1996年9月発行、 978-4091234100)

第31巻

(1996年10月発行、 978-4091251213)

第32巻

(1996年12月発行、 978-4091251220)

第33巻

(1997年1月発行、 978-4091251237)

うしおととら<外伝> 全1巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉 完結

第1巻

(1997年6月発行、 978-4091251244)

うしおととら 全19巻 小学館〈小学館文庫〉 完結

第1巻

(2004年10月発行、 978-4091935113)

第2巻

(2004年11月発行、 978-4091935120)

第3巻

(2004年12月発行、 978-4091935137)

第4巻

(2005年1月発行、 978-4091935144)

第5巻

(2005年2月発行、 978-4091935151)

第6巻

(2005年3月発行、 978-4091935168)

第7巻

(2005年4月発行、 978-4091935175)

第8巻

(2005年5月発行、 978-4091935182)

第9巻

(2005年6月発行、 978-4091935199)

第10巻

(2005年7月発行、 978-4091935205)

第11巻

(2005年8月発行、 978-4091935212)

第12巻

(2005年9月発行、 978-4091935229)

第13巻

(2005年10月発行、 978-4091935236)

第14巻

(2005年11月発行、 978-4091935243)

第15巻

(2005年12月発行、 978-4091935250)

第16巻

(2006年1月発行、 978-4091935267)

第17巻

(2006年2月発行、 978-4091935274)

第18巻

(2006年3月発行、 978-4091935281)

第19巻

(2006年4月発行、 978-4091935298)

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