作品の概要
基本情報
『人間に恋した鬼は咲う』に次ぐ、雪森寧々の連載作品。集英社の連載権争奪企画「シンマンGP2019」にて連載権を獲得した作品。
要旨と舞台設定
現代日本の高校を舞台に、存在感が極めて薄い高校生の白石純太と、彼を目ざとく見つけてはちょっかいをかけるクラスメイト、久保渚咲との交流を描く。
ストーリー展開
物語は純太と渚咲の出会いから始まり、隣にいても気づかれないほど存在感ゼロの純太に対し、渚咲が興味を持って接近することで展開する。二人の関係は、学校行事や委員会活動などを通じて徐々に変化していく。
ジャンル的特徴と位置づけ
本作は、存在感ゼロの“モブ男子”と、クラスメイトの“ヒロイン級”美少女という、対照的な二人を軸にした思春期ラブコメディ。まだ少しだけ幼い純太と渚咲が、次第に「恋」という感情に目覚めていく様子が描かれる。
作品固有の表現技法と特徴
主人公の存在感の薄さが具体的に描かれている点が特徴。「集合写真に写っているのに顔写真を合成される」「自動ドアに認識されない」「コンビニの店員に気づかれない」など日常生活におけるエピソードが、コミカルに表現される。
連載状況
集英社「週刊ヤングジャンプ」2019年47号から2023年14号まで連載。また、同社「少年ジャンプ+」でも、2020年8月12日から2023年3月8日まで配信された。
受賞歴
2021年「次にくるマンガ大賞2021」コミックス部門第7位。
メディアミックス情報
テレビアニメ
2023年1月から6月まで放送。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて第7話以降の放送が延期され、4月より改めて第1話から放送された。アニメーション制作はPINE JAM。キャストは、主人公の白石純太を河西健吾、ヒロインの久保渚咲を花澤香菜が演じ、オープニングテーマも担当する。
あらすじ
第1巻
高校1年生の白石純太は、教室にいてもクラスメートの誰からも認識されないほど、空気のように存在感が薄かった。しかし、となりの席にいるヒロイン級美少女の久保渚咲だけは、なぜか純太にやたらとちょっかいを出してくる。今日も渚咲は、存在感の薄い純太なら、授業中に立ち上がっても誰にも気づかれないからと、楽しそうにイタズラを提案してくる。期待に満ちた渚咲の視線に耐え切れず、純太は椅子の上に正座したり、立ち膝をしてみたりするものの、誰にも気づかれない。しかし、椅子の上に立ち上がった時点で、さすがに先生に気づかれ、注意されるのだった。その様子を満喫した渚咲は、「いつもはモブのような純太くんも今日は主役だった」とほほ笑む。それに対して純太が、「自分を主役に仕立てた久保さんは敵だ」とお返しすると、渚咲は不満げに頰を膨らませ、純太に、敵ではなくヒロインだと言わせようとする。そんな風に渚咲にからまれ、純太はどぎまぎするのだった。(第1話「ヒロイン女子とモブ男子」。ほか、12エピソード収録)
第2巻
大晦日の夜、白石純太に久保渚咲から少し話さないかとSNSでメッセージが届く。それは年明けにみんなへおめでとうのメッセージを送るために起きていたいからというものだった。女子との初めての電話に緊張した純太は、渚咲にうっかりテレビ電話でかけてしまう。突然のテレビ電話に驚く渚咲だったが、顔を赤らめたパジャマ姿で電話に対応し、二人はとりとめのない会話を楽しむ。そうこうしているうちに年が明け、純太に新年のあいさつをした渚咲は、満足して通話を終えるのだった。(第11話「ゆく年とテレビ電話」。ほか、14エピソード収録)
第3巻
久保渚咲は、珍しく熱を出して学校を休んだ白石純太のことが気になっていた。渚咲は、お見舞いに行きたい気持ちを抑えて、「明日は学校に来る?」という短いメッセージを送ると、純太は「行けると思う」と返信。それとともに「あいたいあいたい」というスタンプも送られてきたのを見た渚咲だったが、そのスタンプは純太の弟の白石誠太が急に飛びついてきた拍子に誤って送ったものだとの説明が届く。渚咲は、そのメッセージに対し、姉がいたずらで送ったとウソをつきつつ「さみしい」というスタンプを純太に送る。それを見た純太は、下がってきた熱が再び上がってくるのを感じるのだった。(第21話「病欠と誤送信」。ほか、12エピソード収録)
登場人物・キャラクター
白石 純太 (しらいし じゅんた)
春賀北高等学校の1年1組に在籍する男子。年齢は16歳。見た目が地味なことに加えて、存在感ゼロのモブ男。透明人間レベルの存在感の希薄さで、となりにいても気づかれないばかりか、中学の卒業アルバムではクラスの集合写真に写っているにもかかわらず、気づかれずに欠席扱いで合成処理されたほど。また、コンビニのレジで店員に気づかれなかったり、皆勤賞なのにクラスメートからは毎日登校していると思われていなかったりなど、存在感のなさを示すエピソードには事欠かない。教室でとなりの席に座るヒロイン級美少女の久保渚咲からはなぜかやたらとちょっかいを出され、なかよくなるが、なかなか関係は進展しない。2年に進級しても渚咲と同じクラスとなり、3年進級時はクラス替えがないため、3年間同じクラスになることが決定する。
久保 渚咲 (くぼ なぎさ)
春賀北高等学校の1年1組に在籍する女子。ヒロイン級にかわいい美少女で、成績は優秀ながら料理は苦手。誰も見つけることができないほど存在感の希薄な白石純太に好意を抱いており、となりの席から授業中でもちょっかいを出している。純太とは連絡先も交換し、スキンシップも積極的に取っている。しかし、自分の気持ちを伝えることができず、休日にいっしょに出かけるような関係に進展してからも付き合っているわけではない。
白石 誠太 (しらいし せいた)
白石純太の弟。まだ幼児で、純太には非常に懐いている。純太は父親似で地味顔だが、白石誠太は母親似のとても愛くるしい顔立ちをしている。偶然知り合った久保沙貴に思いを寄せるようになる。
久保 明菜 (くぼ あきな)
久保渚咲の姉で、書店で働いている。渚咲と従妹の久保沙貴のことを非常にかわいがっており、特に渚咲のことはからかいつつも、白石純太との恋路を応援している。明るい性格で、なんでも器用にこなす。巨乳の持ち主。
久保 沙貴 (くぼ さき)
久保渚咲の従妹で、中学生時代の渚咲に顔がよく似ている。久保沙貴自身は渚咲にあこがれており、渚咲をまねて髪を伸ばしている。恥ずかしがり屋でおとなしい性格ながら、一人で買い物から料理までこなすしっかり者。
葉月 (はづき)
春賀北高等学校の1年1組に在籍する女子。久保渚咲とタマの親友で、三人でお泊まり会をするほど仲がいい。しっかり者で、三人の中では頼りになるお姉さん的な存在。渚咲の白石純太への思いに気づいており、陰ながら応援している。
タマ
春賀北高等学校の1年1組に在籍する女子。久保渚咲と葉月の親友で、三人でお泊まり会をするほど仲がいい。勉強を大の苦手としており、赤点をよく取っている。甘えん坊な性格で、渚咲と葉月のことが大好き。
書誌情報
久保さんは僕を許さない 12巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉
第1巻
(2020-02-19発行、978-4088914763)
第10巻
(2022-09-16発行、978-4088924328)
第11巻
(2022-12-19発行、978-4088925677)
第12巻
(2023-04-18発行、978-4088926629)
久保さんは僕(モブ)を許さない 9巻 集英社〈ヤングジャンプコミックス〉
第2巻
(2020-06-01発行、978-4088915500)
第3巻
(2020-09-01発行、978-4088916545)
第4巻
(2021-02-01発行、978-4088917818)
第5巻
(2021-06-01発行、978-4088920092)
第6巻
(2021-09-01発行、978-4088920733)
第7巻
(2021-11-01発行、978-4088921181)
第8巻
(2022-02-01発行、978-4088922140)
第9巻
(2022-05-01発行、978-4088922997)







