概要・あらすじ
野球に未練はあるものの、高校では野球をやるつもりがなかった主人公の三橋廉は、見るだけと思いつつ野球のグラウンドを見学する。そこで見たのは、発足したばかりで1年生だけの野球部員の面々、若い女性の監督の姿だった。
その女性監督である百枝まりあに無理矢理に入部させられた三橋廉は投手経験者ということで、なりゆきでもエースを任されることに。そして捕手である阿部隆也は三橋廉の球を受け、その独特な球筋と実力に気付く。
たった10人、しかも全員が1年生というチームだったが、公式戦での勝利、そして夢の甲子園を目指して、野球部のメンバーは夢の第1歩を踏み出すことになる。
登場人物・キャラクター
三橋 廉 (みはし れん)
西浦高校の1年生で野球部所属。ポジションは投手。気が弱くて卑屈、さらに自虐的で、自分自身を「ダメピー(ダメなピッチャー)」と公言するほど。しかし、9分割したストライクゾーンに対して自由自在に投げ分ける類まれな制球力と、カーブ、シュート、スライダーの3種類の変化球を投げ分ける器用さを併せ持つほか、球速は遅いものの打者が浮くように感じてしまうクセのあるストレートが決め球。 自己主張が少なく人見知りで、また会話も苦手であり、捕手の阿部隆也や他の野球部員は意思疎通に苦労することが多い。
高瀬 準太 (たかせ じゅんた)
桐青高校の2年生。野球部所属でポジションは投手。130キロ台の直球をメインに、スリー・クォーター気味の投法から打たせて取るタイプのピッチャー。変化球はシンカー、スライダー、フォークボール、シュートの4種類。 西浦高校戦では初戦の緊張で立ち上がりに打ち込まれるが徐々に立て直し、シンカーを武器に田島悠一郎を苦戦させる。
畠 篤史 (はたけ あつし)
三星学園高等部の1年生。野球部所属でポジションは捕手。三星学園中等部では三橋廉とバッテリーを組んでいたが、三橋廉の才能に気が付かず「贔屓」でマウンドに上がっていたと信じて疑わず、三橋廉に対して悪感情を抱いている。 単調なリードやキャッチングの未熟さなど、キャッチャーとしての実力はまだまだといったところ。
田島 悠一郎 (たじま ゆういちろう)
西浦高校の1年生で野球部所属。ポジションは三塁手。西浦高校野球部において、誰もが認める1番の野球センスの持ち主で実力者。その実力は強豪校にも知られていて、高校入学時にはスカウトも動いたが、西浦高校に決めた理由は「家が近いから」。 どんなポジションでもこなすがサードが主になっている。小柄で長打を量産するパワーはないが、打撃力は高いので主に4番を任されている。 性格は明るく朗らか。単純な面もあるお調子者で、下ネタを話す事も多い。意思疎通の難しい三橋廉と普通に仲良くなっている。
榛名 元希 (はるな もとき)
武蔵野第一高校の2年生。野球部所属でポジションは投手。将来はプロ野球入りを目指す少年で、自己の体調管理には非常に気を使っている。かつては阿部隆也とバッテリーを組んだこともあるが、行き過ぎとも思われる自己管理のせいで、阿部隆也からは「最低の投手」と言われる。 しかし、伸びのある直球を武器に武蔵野第一高校を躍進させた原動力であり、三橋廉にとっては憧れの選手となる。
篠岡 千代 (しのおか ちよ)
西浦高校の1年生で野球部マネージャー。中学時代はソフトボール部で、高校野球に憧れて野球部のマネージャーを志した。高校野球に関してはかなりの情報通で、制服を見ただけで学校名が分かるほど。 また情報収集能力、データ解析能力も高く正確で、チームの勝利に大きく貢献している。高校野球への情熱でチームを支える、まさに縁の下の力持ち的存在。性格は優しくて明るく、気配りも上手い。 チームの誰にでも分け隔てなく接する事を心掛けている。
叶 修悟 (かのう しゅうご)
三星学園高等部の1年生。野球部所属でポジションは投手。三橋廉の幼馴染で、かつて三星学園中等部で一緒に野球をしていた。投手としてはかなりの才能を持っているが、三橋廉の才能に嫉妬していた。 持ち球は120キロ前後のストレートとチェンジアップ、そして落差の異なる2種類のフォークボールが決め球。昔から三橋廉の才能と実力を認めている1人。
阿部 隆也 (あべ たかや)
『おおきく振りかぶって』の登場人物で西浦高校の1年生。野球部所属で副主将の1人。ポジションは捕手。基本的に野球を中心に考えている「野球バカ」。ただし、対戦相手のデータを徹底的に集め記憶し、それに基づいてリードを考える頭脳派キャッチャーでもある。 試合中でも展開に応じてプランを変えるなど、臨機応変さも持っている。普段は冷静沈着、寡黙でクールな印象もあるが、実際は非常に短気で、野球に関する事柄にはすぐに感情的になることも多い。 三橋廉の才能をいち早く見抜き、勝ち上がるためにうまくリードしていく。
織田 裕行 (おだ ひろゆき)
三星学園高等部の1年生。野球部所属でポジションは一塁手。スポーツ推薦で三星学園高等部に入った少年。岡山県出身で大阪弁を話すのが特徴。バッターとしての実力は非常に高く、西浦高校との練習試合では4番を任される。
花井 梓 (はない あずさ)
『おおきく振りかぶって』の登場人物で西浦高校の1年生。野球部所属で主将を務める。ポジションはライト。野球の潜在能力は田島悠一郎に次いで高いチームのナンバー2。歳の割にしっかりしていて面倒見が良く、面倒な事でも自主的に行動する面が認められ、全員一致で主将に任命された。 体格が良く強肩、そしてパワーもあるので、田島悠一郎に次ぐ5番を任され、長打力を期待されている。 常に周囲に気を使う気配りができる反面、意外に繊細で内に溜め込んだり考え過ぎたりする一面がある。田島悠一郎を意識し、センスの差を痛感しながらも差を縮めようと頑張っている。
百枝 まりあ (ももえ まりあ)
西浦高校野球部を率いる23歳の若き女性監督。元々は西浦高校の卒業生で、在校時には軟式野球部のマネージャーをしていた。今まで軟式しかなかった西浦高校に硬式野球部を創部し、10名の野球部員の勧誘に成功、第一歩を踏み出す。 類まれな指導力と統率力を誇り、また部員の心に訴え、やる気を引き出す能力も高い。さらにコーチを兼任できるほど野球センスが高い。 若い上に容姿端麗、しかも胸が非常に大きいなど、野球以外の面でも注目を集める存在。野球部員からは「モモカン」と呼ばれている。
志賀 剛司 (しが つよし)
西浦高校野球部の責任教師。担当教科は数学。百枝まりあに依頼され、2人で硬式野球部を創部した。野球に関しては素人同然。しかし、事前に講習会などで得た知識を元に、メンタルトレーニングや栄養学、運動学など、科学的思考に基づいたサポートを部員たちに指導するとともに、マネージャーの篠岡千代と共に部員の心身のケアを担当している。 冷静で話は理路整然としているが、話が長くなる傾向がある。 あだ名は「シガポ」。
河合 和己 (かわい かずき)
桐青高校の3年生。野球部所属でポジションは捕手。強豪である桐青高校野球部の主将を務めるなど、名実ともに守備の要である。キャッチャーとしては常に投手を立てるリードを心掛け、試合を組み立てていく。 夏の県大会の2回戦で西浦高校と対戦。三橋廉の「まっすぐ」の特異性にいち早く気が付き、これを攻略しようとした。
浜田 良郎 (はまだ よしろう)
西浦高校の1年生で応援団の団長。三橋廉の1歳年上の幼馴染であり、野球の楽しさを教えた少年。しかし、出席日数不足で留年しており、現在は三橋廉たちと同じ高校1年生である。 自分自身も野球をしていたが、肘の故障で野球を断念した。しかし、野球部のために応援団を結成し、その団長として公式戦の応援を盛り上げるなど、陰ながら野球部を支えている。
クレジット
原作
おおきく振りかぶって (おおきくふりかぶって)
県立西浦高校の新設硬式野球部に集まった10人の一年生選手たち。気弱でオドオドした投手三橋廉、冷静だが短気な捕手阿部隆也を中心に、一丸となって甲子園優勝を目指す姿を描いた青春野球物語。第10回手塚治虫文... 関連ページ:おおきく振りかぶって