悪役令嬢が現代日本の中年男性に転生
本作は、非業の死を遂げた悪役令嬢のクロエが、現代日本の冴えない中年男性の黒江として第二の人生を歩む姿をコミカルに描いている。魂の主となったクロエは、加齢臭や体毛の多さに戸惑いながらも、一人で生きることの苦しみと喜びを噛みしめ、懸命に現代社会を謳歌(おうか)していく。また、作中では前世のわがままな行動を省みるクロエの姿も描写されており、過去と向き合いながら人として成長していく過程が大きな魅力となっている。
傲慢な悪女が中年男性として波乱の新生活
傲慢な悪女として人々から疎まれていた令嬢のクロエは、皇帝殺害を目論んだ罪で処刑台の露と消えた。死の間際、彼女は「もし生まれ変わることができるなら、次は清く正しく生きたい」と願い、神の声に導かれて転生を果たす。しかし、新たな肉体は、不摂生が祟(たた)って命を落とした現代日本の冴えない中年男性の黒江のものだった。強烈な加齢臭と汚れた部屋に絶望しながらも、クロエは自ら掃除をし、体を洗いながら、かつて使用人に任せていた贅沢な生活を思い返す。ようやく心の落ち着きを取り戻したクロエは、これから始まるであろう苦難を覚悟しつつ、現代日本の中年男性として力強く生きていく決意を固める。
同僚の姫川と運命の出会い
黒江としての生活に慣れてきたある日、クロエは初出勤の電車で痴漢に遭っていた女性を助ける。その女性は同僚の姫川だった。会社で改めて礼を言われたクロエは、彼女が容姿端麗なことに加え、誰からも慕われる社内のマドンナ的存在であることを知る。姫川と交流を深めるうちに、クロエは彼女の姿に、前世で密かにあこがれていた美しき女帝、ヘリオドールの面影を重ねるようになる。この出会いをきっかけに、クロエの中で前世の記憶が鮮明になり始め、悪女として生きた彼女の過去や、ほかの貴族たちとの複雑な関係性が徐々に紐解かれていく。
登場人物・キャラクター
クロエ・デマンドイド
皇帝殺害を企てた罪で若くして処刑された貴族の令嬢。類まれな美貌を持つが、傲慢な性格でほかの貴族や使用人を見下していた。しかし、死を目前にして自らの過ちを深く悔い、もし生まれ変われるのなら、清く正しく生きることを誓う。その願いは神に届き、転生の約束を受けるが、転生先は現代日本で、性別も年齢も真逆の、加齢臭漂う中年男性「黒江正路」だった。それでも運命を受け入れ、前世の記憶をそのままに、新たな人生を歩み出す。
黒江 正路 (くろえ まさじ)
現代日本に暮らす冴えない中年男性。ゲーム会社でデバッガーとして働いていたが、不摂生が祟り、51歳で亡くなった。典型的なメタボ体型で加齢臭が漂っていた彼の身体は、死後、処刑された貴族令嬢のクロエの新たな魂の器となる。転生後はクロエの魂の影響で徹底的に清潔を心がけるようになったものの、身に染みついた令嬢時代の癖や高慢な口調が抜けず、周囲からはしばしば訝(いぶか)しがられている。
書誌情報
おじ転生~悪役令嬢の加齢なる生活~ 3巻 小学館〈サンデーうぇぶりコミックス〉
第1巻
(2024-11-12発行、978-4098536863)
第2巻
(2025-03-12発行、978-4098540068)
第3巻
(2025-09-11発行、978-4098542321)







