税金で買った本

税金で買った本

系山冏の初連載作品。原作は本作が漫画原作デビューとなる、ずいのが担当。現代日本の公共図書館を舞台に、ヤンキー高校生の石平が図書館でのアルバイトを通じて成長する物語。10年前に借りた絵本の返却をめぐるトラブルをきっかけに図書館のアルバイトとなった石平が、職員や利用者との交流を重ねながら図書館業務に関わる様々な出来事に対応していく。読書の楽しさを思い出した石平が、図書館職員の小夜香や白井との関わりを通じて、本の修理方法や分類方法など図書館の業務について学ぶ過程で人間的にも成長していく。本作は、図書館業務を題材としたお仕事漫画である。図書館での勤務経験がある原作者、ずいのの実体験が活かされており、蔵書の管理方法や貸出返却システム、本の修理技術などが詳細に描写されている。また、実在する図書分類法やレファレンスサービス、移動図書館なども描かれ、公共図書館の予算問題や人員不足といった現実的な課題も取り上げられている。講談社「ヤンマガWeb」にて2021年8月16日から連載。その後、同社「週刊ヤングマガジン」に移籍し、2022年2・3合併号より連載。2023年に「全国書店員が選んだおすすめコミック」第8位となり、第9回「あゆみCOMIC大賞」大賞を受賞。

正式名称
税金で買った本
ふりがな
ぜいきんでかったほん
原作者
ずいの
漫画
ジャンル
ギャグ・コメディ
レーベル
ヤンマガKCスペシャル(講談社)
巻数
既刊17巻
関連商品
Amazon 楽天

作品の概要

基本情報

系山冏の初連載作品。原作は本作が漫画原作デビューとなる、ずいのが担当。

要旨と舞台設定

現代日本の公共図書館を舞台に、ヤンキー高校生の石平紀一が図書館でのアルバイトを通じて成長する姿を描く。10年前に借りた本の返却をめぐるトラブルをきっかけに図書館のアルバイトとなった石平が、職員や利用者との交流を重ねながら、図書館業務に関わる様々な出来事に対応していく。

ストーリー展開

石平は、小学生の時に借りた本を返却せず失くしていたために、図書館利用者カードの発行を拒否される。本を弁償しカードの発行を受けた石平は、読書の楽しさを思い出し、図書館に通ううちにアルバイトとして働くことになる。図書館職員の早瀬丸小夜香や白井里雪との関わりを通じて、本の修理方法や分類方法、貸出や返却のシステムなど図書館の業務について学んでいく。また、悪臭のする本を持ち込む利用者や延滞を繰り返す利用者など、様々なトラブルに対応する中で、石平自身も人間的に成長していく。

ジャンル的特徴と位置づけ

本作は、図書館業務を題材としたお仕事漫画である。図書館での勤務経験がある原作者、ずいのの実体験が活かされており、図書館業務がリアルに描かれているのが特徴。蔵書の管理方法や貸出返却システム、本の修理技術などが詳細に描写されており「図書館の裏側」が分かる仕組みになっている。

連載状況

講談社「ヤンマガWeb」にて2021年8月16日から連載。その後、同社「週刊ヤングマガジン」に移籍し、2022年2・3合併号より連載。 

受賞歴

2023年「全国書店員が選んだおすすめコミック」第8位。

2023年第9回「あゆみCOMIC大賞」大賞。

あらすじ

図書館で働く早瀬丸は、困った利用客の対応を引き受ける。見た目がイカついヤンキーの高校生・石平が、図書館の貸し出しカードを作りたいと言うのだ。彼が図書館で飲み物の蓋を開けたため、早瀬丸は優しくたしなめる。利用者記録を見て、奥の事務所に通す早瀬丸。彼は姓が変わっていたが、10年前図書館から借りた本をまだ返していなかった。「返却してもらうか、弁償してもらうまで新たな本の貸し出しは停止する決まりだ」と早瀬丸が伝えると「ふざけんな」とテーブルを叩き、大きな声を出して凄む石平。するとホワイトボードの奥からなにやら物音が聞こえてくる。話がこじれるから出てこないでと言う早瀬丸の制止を振り切り、大きなダンボールを担いだ男が飛び出してきた。ムキムキのマッチョ男・白井は、石平を睨みつけ、廃棄本の入ったダンボールをテーブルの上にドスンと置いた。そして「図書は皆様の税金で買った市民の財産です。弁償をお願いします」と静かに言った。白井は廃棄する本を石平に見せ、「こんなに汚されて本がかわいそう」と泣いたり、怒ったりする。しぶしぶ弁償金を渡そうとする石平だが、「お金は受け取れません。実物を買ってきてください」という早瀬丸。「このガキが読む本を俺に買えって?」と恥ずかしそうにしたあとに「もういいわ。二度と来ねえよ」と、石平はキレて帰ってしまった。仕事帰り、早瀬丸が本屋に新刊を買いに向かうと、隠れて本屋をうかがう白井の姿が。石平は弁償する本を買いに来たのだが、買うのが恥ずかしくて躊躇していたのだった。大分時間はかかったが、本を買うところまで見届けて喜ぶ二人。石平は後日、借りていた本を返却し、やっと貸し出しカードを作ることができたものの、読みたかった本はほかの利用者に先に借りられてしまっていた。こうして、図書館に通うようになった石平は、図書館の仕事に興味を持ち、アルバイトを始める。

登場人物・キャラクター

石平 (いしだいら)

目つきが悪い高校生の男の子。明るい髪色でツンツン頭のヤンキー。短気で喧嘩っ早い。父親が本好きで、小さな頃は自分も本を読むのが好きだったが、両親が離婚し、母親に引き取られる。10年前に図書館から借りた「わくわく☆しりたいどうぶつのなぞ」を返却しておらず、弁償するハメになる。わからないことがあるとイライラしてしまうが、知的好奇心は強い。友人からは「キーチ」と呼ばれている。

早瀬丸 (はやせまる)

図書館の職員で、胸の大きな女性。肩までの長さの黒髪ストレートで、仕事中は髪を後ろで一つにまとめている。大きめのメガネをかけていて、口の左下にホクロがある。利用者から怒鳴られることがあっても毅然とした態度で接する。言葉を尽くして相手と交渉することができるので、困った利用者が来ると呼ばれることが多い。

白井 (しらい)

図書館の職員で、背が高くてマッチョな男性。短髪で四角いメガネをかけている。本を愛しており、規則を守らない利用者に感情的に接してしまう。また、相手のことを考えず、思ったことをすぐ口にしてしまうところがある。元は貧弱な文学青年だったが、動物は自分より強いものとは争わないからと、体を鍛えてマッチョで強そうな男になった。なにかと力ずくで解決しようとするので、早瀬丸に止められている。

クレジット

原作

ずいの

書誌情報

税金で買った本 17巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉

第1巻

(2021-12-20発行、978-4065261682)

第2巻

(2022-03-04発行、978-4065271131)

第3巻

(2022-06-06発行、978-4065281048)

第4巻

(2022-09-06発行、978-4065291184)

第5巻

(2022-12-06発行、978-4065300541)

第6巻

(2023-03-06発行、978-4065307090)

第7巻

(2023-05-08発行、978-4065316399)

第8巻

(2023-08-04発行、978-4065322482)

第9巻

(2023-11-06発行、978-4065336380)

第10巻

(2024-02-06発行、978-4065346105)

第11巻

(2024-05-07発行、978-4065355893)

第12巻

(2024-08-06発行、978-4065365458)

第13巻

(2024-11-06発行、978-4065374511)

第14巻

(2025-02-06発行、978-4065384596)

第15巻

(2025-05-07発行、978-4065396223)

第16巻

(2025-08-06発行、978-4065405284)

第17巻

(2025-11-06発行、978-4065414040)

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