作品の概要
基本情報
『機獣新世紀ZOIDS』他で知られる上山道郎の連載作品で、代表作の一つ。
要旨と舞台設定
52歳の善良な公務員男性の屯田林憲三郎が乙女ゲーム世界の悪役令嬢、グレイス・オーヴェルヌに転生する物語。魔法学園を中心とした乙女ゲームの世界で、本来なら破滅の運命をたどる悪役令嬢の主人公が、様々な困難を乗り越えていく姿を描く。
ストーリー展開
子供を助けようとしてトラックに轢かれた憲三郎が、乙女ゲームの世界の公爵令嬢、グレイスに転生することから物語は始まる。52歳の心を持つ憲三郎は、娘と同世代の登場人物たちに対して親目線で接し、中年男性ならではの視点と経験を活かして学園内の様々なトラブルを解決していく。意図せずに周囲の評価や好感度を上げていく憲三郎は、本来のゲームシナリオとは全く異なる人間関係を構築。やがてその行動は、学園を超えて王国全体に影響を与える規模へと発展し、悪役令嬢としての破滅フラグを回避しながら新たな物語を紡いでいく。
ジャンル的特徴と位置づけ
本作は、中年男性を主人公にした異世界転生コメディ。従来の「悪役令嬢転生もの」が、若い女性の転生を描くことが多い中、52歳の男性が転生するという設定が個性的。20歳の娘を持つ主人公の「親目線」を軸にした物語展開が特徴となっている。
世界観の構築と設定
本作の舞台となっているのは、憲三郎の娘がハマっていた乙女ゲーム「マジカル学園ラブ&ビースト」の世界。魔法学園を中心に、ゲームの主人公である少女の他、ゲームの攻略対象である、王太子や生徒会副会長といったイケメンたちが登場する。
連載状況
少年画報社「月刊ヤングキングアワーズGH」2020年5月号から連載。
受賞歴
2020年「次にくるマンガ大賞2020」コミックス部門第4位。
メディアミックス情報
テレビアニメ
2025年1月から3月まで放送。
あらすじ
52歳の公務員の屯田林憲三郎は、子供を助けるためにトラックに轢かれ、気がつくと公爵家の令嬢、グレイス・オーヴェルヌの姿になっていた。グレイスは、乙女ゲーム『マジカル学園ラブ&ビースト』に登場する主要キャラクターである。なぜ憲三郎がそんなことを知っているかというと、1か月ほど前、仕事から帰宅した際、リビングで娘がそのゲームをプレイしていたからだった。その時画面に映っていたのがグレイスで、娘の解説によると、主人公の前に立ちはだかって邪魔をしてくる悪役令嬢だった。なぜ、乙女ゲームの世界に転生したのか不明だが、今の自分はグレイス・オーヴェルヌであり、今日から王立魔法学園の生徒になったことは理解した。校門に目をやると、主人公アンナ・ドールが、駆け足でやって来るや否や盛大に転んだ。ゲームだと、ここでグレイスが立ちはだかり、平民出身のアンナを侮辱する場面である。アンナは悔し涙を流し、魔法の勉強で見返す決意を固めるというシナリオだ。それを知っていた憲三郎は、アンナに近づき、自分の役割を果たそうとする。しかし、子供を持つ親の身であるため、つい親目線になってしまい、アンナに優しい言葉をかけてしまう。こうして52歳の公務員である林憲三郎の、悪役令嬢としてのちょっとチグハグな生活が始まった。
登場人物・キャラクター
屯田林 憲三郎 (とんだばやし けんざぶろう)
52歳の公務員で妻子ありの男性。バーコード禿げに黒縁メガネが特徴。ある日、子供を助けるために道路に飛び出し、車にはねられる。気がつくと、乙女ゲーム『マジカル学園ラブ&ビースト』の公爵令嬢、グレイス・オーヴェルヌに転生していた。
グレイス・オーヴェルヌ
乙女ゲーム『マジカル学園ラブ&ビースト』の主要キャラクターの一人。王家に次ぐ権力を持つオーヴェルヌ公爵家の令嬢で、王立魔法学園の女生徒。縦ロールの金髪と手に持った扇が特徴。キツイ性格で、役柄としては、ゲームの主人公であるアンナ・ドールの邪魔をする悪役令嬢である。異世界転生してきた屯田林憲三郎が憑依してからは、親目線で他人を見るなど、優しい性格になる。
アンナ・ドール
乙女ゲーム『マジカル学園ラブ&ビースト』の主人公キャラクター。王立魔法学園の女生徒で、平民の身分でありながら、学園に主席で合格。本来は貴族でなければ入れない学園に入学する。
書誌情報
悪役令嬢転生おじさん 9巻 少年画報社〈YKコミックス〉
第1巻
(2020-12-16発行、978-4785968274)
第2巻
(2021-08-02発行、978-4785969684)
第3巻
(2022-04-05発行、978-4785971144)
第4巻
(2022-12-28発行、978-4785973087)
第5巻
(2023-06-05発行、978-4785974060)
第6巻
(2024-01-04発行、978-4785975784)
第7巻
(2024-08-05発行、978-4785977269)
第8巻
(2025-03-10発行、978-4785979010)
第9巻
(2025-10-10発行、978-4785980450)







