あらすじ
第1巻
鬼龍院花生は、突如自分の体が巨大化してしまい、戸惑っていた。そんな時、幼なじみである渡辺武蔵の意識が混濁して、宇宙生命体のコスメスが乗り移ってしまう。コスメスの話によると、巨大化は「ときめき」によって起こったものだと言う。コスメスの話を聞いても状況がつかめずに困惑する花生の前に、見た事もない巨大な怪獣が現れる。花生は巨大化に関して腑に落ちないものの目の前の怪獣を撃退すると、世間からヒーローとして認知される事となるのだった。(エピソード「“ときめき”が世界を救うのよ」。ほか、5エピソード収録)
第2巻
巨大化した鬼龍院花生は、秋葉原で暴れる果菜恵を撃破した。しかし花生は脅威とみなされ、自衛隊に捕縛されてしまう。花生の捕縛中に大阪では桃井李が巨大化し、大阪を独立させると主張して日本政府に対して攻撃する事を宣言する。それを聞いた日本の総理大臣は、花生に李の撃破を依頼すると共に、日本政府が花生に対して全面的にバックアップする事を公約する。(エピソード「倒す相手、間違えてるだろ」。ほか、4エピソード収録)
第3巻
鬼龍院花生と桃井李は、富士山の麓で決戦する事になった。戦いの最中、李に捕われた渡辺武蔵が李の体から転落。花生はそれを見たショックと李から浴びせられる暴言により、体が元の大きさに戻ってしまう。武蔵の無事を確認できたあとも、なぜか花生の体は大きくならずにいたが、コスメスの助力により再び巨大化する事に成功。そして花生は、以前よりも大きくなった体で李を撃破するのだった。(エピソード「ひとの真剣な気持ちを、笑うな」。ほか、3エピソード収録)
第4巻
鬼龍院花生は日本政府と共に上海国際平和会議に出席するため、中国の上海へと旅立つ。上海に到着した夜、琥珀姉妹と名乗る巨人の姉妹が現れて花生に宣戦布告し、突如戦いが始まってしまう。琥珀姉妹の息の合った攻撃にたじろぐ花生は、日本に残した渡辺武蔵の事を思いながらも戦い続ける。その頃、日本にいる武蔵はテレビ局のスタッフや桃井李に焚き付けられて上海へ行き、花生の力になる事を決意する。(エピソード「力では、何も手に入れる事はできないのだ」。ほか、3エピソード収録)
第5巻
鬼龍院花生は激闘の末、琥珀姉妹を撃破する事に成功した。渡辺武蔵も上海に到着し、花生と再会し久しぶりに二人で会話をするが、恋心を自覚する花生と、まだ幼なじみという意識から脱却できない武蔵とのあいだには、わずかな溝ができてしまい、花生と武蔵はまた離れ離れとなるのだった。(エピソード「サンキュー・ジャパニーズ」。ほか、3エピソード収録)
第6巻
巨大化した女性が世界中に現れ、各地で暴れ始めるようになった。鬼龍院花生は彼女達を撃破すべく各地で戦いを繰り広げ、その様子は日夜テレビやインターネットで報道されるようになっていた。日本にいる渡辺武蔵は花生の様子をテレビ越しに見ながら、自分にとって花生とはどんな存在なのか自問自答していく。(エピソード「聞こえなかったフリ、だめー」。ほか、5エピソード収録)
登場人物・キャラクター
鬼龍院 花生 (きりゅういん はなお)
神奈川に住む高校2年生の女子。金髪のロングヘアで、つねにセーラー服を着ている。周囲からは美少女としてもてはやされており、異性から告白される回数も多いが、いつも適当にあしらっている。渡辺武蔵とは幼なじみであり、「たけぞー」と呼んで舎弟のように扱っていた。ある日、謎の光体が降って来た事をきっかけに「ときめき」を原動力に体が巨大化するようになる。 巨大化するようになってからは、武蔵に対しての恋心を徐々に目覚めさせていく。武蔵に対してつねに暴力を振るっていたため、攻撃を繰り出す事に慣れており、得意技はハイキック。果菜恵との戦いの中で、自分が世界を救うヒーローとしての自覚を持ち始める。乱暴な性格ではあるが、心根は優しく、世界平和のために戦う事を厭わない。 巨大化してからは世界各地を転々としているが、セーラー服は着たままである。巨大化した当初は周囲から脅威として見られていたが、持ち前のかわいさと正義感のある発言で、味方として応援されるようになる。
渡辺 武蔵 (わたなべ たけぞう)
高校2年生の男子。黒髪のショートヘアで基本的には学生服を着ている。鬼龍院花生とは幼なじみで、「たけぞー」と呼ばれ、幼少の頃から花生の言いなりになっていた。花生が巨大化するきっかけとなった光体に打たれて、一時瀕死の状態となっていたが、コスメスが体内に入る事で生命を維持できている。それにより不死身の肉体となり、高所から落下したり、自動車にはねられてもケガもせず生き続けている。 もともとは気弱で消極的な性格だったが、巨大化した花生の存在を遠く感じるようになってからは、自我を強く持って積極的な性格へと変化していく。しかし、花生への恋心はまだ自覚していない。
果菜恵 (かなえ)
秋葉原に突如現れた巨人の女性。黒髪をツインテールの髪型にして、メイド服を着ている。語尾に「だぴょん」を付けて話す。もともとはアイドルとして活動していたが、まったく売れない存在だった。その鬱憤がきっかけとなり、カオスによって体が巨大化するようになった。ダンスの振り付けをアレンジした体術に加え、電車をヌンチャクのように振り回して戦う。 鬼龍院花生のかわいさや世間からの注目を妬んで宣戦布告するが、敗北してしまう。
桃井 李 (ももい すもも)
大阪に突如現れた巨人の女性。金髪のセミロングヘアで、メガネをかけており、関西弁で話す。荒っぽい性格で、すべての物事をお笑いにつなげようとする、自称お笑い芸人。巨大化する前は地味な少女で、めったに笑う事もなかった。そのうえ、片思いしていたお笑い芸人志望の男性が亡くなった事で人生に絶望してしまう。そこにカオスが入り込んで巨大化すると性格も大きく変わり、桃井李自身がお笑い芸人のような振る舞いをして暴れ始める。 そして大阪を独立国にすると宣言し、東京へ向かって進み始めるが、富士山のふもとで鬼龍院花生を対峙。戦うものの敗北してしまう。敗北後はもとの体の大きさに戻り、監視付きの病院へと収容されるが、性格は巨大化した時と変わらないままだった。
琥虎 (ことら)
上海に突如現れた巨人の女性。珀虎の双子の姉。珀虎とおそろいのチャイナ服を着ており、語尾に「アル」を付けて話す。見た目は珀虎とほとんど区別がつかない。気の弱い性格で、何事も妹の珀虎に付き従っているが、武道の腕前や瞬発力は高い。乳児の頃に両親から捨てられたのを、カンフーマスターである老人に拾われて育てられ、琥虎自身もカンフーを会得する。 のちに老人が病死し、その時に政府が適切な援助をしなかった事を恨んでいたところ、カオスが入り込んで姉妹同時に巨大化した。上海にて鬼龍院花生と対決していたところ、中国軍による戦闘機爆撃が開始され、珀虎をかばって負傷してしまう。珀虎に自身のパワーを与えたあと、体はもとの大きさに戻り、その後は政府の病院へ収容された。
珀虎 (はとら)
上海に突如現れた巨人の女性。琥虎の双子の妹。琥虎とおそろいのチャイナ服を着ており、語尾に「アル」を付けて話す。見た目は琥虎とほとんど区別がつかない。気が強く攻撃的な性格で、戦いを好む傾向にある。周囲の中国国民を煽動して中国政府を潰そうと画策していた。乳児の頃、琥虎と共に自身を育てたカンフーマスターの老人によってカンフーを会得しており、琥虎と共に息の合った攻撃を繰り出す。 鬼龍院花生と対決して破れたあとは、もとの体の大きさに戻る。その際に周囲の人々から非難を受けていたところを花生に助けられ、以降は花生と共に行動する事になる。
コスメス
鬼龍院花生を巨大化させた存在。その正体は宇宙エネルギー生命体であるとされるが、詳細は不明。実体は「♀」という記号が白く光る立体となったもので、生き物の形はしていない。カオスが地球を侵略する事を知り、それを防ぐためにコスメス自身も地球へと降り、花生を「ときめき」の力で巨大化させて、カオスを撃退する事を計画。 花生に降り掛かった際は、落雷のような激しい光体となって落下した。その際、そばにいた渡辺武蔵がショックで瀕死となった事で、武蔵の体内を依り代として入り込み、武蔵の体を修復すると共に、自身の言葉を花生に伝えるようになる。
カオス
鬼龍院花生の敵となる、巨大化した女性を生み出す存在。コスメスと同じく宇宙エネルギー生命体ではあるが、その本質はまったく異なり、実体も「♀」の記号が変形した、黒い立体である。女性達の妬みや恨みといったネガティブな意思や邪悪な考えを増幅させて体を巨大化させ、性格も凶暴化させる。コスメスと違って明確な言葉を発する事はなく、抽象的に単語を発するのみである。 カオスによって巨大化した女性が敗北すると、体内からカオスの実体が放出され、女性はもとの姿に戻る。
千波 (せんば)
上海に向かう鬼龍院花生と同行している超量子力学の博士の男性。黒髪に無精髭を生やし、メガネをかけて白衣を着ている。花生が巨大化してしまった原因などを探るためにデータを取っている。物腰は柔らかいが、どこか棘のある発言をする事があり、花生に対しても調査以外の目的で近づいている節があるが、詳細は不明。
河原田 (かわはらだ)
日本のテレビ局HRSテレビのスタッフを務める男性。偶然、鬼龍院花生の巨大化に居合わせて以来花生を追い続けている。花生と渡辺武蔵との恋仲をスクープするため、テレビ取材を兼ねて武蔵を焚き付けて上海へと向かわせる。一見協力的ではあるが、あくまでスクープ映像のための尽力であり、ほかのスタッフからは「悪い人」だと認識されている。
ハンナハンナ
アメリカで突如巨人化した女性。ブロンドの長髪で、チアガールの衣装を着ている。幼少の頃より周囲からはかわいいともてはやされていたが、両親からは目を向けてもらえなかった。しかし、自身のかわいさを磨く事で世間が自分に注目する事を知り、両親の目を引く事にも成功。その後、学校内でリーダーとして君臨する事となる。さらなる世間の注目を浴びたいと言う野望にカオスが入り込んで巨大化。 アメリカが世界の頂点という思考があり、鬼龍院花生と対峙した時は、花生が日本人である事で見下している。
その他キーワード
ときめき
鬼龍院花生が巨大化する原動力となるパワー。渡辺武蔵に対する恋心を自覚した際に感情が高まり、「ときめき」を得る事ができる。「ときめき」が大きければ大きいほど比例して体も巨大化するが、ショックな事があったり嫌な事を思い浮かべると「ときめき」が消失し、体が小さくなってしまう。