嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターによる最強パーティ育成術~

嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターによる最強パーティ育成術~

槻影の小説『嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターは英雄の夢を見る~【Web版】』のコミカライズ作品。冒険者であるクライ・アンドリヒはただの凡人にもかかわらず、すれ違いの果てに周囲から最強の冒険者と誤解されてしまう。クライは重過ぎる重責から逃れるために円満な引退を決意するが、彼の一挙手一投足が新たな誤解を呼び、カンちがいが加速していく。コミックスには、槻影の書き下ろし小説も収録されている。「ComicWalker」で2019年4月27日から配信の作品。

正式名称
嘆きの亡霊は引退したい ~最弱ハンターによる最強パーティ育成術~
ふりがな
なげきのぼうれいはいんたいしたい さいじゃくはんたーによるさいきょうぱーてぃいくせいじゅつ
原作者
槻影
作者
ジャンル
アクション
 
ファンタジー
関連商品
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あらすじ

第1巻

最強の冒険者といわれるクライ・アンドリヒだったが、実は周囲に流されるまま過ごしていたらいつの間にか誤解が広がり、「最強」という評判が独り歩きしているのが真相だった。本来は臆病で才能もないクライは、平穏に暮らしたいと思っているが、周囲がそれを許してくれず、のらりくらりその場しのぎの行動を取っていた。そんなある日、クライは面倒事から逃げるために周囲のトレジャーハンターを挑発し、街中で大乱闘騒ぎを引き起こす。探索者協会から騒ぎに対して厳重注意を受けたクライは、ペナルティとして白狼の巣で行方不明になった冒険者の探索を課せられる。しかし、自身の貧弱さを自覚しているクライは、すぐさまその依頼をたまたま近くにいたティノ・シェイドに丸投げする。渋るティノのため、クライはギルベルト・ブッシュルーダ・ルンベックグレッグ・ザンギフの三人を集め、ティノと臨時のパーティを結成させて送り出すのだった。厄介事を他人に押し付けて意気揚々とするクライだったが、そこで白狼の巣で異常が起きているという知らせを受け取り、驚愕する。

登場人物・キャラクター

クライ・アンドリヒ

冴えない風貌をしたトレジャーハンターを生業とする青年。帝都最大のクラン「始まりの足跡」のクランマスターにして、帝都最強の冒険者パーティ「嘆きの亡霊」のリーダーを務めている。冒険者として多大な貢献をした功績から、帝都に三人しかいないレベル8の冒険者に最年少で認定された。神算鬼謀にして何者にも見定めること適わずといわれる策謀家で、その頭脳は「千変万化」の異名で畏れられている。しかしその実態は、怠惰で無責任で臆病というどうしようもない人物。トレジャーハンターとしての才能も皆無なうえに、戦いから怖がって逃げ回っているため、マナ・マテリアルの強化もほとんど抜けきっている。クライ・アンドリヒ自身もそのことを自覚しており、冒険者を引退したいと思っているが、最高位冒険者という立場である故、簡単に辞められないという状況に陥っている。クライ自らは今の立場が誤解と偶然の賜物と思っており、分不相応に最高位冒険者として扱われる現状を厭っている。そのため難しい仕事からは逃げ回り、それを他人に押し付けているが、それが結果的に大きな事件や災厄を未然に防ぎ、自らの名声を高めることにつながっている。またクライからのむちゃ振りは始まりの足跡内では、見込みのある人間に試練を課して成長をうながす「千の試練」と呼ばれているが、本人はまったく気づいていない。趣味は宝具集めと甘味処巡りで、宝具の知識と扱いに関してだけは実はかなりのもの。

ティノ・シェイド

始まりの足跡に所属する、トレジャーハンターを生業とする少女。黒髪のボブカットの髪型で、大きなリボンを付けている。嘆きの亡霊のメンバーの一人「絶影」の弟子で、華奢な体格ながら肉弾戦を得意とする武闘派女子。盗賊でありながら、同レベルの戦士をも圧倒する高い戦闘能力を誇る。パーティに所属せず主にソロで活動しているが、それでも若くしてレベル4冒険者に認定された実力者で、その界隈では一目置かれている。ストイックな性格の持ち主で、周囲の人に対して辛らつな態度を取ることが多い。ただし、嘆きの亡霊にあこがれてトレジャーハンターとなったためにクライ・アンドリヒを神として崇拝し、彼にだけは恋する乙女のような態度を取る。クランマスターのクライを、「ますたぁ」と独特のイントネーションで呼ぶ。甘いものが好物で、よくクライといっしょに甘味処巡りをするほどクライと仲がいいが、彼のむちゃ振りの一番の被害者でもあり、彼から課される千の試練だけは恐れている。またクライの被害を最も受けているため、ティノ・シェイド自身は気づいていないが、実は始まりの足跡内でも不憫な子と思われている。

アーク・ロダン

トレジャーハンターを生業とする青年。嘆きの亡霊に次ぐとされる若手実力派パーティ「聖霊の御子(アーク・ブレイブ)」のリーダーを務め、「銀星万雷」の異名を持つすご腕冒険者。爽やかな風貌をした貴公子で、人当たりのいい朗らかな性格から人気も高く、帝都内では彼を英雄視する者も多い。クライ・アンドリヒと共に始まりの足跡を作った創始者の一人で、始まりの足跡内では実質的なNo.2として扱われている。クライから困ったときによく頼られているが、文句の一つも言わずに付き合う懐の深さを持つ。また笑いのツボがおかしいところにあり、クライの起こす騒動を見てよく大爆笑している。

ギルベルト・ブッシュ

トレジャーハンターを生業とする少年。燃えるような赤い髪に小柄な体型をした剣士で、勝気な性格をしている。大きな両手剣型の宝具「煉獄剣」を所持し、その剣の名を異名として名乗っているが、探索者協会が正式に任命した二つ名ではないため、自称となっている。年若く才にあふれ、トレジャーハンターになってからも順調に成長してレベル4に認定された。しかし、周囲が彼の成長についていけずにパーティを脱退して、それからはソロで活動している。負けず嫌いな性格をしており、自分が最強のトレジャーハンターになると信じて疑わず、最強のパーティの噂を聞いて嘆きの亡霊のもとを訪れる。性格的な相性からティノ・シェイドとは犬猿の仲。彼女の挑発に乗って剣なしで勝負を挑んだ際には、彼女にボコボコにされた。煉獄剣は属性付与と攻撃範囲の拡張の力が宿った剣で、クライ・アンドリヒには素直で使いやすい宝具と評されている。しかし、ギルベルト・ブッシュは煉獄剣の力をまだ完全に引き出せずにいる。

ルーダ・ルンベック

トレジャーハンターを生業とする女性。ライトブラウンの髪を長く伸ばし、人懐っこそうな顔立ちをしている。ソロで活動している認定レベル3の盗賊で、ソロでの活動に限界を感じて始まりの足跡のパーティ募集会に参加する。単独で活動してきたため、帝都のトレジャーハンター事情には疎く、クライ・アンドリヒをただの冒険者と思って話し掛け、彼から帝都のハンター事情を教えてもらう。スタイルがよく巨乳であるため、ティノ・シェイドからはクライが彼女のスタイルを気に入ったのだろうと思われている。

グレッグ・ザンギフ

トレジャーハンターを生業とする中年男性。髭を生やした大柄な冒険者で、年季の入ったベテランの風格を漂わせている。冒険者らしくケンカっ早いが、ベテランだけあって自分の実力を弁えており、上位レベルのハンターには自分は敵わないと実感している。クライ・アンドリヒに頼まれ、ティノ・シェイドたちと共に白狼の巣に向かう。

ガーク・ヴェルダー

探索者協会帝国支部で支部長を務める男性。筋骨隆々とした2メートルを超えるスキンヘッドの大男で、入れ墨と傷だらけの厳つい顔立ちをしている。現在は引退しているが元トレジャーハンターで、クライ・アンドリヒが「絶対何人か殺している」と評するほどの威圧感を漂わせている古強者。奔放なトレジャーハンターたちをその威圧感で統率し、支援している。クライの引き起こす騒動には頭を痛めているが、クライは調子に乗っているくらいがちょうどいいと、彼の奇行にはほどほどに目をつぶっている。

エヴァ・レンフィード

始まりの足跡の副マスターを務める女性。ブラウン色の髪をサイドポニーに整え、赤縁眼鏡を掛けたクールビューティーで、始まりの足跡の事務作業を担当している。クライ・アンドリヒがクラン運営にあたって雇い入れた職員で、トレジャーハンターの経験はない。理知的で常識的な人物で、クライの適当さやトラブルメーカー具合には頭を抱え、時々彼に苦言を呈している。

集団・組織

探索者協会 (たんさくしゃきょうかい)

トレジャーハンターを支援する団体。「探協」の通称でも呼ばれる。各地の支部を持つ大きな組織で、トレジャーハンターの登録からレベルの認定までさまざまな業務を担当する。また市民とトレジャーハンターの仲介も行っており、依頼の斡旋や問題行為を起こしたトレジャーハンターの処罰も行っている。行き過ぎた問題児には認定レベルの降格や協会の除名を行うが、そこまでではない場合は、呼び出して厳重注意をしたうえでペナルティを課す。探索者協会が課すペナルティは、人気のないハズレ依頼を強制的に受けさせるもので、トレジャーハンターのあいだでは「罰ゲーム」と呼ばれている。逆に実績のあるハンターには、認定レベルの昇格以外にも「二つ名」の授与も行っている。

始まりの足跡 (ふぁーすとすてっぷ)

帝都有数の大手クラン。始まりの足跡は嘆きの亡霊や聖霊の御子といった若手実力派が中心になって結成したクランで、クランの中では比較的新しい部類に入る。しかし、クランマスターのクライ・アンドリヒの指揮のもと破竹の勢いで成長し、結成からわずか数年で帝都でも有数の大手クランにのぼり詰めている。帝都のトレジャーハンターのあいだでは「足跡」の通称で親しまれている。所属に出自および年齢は問われておらず、パーティでの所属が前提だが、ソロのトレジャーハンターでもティノ・シェイドのように実力さえあれば所属を認められる。実力者ぞろいの新進気鋭のクランとされているが、その実態はクライの適当な指示が偶然嚙み合っただけのもの。クライのむちゃ振りを冒険者たちが死ぬ気で果たし、その結果、所属する冒険者が粒ぞろいになっているのが真実だった。またクライの「千の試練」は、始まりの足跡内では恐怖の代名詞となっており、クライから試練を課せられたら、それがどれだけ簡単なものに思えても必ず事前に遺書を書くというルールがクラン内部では定着している。なお、千の試練による死者は現在のところ奇跡的に0とされる。

嘆きの亡霊 (すとれんじぐりーふ)

帝都最強の冒険者パーティ。リーダーのクライ・アンドリヒとその幼なじみが結成したパーティで、結成間もなく頭角を現し、わずか数年で帝都最強へと至った。帝都の冒険者たちのあいだでは「嘆霊」の通称で呼ばれる。パーティメンバーはクライが思わず自信をなくし、引退を決意するほどの化け物ぞろいで、帝都のトレジャーハンターたちからは伝説的な存在として注目されている。クライはリーダーを務めているが、ほとんど流されるままリーダーに就任しただけで、最近は宝物殿の探索は自分以外のメンバーに任せ、いっしょに冒険はしていない。

場所

白狼の巣 (はくろうのす)

帝都北西の大森林地帯に存在する宝物殿。宝物殿としての認定レベルは3。規模としては中堅レベルで、宝具の発生率が悪いことから人気のない宝物殿となっている。かつてはシルバームーンと呼ばれる、狼の魔物の住処だった。シルバームーンは月の輝きのような銀色の毛並みを持つ狼で、毛皮、牙、爪、骨すべてが高い価値を持つ。そのため、シルバームーンはハンターにとって垂涎(すいぜん)の獲物となり、長い歴史の中、帝都の発展に反比例するように数を減らしていき、ほどなくして絶滅した。現在、狼たちが住んでいた巣穴は宝物殿化し、狼たちの幻影が跋扈(ばっこ)する地となっている。狼の幻影は本来の狼よりかなり強化されており、中堅レベルの宝物殿としてはかなりの強敵。さらに幻影は魔物と違い、毛皮などは落とさず死体が消え去ってしまうため、中堅のトレジャーハンターからは割に合わない強敵と思われている。このように人が少なく、いわく付きの宝物殿であるため、ここ十数年は血まみれの狼が出現するという怪談が、トレジャーハンターたちのあいだでまことしやかに噂されている。

その他キーワード

トレジャーハンター

宝物殿での探索を生業とする職業。職業的な性質から「冒険者」や「探索者」とも呼ばれる。古代の遺跡を探索し、化け物を打ち倒して宝具を手に入れるというロマンにあふれる花形職業で、若者を中心に人気を集めている。トレジャーハンターは腕っぷしの強い「剣士(ソードマン)」や魔法の力をあやつる「魔法使い」、罠を看破する「盗賊(シーフ)」など役割が存在し、トレジャーハンターは徒党を組んでそれぞれの足りない部分を補い合うのが基本形態となる。トレジャーハンターが数人集まって組むのが「パーティ」、そのパーティが複数集まって結成するのが「クラン」で、トレジャーハンターは基本的にこのどちらか、もしくは両方に所属している。ソロで活動しているトレジャーハンターも存在するが、ソロでの活動には限界があり、どこかで成長が頭打ちになっていることが多い。また、トレジャーハンターを支援する「探索者協会」という組織も存在する。探索者協会は依頼の斡旋やトレジャーハンターのレベルの認定、パーティやクランの登録を担当しており、トレジャーハンターに大きな影響力を持つ。レベルはハンターの実力の指標でもあり、高ランクのトレジャーハンターともなれば誰もが一目置く存在となる。

宝物殿 (ほうもつでん)

世界各地に存在する古代遺跡。マナ・マテリアルの偏りによって現出した限定的な異世界で、その形状は現出した地の根源の記憶を抽出して決まるため、その地の歴史などを反映したものとなることが多い。ただし、中には土地とはまったく関係ない建造物が出現する例外的なケースも存在する。宝物殿によってその形状は城や塔、迷宮といった建造物から、森や滝、砂漠などの地形まで千差万別。中には船のような形状をした変わり種の宝物殿も確認されている。宝物殿は探索者協会によって内部のマナ・マテリアルの濃度、産出される宝具のランク、出現する魔物や幻影の強さを鑑みてランク分けされている。また宝物殿の攻略には単純な腕っぷしだけではなく、ギミックを解除する器用さや地形を把握する視野の広さが必要となる。このように危険と隣り合わせの宝物殿だが、宝具が産出するためにリターンも大きく、富と名誉を求めるトレジャーハンターが後を絶たず挑戦している。

幻影 (ふぁんとむ)

宝物殿に出現する生きる幻。出現する原理は宝物殿と同じで、マナ・マテリアルの偏りによって過去の生物の記憶が現出する。本来の生物の記憶を反映して発生する幻であるため、本来の生物より強化される場合がある。生物である「魔物」とは似て非なる存在で、魔物は殺せば死体を残し、それを素材とすることができるが、幻影はあくまで過去の生物の記憶を反映した幻であるため、殺すと死体は残らず消えてしまう。その代わり幻影を倒した場合、ごくまれに幻影の装備や体の一部、宝具をドロップする。また幻影は生物ではないため、一度倒しても時間が経てば復活し、再び戦うことができる。幻影は自走して周囲を攻撃する植物や中身がないのに動く鎧などその姿はさまざまで、中には知恵を持ち、人の言葉をあやつって巧みにだましてくる幻影も存在する。

宝具 (ほうぐ)

宝物殿で見つかる過去の遺産。現代では再現不可能な効果を持つ魔法のアイテムで、水が延々と湧き出す水筒や炎が噴き出る剣などさまざまな種類が存在する。有用な物であれば、それ一つが財宝の山と取り引きされることもあるため、トレジャーハンターが求めて止まない存在となっている。宝具は取り扱い説明書などはなく、用途を鑑定しなければ使うことはできない。中には特殊な発動条件が存在する宝具も存在するため、トレジャハンターは手探りで使い方を模索し、手になじませる必要がある。逆に言えば宝具に関して幅広い知識を持ち、使い方を習熟していれば、特別な才能がなくても扱うことが可能となっている。魔法使いでなくても魔法のようなことができるのは大きな利点だが、宝具は「魔力(マナ)」をチャージしなければ使うことはできない。強力な宝具であればあるほど多くの魔力をチャージしなければならず、また魔力のチャージは魔法使いにしかできないため、トレジャーハンターたちも魔力の補充が難しい宝物殿にはあまり宝具を持ち込まないようにしている。

マナ・マテリアル

世界の根幹をなす物質。目には見えないがどこにでも存在している。本来は満遍なく存在するマナ・マテリアルだが、これがなんらかの要因によって1か所に偏った場合、宝物殿が発生する。このため宝物殿の存在する場所は、例外なくマナ・マテリアルの濃度が濃くなっており、この場所で活動するトレジャーハンターは高濃度のマナ・マテリアルを取り込むことで、人外の力を手にすることができる。ただし、取り込んだマナ・マテリアルは少しずつ抜けていくため、長期間、宝物殿での活動をせずにいるとマナ・マテリアルは抜けきり、手にした力も失ってしまう。帝都の周辺は世界的に見ても珍しいマナ・マテリアルの偏りが起きやすい土地で、いくつもの宝物殿があることから多くのトレジャーハンターでにぎわう地となっている。

クレジット

原作

槻影

キャラクター原案

チーコ

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